最終更新日:2024-04-30
介護施設の事故防止や見守り負担の軽減のためにDX化を検討している担当者へ。見守りセンサーなどを用いた介護施設向け見守りシステムについて、概要や仕組み、機能、タイプ、比較のポイントとともに、おすすめのシステムを紹介します。
介護施設向け見守りシステムとは、部屋やベッドに設置するセンサーやカメラ、AIを用いて、福祉・介護施設の入居者(利用者)の異常や予兆を検知するシステムです。
転倒・転落の防止や、温度など室内の状況確認、離床やドア開閉などの検知、夜間巡回作業の負担軽減(見回り回数の低減)などに使われます。
多くの介護施設では、利用者の室内での転倒やベッドからの転落を防ぎ、また異変をいち早く察するために、夜間を中心に巡回を行います。ただし、高齢化によって需要が高まる介護施設において、人手不足が慢性的な課題に。負担の多い夜間巡回にリソースを割いてしまうと、本来の業務である利用者のケアに支障が出る恐れがあります。
介護施設向け見守りシステムの導入により、訪室することなく室内の状況が把握できるため、ケアの質の向上と業務効率化を同時に実現できます。必要な時に適切な訪室を行えるため、コール対応業務の削減にも役立つでしょう。
更に、スタッフの負荷が減って利用者へのサービス提供時間が増えることで、ケアの質が向上。すぐ異変に気づけるので、不測の事態の抑止にもつながります。
介護施設向け見守りシステムをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
どのような仕組みで入居者の異常や予兆を検知できるのでしょうか。設置の手順とともに、わかりやすく解説します。
まずは各種センサーやカメラを、利用者の居室(天井、ベッドなど)やトイレといった、見守りたいスペースが確認できる位置に設置します。必要な機器は各システムによって異なるため、入念に確認しましょう。また、機器は必要な居室(スペース)の数だけ必要になります。
各種センサーやカメラとシステムを連携させたら、見守りがスタート。設置したモニターやPC、タブレット、スマホなどに情報や映像が届きます。
利用者それぞれの室内での状況が可視化・一覧化されるので、巡回・訪室することなく利用者の状態を把握できるように。転倒、無呼吸といった異変を検知した際には、管理画面のアラートや、スマホへのプッシュ通知で知らせてくれます。中には、AIが離床タイミングを予測し、プッシュ通知で知らせるシステムもあります。
使用できるセンサー類は各システムによって様々なので、検知・把握できる範囲が異なりますが、主に以下のような活動状況が把握可能です。
対象 | 説明 |
---|---|
離床・入床 | 端座位や手足の動きに反応。特に離床の把握に役立つ。 |
徘徊・夜間の行動 | 夜間に就寝せず、活動している場合に検知・通知。 |
転倒・転落 | 居室内での転倒やベッドからの転落を検知・通知する機能。転倒・転落を検知した際に、前後1分のエビデンス動画を録画できるシステムも。 |
ベッドの不在 | ベッドから離れて、一定時間戻らない場合に通知・通知。 |
ドアの開閉 | ドアセンサーを使った開閉の検知・通知。 |
トイレの利用状況 | トイレの利用状況を把握し、滞在時間が想定より長い場合などの異変を検知・通知。排泄センサーを使い、排泄情報の一元管理ができるシステムも。 |
心拍数・呼吸 | 心拍停止や無呼吸・過呼吸など異常を検知・通知。 |
睡眠状態 | 睡眠・覚醒などの状態や、睡眠中の呼吸・心拍を確認する機能。無呼吸症候群の発見にもつながる。 |
そのほかにも、ICT機器との連携によって、施設のニーズに合わせたカスタマイズが可能です。
介護施設向け見守りシステムは、大きく3つのタイプに分けられます。
室内やトイレなどに取り付けた各種センサーやカメラを使って、居室やトイレ内の各種活動を把握する、もっともオーソドックスなタイプ。
たとえば「LASHIC-care」では、各種リスクの自動警告はもちろん、運動量や居室の在不在の検知、離床時刻の予測まで対応しています。「ナースコール」機能では、スマホから居室への発信や双方向通話が可能。イヤホンを組み合わせれば、どこにいても入居者との会話が可能に。
更に、部屋の温度や湿度が把握できる「ライブコネクト」や「Yuiコール 生活状態見守りシステム」といったサービスを利用すれば、近年の課題である熱中症防止に役立ちます。
「居室見守りタイプ」の機能を持つサービスのうち、収集したデータの分析も得意なのがこのタイプ。分析したデータは、利用者フォローの質向上や業務改善などに活用できます。
