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会計ソフトのAI機能と活用法。仕分から監査まで経理を効率化

会計ソフトのAI機能と活用法。仕分から監査まで経理を効率化

最終更新日:2023-03-06

ITツールやサービスにAIを搭載するケースが増えている中、会計ソフトにおいてもAI活用の幅が広がっています。仕訳から監査まで、経理業務の各場面でのAIの活用例をご紹介します。

目次

会計ソフトのAI機能

会計ソフトのAI機能は、主に4つあります。一般的な経理業務の流れの順に挙げると次の通りです。

  1. AI OCRによる領収書等の読み取り自動化
  2. AIによる自動仕訳
  3. AI活用による監査・決算チェックの自動化
  4. AI搭載チャットボットによる会計ソフトの使い方サポート

領収書・金額入力、仕訳、監査にともなう定型的な業務は、AI機能をうまく活用することで自動化できます。AI機能が会計ソフトに組み込まれている場合、標準機能として使えるサービスもあれば、別料金のオプションとして利用できるサービスもあります。また、別のシステムを活用してAI機能を会計ソフトに連携させるパターンもあります。

次の章から、会計ソフトのAI機能について、更に理解を深めるため、具体的な活用方法とメリット、サービスをとあわせて見ていきましょう。

 

(1)AI OCRによる領収書等の読み取り自動化

AI OCR機能を利用して、レシートや領収書などの紙の情報を読み取りデータ化し、自動で会計ソフトに取り込みます。ほかにも、各種帳票(請求書、発注書、見積書、決算書、通帳等の会計書類)を解析して、必要なデータのみを抽出できる場合もあります。たとえば複数の帳票を読み取り、1シートのCSVにまとめて出力するなども可能で、他システムと連携する際にも便利です。

AI OCRの精度(正確性)ですが、一般的なOCRと比べて精度も上がり、読み取りの幅も広がっているのは間違いありません。ただ、技術としてもちろん完璧ではない、ということは理解しておきましょう。

サービスごとに、技術のレベルにばらつきがあるのは当然のことながら、サービスによって強み(定型、非定型、印字、手書きなど)が違います。自社で使うのはどれが多いかを事前に想定し、検証してから製品を選ぶことをおすすめします。

<メリット>

  • 入力の手間が減って業務効率化
  • 目視や手入力時の人的ミスが減る

読み取り自動化に強みを持つサービス

スマートOCR 会計ソフトではなく、AI OCRに特化したシステム。請求書や発注書などの非定形帳票や手書き文字でも読み取り、データ化を可能とする。AIノイズ処理エンジンにより、網掛けや白抜き文字なども読み取れる。
sweeep Invoice 請求書の回収から仕訳・振込・保管を効率化するクラウドサービス。請求書を読み取ることでfreee会計に連携可能な取引データを自動登録できる。
DynaEye 10 請求書・注文書・納品書等で利用。読み取り位置を誤ったときに、読み取り位置を正しく指定することで、AIが帳票のレイアウトと読み取り位置を学習し、使うたびに認識精度が向上。
AIスキャンロボ 座標を固定せず人工知能が自動的に判別する「オートセグメンテーション機能」を利用し、通常のOCRでは1時間もかかるテンプレート作成は2~3分で設定可能。

 

(2)AIによる自動仕訳

連携した銀行、クレジットカード、ICカード、POSなどの明細データを取り込むだけでなく、AIが内容を判別して勘定科目を提案、自動仕訳します。データの紐付けだけでなく、取り込みデータから内容を判別するためにAIを活用。伝票入力や消込の作業の自動化を実現できます。

たとえば、クレジットカードの明細を取り込み、その内容を判別して経費分だけ抽出して仕訳することが可能です。クラウドに蓄積されたビッグデータをもとに最適な仕訳を予測し、使えば使うだけ学習し精度が上がっていくのもAIならでは。

<メリット>

  • 一つ一つ入力する手間が減り業務効率化
  • 手作業による人的ミスが減る
  • 勘定科目を提案、自動仕訳してくれるため、経理業務に精通していない人でも使いやすい

