最終更新日:2024-11-12
メールの対応漏れや重複対応を防ぎたい、問い合わせ対応の質を向上させたいと考えている方へ。一つのアドレスを共有し、メール管理を一元化するメール共有システムのメリットや比較ポイントとともに、無料で使えるものも含むおすすめのシステムを紹介します。
メール共有システムとは、一つのメールアドレスを複数人で共有し、寄せられた問い合わせを一元管理するシステムです。問い合わせの対応状況を可視化(把握・共有)することで、対応漏れや重複対応の防止に役立ちます。
問い合わせが一定量を超えると「誰が何に対応しているか」を判断できず、対応に抜けがあったり、二重で対応してしまったりとミスが起きやすくなる傾向に。また、複数名で対応すると、回答内容にバラつきが出てしまうほか、内容の申し送りが上手くできずに対応品質が悪化してしまうといった問題が発生することも。
メール共有システムなら、「どのメールが未対応で、どのメールが対応済みなのか」が明らかになるため、対応漏れや重複対応を防げます。
メール共有システムでは、以下のような機能を搭載。ステータス管理やテンプレートは、基本的にはどのシステムにも備わっています。
ステータス管理 | 未対応・対応中・承認待ち・完了などのステータスを一覧で管理 |
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テンプレート機能 | よくある質問には定型文を利用して素早く・的確に返信 |
振り分け機能 | 事前設定でメールを担当者・部署に自動振り分け |
対応履歴確認 | 顧客とどんなやりとりがあったのか、ワンクリックで確認(検索不要) |
コメント・チャット機能 | メールごとにコメント・チャットで細かい申し送りができる |
他チャネルの一括管理 | メール以外の電話・LINEなど他チャネルの応対も一括管理 |
記事後半では、おすすめのメール共有システムをタイプ別に紹介しています。今すぐツール選定に移りたいという方はそちらをご覧ください。
メール共有システムの具体的な活用メリット、比較ポイントなどを知りたい方はそのまま読み進めてください。
なお、特定のシステム導入ではなく、メールアドレスやGmail、OUTLOOKなどWebメールを用いたノウハウを知りたい方は、「メールアドレスを複数人で共有する3つの方法と専用サービス」を参照ください。
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メール共有システムでは何ができるのか、それを用いることで業務がどう変わるのかについて解説します。
利用シーンとしては、日々多くの問い合わせに対応しなければならない、カスタマーサポートやヘルプデスクが挙げられます。そのほか、ECサイトでの注文・予約受付、営業メールの共有、取引先からの発注管理、接客・サービスの合間にやりとりする予約メールなども当てはまるでしょう。
以下、それぞれの利用シーンごとに、メール共有システムの利用法と導入効果を紹介しています。自社で導入する際の参考イメージとして活用してみてください。
複数人で対応する場合でも、メールを「未対応・対応中・対応済み」といったステータスに分けて管理することで、対応漏れ・重複対応を防止。メールだけでなく、電話・SNS・チャットなど、他チャネルで寄せられた問い合わせも同一のインターフェースで一元管理することで、更なる業務の効率化に役立ちます。
定型の問い合わせには、テンプレート機能を利用して素早く返信が可能に。また、差出人別に担当者を自動で振り分けたり、「返品」といった文字が入ったものは自動でラベル付けして担当部署に振り分けたりすることで、問い合わせ対応をスリム化。過去の履歴もすぐに閲覧できる状態にしておくことにより、業務の属人化を防ぎ、社歴・スキルを問わず安定した対応を実現します。
営業アシスタントがメールを送信する前に、営業への承認を得ることを義務付け、対応ステータスに「承認申請中・承認完了」を追加。申請が来ると自動でSlackへアラートを通知することで申請の承認忘れも防ぎます。更に、送信後にメールを一定時間滞留させ、その間に宛先違いなどに気づいたらすぐにキャンセルできるようにすることで、ミスやトラブルを回避するといった活用法も。
