最終更新日:2024-09-10
「もっと子どもと向き合う時間を増やしたい」そんな先生や保育士の方におすすめなのが、保育園・幼稚園ICTシステム。どんな機能があり、具体的にどんなメリットがあるのかを解説しつつ、おすすめのサービスと選び方をわかりやすくご紹介していきます。
保育園・幼稚園ICTシステムとは、インターネットやスマホアプリなどを活用して、園の先生や保育士の日々の業務を軽減し、効率化を図るシステムです。「保育業務支援システム」とも呼ばれています。保育園・幼稚園のほかにも、認定こども園や学童・キッズスクールなどで利用されているものあります。
従来は、保育園・幼稚園などで事務作業・連絡を行う場合、園内にある共有PCの専用ソフトや電話を使って行うのが一般的でした。しかし、その場合「効率が悪い」「引き継ぎが難しい」「労働時間が増える」といった課題があります。ICTを活用すれば、スマホを使って隙間時間に事務作業をしたり、保護者と連絡をとったり、効率的に仕事ができます。
保育園・幼稚園ICTシステムを導入することで、「事務作業が楽になった分だけ、子どもと向き合う時間が増える」と、現場の保育士・幼稚園教諭はもちろん、園の管理者や保護者にとっても大きなメリットがあることから、多くの園で導入されています。
おすすめのシステムをいくつかピックアップして、特徴と価格をご紹介します。記事後半にはそれらを含めた主なシステムを一つずつ詳しく紹介しているので「今すぐツール選びに移りたい」という方は、おすすめの保育園・幼稚園ICTシステムをご覧ください。
サービス名 | 特徴 | 価格 |
---|---|---|
はいチーズ!システム | 全30以上の機能を無料で利用可能 | 月額・初期費用なし (契約条件あり) |
ルクミー | クラス情報一元管理や連絡帳アプリのほか、写真販売、午睡チェック、体温測定までカバー | 月額5,000円~ |
LeySerKids (レーザーキッズ) |
幼稚園向け。補助金活用を視野に入れたICT化支援あり(導入実績の半数) | 要問い合わせ |
きっずノート | 連絡帳や出席簿などの基本機能のほか、100カ国以上対応の自動翻訳機能にも対応 | 要問い合わせ |
hugnote | スマホ、タブレットなどマルチデバイス対応。クラウド上で子どもの情報を一元管理し、連絡帳や日誌、請求書へデータ連携可能 | 月額5,500円、 初期費用33,000円 |
園支援システム +バスキャッチ |
幼稚園・保育園・認定こども園などの業務全般を支援。アプリでの連絡や、園バス運行状況、預かり保育・延長保育の管理機能などが利用可能 | 月額9,000円/1施設~、初期費用なし |
WEL-KIDS (ウェルキッズ) |
園の事務作業を効率化するICTシステム。各種集計作業やシフト作成の自動化、Web・アプリでの保護者との連携などに対応 | 月額5,000円~、 初期費用なし |
「もう少しICTシステムについて詳しく知りたい」という方は、このまま読み進めてください。どんな機能があり、具体的にどんなメリットがあるのかを解説しつつ、おすすめのサービスと選び方をわかりやすくご紹介していきます。
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保育園・幼稚園ICTシステムには、主に以下のような機能があります。
登降園連絡 | 欠席・遅刻・早退、預かり時間の変更などの連絡もアプリで簡単に。 |
---|---|
おたより配信 | アプリから配信・確認可能。印刷・配布の手間がなくなる。 |
お知らせ一斉配信 | 運動会など行事の中止、災害時の緊急連絡、不審者情報などを一斉配信。 |
連絡帳 | 一斉配信だけでなく、その日の体調の変化など個別連絡も可能。 |
イベント受付 | 保護者参観などのイベントの申し込みもアプリで簡単受け付け。 |
アンケート | Webフォームからアンケートの配信・回収・集計も行える。 |
園バス位置情報 | バスの到着予定やバスの走行位置などを把握できる。 |
園児情報管理 | 園児の基本情報をデータベース化して、スマホでいつでも確認可能。 |
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健康管理 | 検温、排便、お昼寝の管理もアプリ内で完結。転記の必要がない。 |
勤怠管理・シフト作成 | 職員の勤怠管理やシフト作成を行える。 |
報告書類の作成 | 指導計画や保育日誌など必要書類も効率的に作成できる。 |
請求管理 | 毎月の保育料を計算して請求書を発行できる。 |
登降園記録 | 登園・降園の際にICカードやタッチパネル、バーコードなどで簡単打刻。 |
