最終更新日:2024-09-04
作業現場や工場などでの熱中症対策をお考えの方へ。IoTサービスを使って何ができるのか、どんなサービスがあるのか、選ぶポイントとともにご紹介します。
熱中症対策IoTソリューションとは、IoTを活用して、気温・湿度等あらゆる計測データの分析を通じて熱中症になる危険兆候をいち早く察知し、予防行動を促すサービスです。主に、建設現場、工場など作業環境が苛酷になる可能性がある場面で、従業員の安全を確保するために利用されています。
現状では以下の4種類が挙げられます。
ウェアラブル端末とは、体に身につけることができる(wearable)デバイスのことです。たとえば、センサーを搭載したリストバンドや下着が当てはまります。リアルタイムで心拍数等を計測できるため、事務所から現場従業員の状況を遠隔でチェックしたり、アラート通知を受けて警告や休憩を促したり、熱中症対応策に役立てられます。
その他、脈拍数の急激な変化と位置情報を紐づけて危険個所の特定・予測を行うほか、加速度から転倒・転落を把握するといった利用方法もあります。
従業員が個別にセンサーとスマホを携帯し、センサーで気温・湿度等を計測、スマホを通じて事務所にいながら現場の熱中症の危険指数を把握、警告や休憩を促すことができます。
現在の暑さ指数(=WBGT。気温、湿度、輻射熱から算出)のみならず、民間気象会社から配信される1時間後の暑さ指数の予測値をも取得し表示。警戒値を超えた際はパトランプやブザーで通知し、警告を促します。
室内の温度や湿度が基準に達すると熱中症アラートがスマホに通知され、エアコンをスマホで遠隔操作できます。1~3と異なり、在宅の高齢者やペットの熱中症予防に効果的。
本記事では、特に注目されている「1.ウェアラブル端末での心拍等身体データ計測」について、仕組みやメリットなどを詳しくご紹介します。
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熱中症対策と言っても、「どんな情報」を「どんなデバイス」で計測するか、「どういう手法で分析するか」は、個々のソリューションによって異なります。本項ではウェアラブル端末を用いた熱中症対策IoTソリューションに絞って、タイプ・仕組みを紹介していきます。
サービスによって異なりますが、計測する情報としては、心拍(脈拍)が基本情報になり、そこに他の計測データが加えられるのが一般的です。判断指標としては、気温等による身体への負担の大きさを表す尺度の熱ストレスや、体にどれだけ負荷がかかっているかを表す尺度の作業強度がよく使われます。
ウェアラブル端末に搭載されたセンサーデバイスが、身体の生体情報を計測。取得したデータはスマホ経由でクラウドに送信されて分析されます。熱中症対策の危険度が高いと判断された場合は、管理者や本人にリスク発生をアラート通知することもできます。
分析そのものは心拍と当日の温度・湿度さえわかれば可能ですが、正確性・有効性を担保するのであれば、個人差を考慮して分析できるものが望ましいです。同じ数値でも普段の心拍数との差や、年齢が20代か50代かなどの条件によって、危険度が違ってくるためです。
なお、瞬間的なデータのみでなく、労働科学の専門家による評価結果を機械学習でモデル化し、時系列性までをも考慮した分析を行うといった、AIの活用例もみられます。
熱中症対策IoTソリューションを導入すると実際どのような効果があるかというと、以下の3つのメリットが挙げられます。
当然のことながら、最大のメリットは熱中症を予防できることです。熱中症は従業員の健康を損なうばかりか、それにともなう事故の発生は企業にとっては管理責任を問われうる重大な問題です。熱中症対策IoTソリューションの利用により、危険兆候が確認できれば、該当者に休憩を促すといった対応ができるようになります。
今までも水分・塩分補給や休憩の声掛けなど、熱中症対策はどの現場でも実践されているでしょうが、熱中症は自覚症状が出にくく、出た時には多くが手遅れであること、また自覚症状があっても納期に間に合わない、代わりがいないなどの理由から言い出しにくい、休みにくいといったのが現状です。そこでIoTソリューションを利用することにより数値で危険性を可視化し、気づけない、気づいても言い出せない、という問題を解決します。
計測した身体データは、熱中症の予防だけでなく体調面の管理にも有効です。疲労がある、体調面が優れない等も察知できるため、事故を未然に防ぎ従業員の健康を守ることにつながります。
