最終更新日:2024-04-26
データセンターの更なるコスト削減に向けて、電気代を削減する方法が知りたい方へ。新機器の導入やマンパワーに頼った運用作業とは一線を画す、AIやIoTを活かしたサービスによる電気代削減手段を紹介します。
少し古いデータですが、総務省「データセンター利用に関する国内外の動向に係る調査研究」(2010年)によると、データセンターのコスト構造は以下のように言われており、施設費や人件費と並んで、電気代の割合が高いことがわかります。
また、電気代の中でも、冷却用の空調が占める割合は特に高いため、空調の運用改善は電気代の削減に直結すると言えます。
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資源高騰やウクライナ情勢、為替の影響などにより、2023年6月に大手電力会社の規制料金が値上げされました。国が各小売事業者などを通じて料金の値引きを行う「電気・ガス価格激変緩和対策事業」についても、2024年5月使用分までで終了すると発表されています。
更に、今後も低圧(自由料金)や高圧、特別高圧の電気料金は値上げする可能性も。電力の使用効率を高めない限りは、電気代が占めるコストの割合が上昇することとなり、利益を圧迫するリスクが考えられます。
それではデータセンターの電気代を削減するための基本的な方法をみていきましょう。
できるだけ少ない電力でも処理能力が高いIT機器や空調設備に入れ替えます。ただし、IT機器などの減価償却期間中だと、既存設備を破棄して導入するとかえって割高になってしまうリスクがあります。基本的には、機器の増設時や、償却期間終了後の入れ替え時期での実施がよいでしょう。
また、その際に、性能の高いサーバーやネットワーク機器で、2台分を1台で処理できる環境を整えればトータルの電力消費量を下げることもできます。当然ですが、電気代負担を踏まえた機器選定が重要です。
これも前述の方法と同じく新設時や減価償却終了後になりますが、単に性能の高い空調機を導入するのではなく、水冷・空冷式の冷却システムや局所冷却システムなどを導入することのも手です。
中には、自然エネルギーを活用できる外気を利用する外気導入式空調機があります。データセンター内の温度よりも外気の方が低い場合は、外気を用いて冷却できるため電気代の大幅な抑制が期待できます。特に寒冷地では効果的でしょう。
空調の冷却に偏りがあると、一部の箇所の温度を下げるために、非効率に冷却していることが多々あります。その場合、温度を下げたい箇所をピンポイントで冷却できるようにすると無駄を減らせます。
また、空調機によっては、急な冷却のためにフル稼働させると、運転効率の低い稼働状況になってしまう機種もあります。空調機の処理能力を踏まえて、ムダやムラがないように、稼働させることが重要です。
データセンターの冷却効率を高めるには、サーバーラック内のケーブル配線を整理して風通しを良くしたり、サーバーラック間の設置間隔を調整したりといった、細かな改善を積み重ねていくことが重要です。
また、空調機から供給される冷気がICT機器に十分に行き渡らず、機器から排出された高温の空気が再び吸い込まれることで、データセンター室内に局所的な高温部が発生してしまう場合も。壁や屋根を設けるなどして、冷気と排気を分離する対策が有効です。
目に見える大きな効果がすぐには得られないかもしれませんが、地道な改善を継続的に行うことで、長期的なコスト削減やメンテナンス性の向上、安定運用につながるでしょう。
前項の取り組みをすでに一通り行っている場合、更にできる対策は「AI・IoTによる効率的な空調制御」です。
「空調稼働の適正化」のために、手動で空調設定を行うにも、室内や外気の状況を踏まえた設定作業には一定の知見や経験が必要になり、ベテランに頼りがちです。土日や夜間など人手が少ない時間帯は細かく実行しきれない、という問題もあるでしょう。
この問題の解決策として、AIやIoTを用いたサービスが提供されはじめています。仕組みは、データセンターに設置したIoTデバイスが温度を計測し、温度情報をクラウドに送信。クラウドでデータセンター内の温度状況や温度の基準値との差異を分析して表示、緊急の冷却が必要な場合はアラートで通知します。
加えて、温度状況を学習したAIが、自動で空調を制御して温度の差異を抑制する「AIによる空調自動制御」まで行えます。