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午睡チェック | お昼寝時に体の向きや寝返りなどをチェック表に記入。 |
写真管理・販売 | 撮影すると自動で限定Webサイトに公開。決済・印刷・発送を代行も。 |
保育園・幼稚園でICTシステムを導入するとどのようなメリットがあるのか。以下、「園にとって」「先生方にとって」「保護者にとって」の3者の観点で見ていきましょう。
業務効率化に加え、大切な人材である先生達の労働環境を整えることで、保育の質の向上につなげることができます。
大幅な業務効率化と負担軽減が期待できます。
スマホアプリを利用することで、連絡帳を介在させたり、園に電話したりすることなく、いつでもどこでも情報をやりとりできるようになり、利便性がアップします。
保育園・幼稚園でICTシステムを導入する場合、ICT補助金制度を利用して、国と地方行政機関に費用の一部を負担してもらうのがおすすめ。ICT補助金は厚生労働省や文部科学省の管轄ですが、実施主体は都道府県・市町村です。そのため、実施の有無や時期、内容等は管轄する都道府県・市町村によって異なります。
まずは所在地の自治体サイトのICT補助金制度を調べて、利用できそうか、利用できるとしたら上限金額はどれくらいになりそうか、確認しておきましょう。
なお、ICTシステムベンダーの多くは、導入以前に補助金の手続きなどもサポートしてくれるのが一般的です。「ICT補助金以外にも受けられそうな補助金はないか」「申請や提出書類などに不安がある」といった場合には、サービス選びと一緒に相談してみるとよいでしょう。
では、実際に保育園・幼稚園ICTシステムを導入するにあたり、どのサービスを選んだらよいでしょうか。サービスを比較する際のポイントは以下の4つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
共有PCでしか使うことができないとなると、待ち時間が発生してしまいます。ちょっとした隙間時間に作業できるように、スマホのアプリの機能が充実しているサービスを選ぶと無駄がありません。
また、保護者もログイン手続きなどがややこしいサービスだとなかなか使ってくれず、大事なお知らせに目を通してくれないこともあり得ますので、スマホアプリで簡単に利用できるサービスが喜ばれます。
業務効率化を狙うなら、専用アプリであることに加え、様々な業務がスマホでできることが重要です。入力だけでなく、印刷指示までかけられるタイプだと、わざわざPCを利用しに行く必要がなく、直接プリンターに取りに行くだけで済みます。些細なことのように思えますが、より効率化が図れます。
園児管理やコミュニケーション支援だけでなく、園の運営や事務作業にも使えるかといった点の確認が必要です。機能があれこれ多ければいいわけではありませんが、業務効率化が目的なら、効率化につながる機能がそろっていて使いやすいかを確認すべきです。
園児の大切な個人情報を管理するため、セキュリティ対策がきちんととられたサービスを選ぶ必要があります。ポイントとしては、データ通信の暗号化、IPアドレス等のアクセス制限、役職ごとのアクセス権限、操作ログ情報の取得・管理、データセンターの所在地、外部監査機関による審査などです。
細かく突っ込んでくる保護者への説明材料としても、具体的な機能や対策方法を提示した上で「安心です」と言い切れるとベターです。HPやパンフレットだけではわかりづらい部分もあるので、各サービスの営業担当者から説明を受けておくと安心です。
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(出所:はいチーズ!システム公式Webサイト)
全30以上の機能を無料で利用できるICTシステム。園向けのサービスを約20年提供している企業が、保育園を50施設運営する会社と共同開発。現場や管理者目線で使い勝手にこだわったデザインで、誰でも簡単に操作できるのが特徴。登降園管理、保護者連絡、指導案・要録などの各種書類作成、睡眠チェック等のほか、保育士の勤怠管理やシフト作成、保育日誌作成など、幅広い機能が充実。オプションの口座振替機能を使えば、保護者への保育料の請求や入金管理など、請求業務をワンクリックで完了できる。
初期費用・月額費用なしの無料サービスのため、補助金実施がない自治体でもすぐに始められるのもポイントだ。
(出所:ルクミー公式Webサイト)
