最終更新日:2024-09-20
歯科医院の開業を予定している方や、紙のカルテから電子カルテへの切り替えを検討している方へ。歯科向けの電子カルテのタイプや比較ポイント、おすすめのサービスをタイプ別にご紹介します。
歯科向け電子カルテとは、歯科医師が記録する診断記録や薬剤禁忌、治療計画などの情報を記録・保存・管理するカルテ機能に加えて、売上管理や予約管理などにも対応したシステムです。予約受付からレセプト作成まで、歯科医療に関わる様々な業務を効率化します。
口腔情報をわかりやすく表示することでより早く正確にカルテ入力が行える機能や、薬剤による医療事故を防止する薬剤情報管理機能など、診療のクオリティ向上やミス防止につながる機能も搭載。更にレセプト作成・チェック機能があれば、レセプト請求業務の負荷削減にも役立ちます。
なお、一般の病院向け電子カルテは「電子カルテシステム比較15選。規模別におすすめを紹介(図解)」記事でご紹介しています。
歯科向け電子カルテをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
歯科向け電子カルテのタイプは、大きく3つに分けられます。それぞれの特徴を解説します。
予約受付から電子カルテ作成、レセプト出力まで、歯科運営に求められる幅広い機能を搭載したタイプです。「電子カルテシステムWith」のように歯科問診・医療面接支援機能を搭載したシステムや、「Dentis」のようにWeb問診、オンライン診療、キャッシュレス決済へ対応したシステムなど、プラスアルファの機能が充実しています。
電子カルテ作成からレセプト出力までの工程に対応したタイプです。予約受付やオンライン診療などには対応していませんが、カルテ管理やレセプト請求業務における使い勝手の良さが特徴です。
「fine-SEED」のように付箋やメモ感覚で情報共有ができるシステムや、「Sunny-NORIS」のように介護保険請求に対応したシステムなどがあります。
電子カルテ機能に特化したタイプです。歯科技工士への指示書作成に対応した「HAPPY ACTIS-ERD」や、画像の管理・編集や分割払い計画作成といった矯正歯科クリニック向けの機能が充実した「Oassis」など、特定の業務に特化したシステムもあります。
導入システムを検討する際に留意したい、4つの比較ポイントについて解説します。
医療機関全体では電子カルテのクラウド化が進んでいますが、歯科向け電子カルテに関しては院内にサーバーを設置するタイプが少なくありません。
クラウド上でデータ保存することで、浸水や火災などの自然災害が発生した場合でもデータを失う事態を避けられます。セキュリティ面でもクラウド対応によって流出や盗難を防げ、バックアップを保管しておけば有事の際の復旧にも役立ちます。また、サーバー管理の負担を減らしたい場合にも、「Dentis」や「Sunny-NORIS」、「Oassis」などクラウドタイプのシステムがおすすめです。
歯科においてはレントゲン撮影やCT撮影をすることが多く、電子カルテの使い勝手を紙カルテに近付けるためには、図やコメントを簡単に記入できる必要があります。
たとえば「WiseStaff-f」では、140種類以上のシェーマ(絵図)や、詳細なコメントの貼り付け機能が用意されており、わかりやすいカルテが作成できます。
また、「Hi Dental Spirit XR-10i」は、治療中・クラウン・分割歯といった口腔情報をアイコンで表示可能。iPadで利用できる「iQalte」では、手書きカルテを再現したペンシル機能を搭載しているほか、部位別の歯のイラストも提供しています。
高齢患者の訪問診療を行うことが多い場合は、訪問先でカルテ情報を確認したり、診療内容を入力したりといった訪問診療を支援する機能が必要となります。
要支援・要介護認定を受けている高齢者への訪問歯科診療は、居宅介護サービスの「居宅療養管理指導」として介護保険が適用されます。そのため、介護保険のレセプト作成にも対応しているシステムがおすすめです。
「Sunny-NORIS」では、誘導入力方式により訪問診療時にもスムーズな入力が可能です。介護請求のほか、訪問先人数や時間重複チェック機能も標準搭載しています。
初診患者が記入する問診票が紙のままだと、シムテムに手入力し直したり、スキャナーで読み込んで記録を残したりといった手間がかかります。この部分の業務を効率化するために問診票についても電子対応できるかどうかを事前に確認しておきましょう。
「Hi Dental Spirit XR-10i」や「WiseStaff-f」のように問診票アプリが用意されているシステムや、「Dentis」のようにWeb問診に対応しているシステムであれば、患者自身に入力してもらった情報をそのままデータとして取り込めるため、問診票の登録・管理が効率化できます。
電子カルテのほかにも、オンライン診療やレセプトなど、歯科運営に関わる幅広い業務に対応できる歯科向け電子カルテをご紹介します。
(出所:Dentis公式Webサイト)
