コロナ禍におけるテレワークの急速な拡大に伴い、企業からのニーズがさらに高まったeラーニングについて、導入メリットやデメリットに加え、導入前からイメージしておくべき社内浸透策、そして利用候補となるシステムについてご紹介します。
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法人向けeラーニングとは、社員の教育研修を集合研修の代わりに行う場合や、集合研修を補完したい場合に、PCやスマートフォンなどで研修を受けられるようにした教育システムです。
従来は、研修室などに社員を集めて先輩社員や専門の講師が登壇するというやり方が主流でしたが、その場合、「会場を借りるのが手間・お金がかかる」「社員の予定を押さえるのが面倒」「移動に時間・交通費がかかる」といった課題が挙げられていました。
法人向けeラーニングであれば、従業員は手元のスマホ等を利用して、管理者が用意した教材をインターネットを経由していつでも好きな時に学習することができます。管理者もその都度時間をかけて社員研修を行う必要がなくなり、会場費・交通費といった諸経費も削減できます。
コロナ禍で集合研修を行いづらくなったのをきっかけに、集合研修の代替手段として活用が増えている法人向けeラーニング。本記事では、その具体的なメリットやデメリット、また上手い活用の仕方などを、おすすめのシステムを交えながらわかりやすくご紹介します。
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企業がeラーニングを導入するメリットとしては大きく以下の5つが挙げられます。
テレワークで業務を行う社員が多く、出社の頻度が限られている場合や、会社の方針として、集合研修をできるだけ避けるようにしている場合は、従来の研修をeラーニングに置き換えることが優先的な選択肢になります。テレワークをしている従業員はWeb会議などに慣れていますので、スムーズな受講が期待できます。
全国に拠点があるので研修のために出張してもらうとなると、参加者の業務への影響が大きくなり、日時調整だけでも大きな手間になります。同一のテーマで複数回開催できる場合は、その中から選んでもらうこともできますが、そうでない場合は、前もって参加しやすい日時の調整が必要になります。その点、eラーニングだと好きなタイミングで受講してもらえるため、日程調整が不要となり、開催しやすくなります。
学習意欲のある従業員にとっては、eラーニングシステム上に学ぶべきコンテンツがたくさん置いてあるのはうれしいことです。日頃の業務で、これについてもっと知っておきたいなと思った時や、上司としてこの人にはこれを学ばせたいと思った時に、すぐにeラーニングで学ぶことができるのは、各人の成長の加速につながります。
また、研修テーマを増やすたびに、後から使えるコンテンツが増えていきますので、学習の機会の増加にもつながります。
研修を実施する側にとってなにより大変なのは講師の確保と研修コンテンツの準備です。継続的に外部に依頼しているのではなく、自社で行う方針の場合は、研修コンテンツを作成する必要があります。最近のeラーニングシステムでは、動画を含むコンテンツを手軽に作成できるだけでなく、基本的なコンテンツは既に用意されていて、それを自由に利用できる、というものがあります。コンプライアンス研修のようなどの会社にも共通するコンテンツなどは、そのまま利用することで問題ないでしょう。
研修の担当者にとって、受講者の出欠管理に加えて、受講後の理解度テストの実施や結果の集計、実施後のアンケートによる振り返りの実施は、全て手作業で行おうとすると大きな手間になります。eラーニングシステムがあれば、理解度テストの結果は自動的に採点・集計されるとともに、受講者へのフィードバックもWeb上で行えます。アンケートも同様に自動的に集計されますので、実施や集計の負担が軽減されます。
eラーニングの導入メリットは受講者にとっても管理者にとっても大きなメリットがありますが、一方で気になるのはデメリットです。eラーニング導入に費用がかかるという点以外にデメリットになりうるのは次の2点です。
社内研修を座学で行う際、受講者側としては「現業が忙しいのに……」と愚痴を漏らしながらも、「会社が予定を指定して研修をしないと時間を捻出できない」と考えるのが本音かもしれません。そんな感覚をもつ社員に基本的な必須研修以外で、「eラーニングでいつでも自由に学習してください」と伝えて、果たして研修が進むでしょうか。どれだけ管理者が教材や教育コンテンツを充実させても、受講者の立場に立って学習が定着するまでのプロセスをイメージできていないと、浸透せずに活用されなくなってしまいます。
