最終更新日:2024-10-23
電気代の値上がりに伴い、電力消費削減を考えている商業施設や工場、オフィスの管理部門の方へ。空調システムの基本知識やサービスを選択するうえでの比較ポイントなどに加えて、おすすめのサービスを3タイプに分けて詳しく解説します。
空調制御システムとは、オフィスビルや店舗などの空調設備を制御・管理するためのものです。建物や店舗における電気使用量の約半分を空調が占めているため、空調設備の制御・管理をすることで、エネルギーコスト削減効果が期待できます。そのため、様々な企業や施設での導入が進んでいます。
導入目的と仕組みについて、以下で詳しく解説していきます。
オフィスビルや店舗などの空調にかかるエネルギーコストを削減することが、空調制御システムの主な導入目的です。電気代のみならず、CO2の削減にもつながるため、SDGsの観点からも有益な施策であるといえます。
また、空調設備システムを導入することで、建物内の快適性が向上するというメリットも。従業員の生産性やパフォーマンスアップ、顧客満足度の向上といった効果が見込めるでしょう。
空調設備に温度センサーと制御装置を備え付けて温度を計測し、センサーから取得したデータを元に制御装置が空調の温度や湿度をコントロールするのが、一般的な空調自動制御の仕組みです。また、空調の吹き出し口から、温度・湿度を調整された空気が送り出された後も、温度センサーが定期的にデータを観測。そのデータが制御装置にフィードバックされることで、快適な温度・湿度を安定的に維持します。
中には、既存の設備に温度センサーや制御装置を後付けできる場合も。既存の設備のメーカーと同じ会社が提供する空調制御システムを採用するか、温度センサーと制御装置の後付設置に対応したシステムを選ぶとよいでしょう。
おすすめの空調制御システムをタイプごとに分けると、次の通りです。
【様々な業種対応型】
「おまかSave-Air®」「エナジーセーバー」「DK-CONNECT」など
【オフィスビル特化型】
「SFM for Office」「RICOH Smart MES 照明・空調制御システム」「P-AIMS」
【データセンター特化型】
「Smart Facility Manager」「Smart DASH®」
記事後半では各システムの詳細を説明していますので、「すぐにおすすめを知りたい」という方は、おすすめの空調制御システムからご覧ください。
「選び方も含めてもう少し詳しく知りたい」という方は、このまま記事を読み進めてください。空調制御システムの機能やタイプ、比較ポイントなどをわかりやすく解説していきます。
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空調制御システムの主な機能として、以下の7つが挙げられます。
設定した範囲内に温度を維持したり、設定した温度に達するとエアコンを自動的にON・OFFしたりできる機能。センサーから得られたデータに応じて、自動で湿度をコントロールできるサービスも。
空気の流れを制御し、温度・湿度を調整した空気を均等に配分できるよう、空気の吹出口やダクトの開閉によって、風量や風向をコントロールする機能です。
最適な温度・湿度設定になるように空調を制御することで、消費電力を効率化する機能です。また、ピーク時に発生する電力需要を抑制するデマンドコントロール機能を搭載したサービスなら、SDGsにも貢献するビルエネルギー管理システム(BEMS)を実現できます。
スマホやタブレットなどのモバイル端末やPCから、遠隔操作で空調制御の設定や管理ができる機能です。
センサーやカメラを使って室内の状況を監視する機能。異常があればアラームが鳴るよう設定すれば、施設内の空調状況を正確に把握し、素早く対応できるようになります。
温度・湿度のデータはもちろん、各フロア・各エリアの温度分布図や電力消費量など、空調設備に関するデータが管理画面から簡単に確認できる機能。これらの機能を搭載したシステムなら「データの見える化」が実現できます。
指定した時間帯に、空調の動作を自動的に切り替えられる機能です。時間帯だけでなく、曜日ごと、季節ごとといったタイムスケジュールを設定できるサービスも。
空調制御システムのタイプは、大きく分けて以下の3つがあります。
オフィスビルはもちろん、小売店舗、商業施設、ホテル・旅館、物流センター、医療機関、学校、工場など、多種多様な大型施設に対応しているタイプ。独自の制御アルゴリズムやセンシング技術により、業種や業務形態に合わせてカスタマイズできる点が特徴です。
