最終更新日:2024-04-02
オペレーターのスキルのバラつきや定着率の低さを改善したい、コールセンターの業務効率化を進めたいと考えている方へ。平均処理時間を短縮し、オペレーターの負担を減らせる、おすすめの効率化サービスをご紹介します。
コールセンターの平均処理時間とは、1件のコールの応対処理にかかった時間のこと。AHT(Average Handling Time)と呼ばれ、コールセンターのKPIの1つとして使用されています。
AHTは顧客からの問い合わせに対応する「通話時間」「保留時間」と、終話後に記録を残す「後処理時間」をもとに、以下の計算式から導き出されます。
(通話時間 + 保留時間 + 後処理時間)÷ 通話件数 = AHT
もしくは、
平均通話時間 + 平均後処理時間 = AHT
なお、平均処理時間(AHT)は業界によって異なりますが、6分前後が目安とされています。ただし、AHTが短ければ短いほど良いというわけではありません。適切な応対品質を保ちながら業務効率化を進めるための指標として、計測・改善することが重要です。
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平均処理時間を短縮できればコールセンター業務を効率化できそうですが、そう簡単に短くなりません。平均処理時間が短縮できない理由について、通話時間と後処理時間に分けて、具体的に解説します。
顧客からの質問に対する答えがすぐに分からず、回答までに時間がかかってしまうパターン。原因としては「オペレーターのトレーニングが不足している」「ナレッジや過去事例を検索しにくい」といったものが挙げられます。
この場合、業務効率が下がる、顧客を待たせてしまう、といった問題に加えて、オペレーターが心理的負担を感じて辞めてしまうため、常に新人ばかりでベテランが育たないという負のループに陥ってしまう恐れも。
回答をどのように顧客に伝えようか迷って時間がかかってしまうパターン。どのように伝えればわかりやすいか、経験やノウハウが不足しているのが原因です。
回答文面のマニュアルやテンプレートを用意すれば、ある程度の時間短縮が見込めます。
ただし、該当するメール返信テンプレートを探したり、貼り付け後に微修正したりするのに時間を取られて、平均処理時間が長くなってしまうことも。
回答内容を記録する後処理作業では、質問内容や説明したことを簡潔にまとめるのが難しくて、入力に時間がかかってしまうケースが多々見られます。
また、入力フォームが自由記述式の場合、「入力内容が短すぎて、情報が不十分」「細かく記入しすぎて、情報がまとまっていない」といったバラつきが発生する恐れが。
PC操作に慣れておらず、入力作業に時間がかかってしまうケース。スマホ操作に慣れている若い世代でも、キーボードを使ったタイピングには不慣れという場合があります。
記入方法を選択式にすると、マウス操作で入力できるようになりますが、不要な項目まで入力しないといけなくなるため、時間がかかってしまうというデメリットも。
前項で紹介した「平均処理時間(AHT)が減らない理由」を解消する、3つの方法について具体的に解説します。
オペレーターが参照する社内FAQを整備することで、「質問に対する回答がすぐにわからない」という課題を解消できます。参照情報が多い場合は、知りたい情報をすぐに見つけられる、検索性が高いFAQシステムを使うのがおすすめです。
FAQシステムには、「あいまい検索機能」や「検索候補の表示機能」が搭載されているほか、新しい情報の追記・修正が簡単。最新性を保った情報をスピーディーに探し出すことができます。
これらの機能によって、通話時間を減らせるうえ、オペレーターの心理的な負担を軽減。加えて、新人でも即戦力として活躍できるようになります。
「回答を伝えるのに時間がかかる」ことが課題の場合は、返信用のテンプレートの活用が有用です。FAQシステムの中にテンプレートを保存して、目的に合わせた検索ができる環境を作れば、回答作業を大幅に効率化できます。また、使いやすいテンプレートを社内で共有するうえでも、便利な方法です。
更なる効率化を求めるのであれば、自動化という手段も。問い合わせ管理システムのトリガ機能を使うことで、「よくある質問に対する回答テンプレートを作成する」「一定の時間が経ったら自動送信する」といった自動化が考えられます。似たような質問が数多く寄せられる現場におすすめの方法です。