離れた場所にいても「誰が何に対応中なのか」といった問い合わせ状況を可視化。メールごとに申し送り用のコメントを紐付けたり、社内Q&Aを利用したりすることで、コミュニケーションの活性化にも寄与します。業務の効率化だけでなく、リモートワーク・テレワーク推進や在宅勤務のベテラン人材を活用して、生産性を向上させることも。
メール共有システムといっても、管理・共有するのがメールだけとは限りません。メールに特化しているシステムのほか、電話(応対メモとして)やチャット、Webフォーム、SMS、LINE、X(Twitter)など、複数のチャネルを一元的に管理・共有するものもあります。
チャネルは広ければよいというものではありません。重要なのは、自社がどのような経路(チャネル)で問い合わせを受けているかを把握し、それにあったサービスを選ぶことです。以下、それぞれのシステムのタイプについて、該当するサービスやポイントを記載しています。サービス選びの参考にしてください。
メール以外にもチャットやSNSなど、複数チャネルの問い合わせに対応したシステムです。たとえば、以下のようなチャネルの問い合わせを一元管理できます。
主にメールでのやりとりを管理・共有したい場合におすすめのタイプです。提供実績が豊富なものが多く、上記より安価なシステムがそろっています。なかには、特定の業界に強みを持ったものも。
「メールをメインに管理したい」もしくは「複数チャネルを集約したい」のうち、どちらのタイプかがつかめたら、個々のシステムを具体的に比較・検討してみましょう。以下の3つのポイントを参考にしながら、自社にあったシステムを絞り込んでいくとスムーズです。
たとえば「Zendesk」では、問い合わせ内容に応じて、適した担当者をアサインする「スキルベースルーティング」という機能を搭載。「この製品に関する質問はこの人へ」というような振り分けが自動で行われます。更に、ステータスが「問い合わせ解決」となり一定期間が経つと、対応満足度を質問するアンケートを自動で送信することも可能です。
「Re:lation」には自動返信機能を備えており、営業時間外でも一次回答を自動で送信。顧客満足度の向上にもつなげられるように。更に、単純作業にルールを付与することで作業を自動化する機能も用意しており、業務の効率化にも寄与します。
対応工数を減らすのではなく、業務そのものを圧縮したい場合には、このような自動化機能がどれくらい搭載されているか確認しておきましょう。
メール共有システムによって、誤送信対策機能は様々。たとえば、メール送信後の一定時間以内であれば送信キャンセルできる機能、添付ファイルのある場合に自動で暗号化してくれる機能、宛先にチェックボックスを入れてその都度確認する機能、複数名で宛先のダブルチェックが可能な承認フロー機能などが挙げられます。
セキュリティを高めるだけなら機能数を比較すれば十分ですが、重要なのは業務に支障が出ないこと。たとえば、顧客に対して一斉送信を行うことが多い場合は、一斉送信であってもシステム上は個別送信してくれる機能を備える「メールワイズ」のようなサービスがおすすめ。自社の業務フローにあわせ、できるだけ運用しやすいものを選ぶようにしましょう。
楽天市場やYahoo!ショッピングではECサイト側で用意したチャットツールがあり、そのチャット上で顧客とやりとりしなければなりません。複数のECサイトに出店していると、チャット対応のためにECサイトごとに都度ログインしなければならず、手間がかかってしまいがちに。そのような場合は、「メールディーラー」のように複数のECサイトと連携し、メール共有システム側で一括管理・共有できるものが便利です。
そのほか、メール共有システムを受発注システムと連携させて、過去の発注状況をワンクリックで確認し、応対を効率化させるといった使い方も。CTI、CRM/SFAなど、自社で主軸とするシステムがあり、連携した方が業務効率の向上につなげられるという場合は、そのシステムと連携可能なメール共有システムを優先的に選ぶようにしましょう。
