最終更新日:2024-08-28
サーバーやネットワーク機器などの監視を強化・効率化するために、監視ツールの導入を検討中の方へ。無料で使えるOSSや、パブリッククラウドで付随されるサービス、有料サービスなどのおすすめをご紹介します。
サーバー監視ツールとは、サーバーやネットワーク機器などが正常に稼働しているかどうかを、取得した稼働情報から把握・分析するためのツールです。
監視に必要なデータを取得して適切に処理するためには、工数が膨大になるだけでなく、専門知識やノウハウも必要となります。サーバー監視ツールを導入することで、監視設定や処理、分析の多くを自動化できるようになるため、人的ミスを削減しながら業務を効率化できるようになります。
近年では、AIや機械学習を活用した異常検知機能を備えたツールも登場しており、より高度な監視を実現しています。
サーバー監視は、サーバーの稼働状況をリアルタイムで監視してトラブルや異常を早期に把握して適切な対処をすることを目的としています。サーバーは、アプリケーション、ミドルウェア、OS、ハードウェアなど複数の要素で構成されており、サービス提供の中心的な役割を担うシステムです。そのため、障害が発生した場合、売上機会の損失だけでなく、会社の信用度の低下にも直結する恐れがあります。
サーバーの定期的な監視は、異常検知による大規模障害の防止、障害発生時の被害の抑制、パフォーマンスの安定供給などのために欠かせません。また、過去の稼働状況の学習データから、障害発生前に対策を講じる「予防保守」もサーバー監視の一部として重要視されています。
サーバー監視には主に、問題なく動作していることを常に表示する正常監視、問題が発生した際に速やかに通知する異常監視の2種類があります。以下が主な監視対象や手法です。
死活監視 | 定期的にシステムに信号や要求を送り応答を確認 |
---|---|
ハードウェア監視 | 電源、温度、ファン、ハードディスクの残容量、メモリ使用量など物理機器を監視 |
プロセス監視 | リクエストの開始から終了までのプロセスを常時モニタリング。異常な挙動やプロセス停止の検知 |
ログ監視 | 各種システム、機器で実施された挙動の記録を監視 |
トラフィック監視 | 通信データ量を監視。閾値アラートによるネットワークの遅延や障害を防止 |
パフォーマンス監視 | CPU・メモリー・ディスクや、ネットワーク帯域の使用率を監視。処理速度の低下などを防止 |
アプリケーション監視 | 複数のサーバー上に存在する特定のアプリケーションの稼働状況などを監視 |
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類似の監視ツールに「システム監視」があります。システム監視はITインフラ全体を包括的に監視対象とし、次のような対象が含まれます。
一方、本記事の「サーバー監視ツール」や、ネットワーク機器の稼働状況を監視する「ネットワーク監視ツール」は、システムの一部であるサーバーやネットワークの監視に特化したツールとなります。
システム全体の規模が大きく、それぞれ別のツールを使うと管理に負荷がかかりそうな場合は、システム監視ツールの利用が適しています。あるいは、クラウドサービスの中には、複数の監視機能を統合して提供しているものもあります。
なお、ネットワーク監視ツールについては、「ネットワーク監視ツール比較15選。無料も含めてタイプ別に紹介」で詳しくご紹介しています。
サーバー監視ツールの比較・導入検討の際に、チェックすべきポイントを4つご紹介します。
まず、所有しているサーバーを一元管理できるかどうかが、重要な比較ポイントとなります。保有しているサーバーがオンプレ環境とクラウド環境の両方にあるケースや、更には複数のパブリッククラウドを活用しているケースでも、サーバー監視ツールで全体を監視できるかどうかチェックしておきましょう。
また、仮想環境やコンテナを中心に利用している場合は、それらが監視対象となっているか要確認です。
サーバーの死活、リソース利用率(例:CPU・メモリ・ディスクの使用率)、特定サービス(例:Webサーバー、データベース、仮想化ソフトウェア)など、サーバーで監視したい項目の稼働状況取得に対応しているかどうか、確認しておきましょう。中には、必要な監視項目をカスタマイズ可能なツールもあります。
