検品作業を効率化し、誤入荷、誤出荷を防ぐため、検品システムの導入を検討している物流部門の方へ。検品システムのタイプや機能、特徴の比較ポイント、導入に掛かるコスト、おすすめのサービスを紹介します。
検品システムとは、入出荷や棚卸し時のチェック作業を効率化し、誤入荷、誤出荷を防ぐためのシステムです。
従来の検品作業は、目視で「品番や数量に誤りがないか」を確認する必要があり、手間がかかるうえに、ミスが起こりやすいという課題があります。検品システムなら、ハンディターミナルやスマホ、専用カメラなどの機器を用いて、伝票番号や商品バーコードを読み取るだけで、ピッキングリストとの照らし合わせを自動で行ってくれます。
入荷検品や出荷検品などの大幅な作業効率がアップするだけでなく、人為的なミスを抑止できるため、正確性を向上できる点も魅力です。
近年は、ピッキングだけでなく、在庫管理や分析機能なども備えたパッケージソフトが複数登場していますが、本記事ではそんな検品システムについて、機能やメリット、更に自社に合ったシステムの選び方などをわかりやすくご紹介します。
検品システムには、主な機能として「入荷検品」「出荷検品」「棚卸検品」「作業進捗状況の確認」「期限管理」の、5つが挙げられます。
倉庫管理システムと連携することで、入荷予定と現物を確認する際に、ハンディターミナルなどでバーコードを読み込み、発注書と入荷内容が一致しているかをすばやく確認できます。入荷した商品の在庫状況をリアルタイムで更新し、管理できる機能です。
出荷指示データ(ピッキングデータ・ピッキングリスト)をもとに、ピッキング時に検品を行うことで、誤出荷を防ぎます。また、ピッキングされて出荷待ちになった商品の最終検品をすることで、出荷データの管理を行います。誤出荷の防止だけでなく、在庫状況や欠品のすばやい更新が可能です。
入出荷時の在庫情報をもとに、棚卸検品を効率的に行えます。入出荷の検品データをもとに全在庫情報が可視化され、トレーサビリティが確立しているので、手作業の棚卸よりも正確にすばやい棚卸管理が可能になります。
検品システムはリアルタイムで入出庫数や在庫商品の状態、作業の進捗が記録されるため、作業全体の状況が自動的に可視化されます。そのため、現在の作業進捗がどのような状況にあるのか、すぐに把握し、万一トラブルが発生している場合もすぐにリカバリーが可能です。
商品の賞味期限などを管理する機能です。倉庫内で保管されている商品の期限を一括で管理することで、出荷時に期限切れの商品が紛れ込むことを防いだり、棚卸検品を行う際に期限切れで廃棄された商品の実数をデータ化したりできます。
具体的な検品システムの導入メリットは、大きく分けて3つ挙げられます。
倉庫システムや在庫管理システム、受発注管理システムなどの管理システムに記録されているデータと、読み取ったデータを照会して自動的に検品を行うため、書き間違い、読み間違いなどの、目視で起きる人為的なミスを大きく抑止できます。
もしミスが発生した場合でも、エラーが表示されるのですぐに修正し、誤出荷を防ぐことができるので、作業員に掛かる負担が軽減されるのもメリットのひとつです。
また、検品システムには検品の履歴がデータ化されているため、万一誤出荷が発生した場合や、棚卸し時に在庫数と実数が一致しない場合でも、さかのぼって状況を分析しやすくなります。
ハンディターミナルなどの機器で読み取って照会するため、目視よりもすばやく検品が行えます。検品システムによっては、一度に数百のデータを読み取れるため、検品に掛かる作業時間は目視よりも大幅に短縮が可能です。更に、検品作業が効率化することによって、検品に掛かる人員も削減できます。
ピッキング時の検品を目視で行う場合、最終的な検品の判断は個人に委ねられるため、新人の作業員と熟練の作業員では、作業の品質にばらつきが出てしまいます。商品知識が少ない新人作業員では、検品時に判断ができず、作業効率が低下してしまうことも珍しくありません。
一方、検品システムであれば、自動検品によって判断されるため、作業品質が熟練度に左右されにくくなり、新人でも効率的に作業が行えます。
便利な検品システムですが、デメリットも存在します。ハンディターミナルなどの専用機器の購入や、工場や営業所などを含めたシステム導入には、規模に相応したコストが発生します。また、検品システムを使うための社内教育に掛かるコストや、既存の検品からの移行のためのマニュアルを用意する手間なども計算に入れておく必要があります。