シリーズ導入実績15,000件以上を誇る、保育園・幼稚園・こども園向け「総合ICT/研修サービス」。保育現場の煩雑な事務作業や記録管理の負担軽減はもちろん、保護者コミュニケーションの円滑化や、保育の質の確保・向上を支える様々な機能・サービスを展開。保育中の連絡・確認・転記の手間を削減する「ルクミー連絡帳」や、「園児の出欠管理→保育料自動計算→請求業務」をデジタル化する「ルクミー登降園」・「ルクミー請求管理」、園の写真撮影・管理・共有がスムーズになる「ルクミーフォト」などを提供。わかりやすい保護者向け案内資料、ICTの導入から運用後のサポートも充実している。各種補助金にも対応。
(出所:コドモン公式Webサイト)
全国18,000以上の施設で導入されている保育・教育施設向けICTシステム。ほぼ毎日機能改善を実施し、説明書がなくても使いやすいシンプルな画面が特徴。基本機能に加え、健康チェックや献立管理のような幅広い機能を有するが、必要な機能だけをカスタマイズして取り入れるため、必要最低限だけ導入できる。
登降園記録は、専用ICカードのほか、電子マネー、タッチパネルも対応。保護者向けマイページや登降園タブレットは英語への切り替えが可能なため、外国人の園児の多い園や、インターナショナルスクールでも導入可能。「園務改善のためのICT化支援」「保育所等におけるICT化推進補助金」ほか、各種補助金対応。
(出所:LeySerKids公式Webサイト)
学校向けシステムを40年以上、3,600件以上の導入実績をもつLeySerシリーズの、園務効率化クラウドサービス。大規模・小規模問わず、様々な幼稚園・こども園で活用されている。
先生も保護者もそれぞれの専用アプリを利用。先生用アプリは、出欠管理や保育日誌の作成をはじめ、出欠管理表や指導要録などの細やかなレイアウトを含む書類でも直接印刷でき、アプリだけで一通りの業務が行える。保護者用アプリでは欠席連絡や園からのお知らせの受信ができるため、保護者とのやりとりの効率化も可能。納付金の管理や行事管理、SNSを使った園児募集、園独自のイベント申込ページの作成など、運営業務の支援も行える。「園務改善のためのICT化支援」補助金対応。
(出所:きっずノート公式Webサイト)
導入実績63,000施設以上、100カ国以上に対応する自動翻訳機能を搭載した、全国私立保育園連盟推奨のICTシステム。園と保護者のあらゆる連絡をひとつに集約。連絡帳、緊急連絡、お知らせのほか、アルバム、カレンダー、本日の食事、投薬依頼書、お迎え時間届、出席簿といった豊富な機能の中から、必要な機能だけを選択できるカスタマイズ利用が可能。動画や写真、書類の添付も簡単で、対面と変わらない細やかな連絡ができる。更に、利用時はクラウド上のサーバーにアクセスして情報を取得するため、スマホに情報が残らず、盗難・紛失時の情報流出の心配がない。アプリを通じ、園が承認した先生と保護者だけの安全な環境で相互連絡が可能となるため、先生の在宅ワーク時にも活用できる。
(出所:hugnote公式Webサイト)
学研が提供する保育ICTサービス。スマホアプリで利用でき、お知らせ・連絡帳・スケジュール・写真販売・申請/アンケート機能など、豊富な機能を搭載。中でも「請求機能」は便利で、出欠QR打刻で記録した登降時刻から、延長保育料を自動計算し、保護者への請求書まで作成可能。延長保育料のほかにも、各種月額料金、給食費、新学期用品代など、様々な請求に活用できる。
ユニークなところでは、保護者向けアプリにお迎えのバスが今どこにいるか位置情報を地図上に表示できる「バスロケーション機能」を搭載。「送迎時の待機時間が減る」と保護者から評判が高い。更に、関連機能の1つで、注文・集金・発送までをアプリ内で完結できる写真販売サービス「hugphoto」なども便利。
(出所:園支援システム+バスキャッチ公式Webサイト)
幼稚園や保育園、認定こども園などの業務をトータルサポートするICTシステム。専用アプリ・携帯サイトでの保護者との連絡や、預かり保育・延長保育の予約・料金計算、物品の購入から職員の勤怠管理まで基本機能が充実。また、長年バスロケーションシステムを運営してきたノウハウを活かし、送迎バスの位置情報のリアルタイム配信や、路線作成ソフトも提供。保護者の送迎の負担軽減や、先生の効率的な送迎ルート作成を実現する。
オプションや外部サービスとの連携で、午睡チェックやICタグでの登降園管理、写真販売や動画配信サービスも利用可能。また、運用開始前の初期設定や打ち合わせなども無料で実施しており、導入後のサポートも手厚い。
(出所:WEL-KIDS公式Webサイト)
事務作業を徹底的に効率化できる使いやすさが魅力の、保育園・幼稚園・認定こども園向けICTシステム。延長保育料金の自動計算や、自治体に提出する報告書類に必要な集計機能を搭載。また、職員の出退勤記録はタッチパネルにタッチするだけでOK。勤務状況は勤務表に自動で計算・反映される。掲示板機能ではヒヤリハットを含め、職員間での連携を強化。職員の労務管理・情報共有も効率化し、スムーズな園運営をサポートする。