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(出所:メールディーラー公式Webサイト)
導入実績8,000社以上と、様々な業界・業種で利用されているメール共有システム。「新着」「返信処理中」「対応完了」といった対応状況が把握できるステータス管理のほか、過去の対応履歴の記録、二重対応を防止する返信中メールのロックといった複数名でのメール共有に役立つ機能が豊富。社内での申し送り用のコメント添付機能や、社内Q&Aなど、シフト制により日々担当者が変わる場合でも情報共有がしやすい仕組みがそろっている。
そのほか、優先順位付けや振り分けが可能なラベル機能、返信メールの質を平準化するテンプレート機能も備え、業務効率化や対応品質の向上に役立てられる。ECサイトの問い合わせメールや、外部チャットとの連携も可能だ。
(出所:Re:lation公式Webサイト)
メール共有だけでなく、様々なチャネルで寄せられる問い合わせを一括管理する顧客対応クラウド。導入実績は5,000社を超え、メール、電話、チャット、LINE、SMSなどはもちろん、ECサイト経由での問い合わせも一元化する。
「未対応」「保留」「対応完了」「対応不要」の4つのステータスで管理し、対応漏れや遅れ、重複対応を防ぐ。担当者の自動振り分けや、多様な条件でメッセージを分類するラベル管理、単純作業を自動化するルール設定など、業務効率化を支援する機能が充実。よくある返信をテンプレートとして用意しており、テンプレートと併用して使える定型文もフレーズ機能として備えている。スマホアプリも展開し、PCが開けない環境でもスムーズな対応を実現する。
(出所:Zendesk公式Webサイト)
メール共有をはじめ、電話やチャット、SNSなど、様々なチャネルで寄せられる問い合わせを一括管理する問い合わせ管理システム。世界で10万社以上の導入実績を誇る。一つのアドレスを複数人で共有するだけでなく、対応状況を「チケット」として共有することで問い合わせを一元管理する。
自動化機能に強みを持ち、よくある質問に対して回答テンプレートを適用するマクロ機能や、豊富なカスタマーサービスデータをもとにした独自AIボットによる問い合わせメールへの自動返信、担当者の割り当てを自由に設定できるトリガ機能などを備えている。更に、OpenAIとの連携・生成AIの活用により、問い合わせ内容の要約や、回答の詳細化、トーン変更なども瞬時に対応。FAQシステムやチャットツール、コールセンターソフトなどを統合しているため、カスタマーサポート業務全体の効率化が期待できる。
(出所:Freshdesk公式Webサイト)
メール共有はもちろん、多様なチャネルでのコミュニケーションを集約する問い合わせ管理システム。世界で50,000社以上の導入実績を誇る。
カスタマーサポート業務の自動化や合理化を掲げ、問い合わせはチケットとして自動でタスク化。受け取ったチケットすべてに自動で優先順位を適用する機能や、担当者・グループへの自動割り当て機能などを備え、顧客のフォローアップを自動化する仕組みが充実している。
(出所:Zoho Desk公式Webサイト)
メールはもちろん、電話、チャット、SNSなど、複数のチャネルを経由した問い合わせを一元管理するサポートツール。あらかじめ設定したワークフローのルールに従って自動で業務タスクを割り振ったり、回答の送信後に自動でステータスを更新したりと、細かなプロセスやルーティン作業を自動化することで、作業工数の削減に貢献。チャネルや製品にあわせたテンプレートの作成・共有機能、運用プロセスに応じてカスタマイズできるステータス機能も備え、業務の効率化はもちろん、ヒューマンエラーの防止にも役立てられる。
(出所:メールワイズ公式Webサイト)
導入実績15,000社以上。一斉送信機能を持ち、メール配信システムとしても利用できるメール共有システム。一斉送信の際は個々のメールアドレスが設定されるため、顧客情報の流出といったリスクも防げる。
