最終更新日:2024-08-29
2023年より稼働開始したケアプランデータ連携システムの概要や、導入方法・注意点などをわかりやすく紹介します。ケアプランデータ連携システムに対応した、おすすめの介護ソフトもご案内します。
ケアプランデータ連携システムとは、国民健康保険中央会(国保中央会)が提供する、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所間をオンラインで書類等をやりとりすることのできる共通の情報連携基盤です。令和5年(2023年)4月20日より稼働を開始しています。
これまでケアプラン(提供票・計画書)やサービス利用票(予定・実績)を事業者間でやりとりする場合、従来はFAXや郵送、もしくは手渡しなどのやり方が取られてきました。その場合、「送信・受領までに時間がかかる」「介護ソフトに入力し直さなければならない」「ミスが多くなる」「情報漏洩が心配」などの課題が挙げられています。
ケアプランデータ連携システムなら、送り手・受け手とも同一のプラットフォームを通じて、以下のようなケアプランやサービス利用票を手間なく安全にケアプランを共有できます。
現在、利用する介護ソフトを変更する必要はありません。介護ソフトから必要データ(予定や実績)を出力し、それをケアプランデータ連携システムにアップロードすれば送信完了。受け手はケアプランデータ連携システムからデータをダウンロードし、その後、利用する介護ソフトに取り込めばOKです。
図の出典:「ケアプランデータ連携システム」の概要等の周知について」(厚生労働省)
ケアプランデータ連携システムは現状、義務化されているわけではありません。ただし、厚生労働省は介護現場の生産性向上・負担軽減に向けて導入を推進しています。そのため、近いうちに介護保険など法律上の優遇措置が取られる可能性があることは覚えておきましょう。
本記事では、ケアプランデータ連携システムを導入するメリットや費用、更に導入手順や必要作業などをわかりやすく紹介していきます。記事後半には、他のデータ連携の方法や、データ連携におすすめの介護ソフトも紹介しているので参考にしてください。
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ケアプランデータ連携システムの利用にかかる料金・費用としては、以下のようなものが挙げられます。
21,000円のライセンス料金の支払いは、原則介護給付費からの相殺(差し引き)ですが、国保連に連絡をすれば例外的に口座振り込みも認められるとされています。また、電子証明書に関しても、たとえば介護保険請求に利用している電子証明書など、既に取得済の電子証明書を持っている場合はそのまま無料で利用可能です。
厚労省の試算では、システムを利用することで、印刷・郵送・交通・FAXなどの通信費用が年間7万円、更に人件費を加えると年間約80万円にのぼる圧縮が期待できるとされています。費用対効果で見れば、十分元は取れると考えられます。
ケアプランデータ連携システムの利用は、経済産業省が実施する「IT導入補助金」や厚生労働省と地方公共団体が支援する「ICT導入支援事業」の対象となる可能性があります。条件が合致すればライセンス料金はもちろん、介護ソフトの導入にかかる費用も支援してもらえるため、事前に諸条件を確認しておきましょう。
続いては、ケアプランデータ連携システムを導入するためには、何が必要なのか。手順や必要環境、注意点などをわかりやすく説明していきます。
ケアプランデータ連携システムを利用するには、以下の4つの作業が必要になります。一つずつ説明していきますので、導入時の参考にしてください。
ケアプランデータ連携システムの利用には、事業所が日頃インターネット請求に利用している電子証明書が必要です。未対応のままでは利用できません。その場合は、電子請求受付システムの専用サイトで申請・取得する必要があります。
ケアプランデータ連携システムの専用のWebサイトにアクセスし、電子請求受付システムの「ユーザID(KJから始まる14桁)」「パスワード」を入力。「利用申請/更新」から入って、表示された利用規約を読み、「利用規約に同意する」をクリックすれば申請完了です。
