ジョブ管理システムや統合運用管理ツールの導入を検討している、システム運用管理担当の方へ。ジョブ管理を自動化して実行や監視にかかる工数を削減するジョブ管理システムについて、無料で使えるOSSから統合管理まで幅広く紹介します。
ジョブ管理システムとは、コンピューター上のジョブを制御し、実行や終了状態の監視と報告を行うためのソフトウェアを指します。
ジョブとはプログラムやバッチ処理といった、コンピューターに行わせるひとまとまりの処理を指します。ジョブ管理システムは、複数の「ジョブ」のスケジュール管理や実行を制御し、自動化するシステム。ジョブスケジューラーやタスクスケジューラーとも呼ばれます。
比較的シンプルなジョブ管理システムはOSに標準搭載されていることもあり、標準搭載のツールでジョブ管理をしているインフラ担当者や情報システム部門も珍しくありません。しかし、標準搭載のツールで対応しきれないジョブは、手動で作業を行う必要があります。また、サーバーのメンテナンスのように業務中に行うのが難しく、細かな監視が必要なジョブを管理する場合は、管理者に夜勤が発生することも。
そのようなジョブ管理にかかる負担を軽減するため開発されたのが、ジョブ管理システムです。
ジョブ管理システムをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
ジョブ管理システムに搭載されている主な機能として、以下のようなものがあります。
GUI上で業務フローに応じたジョブを作成できます。作成したジョブは、定期的に決まったタイミングで実行させ、特定のジョブが正常に終了した場合、次のジョブを起動するといったスケジュールの設定が可能に。複数カレンダーや、複雑なジョブの先行関係の設定、実行トリガーの組み合わせのほか、イレギュラーな実行計画の管理にも対応しています。
ジョブが実行されたとき、もしくは終了したときに異常が発生した場合、オペレーターや管理者にメールやチャットの通知などで異常を報告する機能。すぐに異常に気付けるため、問題が拡大する前に迅速な対処ができるようになります。異常の通知と一緒に、エラーログを添付する機能があるシステムも。
ジョブを実行した際のログを保存・参照する機能。参照機能が優れていると、異常ジョブの停止した原因や箇所をすぐに特定できるため、ジョブの修正や再実行にかかる手間を最小限に抑えられます。
なんらかの原因でジョブの実行に失敗した場合、自動的にリトライする機能。ジョブの実行失敗は、異常によるトラブルに限らず、なんらかのエラーが原因で失敗することも珍しくありません。また、プロセスの停止やインスタンスのダウンによって実行に失敗することも。そこで、実行失敗の検出をトリガーとして、自動的にリトライする機能を搭載しています。
ジョブの実行にあわせて、クラウドインスタンスを起動・停止させたり、オンプレミス環境の高負荷時にクラウドのリソースを使用したりする機能。ジョブは常に実行されているわけではないため、実行時のみ高負荷に耐える環境を一時的に作り、実行が終わったら確保したリソースを自動的に解放することで、コンピューターの計算資源を無駄なく利用できます。
ジョブ管理システムには、大きく分けて以下の3つの種類があります。
ジョブ管理に特化したシステム。小規模から中規模のインフラ管理に向いており、数台の社内サーバーの管理・運用・保守や、小規模なクラウドサービスのジョブ管理をしたいという場合に適しています。
大規模なジョブ管理にはあまり向いていませんが、「A-AUTO 50」のように無料で使えるジョブ管理ツールもあります。
統合運用管理ツールの追加機能として、ジョブ管理が搭載されているタイプ。統合運用管理ツールの導入を検討している、もしくは統合運用管理ツールを既に導入している環境に、ジョブ管理システムを追加したい場合におすすめです。
たとえば、「Hinemos」では、監視・ジョブ管理・分析・自動化まで一連のフローをまとめて管理可能。サーバー・ネットワーク機器のパフォーマンス情報や、システムのインフラ情報などの社内の利用データはもちろん、ACWやAzure Monitorといった外部サービスのログ収集・蓄積にも対応しています。
中規模から大規模なジョブ管理に向いているシステムで、基本的に数十台のサーバーを運用するようなインフラ環境に適しています。
オープンソースとしてソースコードを公開しているジョブ管理ツール。オープンソースなので、無料で利用が可能に。更に、自社のシステムにあわせてソースコードを改良しやすく、細かなカスタマイズができるのが強みです。
「Rundeck」のようにオープンソース版とエンタープライズ版があるツールや、オープンソースソフトウェアのサーバー管理ツールとして人気が高いZabbixと連携して利用できる「Job Arranger for Zabbix」などが挙げられます。
