最終更新日:2024-07-05
旧来型のワークフローシステムからのリプレイスを検討している大企業の方へ。エンタープライズ向けのクラウド型やオンプレミス型のワークフローシステムを紹介します。
大企業のワークフローの設計と運用は、中小企業と比べて、格段に複雑です。その原因は大企業独特の問題点によるもので、大きく分けて4つの課題が挙げられます。
大企業には多くの部署と役職、更に業務に応じた組織横断型の複数のチームが存在します。稟議書の決裁一つ得るだけでも、それぞれの部署やチームにまたがって回付しなければならないため、ワークフローに設定すべき組織形態と承認経路も複雑になってしまいます。
大企業では定期的に大規模な人事異動が行われます。そのたびに組織やワークフローの維持、システムのメンテナンスが求められ、時間とコストがかかります。
大企業はセキュリティポリシーが厳しく、「誰がどの情報にアクセスできるのか」細かなアクセス制御が必要です。また、監査対応のために必要に応じてログを残す・随時確認できるようにするなどの措置が欠かせません。
大企業では独自の業務や慣習があることも多く、システムを導入する際も汎用的な機能・仕様では対応が難しく、カスタマイズが必要となるケースが多々あります。
大企業におけるワークフローの歴史は古く、2000年代に企業の内部統制を実施・強化を目的として成立したJSOX法を契機として、ほかの業務領域に先駆けてシステム化が進んだ分野です。
当時はクラウドという選択肢がなかったため、パッケージやオンプレミスの導入、もしくは巨額の開発費用を投じてスクラッチ開発によってシステム化が進められました。結果として、運用が始まってから20年以上経過するシステムが数多く存在しています。
最近ではクラウド型のワークフローシステムが多数開発されていますが、多くが中小企業での利用を目的としており、機能や仕様に汎用性を持たせたものが主流のため、大企業での利用拡大は進んでいません。
中には、プラットフォームとしての利用を目的とした高性能な製品もありますが、使いこなすまでの学習コストが高く、導入時の初期費用で数千万円から数億円が必要となります。
そのため、多くの大企業が従前のシステムを保守しながら使い続けている状況です。
「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年9月に発表したDXレポートに登場する言葉です。
結果として、企業の基幹システムはブラックボックス化して「巨額の保守費用を必要とする」「トラブル・リスクが頻発するに起こる」ようになる、といった問題を指摘しています。
このような状況を回避するため、多くの大企業で基幹システムのリプレイスが企画検討されており、それに伴って業務の効率に直結するワークフローシステムのリプレイスも急がれています。
ワークフローシステムのうち、大企業向けのおすすめは次の通りです。
記事後半で各サービスを詳しく紹介していますので、「すぐに詳細を知りたい」という方は、おすすめの大企業向けワークフローシステムからご覧ください。
大企業向けワークフローシステムをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
大企業のワークフローシステムには、上述した4つの課題「複雑な組織形態と承認経路」「人事異動に伴う煩雑なメンテナンス」「高度なセキュリティ対策」「独自の業務・商習慣・システム」を解決できるシステムが求められます。
ワークフローシステムをリプレイスする場合、クラウド型かオンプレミス型かを決定することも重要ですが、まずは上記の課題解決につながる以下の要件を満たしているシステムを選び、検討していくとスムーズです。
それぞれ、詳しくご説明します。
大企業向けのワークフローシステムを選ぶ時には、上長が不在時に補佐役に業務を委任する機能や、承認経路のANDとORの使い分けなど、自社の組織構造と業務フローに対応して、権限や経路を柔軟に変更できるシステムを選びましょう。
たとえば、「楽々WorkflowII」もその一つ。事前通知(根回し)や並列合議、多数決承認など、大企業独自の慣習に合った柔軟な承認フローに対応できます。
定期的な人事異動による業務負荷を軽減するには、人事異動の予約機能や組織図のバージョン管理機能があるワークフローシステムを選ぶのがおすすめです。
たとえば、「SmartDB」は社員の入社、退職、異動、組織改編をプルダウン形式で選ぶだけで簡単に発令できる機能があります。また、従業員一人ひとりの各種手当の申請、社員証の発行申請などの各種申請書も一元管理できるため、紙で管理していた業務から解放されます。
厳格なセキュリティや、監査に対応できる機能の有無も重要なポイントです。IPアドレス制限や2段階認証などのアクセス制御、脆弱性対策などのセキュリティ対策や、「いつ、どこで、誰が、何をしたのか」を追跡可能な証跡管理、監査ログの取得機能なども欠かせない要素です。
たとえば、「AgileWorks」は、稟議書の承認履歴や回付状況のPDF出力が可能です。内容が変更されたログも残るため、改ざん防止や外部監査へ証跡の提出もスムーズに行えます。
ワークフローシステムは、特性上、多くのシステムとのつなぎこみ(連携)が欠かせません。特に独自の業務・商習慣を持つ大企業では、自社で開発・運用するシステムが少なくないことから、これらと「つなぎ込み」できるかどうか、すなわちカスタマイズの容易さが重要になってきます。現場に応じて柔軟にカスタマイズできるシステムを選びましょう。