業務効率化と患者とのつながり強化を支援するクラウド歯科業務支援システム。Web予約、受付管理からカルテ作成、レセプト出力までをカバー。紙台帳・カルテ・問診票といった情報の一元管理にも対応しているため、効率的な情報管理が可能。
電子カルテ機能では、スケジュール画面を起点にカルテ画面や会計画面へとアクセスできるため、歯科衛生士や歯科助手も迷うことなく必要な情報にたどり着ける。
カルテ画面では、傷病名部位の登録から処置・SOAP入力に対応。必要な情報が一画面に集約されているので、患者の状況を包括的に把握しながら処置・記録が行える。
更に、オンライン診療やデジタル問診にも対応できるほか、訪問歯科機能では定期的な訪問先の予定の登録も可能。
(出所:電子カルテシステムWith公式Webサイト)
診療入力ナビゲーションや多彩なチェック機能を搭載し、地域の医療機関や介護施設との連携、訪問歯科に対応できる、歯科のための電子カルテシステム。受付から電子カルテ作成、診療入力、医療面接のサポート、レセプト作成までを幅広くカバー。更に、入力した服用中薬剤や薬剤アレルギーの情報、全身疾患の既往歴といった情報の記録・管理も可能。経過措置期限切れにも対応した最新の薬剤マスタを搭載し、投薬時には処方薬との成分重複なども自動でチェックするため便利だ。
レセプトチェック機能が充実しており、カルテ記載要綱上必要な内容を、マスタ登録項目から選択するだけで、正確な診療内容入力が可能。医療保険レセプトと同時に介護保険レセプトを作成する機能も搭載。クラウド版「Withエポック」も提供している。
(出所:Hi Dental Spirit XR-10i公式Webサイト)
受付から診療入力、会計・予約までワンストップで行える、訪問診療にも対応した歯科電子カルテ統合システム。受付院内管理画面では、患者の来院状況や診療状況を一覧表示でき、アイコンやメモで「注意事項」「未収金」「要内容確認」といったステータスが確認できる。カルテ機能は、「部位・病名入力ガイド」、「処置グループ入力」、「コメント入力」の3ステップで診療内容の入力を完結させられる。
更に、最新のカルテコメントや摘要記載、処置や薬の情報など、医院独自の細かいカスタマイズにも対応。歯ブラシや歯間ブラシなど購入歯科用品の販売履歴の記録、メンテナンス機関の患者へのリコール登録など、顧客管理に役立つ機能が充実している。オプションとして、電話着信時に顧客情報を表示できる機能、クラウド予約管理、オンライン診療システムやデジタル診察券といった機能も。
レセコン一体型の歯科向け電子カルテをご紹介します。
(出所:WiseStaff-f公式Webサイト)
正確な電子カルテ記載によって、院内の業務効率化を実現する歯科電子カルテ搭載システム。紙カルテを電子化することで、検索時間の短縮や情報共有の効率化、ペーパーレス化の推進による印刷コストの削減、破損・紛失リスクの軽減といったメリットが期待できる。薬情算定チェックや描画機能など、カルテ作成をサポートする機能も充実している。レセプト作成時のダブルチェックにも対応。
また、iPadからカルテやレセプトをチェックできる「Wiseビューア」や、問診票を電子化する「Wise問診票」など、業務効率化につながるアプリを標準搭載。所見履歴や口腔所見、帳票まとめ発行などの機能もそろっている。
訪問診療時に使えるVPN接続機能や医療保険と介護保険の診療情報を切り替え不要で同時入力できるオプション機能も用意。オンラインシステムに不安がある場合でも、リモートサポートや遠隔バックアップサービスによって万全に対応できるネットワーク体制が整っている。
(出所:fine-SEED公式Webサイト)
手書きカルテの使い勝手の良さを再現し、業務ストレスを軽減する機能がそろった歯科向け電子カルテ。コピー&ペーストやドラッグ&ドロップといった簡単な操作でカルテが作成でき、ワンクリックで訂正メニューが表示される。
操作ボタンをパネルにひとまとめにするなど、使い勝手にこだわったきめ細やかな配慮が特長。治療内容に関する細かな申し送り事項を付箋やメモ感覚で共有できる「サブカルテ」機能も標準搭載。
操作感はシンプルながらも、口腔即時表示や1歯牙単位の履歴表示、面入力など、登録・参照できる情報が充実している。レセプトオンライン請求や報酬改定のダウンロードといったオンラインサービスにも対応。
(出所:Sunny-NORIS公式Webサイト)
「カンタン、シンプル、使いやすい」をコンセプトに開発された、歯科用レセコン。電子カルテの作成やレセプト出力、介護保険請求などに対応している。カルテは記入しやすく、使いやすいように簡単にカスタマイズできるため、業務効率化が期待できる。誘導入力方式を採用し、入力ミスの防止にも貢献。更に訪問診療の管理に対応し、訪問先人数や時間重複チェック機能を標準搭載している。
オンプレミス版とクラウド版の2種類を用意。クラウド版の「Sunny-NORIS Cloud」では、訪問先での居宅療養情報提供書の入力・出力も可能に。複数拠点がある医院にも便利だ。