従来のメール通知やSyslogの出力、SNMPトラップの送信だけでなく、Slackなどのチャットツールからの通知機能もあれば、早期に異変に気づけて実用的です。更に、自動音声による電話連絡や、SMSによる携帯電話への通知を活用すれば、早期発見のために一層役立ちます。
OSS(オープンソースソフトウェア)の場合は、自前での設定・運用が必要になります。そのため、ブログやQiitaなどへの投稿や、技術ガイドの書籍、ユーザーコミュニティの充実度がチェックポイントに。設定・運用の作業で困ったときに頼れる情報があれば、安心して導入することができます。
一方で、監視対象の機器数が膨大で設定作業の負荷が大きすぎる場合や、日々の監視やログの分析に手が回っていない場合は、運用負荷の軽減につながるサーバー監視ツールの導入を検討することも大事です。
特に、障害が時折発生しているなど、将来的な障害発生が予期される場合には、性能分析による問題点の洗い出しといった予防措置が重要に。負荷軽減のため、それらを外部ベンダーに任せてしまうのも一手です。
まず、システム運用監視業務を効率化するために便利な有料版のサーバー監視ツールからご紹介します。
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(出所:System Answer G3公式Webサイト)
「性能監視から情報管理へ」をコンセプトに予兆検知・事前対策に強みを持つエージェントレスのサーバー監視ツール。133メーカー、5,384 種類の監視項目から、自動で初期設定を行う。サーバー監視や各リソースの性能監視に加えて、リソースの変動をもとにしたトレンド分析や、利用時間帯別の偏差から異常を察知するベースライン分析など、分析機能が充実しているのが特徴だ。
マルチベンダー対応で一括管理ができるため、多数のシステムを抱えていて監視設定の負荷が高く、ログ分析に手が回っていない、という課題解決に有効。監視サーバーを用意せずにクラウド型で利用できる「on SAMS」というサービスも。
(出所:パトロールクラリス公式Webサイト)
国内4,000社以上での導入実績を持つ、エージェントレス方式のサーバー監視ツール。1つの監視マネージャーで、最大10万ノードの監視・運用が可能。クラウド版も提供されている。基本的な監視項目に加えて、簡易Web改ざん機能やAWS CloudWatchからログ取得・監視機能などを搭載。監視機能は必要な数量分だけライセンスを購入できるので、コストの削減にも役立つ。死活監視機能やレポート機能、カルテ機能、アクション機能は無料で提供。純国産によるわかりやすさも強み。
SlackやRedmine、Grafanaといった外部ツールとの連携機能もそろう。
(出所:Mackerel公式Webサイト)
エージェントをインストールするだけで、すぐにサーバー監視を開始できる手軽さが特徴のSaaS型のサーバー監視ツール。監視項目や監視条件はクラウド上で詳細に設定できるので、少ない負担での運用が可能だ。
Slackやチャットワークといったコミュニケーションツールと連携できるため、チーム内での情報共有がスムーズに。将来の予測値の監視、機械学習を使った異常検知、手軽にメトリックを利用できる探索機能など、観測をサポートする充実した監視機能も搭載。クラウドやコンテナなど、多様なインフラ環境を一元管理できる点も魅力。また、プラグインにより様々な環境に対応できるほか、OSSで公開されているため環境に合わせて独自に拡張することも可能。
ホスト数5台まで、監視項目数が10までの無料プランもあるため、使用感をしっかり試せるのもポイント。
(出所:LogicMonitor公式Webサイト)
クラウド、オンプレミス、ハイブリッドいずれの環境にも対応可能なクラウド(SaaS)型ITインフラ運用監視プラットフォーム。専用モジュールをネットワーク環境内のサーバーにインストールして、監視対象となるデバイスを登録するだけ(エージェントレス)。リモートワーク環境でも簡単に導入しやすい。
サーバー以外にも、ネットワーク、セキュリティなどのITインフラからアプリケーション、Webサイトまで、あらゆるIT資産・ITシステム全体のパフォーマンスを一元管理可能。オプションでIaas・Paas監視にも対応。3,000種類以上の監視テンプレートが用意されており、初期設定作業を大幅に削減できるのもポイント。
そのほか、AIOps機能として障害予兆検知、ノイズアラート削減、IT投資最適化のための将来予測機能を備えており、運用のDXを推進したい企業にもおすすめ。
(出所:srest公式Webサイト)