たとえば、食品製造工場では、食品の品質を保つために厳密な温度・湿度管理を提供。医療施設では、特殊なフィルターや換気システムを用いることで、院内感染の予防にも対応できます。
「エナジーセーバー」は、室温をモニタリングすることで室温のムラを小さくできるため、商業施設やオフィスはもちろん、低温管理が必要な食品スーパーや冷蔵倉庫、データセンターなどでも活用されています。
「おまかSave-Air®」では、導入の際に現場調査を実施。様々な業種に合わせた工事方法やサービス内容の提案が受けられます。
オフィスビルの空調制御に特化したタイプ。オフィスビルの規模や用途に応じて、快適な環境を提供することを目的に導入されています。人感センサーによる制御など省エネルギー化に対応しているほか、異なるフロアやエリアごとに、個別の温度設定ができるサービスも。
たとえば「SFM for Office」には、既存のビル管理システムと連携して空調制御を行なうための機能が搭載されています。また、「RICOH Smart MES 照明・空調制御システム」のように、「照度・人感センサー」を使うことで、人の利用状況や照度を把握して照明の制御にも対応したサービスも。
データセンターの空調制御に特化したタイプです。多数のサーバーが高密度で集結しているデータセンター内は、サーバーの発熱によって室温が上がりやすい環境にあります。室温が上がるとサーバーの誤作動やシステムダウンを起こす可能性があるため、データセンターに特化した空調制御システムが果たす役割は重要です。
データセンターに特化した機能として、室内を適温に保つ高度な冷却技術や、災害時にも空調が停止しないシステムなどが必要に。たとえば「Smart Facility Manager」では、 IoTセンサーにより1分間隔でリアルタイムにサーバー温度をモニタリングできるほか、自社開発AIをつかった空調の自動制御に対応。データセンターの大きな課題である空調電気料金の削減にも役立ちます。
データセンターの空調制御に関しては、「AIとIoTの空調制御でデータセンターの省エネを自動化!」でも、詳しく解説しています。
空調制御システムを選択するうえで重要となる、3つの比較ポイントを以下で解説します。
空調制御の仕組みはサービスによってそれぞれ異なるため、取り付け方法や設置場所も含めて、自社にあったものを見極めることが大切です。室温の快適性を重視する場合は、電力消費を削減しながら室温をコントロールする機能や、エリアやフロアごとに細かく把握・制御できる機能を搭載したシステムを選ぶと良いでしょう。
たとえば、「エナジーセーバー」や「SFM for Office」は、温度センサーで室温の変化をいち早く検知・制御することで、室温のムラを解消します。また、「おまかSave-Air®」や「EM CLOUD」は、室外機の負荷率を制御することで、快適性とコスト削減を両立します。
デマンドとは基本料金に影響する消費電力の平均値のこと。このデマンドを制御することで基本料金を最適化が可能に。「デマンド制御」機能を搭載したシステムでは、空調の稼働状況を監視しながら動きを細やかに調整できます。
ほとんどのサービスがデマンド制御に対応していますが、提供会社によってデマンド制御の仕組みは様々です。たとえば、「DK-CONNECT」では、段階的に空調機の能力をセーブし、デマンド制御がかかるエリアの優先順位を設定することで、きめ細やかな電力ピークカットを実現しています。
大規模施設や複数の施設で空調制御システムを導入する場合は、スマホやタブレットといったモバイル端末から遠隔操作できるサービスが便利です。遠隔操作に対応していないと、設定内容を変更するたびに管理室や現場へ行く必要があり、管理の作業工数や負担が増えてしまいます。モバイル端末やPCから遠隔操作ができれば、管理者が外出していてもスピーディーな対応が可能に。
たとえば、マルチデバイス対応の「EM CLOUD」なら、スマホやタブレットからWebにアクセスして、外出先からでも簡単に制御設定を変更できます。
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(出所:おまかSave-Air®公式Webサイト)
コンピューターで空調の室外機を自動制御し、快適性を維持しながら省エネを実現する空調制御システム。最も効率の良い負荷率帯で室外機を自動制御することで、電気料金を約10〜20%まで削減できる。現在の消費電力に応じて段階的にデマンドを抑制する「デマンド抑制」機能も搭載。簡単な操作で空調の稼働状況をWebから確認し、必要に応じて空調制御の設定を変更できる。