ジョブ管理システムは基本的な機能は似通っていますが、UIやジョブ設定の容易さ、ほかのサービスとの連携のしやすさなどに違いがあります。ジョブ管理システムを選ぶ際に押えておきたい比較ポイントを見ていきましょう。
ジョブの種類や実行のタイミング、トリガー条件は多岐に渡り、ジョブ設定はジョブ管理業務においてかなりの負担に。そのため、ジョブ設定のしやすさは重要なポイントの一つになります。
たとえば、「POLESTAR Automation」には9種類のジョブ作成ウィザードを備えており、目的や設定内容に最適化されたジョブ作成を実現。また、1,000種類以上のサンプル・自動化ジョブテンプレートが用意されているので、細かなカスタマイズも可能です。
「Job Director R16」のように、関連するジョブネットワークをGUIで定義したり、複雑な条件分岐による実行フローを作成したりといった機能を搭載したツールも。更に、オプションの「JD Assist R16」を使用すれば、Excelファイルをエクスポートし、定義済みのジョブネットワークの一覧表示や編集、保存が行えるように。
ジョブは業務内容によっても異なります。用意されたジョブのパーツ以外に定義を変更したり、細かく設定したりする必要が出てくることもあるでしょう。そのため、ジョブ設定の自由度も大切な判断基準になります。
たとえば、オープンソースの「JS7®JobScheduler」は、プログラマブルなジョブ設定が特徴。shell、PowerShell、Java、JavaScript、Pythonなどを使ってAPIを活用するロジックを記述できるほか、外部APIによりジョブ実行の制御や状況の取得ができます。
ジョブ管理システムは、クラウドサービスやオンプレミス環境などを横断的に制御する必要があります。そのため、ジョブ管理システムのエージェントに対応したOSかどうかはもちろん、クラウド環境への対応や、管理できるデータベースの種類、SAP HANAとの連携などを確認しておかなければなりません。
たとえば、「Systemwalker Operation Manager」では、オンプレミス上の基幹業務とAWSやMicrosoft Azureのようなクラウドサービスをシームレスに管理する、ハイブリッドクラウド環境でのジョブ運用を実現。
「JS7®JobScheduler」は、代表的なMySQLやMariaDBのほかにも、PostgreSQL、Oracle、DB2、MS SQL Serverなどの幅広いデータベースに対応。現在稼働しているほとんどのデータベースを管理できます。
小規模なジョブ管理に適した、特化型のジョブ管理システムを紹介します。
(出所:JobStar公式Webサイト)
直感的な操作ができるシンプルなUIで、導入設定や運用の容易さが特徴のジョブ管理ソフト。監視端末用の「JobStarクライアント」、運用管理サーバー用の「JobStarマネージャ」、外部システム連携用の「JobStarユーティリティ」、実行サーバー用の「JobStarエージェント」の4つのパッケージで構成されている。
フローチャートを描くような感覚でジョブネットを作成したり、ジョブネットの中に入れ子でジョブネットを定義したりするほか、失敗時のリカバリー経路の定義も可能。また、ジョブネットの細かな実行予定の作成や、予実績管理による監視、異常終了したジョブを起点とした再実行など、様々な操作を実現する。
(出所:Job Director R16公式Webサイト)
定型業務やバッチ処理の自動運用、スケジュール管理などを行うためのジョブ管理ツール。「標準搭載のタスクスケジューラーでは足りないが、統合運用管理ツールでは機能が多すぎる」といった小規模の管理に特化している。バッチ処理の管理以外にも、クラウドサービスやRPAなど、プラットフォームを跨いだジョブ管理に対応。AWS、Azure、UiPath、BOXなどのクラウドサービスは、制御部品が標準で用意されており、サービス独自のコマンドに関する知識がなくてもジョブ管理を行えるように。スクリプト開発をする必要もないため、導入や運用にかかる現場の負担を軽減する。
(出所:A-AUTO 50公式Webサイト)
無料で利用できるオープンソースソフトウェアのジョブ管理ツール。ジョブの起動条件の管理やスケジューリング、ジョブの進捗監視、監査証跡機能といった基本機能を網羅。50ジョブまでの小規模な業務用途に特化しており、ネットワークは50ネットワークまで、イベント連携機能で使用するワークも50ワークまで利用可能だ。