保護者によるお休みや遅刻、預かり保育・延長保育の申請はスマホで完結。連絡帳もスマホやタブレットから記入・確認できる。保護者専用Webサイトでは、写真付きでブログや給食の献立などを紹介でき、保護者とのコミュニケーションも深められる。
(出所:Child Care System公式Webサイト)
84施設もの認可保育園を運営する同社グループが現場の声を元に開発した保育ICTシステム。保護者とのやりとりを行う「連絡帳アプリ」、うつ伏せ寝を自動で検知する「午睡センサー」、配置基準を満たす「シフト作成・シフト管理」、そのほかにも「保育料金請求」「登園管理・出欠管理」「報告書作成」など、120以上の便利な機能を搭載。保育現場で必要なあらゆる機能を網羅することで、業務の大幅な負担軽減を実現する。
保育園・幼稚園以外にも、小規模保育事業、企業主導型保育園、認定こども園、学童施設など、全国950施設に導入実績あり。論理的思考を育む「幼児教育プログラム」などのサービスも特徴。
(出所:キッズプラス公式Webサイト)
次世代バーコードと言われる「カメレオンコード」を用いた登降園管理機能を搭載する業務支援システム。施設管理者用システム「kids+work」、登降園管理アプリ「kids+clock」、保護者アプリ「kids+family」の3つから構成。
保護者はスマホをかざすだけで、複数園児を同時に、かつ遠距離からでも登降園の記録が可能。登降園管理以外にも、請求書などの集計、保護者からのお休み連絡、指導計画や日誌の作成、緊急時やお知らせ時のメール配信など、保育業務全般をサポートする機能が充実。施設で利用している書式をそのままシステム上で利用できる点や、タブレットでの音声入力も便利。各種補助金にも対応している。
(出所:SERVE 園-SiEN公式Webサイト)
園児情報管理、登降園管理、請求管理をまとめて行うことができるパッケージサービス。導入実績は3,300施設以上。
登降園の打刻はICカード、バーコード、タッチパネルに対応。入園セキュリティ管理と打刻記録を一度に実現することで、打刻漏れを最小限に。分単位の細かい集計や、異なる種類の延長保育料をまたぐ合算の上限金額設定など、園のニーズに応えた柔軟な設定に対応できるのも特徴。更に、連絡管理ではメールの一斉送信やWeb掲示板が使えるほか、既読確認にも対応。そのほか、延長保育料や給食費などの請求管理、行政提出用書類のカスタマイズ対応、横浜市給付費請求システムとの連携といった、豊富な機能も便利だ。
(出所:キッズビュー公式Webサイト)
保育園、幼稚園、認定こども園など向けの業務支援サービス。指導計画や要録などの文書作成、保育日誌作成、保健記録や発達記録管理、園児情報管理、午睡チェック、保護者向け連絡などの機能を有する。
自治体向けの導入実績も豊富にあり、地方公共団体のネットワーク接続に利用される「LGWAN」と呼ばれる、高度なセキュリティネットワークに対応している点も特徴。セキュリティポリシーの厳しい公立保育園・幼稚園などにもおすすめ。
保健所や国に報告すべき園の様々な管理情報を市町村の担当課にも共有可能。担当課から園へのスムーズな支援も期待できる。実証実験版・トライアル版の無償提供あり。「ICT化がどんなものかを確かめたい」という場合にも有効。
(出所:コミュなび公式Webサイト)
多様な機能の中から、園に合ったものだけを無駄なく選んで利用できるICTシステム。園児のデータベースを基本として、それに付随する形で、連絡帳・書類作成ができる「ぎゅっとなび」、出席・欠席を自動受付してくれる「出欠申請なび」、保護者との連絡に使える「連絡なび」、写真販売ができる「写真コレなび」など多様な機能を搭載。直感的で親しみやすいデザインもうれしい。
「これだけ使いたい」という単体での利用はもちろん、複数の機能をお得な価格で利用できるパッケージプランも用意。何が必要かわからない場合でも、サポートスタッフが最適なものを提案してくれるので安心。
保育園・幼稚園ICTシステムを導入することで様々なメリットを得られることはご説明しましたが、反対にデメリットはあるのでしょうか。
結論から言うと、導入すること自体のデメリットはありません。しかし、使い方や環境を整えきれていないとうまく活用できない、また、逆に現場を忙しくしてしまう可能性があるため、慎重に整理して導入することが必要です。
便利な機能が多いため、本来やっていなかったことまでやってしまい、かえって業務を増やしてしまう恐れがあります。特に、イベント報告・成長記録の報告や、写真アルバムの機能など、よかれと思って始めてしまう場合もありますが、先生側の負荷が増えるような手続き、やりとりは安易に増やすべきではありません。
