勤怠管理システムの導入メリットについて労働管理強化と業務効率化の両観点で解説しています。大きなデメリットはありませんが2つの注意点があります。
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勤怠管理システムとは、出勤・退勤時刻の記録や残業時間の管理など、勤怠管理業務を支援するためのシステムです。
勤怠管理とは、出勤時間、退勤時間、休憩時間、残業時間、休日出勤、欠勤など、企業が従業員の勤務状況を把握し、管理することを指します。企業は従業員を雇う上で、労働基準法などにより以下を遵守することが義務付けられています。違反すると「30万円以下の罰金」などの罰則を課される場合もあります。
それ以外にも、勤怠管理は正確な給与計算、業務の効率化、従業員の過労防止などのためにも重要です。
勤怠管理システムは主に、出勤・退勤などの「打刻」と、登録した情報を集約・集計する「管理」の2つで成り立っています。
従来のアナログ作業では、従業員がタイムカードやExcel表などを用いて打刻したものを、管理者が集約・集計して一人ひとり勤務時間を算出するのが一般的でした。アナログな分、「時間を打ち間違えた」「タイムカードを取り違えた」「月末カードを集めて集計するのが大変」といった課題が挙げられていました。
近年のクラウド型の勤怠管理システムの場合、従業員はタイムカードやExcel表の代わりにPCで専用Webサイトにログインしたり、スマホのアプリを立ち上げたりして、画面上の出勤・退勤ボタンを押するだけ。登録した情報はクラウド上で自動で集約・集計。管理者はいつでも、どこからでも、簡単に就業状況を確認することができます。
最近の勤怠管理システムは、出勤・退勤などのボタン打刻に限らず、PCのログイン・ログオフに合わせて自動で出勤・退勤したり、そのほか、生体認証(指紋や顔認証など)やICカード(SUICAなど)、QRコードなど、様々な打刻方法に対応可能。より便利になり、かつ不正やミスも起こりにくくなっています。
本記事では勤怠管理システムのメリットやデメリット(注意点)、選び方などをわかりやすく説明しています。概要がわかれば十分なので、あとは「実際のシステムを比較検討したい」という方は「勤怠管理システム比較16選」「勤怠管理アプリおすすめ15選」をご覧ください。
そのほか、「忙しくて時間がない」という方向けに、じっくり読める勤怠管理システムのスタートアップガイドも用意しています。料金相場やおすすめサービスも紹介しているので、興味のある方はダウンロードして社内提案や資料作成などにご活用ください。
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勤怠管理システムのメリットとしては、「労務管理の強化」と「業務効率化」の観点で次の5つが挙げられます。
この中でもポイントは、「1.労務管理の法令順守の徹底」です。従業員の残業時間や休暇取得状況などへの管理・配慮は経営面でも重要テーマです。
業務効率化の観点では、人事の膨大な集計作業を減らすことが当然重要です。従業員の入力作業は簡略化が期待できることもありますが、すでにタイムカード等で押すだけ、という状況であれば、それほど大きなメリットにならない可能性があります。
勤怠管理システムを導入し毎日利用することによって、月末でなくとも、どのくらいの残業時間になっているかをチェックすることができます。働き方改革があちこちで叫ばれている中、これが把握できるというのは非常に重要な点です。
例えば36協定遵守のためには、残業時間を超過している人がいないか・月末までに超過の可能性がないかを定期的にチェックする必要があります。勤怠管理システムを導入すると、日々入力されたものを、その時点で集計・把握することができるので、遵守のためのアクションにつながります。
特に、人事だけでは残業時間管理に対応しきれない時に有効です。というのは、多くの場合は人事だけでなく、各部門のマネージャーや部長などの管理職が直属の部下の労働時間を管理し、超過しないための配慮をしています。その際に、管理職が人事にいちいち確認せずともシステム上で労働時間を把握できればその場ですぐに配慮することができますし、人事としても質問対応に追われることはありません。