その場で質疑ができないことや、動画や資料でも表現しきれないことがあると、集合研修に比べて、理解が進まない可能性もあります。内容によっては重要な内容にとらえられずに、聞き流されてしまう可能性もあります。重要な研修を学習効果の観点でeラーニングに切り替えていいのだろうか、と悩まれている方もいらっしゃるでしょう。
一方で、eラーニングは自分のペースで理解できる、復習しやすい、理解度確認がしやすいなどの強みもありますので、一概に学習効果が低下するとは言えません。eラーニングならではのメリットを活かせば集合研修を上回る学習効果の獲得も狙うことができます。
eラーニング導入のメリットを発揮するためには、社内の研修でしっかり活用してもらうことが何よりも重要です。そうすることで、前項で述べたデメリットとなり得る点を減らすことができるはずです。そのために重要な社員教育の浸透策についてポイントを3つご紹介します。
まずは企業において全員必須で受講しなければいけない既存の研修はeラーニングに置き換えやすいでしょう。定期的に行われている研修にはすでにノウハウが蓄積されており、なおかつ情報セキュリティ研修やコンプライアンス研修のような研修の場合は形式的に説明できる部分も多いものです。eラーニングのコンテンツとして落とし込みやすく、一度作ってしまえば多少のアップデートを行いながら継続的に活用できます。
もっとも教育に有効な教材は何かと考えた時、その答えは「研修のために作られたテキスト」ではなく「現場で実際に作られている成果物」です。時間を費やしてかしこまった研修教材を準備するのではなく、例えば現場で先輩社員が後輩に行っている研修をそのまま動画として見せるだけで、手の込んだ研修教材よりも伝わりやすいということもあります。
その他、現場で作られている営業資料や業務フロー、計画書、納品物など、実際の成果物をeラーニングシステムに蓄積し、教材として活用することでも実践的な学習が可能になります。
eラーニングをただの「教育のために使うツール」と位置付けてしまうと、現場にはなかなか浸透せず、むしろこれまでの対面での研修よりも「学ぶ」ということに対して距離感が生まれてしまうかもしれません。大切なのは、だれでも気軽にアクセスできて、いつでも学習できるようにすることです。教育コンテンツを気軽に生産しては蓄積し、現場の人も気軽に閲覧できるようにすることが大切です。
中にはチャット形式やワード検索で使いたいコンテンツに簡単にアクセスできるサービスもあります。多くの教育コンテンツが蓄積され、継続的に更新されることで、eラーニングサービスが「わからないことがあればまずこのページにアクセスする」という、教育の基盤となってくれます。
eラーニングシステムは各社からさまざまなサービスが提供されています。どんなサービスを選ぶべきか、以下のポイントを押さえておきましょう。
自社のコンテンツを活用するためには、システムへの載せやすさ(アップロードしやすさ)は重要です。テキスト、画像、動画など様々な種類のコンテンツに対応しており、かつファイル形式を変換することなく格納できると手間がかからず便利です。コンテンツ作成のためによく利用するアプリケーションがある場合は、アップロードに対応しているかを確認しておきましょう。
続いては「使いやすさ」の部分です。受講する側の従業員であれば、スマホやPCの画面に自分が受けるコースが可視化され、できれば「その日受けるべき研修」がわかりやすく表示されているのが理想です。企画する側の管理者であれば、従業員の受講状況が一覧で可視化されているといいでしょう。UIもさることながら、状況に応じて自動でリマインドしてくれるような機能があるとなお便利です。
3つ目のポイントは、現場での「活用のしやすさ」です。企業規模が大きくなると研修を企画する部門と現場に距離が生まれがちですが、本当に現場で使えるコンテンツを作成するのであれば、現場発信でコンテンツを作っていく方が効率的です。たとえば、権限を柔軟に割り振って現場スタッフが研修を企画できるようにしたり、スマホで撮影した画像をそのまま研修コンテンツに利用できたりすると、現場でも活用されやすくなるでしょう。
それでは最後に、おすすめのeラーニングシステムをご紹介します。利用用途に合わせて適切なサービスを選択できるよう、ぜひ参考にしてみてください。
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(出所:AirCourse公式Webサイト)
700コース、4,000本以上のコンテンツを搭載したeラーニングシステム。スマートフォンなどで動画をアップするだけで、コンテンツの作成、配信が可能。場所を問わず営業所や店舗、外出先、移動中、自宅など、あらゆるところからアップロードができる。