特に安全対策のために酷暑の中でも長袖・長ズボン、ヘルメットの着用が義務付けられている作業現場や、従業員の高齢化が進む企業においては健康管理、安全管理は最優先課題の一つと言えるでしょう。
発生時のリスクを減らすだけでなく、「従業員を大切にしている」というメッセージの発信は従業員にも社外関係者にも届きます。人材定着や人材採用等にもよい影響が見込まれます。
また、言葉でのコミュニケーションに不安要素のある外国人労働者を多く抱える企業の場合は、非言語的に情報をやり取りできるIoTソリューションの活用によって、ほかの日本人従業員同様に目を配ることができます。
実際に熱中症対策IoTソリューションを選ぶ際には下記の3点がポイントとなってきます。
生体情報の分析なので、精度の高さは何よりも重要です。
たとえば、「みまもりがじゅ丸®」は、大学や研究所の医療専門家などの知見に基づいた高い検知精度を誇ります。「Work Mate」は、パルス・活動状態といったバイタル情報をAIで分析することで、異常状態を高精度で検知可能。熱中症予兆をはじめ、注意力低下や転倒・転落といった労災事故の予防に役立ちます。
精度の基となる豊富な研究経験や分析実績に十分な裏付けのあるサービスを検討しましょう。
また、熱中症になる条件は個人差やその時の体調面に大きく左右されるため、単に一律の数値を超えるとアラートではなく、個人差を加味した分析であるかどうかは必須です。
個人差の判断基準となるデータは即日では蓄積・分析できません。具体的には、あるサービスでは約一カ月の利用で個人データが蓄積され、適正な基準値が設定されるようになると言われています。つまり、正確なデータを蓄積するためには、本格的な猛暑になるよりも先に、前広に導入を進めることが重要となってきます。
分析時の条件設定や、個人差の調整などを手動で設定するとなると大変です。リスクの検知精度が高まらないばかりか、検知のための作業に追われてしまう可能性があります。前述のような、個人データを一定量蓄積すれば自動で分析して基準値を設定してくれるサービスを選ぶことで導入時、そして運用時の設定、調整にかかる手間暇を省けます。
リストバンド型か、着用型(ウェア型・ヘルメット型)かで使い勝手は異なります。リストバンド型は複数存在しますが、作業の邪魔になるといって従業員が付けてくれないと意味がありません。業務に支障のない軽量でコンパクトなデザインのものを選ぶべきです。
着用型は、ウェア型とヘルメット型に分かれます。いずれも作業に不可欠なもののため普段使いしやすい・受け入れやすいというメリットがありますが、個々の社員分を用意しなければならず、費用がかさみます。また、従来のような乱雑な扱いはできません。別途、回収・管理などを行う必要があります。
多くは従業員にセンサーデバイスと共にデータの送信手段となるスマホを携帯させることになりますが、中にはスマホなしでも動作できるタイプもあるので、高所での作業などスマホを持ち込めない環境での作業が多い場合にはおすすめです。
たとえば、「REMONY」「Work Mate」「ワーカーコネクト」は、わずか30〜45gと軽量で作業の妨げにならないリストバンド型のバイタルセンサーを採用。「Work Mate」はアプリも提供しているため、TicWatchやApple Watch SEなどの既存のスマートウォッチでも利用できます。
熱中症対策IoTソリューションの選ぶポイントを踏まえてサービスをご紹介します。
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(出所:みまもりがじゅ丸®公式Webサイト)
300社以上の導入実績を持つウェアラブルIoTサービス。脈拍数から検知するリストバンド型。医療専門家と分析を重ねた異常検知方法が強みで、一カ月データ蓄積をすれば自動で個人差の設定が可能。データはダッシュボードで閲覧でき、専門知識がなくとも脈拍の状態などから異常検知可能。作業者が「今どこにいるのか」をチェックすることもできる。
温度管理システムや勤怠管理システムと組み合わせれば、より効果的な熱中症対策も実現できる。建設現場・製造現場・運送現場などで広く利用されている。
(出所:ワーカーコネクト公式Webサイト)
腕時計型バイタルセンサーが3分間隔で、作業員の心拍・皮膚温度・位置情報・転倒などの情報を収集。スマホが不要なため機器管理の負担も削減できる。収集した情報はWeb上に一覧表示され、熱中症や転倒などのリスクがある時にはPCの画面表示やメール送信で異常を通知。管理者は、夜間や現場にいない時でも作業者の異常をリアルタイムに把握できる。