AI・IoTの活用により、温度の監視や空調の制御はAIに任せて、ベテランが不在でも高効率にデータセンター運用ができる環境が整います。
AIやIoTデバイスを活用した自動制御により、空調機にかかる電気代の25~30%程度を削減できた、という事例が報告されています。
削減幅は現状の電力使用効率(PUE)や運用規模にもよりますが、ある程度IT機器台数の多いデータセンターであれば、電気代削減効果による費用対効果の面でも、そしてデータセンター運用担当者の負担を減らす面でも十分導入検討の価値があるでしょう。
また、AI・IoTによるサービスは、IT機器や空調機の減価償却などのタイミングを考えずに、いつでも導入できる、という点で導入のハードルが低いサービスなのもおすすめのポイントです。
たとえば、清水建設と三谷産業による「SMT(Smart Management Technology)クラウド」はAIとIoT温度センサーを用いて空調の自動制御を実現するサービスです。IoTセンサーで収集したデータをAIで継続的に学習、最適な温度環境を必要最小限のエネルギーで実現する制御情報を空調機器に送信します。
AIやIoTを活用した空調機の自動制御も可能な主なソリューションをご紹介します。料金については、設備によって大幅に異なるため、見積もりが必要です。
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(出所:Smart Facility Manager公式Webサイト)
AIとIoT温度センサーを用いた空調の自動制御により、データセンターの電力使用量の削減や運用業務の負担軽減を実現するクラウドサービス。空調の自動制御は行わず、温度の差異分析に利用することも可能。1分間隔のリアルタイム監視によるグラフ表示や、自動制御による特定箇所のピンポイント冷却に強みを持つ。閾値到達時のアラート通知にも対応。改善点を分析・レポーティング・提案する運用支援メニューも提供しており、改善の知見を得たいという目的にも適している。
(出所:エナジーセーバー公式Webサイト)
快適さはそのままに大幅な省エネを実現する、AI搭載の空調制御システム。2つの高性能温度センサーを既設の空調機に設置するだけで、空調の無駄な動きを抑制。室温のムラを小さくできるため、低温管理が必要なデータセンターでも活用されている。夏場も冬場も室内の快適さを保ちながら、消費電力の最大40%の省エネが可能だ。
一括購入はもちろん、「初期費用を抑えて多くの施設に導入したい」といった場合は、初期費用無料のレンタルプランも提供。用途に合わせて柔軟に運用できるのも強み。
(出所:SmartDASH公式Webサイト)
AIと無線の温度センターを用いて空調の自動制御を実現するサービス。温度センサーで計測して収集サーバーに無線でデータを送信。サーバーでは収集した情報を継続的に学習・分析。独自アルゴリズムにより自動学習により、消費電力を最大30%削減する。
また、ホットスポットやコールドスポットの位置や範囲を表示する「温度分布表示」や、各空調機の冷却範囲を表示する「影響度分析表示」での空調管理の見える化もできる。
データセンターのコストを削減するには、変動費である電気代の抑制が効果的です。これまでは高効率なIT機器や空調機の導入、手動操作による空調設定などで電気代を削減してきましたが、最新機器の導入は簡単ではなく、手動操作は運用の負担が大きいという課題がありました。
しかし、最近ではAIやIoTを用いたデータセンター空調制御技術が登場。温度状況の把握や、自動制御も活用されるようになり、電気代削減により一層踏み込みたい企業にとって有効な選択肢です。
AI・IoTによる空調制御の肝は「ベテランでなくても高効率にデータセンター運用ができること」です。属人化を防ぎ、よりデータドリブンな管理が可能となります。
また、経験豊富な人材を空調管理に割かれずに済むため、人材のより効果的な活用が見込めます。
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Smart Facility Manager|インタビュー掲載
株式会社TOKAIコミュニケーションズ
AIとIoT温度センサーを用いた空調の自動制御により、データセンターやサーバールームにおける空調電力使用量の削減や運用業務の負担軽減を実現するサービスです。見え...
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