また、入力ミスや転記ミスがないため、正確に勤務時間を把握することができ、管理ミスが起きにくいというメリットもあります。
勤務状況を正確に管理できるので、残業時間の水増しや、早退や欠勤の無申告といった不正の可能性が減ります。修正履歴もわかりますので、遅刻した時間で打刻されているけど、後でこっそり遅刻しない時間に変更してしまおう、という事態も防げます。
従業員からの申請の受付、勤務時間や残業時間の集計から、代休・有休の取得状況や残日数の管理まで手作業の削減に大きく効果を発揮します。誤記入があっても発見や修正もすぐに行えますのでチェック作業も効率化されます。
また、給与計算ソフトと勤怠管理システムとでデータ連携ができるものも多くあります。勤怠管理データを取り込むだけで残業代などを含めた給与計算がすぐに行われますので、これまで手作業や転記をしていたのであれば効率化が見込まれます。
申請・承認のためのワークフローがシステム上で簡単にできてしまうので、入力後に捺印のために上司の帰社を待ったりすることなく、承認をスムーズに受けることができ、従来に比べて速やかに提出を済ませることができます。
タイムカードやExcelでの入力と比較して作業工数自体は大きく変わるほどの変化ではないかもしれませんが、テレワークを取り入れている企業であればリモートで完結できるため、勤怠管理のための出社を防ぐことができます。
「労務管理の法令順守の徹底」は前述の通り重要なテーマですが、勤怠管理システムがないと負担の大きい業務です。残業時間の把握ために都度業務時間を集計する必要がありますし、人事は都度集計して各部門の管理職に個別に知らせる必要もあります。システムがあれば、管理職が定期的に労働時間を確認してその場で確認できるようになり、人事と管理職の無駄な作業を抑制できます。
ここまで、勤怠管理システム導入のメリットを見てきました。基本的には導入メリットの方が多く、明確なデメリットというのはありません。ただし、導入には2つのリスクがあり、デメリットになりかねないので注意が必要です。そのリスクを見ていきましょう。
職種が多様な場合や働き方に関する独自制度が多い場合は、就業規則がどうしても詳細化されてしまいます。
たとえば、雇用形態(例:社員、地域限定社員、アルバイト、パートなど)、就業形態(例:フレックスやシフト勤務)のパターンが複数ある場合、勤務地が複数ある場合、社内制度が多い場合、勤務場所が日々異なる場合(例:直行直帰や出張)などが挙げられます。
勤怠管理システムによっては標準機能では対応が難しいため、一部手作業が残る可能性があります。カスタマイズ対応も可能ですが、その場合、要件定義やシステム設定作業などそれ相当のコストや工数が余計にかかります。「この制度は本当に必要なのか」「以前の運用方法を継続した方が良いのか」など課題がある場合は、システム導入を機に就業規則の改訂も検討すると良いでしょう。
上記の就業規則に対応できたとしても、実際に社員が使いこなせるとは限りません。さほど難しくないシステムだったとしても、アナログからデジタルに切り替えるような場合は、利用方法周知や問合せ対応など検討すべきことは結構あります。
たとえば、利用法周知では、マニュアルの配布だけで済ませるのは難しい場合が多いので、導入当初は社内説明会を複数回開催し、それでもわからない人、間違える人への個別対応に追われる覚悟が要ります。また、複数拠点がある場合、職種や従業員が多い場合は、一気に全展開とはいかず、一カ所ずつ試験的に導入していき、うまくいくか判断してから展開していくこともあります。
そのため、他業務を数多く抱えながら片手間ではこなしきれない可能性がありますので、導入推進体制や作業工数の目安は想定すべきでしょう。
これまで見てきたメリット獲得のために必要な機能についてご紹介します。システムによって差異はありますが、勤怠管理システムには以下のような様々な機能が搭載されています。
機能 | できること |
---|---|
打刻機能 | スマホアプリ、Web打刻のほか、ICカードやQRコード、顔認証や生体認証など様々な方法で打刻できる |
自動集計・Web保管 | 従業員の勤務データを自動集計。手入力や転記手間がかからない。データはWeb上に保管されるためファイリングの必要がない |