検品システムは現在、読み取りを行う端末によって「ハンディターミナル」、「スマホ・タブレット」、「専用カメラ」、「RFID」の4つのタイプが運用されています。それぞれの特徴とポイントを解説します。
小規模から大規模まで柔軟に対応可能で、もっともよく使われる検品システムです。専用のハンディターミナルを用いて、バーコードを読み取り、検品システムのサーバーとデータのやり取りを行います。
専用ハンディターミナルには、ラベル発行のための印刷出力機能を搭載しているものがあり、検品を行ったその場でバーコードを印刷して貼り付けたり、検品結果を印刷したりすることができます。
入荷・出荷・棚卸といった作業単位でリーズナブルに導入できる「barcorrect」や、販売開始から20年の実績を持ち、300拠点以上に導入されている「検品支援名人」などが該当します。
スマホやタブレットのカメラ機能を利用し、専用のハンディターミナルの代わりに運用する検品システムです。端末にかかるコストを抑制できるだけでなく、スマホアプリを活用した比較的小規模なシステムが多いため、ほかの検品システムと比較すると費用を抑えながら導入できます。
少人数で運用したい場合や、検品システムを試験導入してみたいという場合にも便利です。
iPadやAndroidタブレットのカメラにより、JANコードやQRコードをはじめ約40種類のバーコードを高速で読み取れる「ハヤブサ」がこちらのタイプになります。
読み取り専用カメラを使用して商品を読み取り、検品を行うシステムです。画像認識技術を使うことで、カメラに映った複数の商品をまとめて検品できるため、作業時間を短縮することができます。
数百のバーコードを一度に読み込んで検品するカメラ型検品システムもあり、作業を止めることなく入荷検品を自動化したり、出荷の荷物を自動検品したりできるので、大量の荷捌きが可能です。たとえば、「ロジマッチ」では、センサーの画角に入りさえすれば、最大で200個のバーコードを検出することも可能です。
RFID(Radio Frequency Identification)という、専用タグを非接触で読み書きする技術を使った検品システムです。専用タグにはICタグやRFタグが内蔵されており、10m程度離れた場所や、箱や梱包材程度の障害物を越えて読み取りが可能です。
バーコードを使った検品システムと異なり、RFIDリーダライタ機能を搭載したハンディターミナルを、梱包済みの箱や積込済みのカートにかざすだけで、ピッキング済み商品のタグをまとめて複数読み取れます。梱包されている状態のまま検品したい、大量の商品をまとめて検品したいという場合にはこちらのタイプが適しています。
「ロジザードZERO」のRFIDオプション機能や、「RFLogispert」など、アパレル物流や店舗向けに開発されたシステムがあります。
専用のハンディターミナルを利用する検品システムを紹介します。
(出所:barcorrect公式Webサイト)
入荷予定、出荷指示の取り込み、入出荷検品、入出荷実績リストの出力、棚卸検品のほか、棚卸差異リストや棚卸実績リストの出力、作業進捗の管理に対応。賞味期限の管理なども可能で、賞味期限が限界日を超えている場合は検品時に警告を発する。作業進捗の他、作業完了予測時刻も一目で確認できる
また、バーコードに日付と商品コードが入っているケースでも、商品コードを切り出して検品が可能。CSVデータの取り込みに対応しており、項目のマッピングができるため、他社の受注管理システムとも容易に連携できる。ハンディターミナルはもちろん、スキャナーがセットされた業務用Androidにも対応しており、現場環境に合った機器で運用できる点も強み。
(出所:検品支援名人公式Webサイト)
物流改善ステップにあわせ、最小構成から業務単位(モジュール)での導入が可能。入荷だけ、出荷だけなど、運用形態に合わせて必要なシステムだけを導入できるため、初期導入コストが抑制できるのが特徴。
パッケージシステムでありながらニーズに合わせたカスタマイズも可能。さらに「名人シリーズ」との連携による拡張ができるため、自社の運用にあわせた柔軟なシステム構築ができる。独自の基幹システムとの連携も容易。また、リストと合致しない場合はアラートを発することで誤出荷などのミス軽減も期待できる。