インストールは国保中央会の専用Webサイトから行います。難しい作業はありません。「組織名称」「介護事業所番号」を入力するだけでダウンロードできます。なお、インストールは事業所番号ごとにPC1台に行う必要があります。また、ソフトをインストールするPCは、後述する介護ソフトがインストールされているPCにしましょう。
ケアプランデータ連携システムを利用するためには、厚生労働省のケアプラン標準仕様に準拠した介護ソフトが必要です。既に導入済みの介護ソフトがあれば、標準仕様に準拠しているかをチェックしておきましょう。
なお、国保中央会は独自にケアプランデータ連携試験を行っており、それに合格した介護ソフトをHPに公開しています。介護ソフト導入を検討する場合は参考にしてください。
介護ソフトに関して、詳細を知りたい方は、介護ソフトの比較15選。タイプ別の選び方(図解)をご覧ください。
ケアプランデータ連携システムを利用することで、事業者は以下のようなメリットが見込めます。
時間が短縮できる | FAXや郵送に比べると業務工数が減るため、送受信の時間が短縮できる。 |
---|---|
コストが削減できる | FAXや郵送に比べると印刷費・通信費などのコストの削減が見込める。人件費も節減できる。 |
入力負担が減る・ミスが減る | データはCSVでやりとりし、介護ソフトに取り込むだけで実績が反映されるため手入力やミスが減る。 |
業務が標準化できる | ケアプラン・サービス利用票が標準仕様に則ったデータになるため確認負担や返戻リスクが減る。 |
情報漏えいリスクの削減 | メールで送る場合にありがちな宛先間違い(誤送信)の危険を避けられる。 |
ケアプランデータ連携システムを利用するには、送信者・受信者、双方とも利用登録を行う必要があります。片方だけが登録して、片方は未登録という状況では利用できません。
事業所の利用状況(申込状況)は、総合情報サイト「WAM NET」上でエリア別に確認できます。データ連携システムの利用を検討する際には、周辺の居宅介護支援事業所と介護サービス事業所の利用状況は必ずチェックしておきましょう。
相手方に応じて「こっちはデータ連携」「こっちはこれまで通り、FAXや郵送」というやり方も可能ですが、数が増えると作業が煩雑になる恐れがあります。データ連携システムを利用する場合には、できるだけ相手方にも登録を働きかけ、互いに利便性を向上するように心がけましょう。
厚生労働省の定めた標準仕様に準拠した介護ソフトです。国民健康保険中央会が実施するベンダ試験に合格したものを中心に紹介していきます。
ソフト名称 | 特徴 | 料金 |
---|---|---|
まもる君クラウド | 業界最低水準の月額定額が強みのクラウド型介護ソフト。提供サービスごとの料金形態のため無駄なく利用可能。 | 月額7,800円~ |
ケア樹(けあき) | 介護サービス22種に対応したクラウド型の介護ソフト。計画書管理・記録・請求・情報共有まで一気通貫で効率化。 | 要問い合わせ |
福祉見聞録 | 介護ソフトとしてはもちろん、会計や人事などの基幹業務にも対応したグループウェア。 | 要問い合わせ |
ナーシングネット プラスワン |
日本全国6,000件以上の事業所への導入実績あり。安価なプランとサポート体制に強み。 | 月額5,000円〜 |
ケアカルテ | 約19,000事業所で採用実績あり。スマホ仕様・ハンズフリー機能など現場での使いやすいUIが特徴。 | 要問い合わせ |
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(出所:まもる君クラウド公式Webサイト)
居宅介護支援、通所介護、訪問介護などの様々なサービスに対応したクラウド型介護ソフト。ケアプランデータに関しては、居住サービス計画書(第1表)、居住サービス計画書(第2表)、サービス提供票(第6表)、サービス提供票別表(第7表)と、サービス事業所側の実績情報データを標準仕様でcsv出力可能。2023年4月より本稼働となるケアプランデータ連携システムにも対応予定。