SRE・インフラ領域の異常監視に優れたイベントログ・コスト監視サービス。AWSやDatadog、PagerDuty、Sentryなど各サービスの運用データを集積し、システムの健康状態をダッシュボード上でまとめて一覧表示。特定のサービスで発生したアラート数やヘルスイベント/異常イベントの絞り込み、日付指定やフィルタ機能によるイベントログの横断検索で、効率的に管理できる。
具体的な条件を設定して、異常検知ができるアラート機能も搭載。設定した条件を満たすイベントの発生時に、EメールやSlackなどのコミュニケーションツールに通知を自動送信できる。また分析ツールでは、プロバイダーやプロダクトを軸とし、年間・月間・日別のレポート作成にも対応。コスト情報を一元集約することで、異常コストの解明やコスト上昇の迅速なキャッチアップにつながる。
(出所:Hinemos公式Webサイト)
NTTデータが開発したサーバー監視ツール。国産ツールのため、日本語のドキュメントや情報が充実しており、初期設定や運用がしやすい。NTTデータグループならではのスケールメリットと長年の知見により、安価で充実したサービス提供している。
サーバーの稼働情報の収集・監視から分析まで、システムの統合運用管理を実現。そのほかにも、設定したジョブの自動実行といったジョブ管理機能を搭載している。更に、管理対象機器から収集した様々なデータをもとに将来の状態を予測し、アラートを上げることも可能だ。
また、サブスクリプションサービスとして、RPA連携ツールやインシデント管理連携ツール、バージョンアップツールなどを提供。
(出所:NetKids iMark公式Webサイト)
サーバーやネットワーク機器の障害を検知・通知する純国産の監視ツール。Windowsベース・オンプレミス型のソフトウェアで、煩雑なインストール作業や面倒な設定は不要。完全日本語対応の直感的なUIで、誰でもインストール直後からスムーズに監視業務を開始できる。
Ping監視、リソース監視、HTTP/HTTPS監視、SNMPデータ取得といった基本的な機能に加え、カスタムエージェントやファイル監視でログの監視を行い、外部ツールと連携することで様々な監視に対応。ネットワーク監視に最低限必要な機能のスモールスタートから、中・大規模な監視まで、幅広い活用が可能だ。
続いて、OSSのサーバー監視ツールについてご紹介します。無料で利用でき、設定の自由度が高いものが多いため、技術的知見のある人が時間をかけてカスタム設定をするのに向いています。
ただし、サーバーが小規模で要件が限定されている、技術的知見にあまり自信がない、あるいは製品理解に時間をかけたくないといった場合は、有料版サーバー監視ツールがおすすめです。
(出所:Zabbix公式Webサイト)
ネットワークやサーバー、アプリケーションなどの監視ができるオープンソースの監視ツール。世界中のグローバルブランドを含む30万以上のユーザーが利用しており、エンタープライズレベルの環境にも対応。
監視対象サーバーにエージェントをインストールして、管理サーバーで集中的に管理・監視できるほか、エージェントを用いずにSNMPで監視することもできる。
監視項目としては、死活監視、リソースの使用率(CPU、メモリ、ディスク)、プロセス等のサービスの稼働状況やWebの動作状況など。
専門書籍や日本のZabbixユーザー会等のコミュニティが充実しているので、設定・運用に必要な情報を得やすい。
(出所:Nagios Core 公式Webサイト)
ITインフラ、サービス、アプリケーション、リソースなどあらゆる対象を監視することができるツール。プラグインで提供されるため、プラグインを呼び出すための実装が必要。エージェント型とエージェントレス型の両方に対応している。
コミュニティサイトには多数のアドオンツールが用意されているので、自分で実装できるスキルと時間がある人に適したツールだ。大規模システムの監視に適した有料版の「Nagios XI」も。
(出所:Cacti 公式Webサイト)
サーバーやネットワークのリソース使用率をSNMPで取得し、RRDToolを用いてグラフ表示させるのが得意なサーバー監視ツール。
サーバーリソースに関するグラフを表示するだけでなく、平均負荷を算出して今後の負荷の増加率を予測・分析することもできるので、リソース状況の把握・分析に適している。監視データの保存にRRDファイルを採用しているため、監視機器の数が増えても軽快に動くという強みを持つ。