申請・承認機能 | 遅刻や早退、勤怠実績の修正、休暇願いなどの申請・承認をWeb上で行える。届け出ごとにワークフローも組める |
アラート機能 | 残業超過に陥りそうな従業員がいたら、自動で従業員や管理者にメール等で事前に知らせてくれる |
リマインド機能 | 打刻し忘れている従業員や、有給等の承認を忘れている管理者がいたら、自動で通知してくれる |
ダッシュボード機能 | Webの管理画面で「誰がどれくらい働いているか」リアルタイムで確認できる |
データ分析・活用 | 部署・組織など様々な切り口で分析。人員増強など対策を打ちやすくなる |
GPS機能 | 直行直帰などでありがちな不正打刻を防止するため、打刻と同時にスマホの位置情報を取得 |
生体認証機能 | 打刻と同時に指紋認証や顔認証などで本人確認を実施。勤怠のなりすましなど不正打刻を防ぐ |
機能 | できること |
---|---|
有給休暇管理機能 | 有給の取得申請・承認を電子化。管理画面で「誰がどれくらい有給をとっているのか」も可視化できる |
シフト管理機能 | 早番・遅番などの勤務シフトや勤務時間などを割り当てたシフト表を効率よく作成・配布できる |
工数管理機能 | 打刻に合わせて「何にどれだけの時間を費やしたのか」を従業員に登録させて、業務の工数を管理できる |
導入メリットを確認した方に、選び方をご紹介します。選び方のポイントは「対象範囲」と「就業規則への対応」の2点です。
「対象範囲」とは、勤怠管理システムを利用する範囲です。利用人数(規模)、本社・工場・店舗等の拠点、職種の多様さ、シフト有無などで変わります。
「就業規則への対応」とは、デメリットについての解説の通り、有休付与ルールや早朝出勤の残業対象可否などの社内にルールにどこまで対応できるかという点です。
「どこまで対応すればいいのか」自社のみで考えるのは難しい場合は、自社の従業員規模や属する業種・業界の特殊性で考えるとイメージしやすいでしょう。
たとえば、従業員1,000人以上レベルの大企業では、従業員数が多い分、対象範囲が広く、複雑な就業規則が定められています。これに対応するためには設定の柔軟さが不可欠です。勤怠管理システムの標準機能だけで対応が難しい場合には、カスタマイズ開発を視野に入れる必要があります。
一方、従業員が数百名以下の、対象範囲がある程度限られ、就業規則に自社独自のルールが多くない場合は、クラウドサービスやパッケージ等の利用前提で検討を進めてよいでしょう。
業種・業界についても同様です。たとえば、オフィスワークとサービス業では勤務形態が大きく異なります。その他、介護・建設業のように「直行直帰の管理」「シフト管理」など特有の要件が存在する場合も。それぞれの状況に適した機能・設定を選ぶ必要があります。
アスピックではそれぞれの状況にあった選び方を用意しています。具体的なツールを選定する際の参考にしてください。
【従業員規模】中小向け・大企業向け
【業種・業界】製造業向け・建設業向け・介護業界向け・病院向け・運送業向け
【そのほか】英語対応・生体認証機能付き・工数管理機能付き
勤怠管理システムを導入するメリットとデメリットについて、「労務管理の強化」と「業務効率化」の2軸でご紹介しました。
デメリットにつながるようなリスクとしては、就業規則へ対応ができなかったり、導入前後の作業が想定より多かったりすることなどが挙げられます。そのようなケースにも、各現場の就業環境の把握や、導入から定着までの体制を整備することで、対策を講じられるでしょう。
自社で発生する可能性のあるトラブルや課題を想定したうえで、勤怠管理システムの導入・活用を推進することができれば、人事担当者だけではなく、社員全員がメリットを感じることができるはず。そのためにはまず、勤怠管理システムを利用する範囲を確認し、社内ルールにどこまで適応できるかを検討してみましょう。
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キンタイミライ(旧:バイバイ タイムカード)|インタビュー掲載
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