睡眠解析技術をベースにした「ライフリズムナビ®+Dr.」では、センサーから収集されたデータに基づいて、生体情報をリアルタイムでグラフ化できるほか、健康レポートやライフリズムスコアの作成も可能。疲労回復度や快眠指数、快適環境指数などを可視化してくれます。
睡眠時の見守りに特化したタイプ。ベッドに取り付けたセンサーを主軸に、離床や覚醒、睡眠状態や体重推移、生活リズムなどを把握できます。
「センシングウェーブ」では、睡眠状態をセンシングして、Web画面にリアルタイムで表示。睡眠の深さや心拍相当数、呼吸相当数、離床・入床などを取得し、異変を感知したらアラートで通知します。
タイプを検討したら、以下の3つのポイントで比較することで、各施設に適したサービスが選べます。
前項で解説したように、検知可能な項目は利用するセンサーの種類によって異なります。そのため、まずは検知・把握したい入居者の行動や活動を絞り込みましょう。そして、居室内の行動を把握したいなら人感センサー、無断外出や徘徊を防止したいのであればドアセンサーといったように、対応しているセンサー・機能を搭載しているサービスを選びます。
たとえば「LASHIC-care」は、居室センサー、ベッドセンサー、ナースコール、呼び出しボタン、ドアセンサーといった機能を提供。居室センサーで運動量や在不在を把握し、ベッドセンサーで離床予測や睡眠時の脈拍測定を行い、更に居室センサーとベッドセンサーを組み合わせて各種リスクを通知する、といった使い方ができます。
居室とトイレの見守りに強みを持つ「kizkia-Knight」の場合は、AIカメラで居室を、赤外線センサーでトイレをそれぞれ見守り。また、独自の排泄センサーを備えた「LIFELENS(ライフレンズ)」のようなシステムもあります。
移動中など固定モニターが確認できない状況下では、スマホアプリから利用者の状況を確認できると安心。スマホアプリからどのような情報を取得できるかもチェックしておくといいでしょう。
たとえば、「まもる~のSHIP」は、各居室に設置したAI 見守りコンシェルジュ(専用センサー)を通じて、利用者の睡眠・離床、部屋の環境情報の取得が可能。臨床通知のカスタマイズやスマホカメラを通した声がけにも対応し、見守りを効率化できます。
「REMONY」では、施設担当者だけでなく、利用者本人や家族もバイタルデータの閲覧が可能。緊急時にはショートメッセージで通知することもできるため、異常検知を重視したい場合におすすめです。
睡眠時間、起床時間、心拍数といった測定データを介護記録ソフトに直接入力できるシステムを利用すれば、記録管理の手間と時間が軽減できます。介護記録ソフト(アプリ)との連携をチェックしておきましょう。
「ライフリズムナビ®+Dr.」は、「ほのぼのNEXT」「ワイズマンシステム SP」など複数の介護記録システム(介護ソフト)と連携可能。「ライフリズムナビ®+Dr.」で測定した入眠時間起床時間や睡眠時の呼吸数、心拍数、睡眠深度といった詳細データが自動で記録されます。また、バイタルやエアコン、顔認証といった既存のセンサー類とも柔軟に連携。業務の一元化や効率化を後押しします。
介護業務全般を効率化する介護ソフトをお探しの場合は「介護ソフトの比較15選。タイプ別の選び方(図解)」を、介護記録に特化したアプリをお探しの場合は「介護記録アプリのタイプ別おすすめ14選。無料で使えるアプリは?」をご覧ください。
(出所:REMONY公式Webサイト)
ウェアラブルデバイスを用いて24時間遠隔から体調管理できる見守りシステム。充電不要で活動量を測定できる独自技術を搭載した「MOTHER Bracelet」を手首に装着するだけで、心拍数・体表温・睡眠量・歩数・活動量といった基本的なバイタルデータをリアルタイムで取得可能。充電切れによるデータ欠損の心配がないのが心強い。取得データは管理画面上に自動反映され、記録作業の手間も省ける。
アラートシステムも搭載し、利用者の転倒や基準値を超える心拍値といった異変を検知すると、即座に管理画面にアラートを表示。家族の携帯電話宛にショートメッセージで緊急通知したり、容態の悪化を感じた本人がSOSを送付したりすることも可能。緊急事態の早期発見・対応を支援する。
(出所:ライブコネクト公式Webサイト)
転倒・転落防止63%減、夜間巡回作業1/3減の実績を持つ介護支援システム。離床行動、ドア開閉、夜間行動、ベッド不在、トイレ利用といった基本的な行動が把握できるほか、異常温度を検知する熱中症注意通知を搭載。入居者やスタッフとリモートでやり取りできる「ライブコネクトコール(LCコール)」、居室内の映像をタブレットで確認できる「ライブコネクトビジョン(LCビジョン)」といったサービスもそろう。