また、導入の際には現場調査が実施され、様々な業種に合った工事方法やサービス内容の提案が受けられる。加えて、室内工事は不要で、室外機にもメーカー純正品の外部制御アダプターと「Save-Air®」を設置するだけと、導入は簡単。「食品スーパー」「ホテル/旅館」「物流倉庫」といった施設をはじめ、様々な業種に対応している。
(出所:エナジーセーバー公式Webサイト)
室温をモニタリングし、空調の運転を最適化することで電気使用量を大幅に削減する空調制御システム。2つの高性能温度センサーにより、設定温度に対する室温の変化を最小限に。空調設備の中で最も電力を消費するコンプレッサーの過剰な動きも抑制。温度設定や風速を変える必要もなく、夏場も冬場も室内の快適さを保ちながら、消費電力の最大40%の省エネを実現する。
取り付けは、メーカー問わず既設の空調機に設置するだけでOK。天井カセットエアコン・置き型パッケージエアコンなど、様々なエアコン機器への取付にも対応する。削減見込みの電気代からレンタル費用を支払うプランも提供しており、手軽に導入を始められる点も魅力だ。
(出所:DK-CONNECT公式Webサイト)
ダイキンの空調技術とクラウドサービスを融合し、空調機などをスマホやPC、タブレットから簡単に操作・管理できる空調制御システム。遠隔からの操作で、建物全体の温度管理や機器制御など、設備の一元管理が可能。広域にわたる複数の建物も本社から管理できるため、管理時間の短縮に大きく貢献。テナントごとの異なる温度設定や営業時間にも対応できる柔軟性も魅力だ。
そのほか、エネルギー消費量の見える化、省エネシミュレーション、運転データ出力機能など、設備管理の効率化と省エネに役立つ様々な機能が充実。異常発生時に管理者にメールで通知する機能や、冷媒漏えい検知をメールで知らせる機能も。トラブル発生時の迅速な対応が可能となり、施設の安定稼働をサポートする。
(出所:EM CLOUD公式Webサイト)
「エネルギーの見える化」「独自のアルゴリズムによるIoT」によって、電気料金の削減を実現する空調制御システム。独自のIoT技術により、建物全体の消費電力に応じて快適性を担保しながら、段階的な自動デマンド制御を行なう。PCを使った遠隔操作での設定変更ができるので、現地に赴いての設定は不要だ。
クラウドの管理画面で店舗のデマンド監視・見える化をサポートしており、面倒な集計業務の工数削減や、データの一元管理の実現に役立つ。特に効果が見えやすいのは、電気代が年間で300万円を超える業種。「大型スーパー」「ゴルフ場」「物流倉庫」などをはじめ、様々な業種で導入が進んでいる。
(出所:ACS公式Webサイト)
電気ブレーカーとの併用で、電気の基本料金を大幅に削減する空調制御システム。独自の空調制御システム「ACS」によって室外機を制御し、快適性を保ちながら使用電力を削減する。また、エアコン再起動後の一定期間は自動制御を行わない圧縮保護システムを採用し、室外機をプロテクトしている。加えて、「複数台のエアコンを自動制御する」「稼働状況を簡単に確認できる」といった機能も搭載。
利用者ニーズや社会の変化に応じて、柔軟にプラン内容を変更できるため、小規模なマンションや町工場などの中小企業にも向いている。実際に、比較的小規模な「マンション」「工場」「店舗」でも導入が進んでいるなど、多様なニーズに応えている。
(出所:SFM for Office公式Webサイト)
既存の空調設備に後付けで設置できる、オフィスビル特化型の空調管理システム。AIを活用した空調機の自動制御により、温度ムラを抑制して快適なオフィス環境を実現する。
管理画面はWebから操作可能で、「温度閾値感知」「稼働スケジューラ」といった管理機能を標準で提供している。また、「リモコン操作の許可/禁止」を設定する機能を搭載しているので、従業員が勝手に室温を変更するのを抑制できる。更に、APIによる連携機能などにより、既存のビル管理システムとの連携が可能。二重管理を回避できる点も大きな特徴だ。
空調設備を含めて古くなったビルにも後付けできるので、ビルの価値向上というメリットも見込める。
(出所:RICOH Smart MES 照明・空調制御システム公式Webサイト)
エネルギー消費や従業員のウェルビーイングに配慮した職場環境を実現する、照明・空調制御システム。「空調制御」は、温湿度センサーによって温度と湿度を自動でコントロール。「照明制御」は、照度・人感センサーによって、フロア別やグループ単位別のレイアウトに合わせた自動コントロールを行なう。センサーが人の在・不在、照度、温度、湿度を収集して、エネルギー使用を最適化するなど、センシングとクラウド管理によってワークプレイスの省エネを実現するのが特徴だ。