腕時計型バイタルセンサーの重さはわずか45g。作業の邪魔にならず、しかも、動作温度は-10℃~60℃、電池持ち約15時間。生活防水機能も備えているため、幅広い環境下の現場でも安定して使い続けられるのが強み。Wi-FiやBluetoothと違い、電波干渉を受けにくいIoT専用の周波数帯を使用しているため、工場などノイズの多い場所でも安定した稼働を実現できる。
(出所:Work Mate公式Webサイト)
アプリを実装したスマートウオッチを装着するタイプのIoTサービス。疲労蓄積やパルス・活動状態などのバイタル情報を集積し、作業者の個人特性や作業特性に合わせて異常状態をリアルタイムで検知・通知。たとえば、作業者の動作に対してパルスが平常時より低い状態が一定時間継続すると「注意力低下状態」と判断。本人・管理者へアラート通知する仕組みとなっている。その他、緊急連絡手段として作業者から管理者、もしくは管理者から作業者へSOS発報も可能。作業者の位置情報をリアルタイムで把握できるため、トラブルが発生した際はすぐに駆け付けることができる。
「熱中症予兆検知機能」では、熱中症の発生や重症化の防止に適切なタイミングで休憩通知・復帰通知の受け取りが可能。現場責任者の人材管理コストの削減だけでなく、現場の業務効率アップも期待できる。
(出所:REMONY公式Webサイト)
24時間遠隔から体調管理できるウェアラブルIoTシステム。腕時計型のデバイスを装着するだけで、心拍数・体表温といったバイタルデータに加え、睡眠量や歩数、活動量まで幅広くモニタリング。シンプルなUIが強みのダッシュボードで、従業員一人ひとりの健康状態を一元管理できる。充電不要で24時間リアルタイムに計測できるため、データ欠損の心配は不要だ。
心拍数の異常値や転倒を検知した際は、アラート通知・SMS送信するシステムを搭載。更に従業員からのSOS機能も備え、熱中症をはじめとする体調不良の予防・早期対応をサポート。Bluetooth接続を利用した通信機器を使用することで、工事やWi-Fi設備なしですぐに見守り体制を構築できるのもうれしい。
(出所:hamon band公式Webサイト)
暑熱リスク対策向けリストバンド型IoTサービス。脈拍データから暑熱リスクレベルを3色(グリーン、イエロー、レッド)のLEDで、リストバンド上に表示する方式。説明不要で使えるUI/UXが魅力。暑熱リスクが高まる場合はバイブレーションでも通知可能。クラウドは利用せず、デバイス単体で利用するタイプのため、導入方法も利用方法もシンプル。専用アプリのインストールや通信デバイスなどの準備も一切不要だが、その分、管理者ではなく各人でリスクを把握することになるので注意が必要。
(出所:みまもりふくろう公式Webサイト)
リストバンド型で脈拍と位置情報をリアルタイムで計測するウェアラブルIoTサービス。測定されたデータはクラウド上に収集され、管理者はWeb画面から各人の状態を数値や色で簡単に把握可能。脈拍の過去データや推移を確認することもできる。基準値を設定しておいて、それを超過するとメールでアラートを通知することもできるため、ずっと監視している必要もない。基準値はユーザーの個体差を考慮して計算されるので、誤検知が少ないのも特徴。
専用アプリをインストールして使用する「スマートフォン接続プラン」とスマホがなくても利用可能な「モバイルルーター接続プラン」の2つサービスが用意されている。
(出所:Smartfit for work公式Webサイト)
繊維メーカーが開発した心拍等を計測するストレッチウェア(下着)搭載型。時計型もある。AIを用いてリアルタイムに暑熱作業リスクや体調変化を把握。測定したデータはクラウドを通して管理者に通知され、レポートや解析に使用できる。暑熱作業リスクは管理画面に「ほぼ安全」「注意」「危険」の3段階で表示。体調の平常範囲のしきい値を超えた高リスク作業者は、管理画面へのアラート表示やスマホへの通知が行われる。
産学協同で結集した知見を基に開発したシステム構成が強み。作業者・管理者の働き方だけでなく、職場環境の改善にも貢献できる。
(出所:hitoe® 暑さ対策サービス for Cloud公式Webサイト)
暑熱環境下での作業者の体調管理に優れたIoTサービス。作業者はセンサーを搭載したウェアを装着するだけ。ウェアが微弱な電気信号から心拍データを読み取り、スマホに送信。異常を検知した場合は、指定先のメールアドレス宛にアラート通知。休憩・療養などの適切な指示につなげられる。ウェアは金属製の繊維を使っていないため、「汗をかいた状態でも正確に測定できる」「肌さわりがいい」のもポイント。