たとえば、「kickflow」は様々なAPIを公開しているため既存のシステムと深い部分までつなぎこみが可能です。セキュリティ上の問題からスクラッチ開発したシステムで人事データを管理している大企業も、API連携で管理台帳を自動反映できます。
クラウド型ワークフローシステムの中で、大企業での運用に適したシステムを紹介します。
(出所:kickflow公式Webサイト)
エンタープライズ企業向けに特化した、大規模な運用を前提としたワークフローシステム。クラウド型でありながら機能やAPIが豊富に解放されている。API連携によって、頻繁な人事異動や入退社があっても、ERPや管理台帳で管理している人事データを自動的に反映できるため安心。REST APIやWebhookも標準対応しており、システム間の連携を実現する開発や拡張も行える。
「部・室・課」などの組織名が混合していたり、役職を兼務していたりする複雑な組織構造にも対応しており、役職を指定した承認フローや、金額、条件に応じた多重分岐など、日本企業の複雑な商習慣にも適合している。シングルサインオンで、ワンストップでログインが可能。Google WorkspaceやMicrosoft Azureなど、既存のシステムもIdPとして設定できる。
自社にあわせてカスタマイズしやすい大企業向けのオンプレミス型ワークフローシステムを紹介します。
(出所:AgileWorks公式Webサイト)
既存の基幹系システムと連携することを前提にして作られているワークフローシステム。ERP導入やERPリプレイス時に連携ができるため、既存のシステムと共存させたい場合に適している。並列設定や条件分岐など、ワークフローの詳細な作り込みが可能。組織改編の実行前に設定作業ができる先付けメンテナンス機能や、複雑な承認フローに対応した高次元のフロー制御設定機能が特徴。アイコンを使用したドラッグ&ドロップによる視覚的な操作で、簡単にフロー設定ができるのもうれしい。
稟議書の承認履歴や回付状況のPDFを出力できるため、外部監査へ証跡PDFを提出するときにスムーズに対応。会計システムや人事システム、各種グループウェアとの連携も可能だ。
自社の基幹システムの運用ポリシーや、ほかの運用システムとの兼ね合いで、クラウド型とオンプレミス型から適したタイプを選択できるワークフローシステムを紹介します。
(出所:SmartDB公式Webサイト)
オンプレミス型だが、カスタマイズによってシングルテナントの専用環境を構築できる。クラウド化した場合でも、通常のマルチテナントのクラウド型より強固なセキュリティで運用できるのが特徴。マウス操作で直感的に業務アプリケーションが作成可能で、様々な領域ですぐに使える業務テンプレートを約50種類以上豊富に備えているため、非IT部門・現場部門でもDXを推進。複雑な稟議・決裁などの承認ルートも柔軟にシステム化できる。
契約書管理マスタと店舗マスタを組み合わせることで国内支社と本部での契約書管理も可能。国内各所に店舗や営業所を置く企業に適している。人事発令機能で入社、退職、異動、組織改編の発令も容易に対応可能。
(出所:楽々WorkflowII公式Webサイト)
承認経路が複雑かつ、多数の部門にまたがるようなワークフローでも、簡単に定義決裁できるのが特徴のワークフローシステム。あらかじめ複数の経路を設定し、条件によって自動的に選択が変わるように分岐できるので、無駄なく必要な承認フローを運用できる。不在時の代理承認や引き上げ承認、デッドラインを過ぎたときの自動承認など、現場の状況に合わせて柔軟な条件付けができるのもポイント。
また、稟議書を回付する前に、事前に承認者や決裁者に知らせておく事前通知(根回し)機能を搭載するなど、日本企業特集の商習慣に対応しているので、決裁までの業務を円滑に進められるのも心強い。クラウド版も提供されており、企業ごとにサーバーや環境を構築してもらうこともできる。
(出所:MAJOR FLOW ワークフロー公式Webサイト)
大規模な組織における、部署間での問い合わせを減らすことに特化したワークフローシステム。オンプレミス型の「MAJOR FLOW ワークフロー」と、クラウド型の「MAJOR FLOW CLOUD」がある。申請書類を作る機能が充実しており、異動届や休暇欠勤届、給与振込口座の届け出などの就業管理に関わる書類や経費精算の書類など、約100種類のテンプレートが用意されている。1からカスタマイズも可能で、Excelと同様の感覚で作成できるのが特徴。
また、社員の入社や転勤の手続きを行うときに、必要な書類について質問を設定しておくことで自動判定できるので、社員間での人事関連の問い合わせを減らして、業務を効率化できる。
「2025年の崖」という問題を前に、多くの大企業が社内のシステムの刷新を検討しています。ワークフローシステムは、各システム間のくさびとなって業務効率化に貢献するため、とりわけ重要な位置をしめますが、イチから開発しようとすると長い開発期間と莫大な費用がかかってしまいます。
クラウド型やオンプレミス型でのリプレイスを検討しているものの、「導入経験がなく選び方がわからない」という会社も多いのではないでしょうか。
大企業向けのワークフローシステムを選ぶ際には、以下の4つのポイントを意識して、自社に必要な要件を満たしているワークフローシステムを絞り込むのがおすすめです。
大企業向けワークフローシステムをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
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