データ連携以外にも使いやすい操作性も特徴の一つで、バイタルや経過記録などの介護記録はタップやマウスクリックで入力可能。業務日誌、送迎記録、利用者・家族への連絡帳など豊富な機能も搭載。料金は業界最低水準価格で完全月額定額制を採用しているので、低コストで運用を継続できるのも強み。
(出所:ケア樹公式Webサイト)
様々な業務帳票や計画書・記録・請求・分析業務などのICT化に対応し、介護施設運営をトータルに支援する介護ソフト。全国3,000以上の介護事業所で導入されている。標準仕様データのCSV出力・取込に対応しているので、異なる介護ソフトを使っている事業所間のデータ連携が可能に。「ケア樹」を利用する事業所間なら、システム内でより簡単に「提供票データ(予定・実績)の送信・受信・取込による登録」ができるようになる。また、介護保険請求の実績データのインターネット伝送・システム上での請求結果確認にも対応。
システム利用料が無料の「ケア樹Free」も提供されており、ランニングコストが抑えられるのも魅力だ。
(出所:福祉見聞録公式Webサイト)
介護施設・障害者施設の業務をトータルサポートするグループウェア。ケアマネジメント業務を、システム上で管理できる介護ソフトとしてはもちろん、会計・給与・勤怠管理などの基幹業務にも対応可能。
介護ソフトではアセスメントや認定調査表などを参照しながら計画書を作成できるのはもちろん、既存の計画書をコピー・流用するなど、業務負担の軽減につながる機能が充実。毎月の介護保険請求も、ケアプランを作成した利用者を検索して集計ボタンをクリックするだけで、介護度や限度額、単位数など必要な情報がすべて表示されるので、手早く完了させられる。
(出所:ナーシングネットプラスワン公式Webサイト)
6,000件以上の事業所への導入実績を持つクラウド型介護ソフト。利用者情報・介護レセプト・スタッフスケジュール・介護計画などを一元管理可能。サービス提供事業所間における情報連携の標準仕様やケアプランデータ連携システムに対応。標準仕様のCSV出力・取込に対応しているため、仮に相手方がケアプランデータ連携に対応していなかったとしても、電子証明書や伝送ソフトの購入なしでインターネット請求も可能。月額5,000円~という低価格ながら、介護サービス運営に必要な機能を取り揃えているのが魅力。
(出所:ケアカルテ公式Webサイト)
利用者の基本情報から利用予定、ケアプラン作成に加え、日々の記録まで一元管理できる介護ソフト。作成したケアプランや提供票はケアプランデータ連携システムによる連携のほか、厚労省の標準仕様のCSVファイルとして出力できるので、他の介護ソフトを使っている事業所との連携も可能。同様に、他事業部から受信したCSVファイルも取り込むことができる。
その他にも、利用者の基本情報管理や、居室・入居期間・在宅サービスの利用予定及び実績の管理、利用者の利用状況や記録の集計/分析など、豊富な機能がそろう。ICT機器や外部サービスと連携して、様々な業務を自動化したり、記録を一元管理したりもできる。
国保中央会が提供する「ケアプランデータ連携システム」以外にも、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所との間で、ケアプランデータをオンライン上で連携させる方法があります。以下、主な3つの方法について解説します。
国保中央会のシステムではなく、民間のシステム会社などが提供する連携基盤システムを使う方法です。
たとえば、「ケアぽす」は、ケアプラン・提供票データのやり取りをクラウドで一括管理することができます。双方の事業所が「ケアぽす」を利用する必要がありますが、無料で使えるのでハードルはそう高くないでしょう。CSVファイルの送受信をするためのシステムなので、介護ソフトの種類は問われません。
「カイポケケア連携」も基本的には会員同士でのやり取りを前提としていますが、介護サービス事業所が非会員でも居宅からの受信のみは可能です。
続いては、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所、双方が同じ介護ソフトを利用し、その中の連携機能を使ってデータを共有する方法です。
たとえば、カナミックの「居宅介護支援システム」は、サービス事業所向けのID・パスワードを無料で発行し、Web上でのケアプランデータ(予定/実績)の授受を可能にします。