たとえば、写真アルバムであれば、簡単に撮影・公開できると言っても、依然として「どの写真を・どの範囲まで公開するのか」「写真掲載を希望していない園児が写り込んでいないか」など確認作業は必要です。余計な手間を増やさないためにも、その機能を使うかどうかは慎重に検討すべきです。
ITツールに関しては「勤務中はスマホを使ってはいけない」「このPCしか使ってはいけない」など、園として何らかのルールがあるでしょう。そのままにしておくと、せっかく便利なシステムの妨げになりかねませんので、システム導入後はそれに合わせて改定・変更が必要です。
また、クラウド型のシステムは取得したデータを外部のデータセンターに保管しますが、園によっては「個人情報を園の外に持ち出すことはできない」として、クラウドサービスの利用を禁じている場合もあります。導入にあたっては、情報セキュリティポリシーを確認しておきましょう。
保護者会やPTAで承認されていたとしても、いざ導入するとアプリ利用に不快感を示したり、自分の子どもの肖像権、個人情報に過剰な反応をしたりする保護者も想定されます。一部の保護者の不理解によって利用機能が限定され、手作業が残ってしまわないように、システムは大切な園児のために、任意参加でなく全員で利用していくものと、事前に説明して共通理解を得ることが必須です。
この場合、なし崩し的に進めると反発する声も上がるため、システム会社の担当者の協力を得ながら順を追って進めていくのが安心です。技術的なサポート以外にも、進め方の面で協力が期待できそうなサービスを選ぶとよいでしょう。
以上が、導入時に環境を整え切れていなかった場合に想定されるデメリットです。どうしたらスムーズに導入し、活用できるかは、次項でご紹介します。
最後に、保育園・幼稚園ICTシステム導入を成功させるポイントをご紹介します。いくらメリットがあるとは言っても、やみくもに導入するだけでは、かえって現場に混乱を招いてしまいます。以下の3つのポイントに注意して運用するようにしましょう。
目的が「先生の業務効率化」であれば、業務効率化につながること、たとえば出欠管理のやりとりや記録、保育日誌などの入力、お知らせの一斉配信、など手間削減につながるところを徹底して行うことが重要です。
これまでにない、保護者向け報告の充実など、「できればいいな」ということに力を入れ過ぎてしまうと、本来の目的の業務効率化どころか、かえって業務が増えてしまうことになります。
ルールの変更・整備と同じように、気兼ねなく利用できるように利用端末(PCやタブレット・スマホ)を整備しておくことが重要です。当たり前のことですが、ネットワーク環境やPCのスペックなども操作性に大きな影響を与えるため、ある程度予算をかけて安定したものを購入するとよいでしょう。
多くの予算が割けない場合は、スマホ操作が充実しているタイプを優先すると安心です。スマホで操作できるようになっているサービスを選んでおけば、わざわざPCのある職員室に戻る必要なく、スムーズに様々な記録や作業ができ、より効率的です。
保育園・幼稚園には若い先生方が多いため、システム理解やスマホ操作の習熟は早いものです。細かい説明なしに直感的に使えることを売りにしているシステムも多いので、園長や主任の先生が「働き方を変えよう」という意思を持って積極的に声かけをすれば、すぐにシステムが浸透し、業務効率化のスピードも早まるでしょう。
デメリットの項で述べたような、保護者の理解を得ることや、利用ルールを定めることなども、管理職の先生方の前向きな取り組みによって円滑に進んでいくはずです。
園の先生や保育士の日々の業務負荷を軽減し、効率化を促進する保育園・幼稚園ICTシステムを紹介しました。システムを導入することによって、事務作業をはじめとする業務の圧縮はもちろん、園の労働環境を整えたり、保護者とのやりとりを円滑にしたりといったメリットも期待できます。
保育園・幼稚園ICTシステムを導入するにあたり、下記4つのポイントに沿って比較してみてください。
また、ICTシステムを導入する際、ICT補助金制度を利用できるか、利用できる場合はどのくらいの上限金額になりそうかも確認しておくのがおすすめです。ICTシステムを提供する企業の多くは、導入前に補助金の手続きなどのサポートもしてくれるため、サービスとあわせて相談するとよいでしょう。
保育園・幼稚園ICTシステムをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
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