(出所:倉庫Producer公式Webサイト)
入出荷予定、検品実績リストの出力のほか、未入荷の管理や棚卸実績の管理が可能。データはCSV形式での取り込みと出力に対応しているため、他システムとの連携が可能。PCに履歴として残せるので、トレースデータとして活用できる。搬送ロボットや自動倉庫との連携ができるため、倉庫全体の省人化も目指せる。
また、ハンディターミナルは出荷検品管理のほか、モバイルプリンターと連携することで荷札や送り状、更に出荷ラベルに対応。加えて倉庫管理システムと連携することで、入出荷数の管理と倉庫の在庫数管理をデータとして活用できる。
(出所:バーコード出荷検品システム公式Webサイト)
出荷に特化した検品システム。上位ホストから出荷データが送られ、ピッキングリストを出力すると同時に、SCMラベル(出荷梱包表示ラベル)と商品値札の発行が可能。また、ASN(事前出荷実績データ)を作成できるため、収作業や経常作業が効率化される。
ハンディターミナルによる出荷検品時に、値札バーコードとSCMラベルをスキャンすることで、1箱分の検品終了の合図を管理PCに出力する。アパレル物流での導入事例があるように、量販店でも対応できる汎用性があるほか、メンテナンス作業についても直接現地に行くことなくリモートで実施できる。
(出所:HYPERSOL WMS公式Webサイト)
三菱電機が手掛ける倉庫管理システム。フリーロケーション、ロット管理、先入先出に対応。QRコードを専用のハンディーターミナルで読み込むだけで、保管場所や保管数量を管理可能。3項目のロット情報を持つことができるため、製造日・入荷日・メーカーロットなどを組み合わせた柔軟な管理ができるのもポイント。在庫引当の際には、有効期限や入庫日順などルールに沿った在庫引当を行うことで、先入れ先出しも実現できる。
また、導入済みのERPや生産管理、販売管理などの上位基幹系システムにあわせて実績データを柔軟に連携できるため、既存システムの一部として運用できる。
スマホ・タブレットをハンディターミナルの代わりに利用する検品システムを紹介します。
(出所:ハヤブサ公式Webサイト)
AndroidタブレットやiPadのカメラを利用して、バーコードの高速スキャンが可能。JANコードやQRコードをはじめとして、約40種類のバーコードシンボルの認識に対応している。バックカメラだけでなく、フロントカメラでの読み取りにも対応しており、タブレットの設置場所やスタイルを限定しないので、作業環境に応じた柔軟な設置ができるのが特徴。
検品内容の印刷のほか、配送の送り状発行にも対応が可能。すぐに梱包作業を開始できるため、業務効率化も期待できる。Webブラウザでも利用できるため、システム導入の人的コストも小さく、管理業務の場所を縛られない。また、検品データはCSVで既存システムと連携できるため、導入済みの管理システムと共存しやすい。
(出所:s-flow公式Webサイト)
販売管理を総合的に行うクラウドシステム。販売・仕入・在庫の管理を総合的に行え、入出金管理やシステム運用に便利な機能が標準装備されている。
スマホ検品は販売管理のオプション機能となっており、スマホのカメラでバーコードやQRコードを読み取ることで、ピッキング、入出荷の検品、棚卸検品が可能。また、ネットショップアプリBASEと連携しているため、ECの出荷管理も容易に可能。販売管理システムを含めて導入を検討する場合は候補になる。そのほかに情報共有の機能も充実。担当者への作業割当通知や作業予定通知が可能で、タイムリーな情報共有に貢献。
固定カメラによる読み取り型の検品システムを紹介します。
(出所:ロジマッチ公式Webサイト)
固定カメラに設置されたセンサーで検品を行うタイプのシステム。商品が斜めになっているなどの複雑なピッキングパターンでも検出が可能。また、センサーの画角に入れば最大200個までのバーコードを同時に読み取りができる。納品書と商品のバーコードを同時に読み取ることもでき、加えて複数の商品を瞬時に検品可能なため、作業時間の大幅な短縮を実現できる。