また、生体信号を蓄積し分析することで体調変化や緊張度合など普段意識しない情報をも可視化し、活用できる点が特徴。
(出所:eメット公式Webサイト)
建設現場などの作業者向けのヘルメット装着型のIoTサービス。額の温度を測定することで、作業者の熱中症を見守る。シャツや腕時計と異なり、作業中に必ず装着するため違和感なく使用可能。測定データはクラウドに送信されるため遠隔でも作業者の状態を確認できる。熱中症の危険が高まると、作業者本人にアラート通知と監督者にはメール通知があるため離れていても安心。
ヘルメット装着型の「eメット」以外に、ヘルメットに取り付ける「Me-mamo」とヘルメットの装着が不要な「eMET+」の全3タイプがある。「eメット」は40gと軽量のため作業の負担になることもなく、「Me-mamo」は電池を入れてヘルメットに取り付けるだけで良く、購入後にすぐに使うことが可能。また、「eMET+」も作業者の頭部につけるだけなので装着の手間もかからない。
(出所:eメットシステム公式Webサイト)
ヘルメットを通じて作業者の体調を一括管理できるIoTサービス。作業者の額の温度から状態を可視化。異常を検知した場合には、ランプが点灯して即座の周囲の作業仲間と熱中症の危険性を知らせることもできる。「しんどい」と感じる暑さは個人個人で違うため、ベテランや新人ごとに「しきい値」を設定できるのが特徴。
ヘルメットにセンサーを装着する「スタンドアローンモデル」は自身の状態をスマホなどで把握。作業者個人で熱中症のリスクを軽減でき、1分間隔で環境をチェックし、設定値を超えるとアラートで本人に通知。設置が簡単な「Me-mamoモデル」はスマホもサーバーも不要の現場完結型。取り付けたお知らせランプで周知の作業者にも異常検知を共有可能。
(出所:熱中症対策サポーター公式Webサイト)
気温や湿度を計測するセンサーとスマホを携帯することで、事務所の管理画面で現場の環境を把握。各人のスマホ上では、リスクの度合いをメーター形式で把握できる。管理者から注意を促すスマホへのメール送信機能にも対応。
また、オプションでは定期的に体調を確認するアンケート機能も利用できる。
(出所:ThingBridge VISION公式Webサイト)
マルチセンサーに対応したデータ可視化システム。腕時計型の皮膚温度センサーや、特定の場所に設置する温湿度センサーなど、複数の種類のセンサーで環境情報や体調の変調を、より正確に・詳細に把握可能。たとえば、複数の作業現場の温度変化や作業者の皮膚温度の上昇などを本部にて一括で収集・確認し、危険がある場合、各現場の職長や本人にアラート通知を送る、といった使い方もできる。
(出所:おんどロイド公式Webサイト)
計測子機で収集した温度データなどがクラウドに集約され、データが管理画面に表示される。警戒温度を超えるとメールでアラートを通知したり、回転灯を作業させたりするイベント設定機能にも対応。
(出所:Link Gates公式Webサイト)
家庭用の熱中症対策にも対応したIoTサービス。
外出先からでもスマホで室内の温度を確認でき、エアコン操作等に対応。一定の温度になるとスマホにアラートを通知する「熱中症アラート」機能を搭載。どの部屋で熱中症の危険性があるのか把握できる。
本記事では「熱中症対策に有効なIoTサービス13選」という内容を解説してきました。紹介した13サービスは下記の3タイプに分けられます。
(1)リストバンド型
(2)ウェア型
(3)ヘルメット型
(4)気温・室温センサー
(5)その他
熱中症対策というと夏だけのイメージですが、熱中症対策IoTソリューションは夏だけの利用ではありません。従業員の体調管理は年間通して長期的に行われてこそ意味があります。
また急激な心拍の変化から「ヒヤリ・ハット」箇所を見つけて注意を促すことや、加速度から転倒・転落をいち早く発見することなど、すぐにでも取り組むべき価値があります。熱中症対策を一つのきっかけとして、これらのIoTソリューションを調べてみることが、安全・安心な環境作りへの有効な手段です。
なお、熱中症対策のIoTソリューションをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
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株式会社NTTPCコミュニケーションズ
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