Wi-Fiなどの通信回線・電気工事が不要で、導入しやすいのも魅力のひとつ。バイタルセンサーやドアセンサー、無線コールボタン、ルームカメラなどとの連携に対応。
(出所:LASHIC-care公式Webサイト)
長年、介護現場の運営に携わってきた企業が、現場の声・要望をもとに開発した介護施設用デジタル見守りシステム。双方向通話ができるナースコールや、カメラを使わない運動量の測定、AIによる離床時間予測など、独自性の高い機能を豊富に搭載している。居室センサーやベッドセンサー、ナースコール、呼び出しボタン、ドアセンサーなどとの連携に対応。
関係のあるスタッフが全員同時にナースコールを受けられるようになるほか、呼び出しボタンが押されると、スマホアプリに通知が届くため、ナースコールシステムをリプレイスしたい場合にもおすすめだ。
(出所:kizkia-Knight公式Webサイト)
居室とトイレの見守りに強みを持つ見守りサービス。居室に設置したAIカメラと、トイレに取り付けた赤外線センサーを通じてAIが状況を把握し、トータルに見守りをする。必要な情報を通知やスマホで確認できるため、駆けつけ優先度の判断や経緯の把握が容易になる。居室ではプライバシーモードとリアル映像モードの切り替えができるほか、トイレはシルエット映像でプライバシーに配慮。転倒や異常動作を検知すると、スマホにプッシュ通知が届く。また、蓄積されたログデータを取得し、健康状態の把握やケアプランに反映することもできる。
サーバーや穴あけ工事は不要、センサー機器とスマホだけで導入できる手軽さに加え、セキュアで拡張性に優れたクラウドサービス基盤も魅力。介護ロボット補助金・助成金の対象に該当し、補助金・助成金活用に関する相談にも対応している。
(出所:すいすいケア公式Webサイト)
センサーとカメラで居室の状況を把握するIoT見守りシステム。カメラ映像で居室の様子を見られるので、すでにセンサーを使用しているが不要な検知が多く、不要な駆け付けを削減したい場合に有用だ。
様々なメーカーのセンサーを1つに集約するプラットフォームとしても活躍し、多様な利用シーンに対応。たとえば、パラマウントベッド社製の見守りセンサー「眠りSCAN」や、スマホで居室と通話できるナカヨ社製のナースコールなどと連携できる。必要最低限の機器だけで導入でき、操作もスマホでタップするだけと簡単なので、デジタルに苦手意識があるスタッフでも使いこなせる。
(出所:Yuiコール 生活状態見守りシステム公式Webサイト)
ICTを活用したナースコールシステム「Yuiコール」シリーズの見守りシステム。心拍数・呼吸数、温度・湿度、離床・在床などの状況・状態をリアルタイムでモニタリングし、ハンディナース、スマホ、タブレットや親機へ通知する。センサー情報はデータとして蓄積され、ケアサービスの向上に役立てられる。
反応速度を追及したベッドセンサーが入居者の動作を見守り、モニターにアイコンで一覧表示。起き上がりや離床を検知できるほか、夜間の見回りタイミングの参考になるため、転落や徘徊の防止にも役立つ。過呼吸や無呼吸などの異常状態になった場合は、自動でナースコールを発信。廊下や共有スペース、出入り口などのカメラとも連携ができるため、徘徊・防犯対策としても有効だ。
(出所:ライフリズムナビ®+Dr.公式Webサイト)
睡眠解析技術をベースにした高齢者施設見守りシステム。ベッドセンサー、人感センサー、温湿度センサー、転倒検知システム「ミライアイ」といった様々な機器と連携できるため、ニーズに合わせた見守り環境が構築できる。
入居者のセンサーデータを1秒ごとに表示し、リアルタイムで生体情報を解析。わかりやすいグラフで睡眠・活動・トイレ・室温などの情報を視覚化するので、利用者の状況を簡単に把握できる。睡眠ログや活動ログをもとに作成した月間の健康レポートやライフリズムスコアは、利用者の家族への説明や、薬を処方するときの判断材料としても活用可能。介護記録システムにも対応しており、データは自動で保存される。
(出所:まもる~のSHIP公式Webサイト)
各居室に設置した専属のAI 見守りコンシェルジュ(センサー)が室内の状況をリアルタイムに把握する見守り介護ロボット。利用者の睡眠・離床、部屋の環境情報を取得して、必要な情報だけを通知してくれる。直感的に操作できるスマホアプリや、設置工事不要のエアバッグセンサーなど、導入のしやすさに定評あり。