本体はキャスター付きで、移動可能なコンパクトなサイズのため、設置場所を固定されないのもポイント。検品時に画像を撮影し、一定期間保管できるので、配送トラブルが発生した場合でも検品内容を画像で担保できる。EC万引きなどのトレーサビリティの課題解決にも効果的。
(出所:ArithCheck検品パッケージ公式Webサイト)
中小製造業向けの簡易型AI検品システム。FCNTの「エッジAIカメラ」と、学習用のサンプル(良品と不良品)を準備するだけで、人工知能(AI)モデルを生成できるArithmerの検品パッケージ「ArithCheck」を連携させることで開発された。ベルトコンベア上を流れる対象物の検査対応や、協働ロボットとの組み合わせにより、検査・検品の自動化・省人化を実現できる。無線通信を利用して画像を転送するため、製造ラインを柔軟にレイアウト変更できる点が強み。また、AIカメラは専用の放熱構造も備えているため、スマホなどの使用が困難な工場内などの過酷な環境下でも安定した稼働を実現することができる。
RFIDを利用することで、梱包されている商品も検品できる検品システムを紹介します。
(出所:ロジザードZERO RFIDオプション機能公式Webサイト)
WMS(倉庫管理システム)ロジザードZEROのオプション機能。RFIDタグを導入することで、複数商品の同時読み取りが可能に。10cm離れた場所からでも読み取りが可能なため、段ボールなど直接目視できないタグの読み取りにも有用。導入事例の中には約3万点の入荷検品を、3台のRFIDリーダライタによって2日間で完了した実績を持つ。
荷受時間を短縮することで、売れ筋商品や旬の商材の販売機会損失を削減することが可能。更にアプリと連携して商品コードを選択することで、RFIDリーダライタが音を発し、保管されている商品を探す機能も実装している。
(出所:アパレル物流・店舗向けRFIDシステム公式Webサイト)
アパレル物流やアパレル店舗に特化したRFIDシステム。自社開発のUHF帯リーダライタによって、RFIDで逆に発生しやすい「別のICタグを読み込んでしまう」という障壁を克服。トンネル型リーダライタを導入すれば、自動搬送ラインの高速仕分け制御システムにより、入荷検品自動化も実現可能に。それ以外にも、ハンディーリーダライタによって店舗の在庫を手軽に読み取れるため、バックヤードの棚卸作業を効率化。棚卸に掛かる作業時間を大幅に削減できる。
商品販売時もバーコードを一つずつ読み取るのではなく、まとめて登録可能。レジにおける業務効率が大幅に上昇する。また、UHF帯RFIDゲート設置によって商品の不正持ち出しを検知することができる点も強み。
(出所:RFLogispert公式Webサイト)
業務に適した機能を組み合わせてカスタマイズ利用できる検品システム。ハンディーリーダライタに加えて、トンネル型リーダライタにも対応。ハンガーラックやカゴ車を押しながら通過するだけで、積まれている商品のタグを一括で読み取り、入出荷検品が行える。また、自動搬送型のトンネル型リーダライタもあり、自動搬送ラインに導入が可能。ハンディーリーダライタにはカラー液晶が搭載されており、ピッキング指示をデバイス上で確認しながら作業実施ができる。ピックした商品はハンディーリーダライタが自動的にスキャンするため、スムーズなピッキング作業が可能だ。特定の商品を探したい場合は、スコープ画像と音でRFタグのある場所まで誘導してくれる。
入荷検品や出荷検品、棚卸検品は、目視で行うと大変な工数が掛かる作業であり、効率化しても人為的なミスを減らすことが難しい部分です。自動検品が可能な検品システムを導入し、検品に掛かる人的コストや作業負担を軽減して、すばやく正確な検品を行うことは、販売機会損失を削減したり、出荷ミスによる顧客からの信頼失墜を避けたり、様々なメリットがあります。
検品システムには読み取りを行う端末によって4つのタイプがあります。
(1)ハンディターミナルによるバーコード読み取り型
(2)スマホ・タブレットによるバーコード読み取り型
(3)専用カメラによる読み取り型
(4)RFIDを用いた読み取り型
検品システムにはハンディターミナルや読み取り機器によって様々な種類があり、システム規模や導入コストも様々です。事業内容や事業所の規模、希望する業務内容にあわせて、適したサービスを検討してみてください。
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