「入力作業に時間がかかる」という課題の解決策としては、音声認識エンジンの使用が考えられます。最近では、コールセンター向けの音声認識サービスも提供されています。
サービスを利用することで、IP電話でのやり取りをリアルタイムにテキスト化でき、マウス操作だけで後処理が完了。更に、音声認識エンジンとFAQシステムを連携させれば、テキスト化されたキーワードからFAQを自動的に提示するといった使い方もできます。
そもそもの問い合わせ数を減らしたい場合には、ユーザー向けのFAQサイトやチャットボットなどを用意して、自己解決しやすい環境を作るのも一手です。
その場合、SMSでの誘導url送信やチャットボットの設置などができるコールセンター向けシステムの導入がおすすめ、よくある質問を自己解決してもらうことで、対応時間を大幅に削減できます。
ここまでご紹介したポイントを踏まえ、コールセンター向け音声認識などのおすすめサービスをご紹介します。
サービス名 | FAQ | 返信 テンプレート |
テキスト 入力補助 |
自己解決 促進 |
---|---|---|---|---|
COTOHA Voice Insight | ◯ | ◯ | ||
YouWire | ◯ | |||
MiiTel Phone | ◯ | |||
Service Cloud | ◯ | ◯ | ◯ | |
メールディーラー | ◯ | ◯ | ||
Tele Force(テレフォース) | ◯ | ◯ | ||
AmiVoice® Communication Suite | ◯ | ◯ | ||
QuickSummary | ◯ | ◯ | ||
Zendesk | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
MooA | ◯ | ◯ | ◯ |
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(出所:COTOHA Voice Insight公式Webサイト)
コールセンターやインサイドセールスなど、電話応対業務を行う企業向けの通話音声テキスト化サービス。
NTT研究所で40年以上研究・開発、コンタクトセンター用にチューニングされた最新の音声認識エンジンが、通話内容を高精度にテキスト化。一般的に認識しづらい商品名や業界用語も、管理画面から辞書登録することで、正しく変換させることが可能。「音声マイニングプラン」では、顧客専用のモデルを作成・学習することで、より高精度な認識結果を実現する。発話内容に応じて、FAQを自動表示できる機能も魅力。サービス品質向上とオペレータ―の応対業務効率化に貢献する。
(出所:YouWire公式Webサイト)
音声認識によるテキスト化やデータ分析にも対応した録音システム。コールセンターだけでなく、オフィス電話の通話録音、携帯・スマホの通話録音、対面会議の音声議事録、Web会議の音声議事録の4つの音声をクラウド上で一元管理できる。顧客への重要事項説明の証拠、営業時の応対品質の確認などで活用されている。
コールセンターのCTIシステムはもちろん、SFAやCRMとの連携も可能。固定電話、IP電話、スマホ・ガラケー(キャリアフリー)、PHSなどの通話録音に対応。顧客との会話が後から改ざんされて不正利用されることがないように、改ざん防止対策や、盗聴や漏えいを防ぐ暗号化など、セキュリティ対策も安心。音声認識エンジンでテキスト化されたデータに対して、会話でよく使われるキーワード、キーワードの出現頻度の変化、部署ごとの出現頻度などの分析が行える点にも定評あり。
(出所:MiiTel Phone公式Webサイト)
「録音」「文字起こし」「音声解析」機能を備えたAI 搭載型のIP電話サービス。会話は全文録音され、自動で文字起こしされるため、エスカレーションや引き継ぎ時の情報共有もスムーズ。
また、録音された会話はAIが音声解析して「トーク・リッスンの割合は最適か」「適正なスピードで話せているか」「事前設定したキーワードを盛り込んでいるか」などを定量評価。ロープレなどの従来の教育法に比べ、セルフコーチングや優秀なオペレーターのやりとりから直に学べるため、応対品質を効率的に底上げできる。