(出所:Munin公式Webサイト)
Cacti同様に、RRDToolを用いてサーバーリソースなどをグラフ表示できるエージェント型のサーバー監視ツール。CPU利用率、ディスク使用率、メモリ使用量、ネットワーク通信量などを監視することができる。
「インストール作業がシンプル」「最低限必要な設定項目が少ない」「インターフェイスがWebブラウザ」などインストールのしやすさが特徴だ。公開されている手順通りに進めればすぐに利用でき、プラグイン導入によって監視項目を増やすこともできる。
(出所:Pandora FMS公式Webサイト)
Web上のGUIでの設定やグラフ分析などができる、日本語にも対応したサーバー監視ツール。専用エージェントを用いた監視、エージェントなしでの監視のどちらにも対応している。Pandora FMSを冗長化、または負荷分散して運用できるため、大規模システムの監視にも適している。
200以上のプラグイン、豊富なウェビナー動画、ユーザー同士の交流ができるコミュニティなど、運用のための情報も充実。
IaaSのクラウドサービスを利用中なら、IaaSベンダーが提供しているサーバー監視ツールの利用が便利。監視対象数がそれほど多くなく、死活監視プラスアルファくらいで十分という場合におすすめです。
Amazon CloudWatchは、AWSのリソースとアプリケーションを対象にしたサーバー監視ツール。リアルタイム監視、ログ分析、自動化機能などを活用することで、システムの安定性、信頼性、効率性を高められる。70を超えるAWSサービスとのシームレスな統合が可能。管理コンソールから設定するだけで利用開始できる、使い勝手の良さも特徴だ。
EC2などを利用していれば、限定的な範囲で無料利用できる。小規模での利用なら、無料範囲内で済むことも。無料範囲を超えても料金自体が安価なので、監視対象がAWSのみであれば有力な選択肢になる。
シンプル監視は、サーバーの死活監視や、Webサーバーやメールサーバーなどに対するネットワーク疎通監視(ping, tcp)やアプリケーション監視(http, smtpなど)ができるシンプル機能のサーバー監視ツール。疎通がなくなったりしきい値を超えたりした場合には、任意の通知方法で通知される。
1サーバー月額数十円という低価格が魅力で、さくらのクラウド利用者が死活監視やサービスの動作確認を手軽に行いたい、という場合の選択肢になる。
最後に、ご紹介したようなサーバー監視ツールとの併用によって、監視業務を効率化するおすすめのツールをご紹介します。
(出所:AMF公式Webサイト)
障害対応の無人オペレーションを支援するクラウドサービス。使い方はアラートメールの送信先にAMFを加えるだけと簡単。
柔軟なフィルタ設定により、アラートごとの多様なアクションを自動化。件名や本文中の文字列、検知時間・回数などでのフィルタ設定が可能。障害ではないアラートを事前に排除して、対応すべきアラート数を削減することで、運用業務の効率化やコスト削減、サービスレベル向上が期待できる。
また、豊富なテンプレートを使ってスクリプトの記述不要で、Slack通知や自動電話、まとめて通知なども簡単にアクション設定を行える。
アラート件数の推移や統計などを表示できるダッシュボード機能や、アカウントごとに閲覧できる受信アドレスを制限できる権限管理機能など、運用会社が開発したサービスならではの多彩な機能がそろう。
サーバーはシステムの中心的な役割を果たしており、障害やトラブルが発生すると売上損失や企業評価の低下につながる可能性があります。
サーバー監視ツールを使うことで、稼働状態の確認、定期的なログ収集、障害発生時の迅速な通知が可能になります。また、ハードウェア故障の予防にも役立ちます。
サーバー監視ツールを選ぶ際は、次の4つの比較ポイントで検討を進めると良いでしょう。
(1)サーバーの監視対象の範囲
(2)監視項目の取得範囲
(3)通知方法
(4)運用の手間
サーバー監視は、自社サービスの安全と安定運営に不可欠です。無料ツールもありますが、運用の手間や技術的不安がある場合は、有料サービスの検討も重要です。
コストだけでなく、リスクを未然に防ぐために長期的な視点での費用対効果を考えることが大切です。
サーバー監視ツールをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
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