室内の状況一覧をPC画面で確認できるほか、利用者情報や睡眠状態、平均睡眠スコアといったデータをスマホの1画面に集約。時系列順のヘルスレポートによって、 「夜に目覚めてしまう日が続いている」などの傾向がわかるので、利用者へのケア対応の質向上が見込める。オプション機能として、フロアセンサー、トイレセンサー、チェアセンサーパッド、ドアセンサーを用意。
また、在宅介護向けの見守りロボットとして、「まもる~のONE」を提供している。
(出所:LIFELENS公式Webサイト)
パナソニックが培ったセンシング技術により、入居者の部屋での状態や生活リズムをリアルタイムで把握する介護業務支援サービス。IoTとAIテクノロジーを駆使した映像センサー&体動センサーによって、巡視時間を91%削減した実証事例を持つ。
目視では把握しづらい睡眠の傾向や生活リズムをレポート化。睡眠データから日中帯の活動量や夜間のトイレ時間の傾向をつかみ、夜間の転倒事故防止につなげたという導入事例も。
また、トイレの入退室時間や排泄状態を自動で検知・データ保存する「排泄センサー」との連携も便利。他社機器との連携も容易で、介護記録、介護ロボット・センサーを1つの端末で統合管理し、最適な介護オペレーションを実現できる。
(出所:HitomeQ ケアサポート公式Webサイト)
居室の天井に取り付けた行動分析センサーとライブ映像で、スタッフの負担を軽減して利用者の安全を守る。転倒・転落の前後1分間のエビデンス動画を自動録画できるため、医師への説明や報告書作成、家族への連絡がスムーズになるのに加えて、原因の分析や再発防止にも役立てられる。
ケアコールや通知数、直上視点の映像や睡眠状態から利用者様の生活リズム全体を可視化し、日々の活動量や睡眠傾向をつかむ機能も搭載。また、直上から利用者の関節点を検出して、独自のアルゴリズムで姿勢を推定する機能は、転倒事故抑制や中長期的なADL状態の把握が可能に。客観的なデータをもとにケアを実行することで、業務品質の向上につながる。
(出所:リコー みまもりベッドセンサーシステム公式Webサイト)
ベッドの脚に設置した荷重センサーが利用者の状態を検知。位置、体動、姿勢といったベッド上の状態や、24時間の生活リズムを把握して、安全と健康をサポートする。
最大20床までのベッドの状態を一目で確認可能。活動履歴や活動状況はステーションや携帯情報端末に送信され、動き出し・起き上がり・端座位・離床といった状態を8種類のアイコンでわかりやすく表示。注意は黄色、警告状態赤など、通知レベルを色で強調するなど、スタッフが少ない施設や時間帯でも効率的に見守る工夫がなされている。
(出所:センシングウェーブ公式Webサイト)
ベッドマットレスの下に設置する非接触型センサーによって、睡眠の深さ、心拍相当数、呼吸相当数、離床・入床などを取得する介護睡眠見守りシステム。管理画面から、利用者の状況が一目で把握できるようになっている。
詳細画面では睡眠の深さを比較でき、眠りの質を測ることで、ケアのエビデンスとして役立てられる。更に、睡眠導入剤の効果の見える化、リハビリの効果比較などに活用することで、ケアサービスの質の向上にもつながる。ナースコール(ケアコム/アイホン)やスマホ、介護記録ソフトなどとのシームレスな連携も強み。介護ロボット補助金、介護報酬加算対象で、1台からのテスト導入もできる。
介護施設において、スタッフの大きな負担となっている夜間巡回。介護施設向け見守りシステムを導入することで、離床・入床、ドアの開閉、睡眠状態といった利用者の行動・状態が把握でき、効率的かつ安全な運営が実現します。
介護施設向け見守りシステムを導入する際は、
(1)居室見守りタイプ
(2)データ分析にも強みを持つ居室見守りタイプ
(3)睡眠見守りタイプ
の3つから、施設の課題に合致するタイプを選びます。
そのうえで、
(1)検知可能な行動の範囲
(2)アプリで把握できる範囲
(3)介護記録システムとの連携
といったポイントで比較して、最適なシステムを絞り込みましょう。
システムによって、スタッフの肉体的・心理的負担が緩和されることで、離職予防も期待できます。事故や徘徊の未然防止は利用者とその家族の安全・安心、QOLの向上につながります。質の高いケアサービス提供のためにも、導入を検討してみてください。
介護施設向け見守りシステムをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
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