(出所:Service Cloud公式Webサイト)
セールスフォース・ジャパンが提供するコールセンター向けカスタマーサービスプラットフォーム。顧客管理機能やコンタクト履歴管理、チャット、タスク管理、分析機能などを単一画面に集約し、一元管理できる。過去の記録や資料を蓄積してキーワード検索できる「ナレッジデータベース機能」を利用すれば、イレギュラーケースへの対応時に回答例をすぐにリサーチ可能。ナレッジ画面を顧客向けにカスタマイズして公開すればFAQツールとしても利用できる。
そのほかにも、サービスチャネルへのAIチャットボット設置、AIによる顧客への返信テキストの自動生成など、問い合わせの一次受付けの手間を省略し、業務効率アップを支援する機能が充実。
(出所:メールディーラー公式Webサイト)
導入実績8,000社以上。メールや電話、チャット、LINEなどからの問い合わせを一元管理できる問い合わせ管理システム。各ツールに都度ログインすることなく、問い合わせに対応できる。チーム内での情報共有もスムーズで、問い合わせごとに未対応・対応中・対応完了のように対応状況を自動で管理し、担当者や緊急度合も一目で把握可能。対応の効率化はもちろん、対応漏れや重複対応も防げる。
受信したメールの件名や本文中のキーワードなどの設定した状況をもとに、適切なテンプレートを自動で選び出せる「推薦テンプレート機能」を搭載。テンプレートの数が多く探すのに時間がかかっている場合や、業務に不慣れな新人が利用する場合に役立つ。
(出所:Tele Force公式Webサイト)
IVR×SMSで電話対応を効率化する顧客対応ソリューション。顧客からの問い合わせに音声ガイダンスで対応し、内容に応じて有人対応・SMS送信の振り分けが可能。URLやメールアドレスなど、口頭で伝えきれない内容をSMSで回答し、FAQページや専用フォームへ誘導できる。問合せの自己解決を促して、待ち呼の解消やオペレーターの業務負荷の軽減に役立つ。
コールフローやシナリオは、管理画面で簡単に設定が可能。高性能音声生成エンジンを搭載し、文章を入力するだけでガイダンスを作成できる。顧客データベースと連携して、ユーザーに合わせた動的なメッセージ生成も可能。オートコール発信機能も搭載し、督促や当選通知などの重要連絡にも対応できるのが強みだ。
SMSの作成/カスタマイズ、プッシュボタンのアクション設定、API機能による外部システム連携といった各種設定の管理はもちろん、各オペレーターの通話履歴・留守電もチェックできるため、マネジメント効率化にも役立つ。
(出所:AmiVoice® Communication Suite公式Webサイト)
コールセンター向け音声認識システム。同社の研究・開発した音声認識エンジンAmiVoiceを組み込み、リアルタイムに通話内容をテキスト化することで、後処理時間を50%以上削減したという事例も。加えて、通話内容から、キーワードに紐づいたFAQの回答や説明資料を自動でポップアップ表示し、テキスト化した内容の検証や、ロールプレイングへの活用など、応対品質と顧客満足度の向上に役立てられる。
ベースエンジンには200社以上の膨大なリソースが蓄積されており、AIの学習時間やコストなどのチューニング工数を削減する。
(出所:QuickSummary公式Webサイト)
音声認識エンジンとの連携により、長文を自動要約・分類するシステム。コールセンター対応内容を音声認識でテキスト化し、ChatGPTなどのLLMを利用し、要約文を生成。後処理業務の効率化と人によるバラツキを抑制する
人間による恣意性を排除したVoC分析の上での高精度な要約・分類が可能だ。また、通話要約、クレーム抽出など、利用用途に応じたプロンプト選択にも対応。個人情報をAIで特定するため、機微情報を学習させることなく、セキュアにChatGPTを利用できる。
(出所:Zendesk公式Webサイト)
カスタマーサポートに必要な機能を統合的に持つクラウド型の問い合わせ管理システム。顧客対応時間を減らすために様々な業務を自動化できる機能を持つ。中でも、よくある質問への回答テンプレートを作成するマクロ機能や、一定の時間が経ったらメッセージを自動送信するトリガ機能を利用することで、メールでの問い合わせに対する返信の時間が短縮できる。また、顧客からの質問内容をもとに、解決に役立つFAQ記事を自動提案するなど、自己解決促進に役立つ機能も。