自動仕分に強みを持つサービス

YAYOI SMART CONNECT 会計ソフト「弥生会計」で利用されるインターフェース。銀行、Suica、POSのほか、請求書作成サービスなど、連携可能サービスが豊富。レシートをスキャナーでスキャンやスマホ撮影するだけで仕訳まで自動化。
クラウド会計ソフト freee AI自動仕訳機能を搭載したクラウド型会計ソフト。
マネーフォワードクラウド会計 AI自動仕訳機能を搭載したクラウド型会計ソフト。
かんたんクラウド会計 AI自動仕訳機能を搭載したクラウド型会計ソフト。
勘定奉行クラウド AI自動仕訳機能を搭載したクラウド型会計ソフト。
会計王19シリーズ AI自動仕訳機能を搭載したインストール型会計ソフト。
ジョブルポ ヒューマンレス会計 インターネットバンキングとの連携で、明細の自動仕訳。
大臣フィンテックサービス AI自動仕訳機能。会計ソフト「大蔵大臣」対応サービス。日本国内の99%以上の金融機関に対応。
AC Suite財務会計・管理会計システム 仕訳の提案機能あり。
Moneytree Work 経費精算サービス AIで登録明細から経費を自動で判別する機能あり。

 

(3)AIによる監査・決算チェックの自動化

月次監査や決算などのチェックを目視ではなく、AIの活用により自動化できます。監査時間の短縮、正確性の向上だけでなく、不正やミスの防止につながります。

具体的には、月次監査で過去との変動率の異変に基づき、修正の必要がありそうな仕訳をAIで検知してアラートを出します。決算の繁忙期には、エラーチェックのアシストとして頼もしい機能です。

<メリット>

  • 監査時間が短縮され、即時性があるため、リアルタイムで正確な分析ができ、経営改善に役立つ
  • ミスを防ぐだけでなく、不正検知などの内部統制において有効

監査・決算チェックの自動化に強みを持つサービス

クラウド会計ソフト freee AI月次監査機能を搭載したクラウド型会計ソフト。
マネーフォワードクラウド会計 グループ会社の株式会社ナレッジラボの経営分析クラウド「Manageboard」と連携してAI月次監査機能を利用。
AC Suite財務会計・管理会計システム 決算時のチェック機能。
AI会計仕訳検証システム AIを活用して会計データの異常仕訳を自動抽出。PwCあらた有限責任監査法人のデータ監査ツール「Halo for Journals」の仕訳データ全件を対象に、機械学習で一定の法則性を読み取り、個々の仕訳がそれに合致するかどうかを評価することで、異常な仕訳を抽出する
Oracle Adaptive Intelligent Applications for Enterprise Resource Planning(ERP) AIを搭載した経理・財務領域の拡張アプリケーション。請求書データを自動的に読み取るとともに、機械学習により、その中から、不正や不具合の可能性があるデータを抽出し、それらについて、人が確認するように促す機能。

 

(4)AI搭載チャットボットによる会計ソフトの使い方サポート

会計ソフトの操作について、AI搭載チャットボットに話し言葉で質問を入力すると、内容を理解し、回答してくれます。

話し言葉や変化のある言い回しを理解し、曖昧な質問の場合は聞き返すなど、人間とのコミュニケーションに近いやり取りを叶えられます。文面の説明に加えて、関連するPDFや動画のリンク先を提示することも。回答内容が不十分な場合は、サポートデスクのオペレーターにつながるという仕組みもあります。

<メリット>

  • 24時間365日いつでも質問できるため、業務のスピードアップにつながる
  • ユーザーからの会計ソフトの操作方法についての質問が減るため、経理担当者の業務負担を軽減できる

AIチャットボットによるサポートに強みを持つサービス

PCA会計 対話型サポートサービス「バーチャルエージェント」を利用し、操作サポートを受けられる。
クラウド会計ソフト freee ディープラーニングを用いた人工知能質問応答システム「QA ENGINE」を利用し、自動応答のチャットサポートが受けられる。

 

 まとめ

領収書や帳票の読み取りや仕訳のうち、定型業務についてはAIによる自動化がすでに進んでいます。会計ソフトを更に便利に活用するには、人手を要していた定型業務にAIを導入することが有効です。

業務の効率化はもちろんのこと、監査や決算のチェックで発生しやすい仕訳ミスの防止にも役立ちます。経理部門の業務負担軽減のために、機能を上手に活用することをおすすめします。

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