保険証スキャナー機能や電話着信管理機能(CTI)など、受付業務効率化につながるオプションも充実している。
(出所:iQalte公式Webサイト)
カルテ作成や領収書・処方箋発行、レセプトビューまで、iPadで一貫して操作できるシステム。カルテの入力画面には1号用紙と2号用紙の構成を採用し、手書きカルテを再現したペンシル機能も搭載。シンプルで直感的に操作できるため、紙カルテからの移行もスムーズだ。
更に、同シリーズの「Dental X[R]」や「Dental Hub」と連携することで、予約管理、画像管理、歯周検査や情報提供文書の一元管理や、訪問診療先でのカルテ入力・介護請求も可能に。保険矯正にも標準対応している。
iPadで運用を完結できるので設置スペースを選ぶ必要がなく、自宅や移動中、訪問診療時にも診療情報へのアクセスが容易に。電話・遠隔でのサポートのほか、マニュアルやトラブルシューティングをまとめたサポート専用アプリも提供しており、安心して導入できる。
カルテ機能に特化した歯科向け電子カルテをご紹介します。
(出所:HAPPY ACTIS-ERD公式Webサイト)
療養担当規則や電子カルテ3原則に則った歯科向け電子カルテシステム。算定チェックや会計情報フィードバック、診療ナビゲーション機能など、歯科医師・歯科衛生士をサポートする機能がそろっている。
カルテ記載や病名・処置オーダのほか、歯科摘要欄記載や口腔情報管理、予約システム、文書管理まで網羅。更に、歯科技工指示書を作成することも可能だ。更に、医科電子カルテシステムや医事会計システム、放射線部門システムなどとの連携も柔軟に行える。
会計情報フィードバック機能では、カルテ画面で医事会計情報を合わせて表示できるため、診療内容と会計情報をひと目で確認できる。また、算定チェック機能では、レセプト請求に関わる診療情報だけでなく、材料や薬剤の使用情報も扱うため運用コストの情報処理にも役立つ。
(出所:TDM-maxV公式Webサイト)
カルテ画面に手書き感覚でカルテコメントが入力できる歯科電子カルテシステム。頻繁に利用する項目や表示、操作ボタンの配置などをカスタマイズできるため、入力業務の効率化が見込める。更に、オプションの音声入力機能を使えば、PCが使えない環境でもスマホから所見などのデータを転送可能。カルテ入力業務を簡略化できる。
患者登録や来院管理、SOAP入力に対応した電子カルテといった基本機能に加えて、訪問診療入力支援や返戻データの自動移行といった機能も搭載している。
オプションの保険証スキャナーを使えば、患者情報の取り込みを自動化。更に、訪問予定の管理や、訪問先でのカルテ入力、訪問点数の自動表示、レセプト処理と総括処理(返戻入力確認を含む)の自動化も可能だ。介護保険請求にも標準対応している。
(出所:Oassis公式Webサイト)
矯正歯科の業務に特化した自費診療用の電子カルテ。エラスティックに関する情報を視覚的に入力でき、見積書・分割払い計画作成など、矯正歯科に必要な機能がそろう。カルテの記入には定型文選択形式や歯式キーボードといった方式を採用しており、素早く入力できる。
写真やファイルの整理・編集機能も充実しており、カルテ内で反転・回転・切り抜き・手書き・明るさ調整といった編集が可能。横並びでの画像比較や5枚法での表示にも対応。また、技工物カレンダーでは、印象日・納品日・セット日を管理し、技工所への依頼忘れを防止するリマインダーを設定できる。
Web問診票や直感的に操作できる予約表など、診療時間の短縮や効率化をサポートする機能も充実。更に、系列のクリニックがある場合、1つのアカウントで複数クリニックを切り替えて管理できる。なお、自費診療のみ対応しているため、レセコン機能は非搭載となっている。
カルテ入力やレセプト作成、患者情報の管理といった作業は、歯科医院を運営するうえで欠かせません。これらの作業を効率化することで、診察・治療に専念したいというニーズも高まっており、そこで役立つのが歯科向け電子カルテです。
歯科向け電子カルテのタイプには、業務の対応範囲により、主に以下の3つがあります。
レセプト作成機能を搭載した電子カルテであれば、レセプト請求処理にかかる時間が大幅に削減できます。また、口腔内の写真を表示してインフォームドコンセントを行ったり、禁忌薬剤などのアラート表示をしたりと、診療のクオリティ向上にも貢献します。
上記のタイプを踏まえた上で、「クラウドへの対応」「描画機能」「訪問診療や介護保険請求への対応」「問診票の電子対応」の4つの比較ポイントも参考に、自院の業務効率化につながるカルテを検討してみてください。
また、電子カルテの導入にあたってはメーカーのサポート体制も大事な要素であるため、事前に確認しておきましょう。
歯科向け電子カルテをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
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