最終更新日:2019-07-26
自治体の業務において、地図情報のアナログ管理をどうにかしたい、既存のGISをうまく活用できていないとお悩みの方へ、自治体GISの導入メリット、活用場面やおすすめのサービスについてご紹介します。特にクラウド型のGISサービスであれば、庁内での業務効率化が図れるだけでなく、来庁する地域住民にとっても地理情報を気軽に活用してもらえるようになり、導入効果には大いに期待が持てます。
自治体GIS(Geographic Information System)とは、自治体が地理情報を業務の効率化や地域住民へのサービス向上に活かすための地理情報システムです。
最近のGISは月額制のクラウドサービスとして提供されているものも多いため、サーバー管理が不要で、初期費用が抑えられるだけでなく、各端末へのプログラムインストールも不要で、インターネットブラウザから簡単に利用することができます。
特に最近では震災などの災害が発生してもデータの消失がおきないよう、複数のデータセンターを持つクラウドサービスが増えています。各地のデータセンターで分散させて保管されていれば、有事の際も被災を免れる確率があがります。紙地図での管理や庁内でのサーバー管理と比べると、GISクラウドサービスでの管理は安心できると言えます。
また、従来の地理情報管理においては、地理情報を特定の部署で更新すると、その部署に行かないと最新データを確認できないということがありましたが、庁内横断型と呼ばれる統合型GISであれば、地理情報が特定の部署に閉じることなく、他の部署でも横断的に情報を確認することができます。例えば、都市計画部門と固定資産税部門が建物形状のデータを共用することにより、データ重複作成がなくなるため、重複投資を削減することができます。
以上のように、クラウド型の自治体GISは、業務効率化だけでなく、データ保全の面でも、コスト削減の面でも期待が持てるため、紙管理や従来のシステムに代わるサービスとして注目されています。
GISのサービス紹介資料はこちらからダウンロード可能です。ぜひご覧ください。
自治体GISが役立ちそうなのは分かりましたが、果たしてどのくらい導入されているのでしょうか。都道府県庁や、市や町であれば多くの自治体でGISを導入しており、約7割程度と言われています)。
一部の町村では、利用ニーズはあるものの、予算や利用頻度の制約で、導入が進んでいない所もあります。
自治体GISは実際にどのような利用目的で導入し、具体的なメリットはどのようなものがあるのか見ていきましょう。自治体にとって、住民にとって、の目線に分けてご紹介します。
まず、自治体にとっての利用目的・メリットは以下の通りです。
まずは、来庁する住民や建設会社の人への対応業務の効率化が挙げられます。主に、都市計画、道路管理、固定資産管理などの業務に利用されることが多いため、それらの担当窓口で効果が見込まれます。
具体例を挙げるならば、住民が家を建設する場合は、建築の制限がないか、道路の幅員はどうなっているかなどの把握のために担当窓口に確認するため来庁します。地図情報が紙媒体の場合は、大量の紙をめくって該当箇所の地図を探して対応する必要があります。しかし自治体GISを利用すれば住所や目標物を入力することですぐに該当箇所が表示されるため、対応時間が大幅に短縮されます。
大きな違いではないかもしれませんが、このような問い合わせが一日に何件も、また各課や窓口で同様の対応が発生しているため、庁内全体で見れば大きな時間短縮に繋がります。来庁対応に割く時間が削減されることにより、本来進めるべき業務に取り組むことができ、さらに昨今掲げられている「働き方改革」の一端を担うことにもなるでしょう。
次に「地図情報の更新作業の効率化」が挙げられます。自治体GIS上で該当箇所に線を引いて編集することで、簡単に道路情報の更新作業が可能です。
道路台帳を紙地図で管理している場合は、拡幅工事などの変更の際にはその都度専門業者に依頼し、修正が必要でした。都市計画や道路台帳は定期的な更新が法律で義務付けられているため、予算がないからといって修正しないわけにいかず、毎度費用と時間がかかりましたが、自治体GISを利用することで手軽に、かつ費用をかけずに修正ができ、常に最新の情報を保持、提供することが可能となります。
次に、地域住民や事業者にとっての利用目的・メリットは以下が挙げられます。
システムによっては、自治体GISの情報をWEB上に公開することも可能です。その場合、上記の自治体のメリットで述べたような来庁時の窓口対応時間が短くなるだけでなく、自宅や会社のPCで地図情報にアクセスし、知りたい情報を入手することができるようになります。例えば自宅を建設する際の道路状況の確認や建築制限等の確認がその場ですぐに行えます。開庁時間に足を運ぶ必要がなくなり、夜間でも休日でも確認ができるため、負担が軽減され、手続きを素早く進めることが可能です。