また、同サービスに含まれるCTI機能と合わせて利用することで、着信通話に自動的にチケットが作成され、引継ぎなどももれなくスムーズに一元管理できる。
(出所:MooA公式Webサイト)
コンタクトセンターの対応品質や、業務効率の改善に寄与するオペレーション支援AI。音声での対応履歴を自動要約する「VoiceSummarize」機能により、ボイスボットと連携して有人オペレーターへの引き継ぎが行えるようになるほか、アフターコールワークの削減にも貢献。また、テキストでの応対履歴の要約を生成する「TextSummarize」機能を活用することで、オペレーターによる応対履歴の記録業務にかかる手間も省く。
通話録音データやテキストデータからVoCやFAQを自動抽出する「VoiceRefiner/TextRefiner」機能により、QAコンテンツの生成はもちろん、オペレーター教育やスキル向上にもつなげられる。
コールセンターの対応時間の短縮化を実現するための方法、サービスをご紹介しましたが、単にサービスを導入するだけでなく、うまく活用するポイントはあるのでしょうか。サービスごとにポイントと注意点をご紹介します。
マニュアル代わりになる社内FAQを導入する際には、応対中にすぐに探せるように、検索の速さと精度の高さが重要となります。
速さにおいては、システムの性能としてのスピードはもちろんのこと、オペレーターにとって速やかに探せるかどうかといったところがポイントとなります。また、どんなにスピードが速くても、大量に関連ワードが出てくるだけで、その中から知りたいことを探しだすのに時間がかかっては意味がありません。検索した中から知りたいことがすぐに探せるかどうかも大事です。
精度の高さにおいては、言い回しの違いや漢字・カタカナ・ひらがなでの表記の違い、言葉の順序の違いなどでもきちんとヒットする必要があります。うまく検索できないので、何度も表現を変えて入力し直さないといけないようだと、Excelと変わりません。
なお、FAQシステムを前述したコールセンターの向けの音声認識システムと連携させることによって、会話の中から自動的に音声をテキスト化し、そこからFAQの提示が可能となります。
FAQシステムについては「FAQシステム比較13選!3つのタイプに分けて選び方を紹介」でも詳しくご紹介しています。
社内FAQ作成時の鉄則として、一元管理し、困った時はここを見る、としておくことが重要です。社内FAQ、業務マニュアル、トークスクリプト、各種規程集などがバラバラだと、それぞれから探すのが大変になってしまい、いくら社内FAQの検索性が高くてもそれ以外が探せないと活用できません。
また、情報を更新するのも手間のため、後回しにされ、最新の情報が載っていないと思われ、使われなくなってしまいます。できるだけ一元管理し、常に最新情報が更新され、生きたFAQにしておくことが大切です。
音声認識においては、当然ながら精度の高さが重要です。せっかく音声認識エンジンを入れても精度が悪いと使えないだけでなく、誤ってテキスト化されたデータをいちいち修正する必要がでてしまい手間が増えてしまうからです。
チューニングをそれほどしなくても常に高精度で使えるようなシステムや、音声認識エンジンとFAQなど他のシステムと組み合わせて利用できるようなタイプを選ぶのがおすすめです。
コールセンターにおける運営の効率化について、特に対応時間の短縮化に特化し、クラウドサービス、主として音声認識サービスの活用ポイントやおすすめサービスをご紹介しました。
単に対応時間が短くなるだけでなく、オペレーターの心理的な負担を軽減し、定着率のアップや対応レベルの向上、そして顧客満足度アップにもつながる、期待の持てるサービスです。自社のコールセンターにとってどのような効果が期待できるか検討し、サービス選びから始めてみるのがよいでしょう。
コールセンター向け音声認識システムをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
“コールセンター効率化サービス”の 一括資料ダウンロードする(無料)
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