ライセンス数に制限はなく、ライセンスごとに50ジョブまで対応。柔軟なジョブ起動条件の定義をはじめ、バッチ処理日と休日が重なってしまった場合にスケジュールを自動調整する機能も備えている。複数のカレンダーを用いて、締め日を基準としたスケジューリングにも対応する。
(出所:POLESTAR Automation公式Webサイト)
構成管理とジョブスケジューラー機能を組み合わせて提供する、オールインワンITインフラ運用自動化ソリューション。目的や設定内容にあわせて最適化された9種類のジョブ作成ウィザードを備え、マウスの操作だけで簡単に自動化ジョブの作成・登録・実行に対応。利用者のスキルを問わずに使用できるよう、ユーザー視点での画面表示や操作方法を考慮して開発されている。
1,000種類以上のサンプルジョブを無償で提供しており、カスタマイズも容易。日々新たなサンプルジョブも追加されている。点検ポリシー・テンプレートも200種類以上用意し、組み合わせることで導入した当日からスムーズな自動化を実現する。オンプレミス環境はもちろん、クラウドサーバーや仮想サーバー、SNMPで接続が可能なネットワーク機器など、ハイブリッド環境の一元管理に有用だ。
(出所:WebSAM JobCenter公式Webサイト)
豊富な制御部品を備え、プログラムレスでフロー作成を実現するジョブ管理ツール。画面上で制御部品をドラッグ&ドロップするだけで、簡単にジョブフローの定義が可能に。また、オフラインでExcelによる一括編集・設計もでき、ジョブ管理システムのUIに慣れていない管理者でも容易にジョブ設計が行える。異常箇所はアイコンの色の変化ですぐに見つけられ、業務の状況進行を一目で把握できるように。異常が発生した際の迅速な対応に役立つ。
稼働日のカレンダーとルールを組み合わせ、複雑なスケジュールにも対応。「●分間隔で繰り返し実行」「毎月●営業日目に実行」「休止日でも強制的に実行」など、柔軟なスケジュール設定に有用だ。
(出所:LoadStar Scheduler公式Webサイト)
マウスオーバーによる説明表示やドラッグ&ドロップでのジョブ操作など、マニュアル不要の直感的な操作に強みを持つジョブ管理ツール。ジョブステータスはカラフルなアイコンでわかりやすく表示され、進捗インジゲータによってジョブの状態を一目で把握可能に。
ジョブの定義登録をする際、事前にチェックを行う機能を搭載。ジョブを実行するサーバーの有無や、スケジュールに論理的な矛盾がないかなどを確認でき、試験工数の削減・品質の向上にも役立つ。ジョブ定義情報はCSVでのエクスポート・インポートに対応しており、ほかのツールからの移行やバックアップに活用できる。
大規模なジョブ管理が可能な、統合運用管理ツールを紹介します。
(出所:Hinemos公式Webサイト)
エンタープライズシステムの監視やジョブ管理、運用の自動化に貢献する統合管理ソフトウェア。運用業務の定型化・自動化を容易にする豊富な機能を搭載しているのに加え、RPA、ITSMツールなどのソリューション連携機能も多数用意されている。シンプルなワンパッケージで提供しているため、管理対象の増加・複雑化に伴うツールの乱立を回避。GUI操作を前提に設計され、高度な知見を必要とせずに複雑な運用を実現する。
グローバルで活用できる点も強み。各種機能やマニュアル、サポートサービスなどは日本語・英語に対応している。オンプレミス・物理サーバーで構成されたシステムはもちろん、幅広い仮想化・クラウド環境の統合運用管理も一つのツールで完結する。
(出所:JP1 ジョブ管理プラットフォーム公式Webサイト)
統合運用管理ツール「JP1 Cloud Service」の拡張機能。オンプレミス、マルチクラウド、ハイブリッドクラウドなど環境が異なるシステム間をまとめて管理・監視し、「JP1 Cloud Service」の安定稼働に貢献。業務全体の進捗状況や正常・異常終了、遅延といった状態別の実行件数など、業務ごとの実行状況を一目で把握でき、問題が発生した際の迅速な対処をサポートする。
ツールのUIもわかりやすく、業務アイコンを実行順に並べるだけでフローを可視化し、自動実行を定義。また、条件を複数設定し、実行条件が複雑な業務の自動化も実現する。運用中の業務を停止せずに、指定日時で業務を自動的に切り替えることもできるので、切り替えに伴う停止リスク低減にも役立つ。
(出所:Systemwalker Operation Manager公式Webサイト)
運用管理コンセプトに基づいて、ジョブのスケジューリングや監視、操作など、業務運用をトータルに自動化し、安定稼働と低コスト運用を実現する統合運用管理ツール。サーバーの電源管理や、定型バッチ業務、オンライン業務の自動化、業務の実行状況の監視、実績管理などを効率化する。