また、受講状況やテスト結果の一元管理や受講管理の自動化機能、標準研修コースの提供など、使いやすい学習管理機能(LMS)により研修実施の手間を軽減。「社員研修の時間が取れない」「ナレッジが共有されない」といった社員教育の悩みを解決。
(出所:Schooビジネスプラン公式Webサイト)
オンライン学習サービス「Schoo」の法人向けのビジネスプランです。導入実績は4,000社以上。8,500本以上の学習動画と学習分析機能を搭載。
ビジネススキルからITスキルまで、幅広い人材育成・社員研修向けコンテンツを1ID 1,650円で受け放題といった価格も魅力。自発的に見たくなるコンテンツであると定評があり、入社研修などの基礎研修だけでなく、スキルアップをさせたい場合にも向いている。
(出所:SpeedLMS Pro公式Webサイト)
登録ID数万人を超えるような大規模での利用に強みを持つ法人向けeラーニングシステム。カスタマイズ性に優れており、研修コースの作成・配信、受講管理などの標準機能以外にもオリジナルデザイン、シングルサインオン、顔認証、Live配信など必要な機能追加可能。サービス提供に関しても通常のパブリッククラウドのほか、希望に応じてオンプレミスやプライベートクラウドも選択できる。導入時に専任ディレクターが要件定義から入ってくれるのも心強い。
データセンターのディザスタリカバリー、サーバーの冗長化・24時間有人監視など安定運用に長けていることから、厳しいセキュリティポリシーを持つ企業にもおすすめ。大手企業・官公庁を中心に500社以上、60万人を超える利用実績を持つ。
(出所:LearnO公式Webサイト)
法人3,800社、月間60万人以上が利用している、スマートフォンやPCでのネット教育ができる法人向けクラウドeラーニングシステム。テキストや動画など教材を準備するだけで社員教育、人材育成、学校教育、研修で利用可能で、教材がない場合のコンテンツ制作、システム構築、eラーニングのコンサルティングや導入後のフォローもトータルで提供される。
最短1か月間だけでも契約でき、ID数の見直しなど契約内容の変更も単月ごとに可能なため、中小企業やスタートアップなど小規模ビジネスでも気軽に導入できる点が特長。各受講者の受講履歴やテスト結果の確認、未受講者へメールを配信して受講を促す機能など、管理機能も充実。
(出所:LearningWare公式Webサイト)
導入企業2,400社以上、利用者累計100万人超の実績があるeラーニングシステム。PowerPointをアップロードするだけで簡単にeラーニング教材を作成・配信できるようになるほか、動画をアップロードしたり、オーダーメイドのオリジナル教材をつくったりすることもできる(オプション)。
eラーニングの受講はPC・スマホ・タブレットに対応しており、いつでもどこでも学習が可能。受講者は任意のグループに割り当てることができるため、実際の会社階層に合わせて上司を学習管理者に指定し、学習管理をすることができる。そのため、大手企業や官公庁など、大規模・複雑な階層の組織でも効率的な運用が可能。
(出所:shouin+公式Webサイト)
学習と実践をベースに活躍する人材を育てるeラーニングサービス。動画やPDFのマニュアルを学習コンテンツとして配信し、確認クイズやチェックリストといった機能で業務知識や行動を確実に定着させられる。また、従業員からの動画投稿や、タイムライン上での情報共有を通して、身につけた知識をアウトプットすることもできる。
管理者向けの機能も充実しており、研修の進捗状況や、各店舗・各個人単位での教育状況を可視化。コンテンツの活用状況から、学習意欲と営業成績との関係性を数値化・分析し、仮説を立てるといった活用方法も可能できる。スマホやタブレットに不慣れな従業員でも使いこなせる、わかりやすい操作画面にも定評あり。
(出所:SAKU-SAKU Testing公式Webサイト)
導入実績1,500社以上。ビジネスマナーやコミュニケーション、営業基礎知識、人材管理など、ビジネスマンが知っておくべき3000問以上の知識問題やコンプライアンス意識調査が使い放題で利用可能なeラーニングシステム。シンプルな操作性が特長で、Excelのテンプレートで問題を作成してファイルをアップロードするだけで研修コンテンツとして登録できる。
また、受講者の進捗管理機能や、未受講の対象者を選択して督促メールを送信できる機能、受講者一括登録機能や集計機能なども備わっていて実用的。
(出所:eラーニングシステム eden LMS公式Webサイト)