小売が店舗出店する際の計画時に、都市計画による将来の変化や、公共施設による人の流れなど、地域の情報を高精度に分析することができます。
前項で自治体GISの利用目的やメリットの一例として、都市計画課、道路課などの来庁対応や地図更新作業の効率化等をご紹介してきましたが、他にも様々な部署での活用や、住民・企業向けサービスの拡充にも使われます。自治体と、住民・企業向けに分けて見ていきましょう。
自治体における活用例
住民・企業向けの活用例
以上のように、自治体の側からみても、住民の立場からみても、生活に必要な情報として地図情報が多く活用されていることが分かります。Googleマップでは読み取り切れない、網羅できない、様々な視点からの地図情報を自治体GISで集約、参照、編集して管理することが可能です。
ここまでお伝えしたポイントを踏まえ、おすすめのGISのサービスをご紹介します。
(出所:PasCAL公式Webサイト)
分かりやすいアイコンや使いやすい操作性にこだわりつつも、機能性の充実に定評のある、庁内共通利用の自治体GIS。クラウド型の他、サーバー設置方式でも導入可能。ユーザーが自由にレイヤを作成できる点、ベンダーロックイン解除、個別システムとの連携も可能な点なども魅力。オプションで各種業務に特化した機能を備えた個別業務支援GISを多数展開。データセンターは24時間365日体制でシステム監視、冗長化されたサービスは二重三重に施されたセキュリティ対策、耐震・防火・侵入阻止・無停電の設備等、データ保全の点にも注力。
(出所:NaSKA公式Webサイト)
誰もが簡単に使えることにこだわった作りの統合型GIS。色塗りや属性配置機能で思い通りの地図を作成でき、検索方法や印刷機能も多彩。権限管理も強固かつ柔軟に設定できる。独自のデータベースが作成できるため、データからの位置の検索も、位置からのデータの検索・参照もどちらも容易にできる。防災、都市計画、固定資産管理、上下水道管理、道路管理、農林整備等に役立てることが可能。統合型GISに登録された各種データを住民公開GISに転送し、広く住民に情報公開することができる。クラウド型の他、オンプレミス型もあり。
(出所:GISAp Integrated公式Webサイト)
全社・全庁的に利用できる汎用型GIS。地図の閲覧/編集からデータ出力まで、必要機能を標準搭載。メンバー全員で情報を共有でき、管理グループ毎に表示できる地図を設定できる。管理者向け専用ツールやユーザー管理機能により、地図への柔軟なアクセス制限が可能。CSVデータを簡単に地図へプロットし、更に属性に沿って色分け表示するなど、可視化することができる機能の他、範囲指定したエリアからCSV形式でデータ抽出や、データ集計・分析などの機能も充実。独自機能をプラグインとして開発することで、機能拡張や業務GISの構築も可能。
(出所:GeoMation公式Webサイト)
データ整備費用の低減化、庁内業務効率化・高度化、住民サービス向上を実現するGISソリューション。共用空間データを一元的に管理するため、所在の把握や複数部署での相互利用ができ、業務効率が向上。GISの応用活用例として、工事(道路、埋没物)選挙(投票所)、粗大ごみ、要援護者等が挙げられる。
(出所:公共事業GISソリューション公式Webサイト)
業種別に各種GISを展開している中の公共事業向けGISソリューション。道路台帳の他、橋、空き家や街灯なども管理。他にも自治体向けのソリューションとして上下水道、森林、防災など各種あり。
自治体GISは、しっかり活用できると、業務の効率化にも住民サービスの向上にもなりますので、一定以上の利用頻度が見込めるのであれば、できるだけ積極的に利用すべきサービスです。
また、最近はクラウド型GISが主流のため、導入やメンテナンスの負担が大きく減っており、敷居の高くないサービスになってきました。地理情報を応用できる業務も広がっているので、最低限必要な業務での導入を考えるだけでなく、地理情報を活かすことで業務効率化が進む分野も視野に入れた導入検討がおすすめです。
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株式会社パスコ
PasCAL for LGWAN(パスカルフォーエルジーワン)は、行政業務支援GISサービスです。操作性と機能性を兼ね備えた地理情報システム(GIS)をLGWA...
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