3つ目は、介護ソフトのCSVの入出力(インポート・エクスポート)機能を利用したやり方です。
具体的には利用中の介護ソフトからケアプランデータをCSV出力して、相手方にこれまで通り、メールやファイル転送などで送付。受け取った方はそれを介護ソフトに入力して共有するという方法です。これなら印刷・手渡し・郵送などに比べて手間が抑えられますし、異なる介護ソフト間でも受け渡し可能です。
ただし、メールで送るたびに宛先とファイルを確認しなければなりません。また、誤送信のリスクがつきまとうので情報漏えい対策には注意が必要です。
データ連携基盤を備えたケアプランデータ連携システムをご紹介します。
“ケアプランデータ連携システム”の 一括資料ダウンロードする(無料)
(出所:ケアぽす公式Webサイト)
無料で利用できるケアプラン・提供票データ連携システム。ケアプランや提供票のやり取りを電子化することで、業務効率化やコスト削減、誤送信による個人情報漏えいリスクの低減といった効果が見込める。
データをまとめてクラウドシステムにアップロードすれば、設定した宛先への一括送信が可能。受信ファイルやメッセージなどもクラウド上に管理・保存できるので、ファイルの紛失や連絡の見落としの防止につながる。複数人での運用にも対応。
介護支援事業所とサービス提供事業所の両方が「ケアぽす」に登録する必要があるが、無料かつブラウザから利用できるので導入は簡単だ。
(出所:カイポケケア連携公式Webサイト)
「カイポケ」は居宅介護支援や通所介護、訪問介護など、様々なサービスに対応した介護ソフト。介護・看護の記録や請求以外にも、会計・経営管理・勤怠管理・HP作成など、事業所運営に必要な豊富な機能・サービスを搭載しており、そのうち自分達に合ったものを選んで利用可能。
データ連携システムとしても利用可能で、カイポケで作成した提供票ならワンクリックでサービス事業所に送信可能。居宅介護支援事業所がカイポケ会員ならサービス事業所が非会員でも利用できるのが特徴(ただし、カイポケの非会員の場合は居宅からは受信のみ可能)。ケアプランデータの授受だけでなく、ケアマネージャーとのメッセージのやり取りにも対応している。
データ連携機能を搭載した介護ソフトをご紹介します。
(出所:居宅介護支援システム公式Webサイト)
地域包括ケアやコンプライアンス管理、業務効率化など、ケアマネジメント業務をサポートする機能が充実した居宅介護支援システム。ケアマネージャー用の介護ソフトを契約すると、無料でID・パスワードが発行され、他職種間との情報共有システムを利用できるようになる。情報共有システムを使えば、Web上で提供票(予定・実績)の授受が可能に。
また、ケアマネジメントの流れに沿ったシステム構成が特徴で、居宅サービス計画書やサービス提供票といったケアプランの作成ができるほか、サービス担当者会議をオンラインで開催する機能も搭載。関係者同士のスムーズな連携を実現する。
ケアプランデータ連携システムの普及が進めば、事業所間のケアプランのやり取りが大幅な効率化が期待できます。ただし、そのためには事業所の双方がケアプランデータ連携システムの導入について意見が合致している必要があります。せっかく自所で導入したのに、周囲に導入しない事業所が多いと、アナログなやり取りが残ってしまい、期待したような効果が得られないかもしません。
民間の連携システムや介護ソフトによるCSV連携など、既にその他の方法で対策済みであれば問題ありませんが、もし何ら対策を行っていない場合は、早い段階で導入を検討するのがおすすめです。
なお、ケアプランデータ連携システムを利用する場合でも、厚生労働省のケアプラン標準仕様に準拠した介護ソフトも必要となるので、まだ介護ソフトを導入していない場合はあわせて、「介護ソフトの比較15選。タイプ別の選び方(図解)」の記事もご参照ください。
ケアプランデータ連携システムをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
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