PowerPointファイルからのスライドショー作成や動画・音声教材などのアップロードも簡単に行えるうえ、穴埋めテストの作成も可能。インタラクティブな教材やさまざまなタイプのテスト・アンケートなどをWebブラウザから作成できる。
また、集合研修や実技の講習など、オフライン実施教育における受講履歴管理や参加者募集も可能。さらに人事評価や職歴といった項目の管理もできるため、人材育成全体に関するデータを一元管理。初期費用不要でなおかつ月単位でユーザー数の変更ができるという点もポイント。
(出所:セキュリオ公式Webサイト)
セキュリオはセキュリティ教育に特化した、法人向けeラーニングシステム。情報セキュリティ領域を専門分野とするコンサルティング企業が運営。多くの企業で必要だが、専門性が高くコンテンツ作成が難しい情報セキュリティに関して、あらかじめ複数の教材が登録されているため、すぐに利用開始できる点が嬉しいポイント。また、90種類以上の教材に加えて月に1度教材が追加され、教材利用料は無料、基本料金のみ。
理解度テストの実施・採点・集計まで自動で実施可能。アンケートを実施して委託先のセキュリティ対策状況を判定できるオプション「サプライチェーンセキュリティ機能」が搭載されている点もユニーク。従業員に対して標的型攻撃メールの模擬訓練を行える機能も。
(出所:etudes公式Webサイト)
人材育成サービスを提供する同社が開発したeラーニングシステム。PC・スマホ・タブレットに対応した、多彩な教材の配信が可能。動画教材の再生速度を2倍速や0.5倍速に変更できたり、不要なところを飛ばしたり、隙間時間を活用した学習コンテンツの提供ができる。
また、択一式や複数選択式、自由回答などさまざまな出題形式に対応。アンケートの配信もでき、設問の作成はブログを書く感覚で気軽に行える。
(出所:Smart Boarding公式Webサイト)
累計4,500社の研修を行う研修会社が手掛けるオンライントレーニングシステム。厳選された豊富なコンテンツ(360種類以上のコンテンツ、70講座以上のライブ型オンラインレッスン)を月額1,080円/IDで受け放題。
その他、自社で保有する研修動画も利用可能。新入社員、若手/中堅、マネージャー向けなど、既存の階層別・課題別コースに組み込んでハイブリッドコースも作成できる。学習管理機能(LMS)を利用すれば、受講状況・進捗、理解度も簡単に把握可能。導入後、専任カスタマーサクセスがより効果的な活用法についても相談に乗ってくれる(追加料金なし)。
(出所:カオナビ公式Webサイト)
人材情報の一元化によってあらゆる人事業務に対応できるタレントマネジメントシステム。eラーニング・学習管理機能も搭載し、教材の配布から受講後の理解度テストの実施までを一元管理。各従業員の受講状況や過去の履歴も蓄積されるため、未受講者へのリマインドもスムーズ。効率よく従業員のスキルアップやリスキリングを推進できる。また、企画書や接客マニュアルなど、属人化しがちなナレッジを部署や事業所、店舗などをまたいで、現場発信でシェアすることが可能。組織全体でのスキル向上が見込める。
オリジナル講座に加えて「日経ビジネススクール オンデマンド」の良質な講座の提供(プリセット済み)や、従業員それぞれの登録情報に基づいた、講座の「おすすめ度」表示機能など、自律的な学習を促す工夫も。
(出所:ひかりクラウド スマートスタディ公式Webサイト)
NTT東日本が提供する法人向けeラーニングです。累計利用者数290,000名以上、企業の研修や情報共有ツールとして幅広く活用できる。受講者ID休止機能を使うことで無駄を省き月額費用を抑えて運用可能で、動画や資料の配信をはじめ、テストやアンケートの実施、学習履歴や進捗状況の管理など多彩な機能を搭載。受講者と管理者のメッセージ機能や未完了受講者への一括メール配信、ストレスチェックなどの機能も利用可能。
組織や所属に合わせたグループ管理や権限管理、受講者への表示コンテンツの出し分けなどの詳細設定が可能で、グループに所属した管理者は自身が所属するグループの受講者情報以外は閲覧できなくなるため、本部での一括管理が不要になる。
社員教育の効率化を考えるだけでなく、テレワーク環境にも対応する上で、eラーニングサービスは必須のツールと言えます。ただし、eラーニングを導入するだけでは必ずしもうまく使いこなせていないことも多いので、導入する前に活用イメージや運用方法、特に現場にどう定着・浸透させるかをできる限り具体的にしておくことが大切です。そのうえでニーズに合わせて最適なサービスを選びましょう。
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