第28回 クラウドIoT研究会 兼 第20回 AIサービス研究会
「データを価値に変える社会インフラ保守事業の創生」実施報告
日時
2022年4月21日(木) 15:00〜16:30
主催
ASPICセミナー事務局
講演内容
タイトル
「データを価値に変える社会インフラ保守事業の創生」
講師
株式会社 日立製作所 公共システム事業部 公共基盤ソリューション本部 担当本部長
竹島 昌弘様
講演概要
社会イノベーション事業の検討中、熟練作業者高齢化の大きな社会課題と自社の開発中だった資源探査用の超高性能振動センサー(MEMS)から、社会インフラ保守プラットフォームのコンセプトを創出。多くの実証と他社とも協創しながら、フルクラウドでのシステム構築やAIを活用し、海外展開も視野に入れた「データを価値に変え、モノ売りではなく情報(コト)を提供する」事業創生の軌跡を紹介した。
1. 社会インフラ保守プラットフォームのコンセプト
- 地中埋設インフラをターゲットとして社会インフラプラットフォームの先行モデル作り
- 地中配管などからのデータを収集し分析することで、保守作業の高度化・効率化を実現
- 災害時も迅速な状況把握による被害最小化に寄与
2. 熊本地震:市民からの漏水に関する通報や問い合わせが続き漏水対策が重要な課題
- コア技術である超高精度振動デバイス(MEMS)を活用した漏水検知センサーを開発
- これまで当然とされてきた誤検知という課題を独自のアルゴリズムにより解決
- 各地水道局等計500か所センサー実証/約1万件データサンプル取得検証
3. 社会インフラ保守プラットフォームアーキテクチャー:フルクラウドで構成
- サーバー:Amazon Web Services
- 通信・デバイス管理:ソラコム、JP1を採用。セキュアな通信とデバイス管理を実現
4. 漏水検知サービス 海外展開
- センサーシステムの特徴(@センサー設置が簡単、Aパッケージ提供可、Bシステム改変不要)より、海外で容易にサービス展開が可能なため、現地でも対応可能
- 先進国・新興国において課題は異なるが、漏水削減ニーズは高い
5. 埋設管布設工事における課題
- 道路占用工事(水道、下水、ガス、電気、通信など)の際に、正確な埋設物情報が必要
- 複数のインフラ事業者が個別に図面を管理しており、工事の際に手間がかかる
- 図面と現場(実際の位置)に相違があることが多く、設計・施工に影響を及ぼしている
6. 地中可視化サービス:空洞探査技術
- AI活用により熟練者に依存していた空洞候補数を90%以上削減
- 空洞の判別にかかる工数をトータルで約70%削減
7. 地中可視化データ作成プロセス
- レーダー探査したデータに対しAI解析を行い埋設物の判別処理を実施
- 簡易2次元/3次元情報に各種情報を追加し、詳細2次元/3次元情報を作成・提供
8. 国土強じん化:社会インフラ保守事業
- 国土交通省要綱見直し(地中探査技術活用)を追い風に、工事現場に変革を起こしていく地下埋設物の図面と現場の相違による無駄な試掘、事故発生という社会課題を解決
- 地質調査業界最大手と協創し、全国の地中可視化情報を生成
- 大規模災害時の社会インフラの早期復旧や災害対策にも寄与
- グローバル展開、重機との連動など、事業領域の拡大を推進
- 高精度センサーによる漏水検知と地中レーダー画像の解析による地中可視化データを切り口として複数のインフラ事業者をまたがる業界全体のDX化を推進
以上
質問・コメント
次のような質問がありました。
- Q1:海外(先進国、新興国)の水道の構造、制水弁も日本と同じでしょうか?
- Q2:検知センサーは、水道管以外、例えばガス管、ビルや橋梁での活用は出来ますか?
- Q3:徐々に拡大してゆく漏水の時系データの分析は行ってますか?
- Q4:空洞判別のAIは、独自の画像解析でしょうか?
- Q5:図面と配管位置が異なる/記載がないことで判明した時、図面へのフィードバックは行われているのでしょうか?
資料:ASPIC会員限定のHPに掲載
本件問合せ先
ASPICセミナー事務局
E-mail:seminar@aspicjapan.org
TEL:03-6662-6591