更に、始業時間前から空調を分散稼働させることでデマンドを抑制。電力消費のピークを抑えながら、快適な室温で始業時間を迎えられる。
(出所:P-AIMS公式Webサイト)
空調・設備機器の「まるごと管理」で省エネを実現する、買い切りタイプの空調制御システム。初期費用はかかるが、ランニングコストを抑えられるのが強み。P-AIMSは室内機1024台、中規模施設向けのP-AIMS miniは室内機64台、小規模施設向けの P-AIMS nanoは室内機16台まで、それぞれ個別に監視・制御することができる。事業規模に合わせて、ローコストでビル内の電力使用量を見える化するのに適したサービスだ。
基本機能として、細かく消費電力を抑制できる「e-CUT機能」、個別・一括・グループ単位でスケジュールに合わせて制御可能な「スケジュール機能」などを搭載。オプションのソフトウェアも豊富で、業種や施設設備に合わせてサービス内容をカスタマイズできる。
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(出所:Smart Facility Manager公式Webサイト)
サーバールームの温度管理や省エネ推進を実現する、データセンター特化型の空調管理システム。IoTセンサーにより、1分間隔でリアルタイムにサーバー温度をモニタリングできるなど、PCを使った空調機の高度な統合監視・制御を行なう。遠隔地の監視や複数拠点の一元管理に対応しているほか、クラウド上に保存されたデータをワンタッチで統計分析できる。
独自のAIによって、ラック前面の温度データを学習・分析し、サーバールーム環境に合わせた最適な温度を自動制御。急激な温度上昇に対応できるという強みも。AIエンジンはSaaSとして提供されるので、社内でチューニングしなくても、常にバージョンアップされた最新版が使えるのも魅力だ。
(出所:Smart DASH®公式Webサイト)
独自の学習機能を用いた自動計測・制御により、サーバールームに最適な空調環境と省エネを実現するデータセンター特化型の空調制御システム。室内のワイヤレス温度センサーモジュールと空調機を関連づけ、各センサー計測値の変動に合わせて対象の空調機を選定し、自動制御を行う。ICTラックにサーバーなどを増設した際にも、環境把握から改善のアクションまでを自動で制御する。
ホットスポットの位置と範囲を表示する「温度分布表示」、各空調機の冷却範囲を分析して表示する「影響度分析表示」などで、様々なデータのモニタリングを実現。既存の中央監視システムや温度センサーとの連携に対応しているので、導入コストを抑えながら運用を一元化できる。
小規模データセンター向けのプラン「mini DASH」も提供。
電気使用量の値上がりが社会問題となっている昨今、省エネ・電気料金の削減につながる空調制御システムの導入を検討している企業は少なくないでしょう。
空調制御システムの主な機能として、
(1)温度・湿度の制御
(2)空気の流れの制御
(3)エネルギー効率化
(4)遠隔操作
(5)モニタリング
(6)空調設備に関するデータの見える化
(7)タイムスケジュールの設定
などがあり、効率的な温度・湿度の調整により、省エネ・電気料金の削減を実現します。
また、空調制御システムは大きく3つのタイプに分けることができます。
空調制御を行う施設に合わせて、適したタイプのシステムを選ぶとよいでしょう。
そして、導入するべきタイプが絞り込めたら、以下の3つの比較ポイントをチェックします。
こうして自社に最適な空調制御システムを選ぶことで、施設内の電力消費を抑えるだけでなく、日本社会が抱えているエネルギー問題とも向き合えます。結果的にSDGsに代表されるような社会貢献活動にもつながっていきますので、本記事を参考にして自社の事業内容や事業規模にあった最適の空調制御システムの導入を検討してみてください。
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関西電力株式会社
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Smart Facility Manager|インタビュー掲載
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