システム全体の自動化だけでなく、全体的な業務のスケジューリングまで対応。ガントチャートとジョブネットのフロー図で業務の実行状況を可視化し、トラブル発生の初期段階での早期検知に役立つ。また、多様なスケジュール条件設定によって、フレキシブルな業務運用に貢献。オンプレミス上の基幹業務とクラウド上のサービス業務をあわせて管理でき、ハイブリッド環境下でのシームレスなジョブ運用をサポートする。
(出所:Senju Family / mPLAT公式Webサイト)
パッケージ型の「Senju Family」と、Saas型で提供する「mPLAT」がセットになった統合運用管理ツール。システム監視やジョブ管理から、AIOps、マルチクラウド管理まで対応。金融機関やメーカー、自治体をはじめ、海外拠点の企業でも導入実績がある。
ツール内のソリューションの一つに「ジョブ管理ツール統合ソリューション」が含まれ、混在するツールを横断的かつ統合的に管理。RPAやSAP HANAとも連携し、シームレスで自律的な運用に貢献する。
(出所:OpManager公式Webサイト)
10,000以上の設置テンプレートを搭載し、導入から最短10分で監視をはじめられる、中小規模のシステム向け統合管理ツール。Cisco製のルーターや、IBM製・HP製のサーバー、Juniper製スイッチなど、様々なネットワーク機器に対応しており、標準テンプレートで簡単に監視ツールの運用を実現する。
大規模ネットワークの監視にも対応しているため、遠隔地からのリモートネットワーク監視や、データセンターでの運用といった活用方法も。マップの自動作成でネットワークの状況が可視化され、迅速な障害対応にも役立つ。
無料で使えるオープンソースのジョブ管理システムを紹介します。
(出所:Job Arranger for Zabbix公式Webサイト)
Zabbixの機能を活用し、ジョブの効率的なスケジューリングと自動化を実現する、オープンソースのジョブ管理ソフトウェア。システム全体が軽量で、環境に左右されずスムーズに動作するのが特徴。直感的に理解しやすいフローチャート形式でジョブフローを管理し、タスクの流れの把握が容易に。変数の利用が可能なため、変数の値を操作・判断することで、より複雑なジョブ管理が行える。
ほかのアプリケーションと連携しやすく、ジョブ管理機能を外部操作するためのインターフェースを搭載している。
(出所:JS7®JobScheduler公式Webサイト)
ジョブ定義・実行・管理環境を備える、オープンソースのジョブ管理システム。前バージョンの「JobScheduler V.1」と比較して、耐障害性や大規模環境対応が強化されている。従来から継承されたプログラマブルなAPI環境によって、柔軟なスケジュール対応や、簡単な条件分岐といった運用のしやすさを維持しつつ、高度な分散環境での運用を実現している。
ジョブはshellジョブと、GraalVMで稼働するJavaScript、PythonといったJVMジョブに対応。ジョブ定義やカレンダー、スケジュールなどの定義は、JSON形式でインポート・エキスポートが可能だ。
(出所:RunDeck公式Webサイト)
ジョブの作成や実行、管理、スケジューリングができるオープンソースのジョブ管理ツール。LDAP認証でディレクトリサービスを利用することで、細かいアクセス制御やログイン連携を実現。Javaで動作するため、幅広いOSでの運用も可能だ。また、Webインターフェースからジョブやノードの管理にも対応している。
ジョブやノードを組み合わせた「プロジェクト」という単位で管理を行い、Webインターフェースから一元管理。ジョブ実行時の様々なタイミングで通知するほか、メール、Webフックに加え、プラグインの追加によってSlackやRocket.Chatからも通知するなど、多彩な通知方法も特徴だ。
ジョブ管理システムを活用し、業務を自動化することで、人力での処理よりもスピーディーかつ正確に業務を処理できるように。DXを進めるにあたって、ジョブ管理システムの導入は避けては通れないでしょう。しかし、様々なツールを横断して利用している場合、どんなジョブ管理システムを導入すればよいのか悩ましいところです。
ジョブ管理対象が小~中規模であれば特化型、オンプレミス環境とクラウド環境が複雑に入り組んでいる場合や、ジョブ数が多い中~大規模の場合は、統合運用管理ツールがおすすめです。また、プログラマブルなジョブ管理システムを探しているのであれば、オープンソースのジョブ管理ツールが適しているでしょう。
ジョブ管理システムを選ぶ際は、下記のポイントに沿って比較するとスムーズです。
自社が導入しているシステム環境とすりあわせながら、自社の求める規模に合致したジョブ管理システムの導入を検討してみてください。
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