法務研究会

第11回ICT政策研究会 兼 第31回マーケティング研究会
「デジタル広告とデジタルプラットフォーム事業者の優越的地位の濫用防止について」
実施報告

開催日時

令和3年7月2日(金) 15:00〜16:30

主催

ASPICセミナー事務局

講演内容

タイトル

「デジタル広告とデジタルプラットフォーム事業者の優越的地位の濫用防止について」

講師

公正取引委員会 デジタル市場企画調査室 室長補佐 古賀 千尋様

講演概要

デジタル広告に関するデジタル・プラットフォーム事業者の事業の在り方が多くの事業者に大きな影響を及ぼすようになってきています。デジタル・プラットフォーム事業者の中には、独占・寡占的な地位にある者が多く存在し、取引事業者との関係において優越的な地位にいる可能性があります。

昨年度、公正取引委員会が行った、デジタル広告分野におけるデジタル・プラットフォーム事業者を取り巻く取引実態や競争の状況調査の内容と結果について解説されました。優越的な地位にいる事業者が、正常な商慣習に照らして、相手に不利益を与える場合には独占禁止法上問題になる恐れがあり、調査で明らかになった実例、関係者の主張(見方・考え方)などが紹介されました。

アルゴリズムを使ったデジタル広告の掲載に関する実例や問題点、垂直統合化されたデジタル・プラットフォーマーの問題点などについても細かく解説されました。また、今年度は、一部寡占化が進んでいるクラウド業界のアンケート調査を行うことも紹介されました。

質問・コメント

次のような質問がありました。

Q1:グーグルが検索連動で70-80%シェアとあったが、欧米含めた世界でのシェアでなく、日本でのシェアか。日本ではもう少しYahooが高いのではないか。

Q2:放送局に関しては確か放送法があり、総務省が監督していると承知していますが、広告費用としても旧メディアに匹敵し、色々な社会的な影響力も大きいデジタル・プラットフォーム事業者に対しても、行政としても一定の法規制や監督が必要だと感じます。公正取引委員会にご質問すべきことではないかもしれませんが、海外も含むデジタル・プラットフォーム事業者に対しては、行政としてどう対応してゆけば良いとお考えでしょうか?

Q3:将来的に海外プラットフォーマに対して、日本向け検索アルゴリズムの導入の義務付けは可能でしょうか?

Q4:デジタル公告における優越的地位の乱用で、過去にGoogleが負けた判例はありますか?また、日本で進行中の裁判等がありましたら可能な範囲で教えて下さい。

Q5:弊社も広告主として検索広告に出稿しておりますが、今回の報告結果と同様にデジタルプラットフォームの透明性については疑問を感じております。

Q6:今回の実態の取りまとめを経て、ガイドラインが強化される予定はございますか?

参考になった点など
  • 公正取引委員会の方から直接解説をいただける貴重な機会となり、実態のデータもわかりやすく大変参考になりました。
  • 大変時期を得た有益・広範な調査と報告、そして本日の分かり易いご講演有難うございました。
  • 公取が、デジタルプラットフォーム事業者(DPF)の諸活動に対して、広範な調査を行い報告書を出し、それが、次の行政的な取り組み(公正な取引の維持)に繋がることが良く理解できました。その過程で、DFPの実態が各ステークホルダーとの関係も含め明確になったことが良かった。大変分かり易い講演でした。
  • ご説明が具体的かつ分かり易い内容で大変参考になりました。
  • 調査結果のデータを公開いただけたことはよかった。
  • インターネット広告のことを知らなかったため参考になりました。
  • デジタル広告取引を行う際の注意点を把握することができた。
  • 他国の状況もふまえ参考になりました。

資料:ASPIC会員限定のHPに掲載

講演模様

古賀 千尋様の講演中の様子

本件問合せ先

ASPICセミナー事務局
E-mail:seminar@aspicjapan.org
TEL:03-6662-6591