メール1通ごとに担当者と処理状況を設定するステータス管理や、業務の標準化に役立つメール文面のテンプレート、業務の引き継ぎを円滑にするコメント機能などを備え、重複対応や対応漏れの防止にもつなげられる。メール・電話・訪問の履歴も記録して一画面に集約するため、担当者の変更があってもスムーズな対応を実現する。
同社の提供する業務改善ツール「kintone」と連携し、CRMとして活用する方法も。
(出所:WEBCAS mailcenter公式Webサイト)
メール配信システムが代表的な、WEBCASシリーズが提供しているメール共有システム。ユーザー数は無制限で利用が可能。数千人規模のオペレーターが在籍する、大手企業や官公庁などのコンタクトセンターでの活用も。対応漏れや重複対応を防ぐ自動ステータス管理、対応履歴の一覧表示、テンプレート機能、最大3段階まで設定できる承認フローなど、メール共有に役立つ機能が一通りそろっている。
問い合わせ件数を集計して分析に役立つレポート機能、外部の顧客データベースやECサイトとの連携機能なども用意し、多岐にわたるメール対応業務を効率化。クラウド版のほか、パッケージ版も備えている。
(出所:問いマネ公式Webサイト)
導入実績2,500社以上のクラウド型メール共有ソフト。利用者の半数以上がネットショップ運営企業となり、ECサイトでのメール対応シーンで活用されている。
重複返信・対応漏れ防止機能では、「返信する」ボタンをクリックした人が担当者として割り当てられ、同時対応を行おうとするとアラートを表示。対応していないメールがある場合は、条件をもとに警告表示もされる。ステータス管理では、「状態」「担当者」「重要度」を表示し、項目内容は自由に変更できるため、運用にあったステータスの設定が可能。
「楽天あんしんメルアドサービス」に標準対応しているため、楽天市場でショップを運営するユーザーも多数。複数ネットショップのメールを一元管理するのに有用だ。
(出所:mi-Mail公式Webサイト)
ドラッグ&ドロップで自由に一覧画面の項目を並び替えてカスタマイズでき、シンプルな操作性にこだわったメール共有システム。1,000万件のメール保存数を実現しながら、高度な処理能力を備えている。
重要度の進捗だけでなく、対応すべき作業が見える化されるステータス管理や、担当者の自動振り分け機能によって業務を効率化。更に、あらかじめ設定した時間が経過するとメールの背景色が変化し、メールに対する警告を視覚的に確認できる対応期限設定、ほかの担当者によるメール返信をロックする仕組みなども用意され、対応漏れや二重対応の撲滅に役立つ。関連メールや顧客の自動紐づけ機能により、問い合わせをメール1通単位でなく、案件単位で管理する点も特徴だ。
(出所:yaritori公式Webサイト)
幅広い業界・業種で導入されているクラウド型のメール管理システム。「未対応」「対応済み」といったカスタマイズ可能なステータス管理や、二重返信防止に役立つ操作ロック、カテゴリーごとに作成できるテンプレート管理などを備える。そのほか、メールごとにチャットを紐づけて返信内容の相談をしたり、LINE公式アカウントやSalesforceと連携して取引先情報を自動蓄積したりと、業務の効率化に役立つ機能も豊富にそろっている。
GPT-4対応のメール生成機能を搭載しており、返信文の作成やビジネスに適した文章への変換などができるのも強み。
(出所:GrpMail公式Webサイト)
グループでのメール対応業務に特化して設計されたメール共有管理システム。シンプルな画面設計で、使いやすい操作性が魅力。メールごとに「A社」といった企業名や、「請求書送付」といったタスクなどを自由にタグ付けできる。タグによってワンクリックで目的のメールを絞り込めるため、従来のようにフォルダ分けをする必要がなく、メールの分類が効率化される。
受信メールだけでなく、個々のユーザーが送った送信メールも共有。送信メールも受信メールと同じ一覧に時系列で表示されるため、フォルダを移動する手間なく対応の流れが追え、過去の対応履歴や対応状況の把握もスムーズに。業務の属人化を防ぎ、メール対応品質の向上にもつなげられる。
Google Apps シングルサインオン(SSO)に対応し、不正アクセスのリスク低減にも有効。
メール共有システムのなかには、有償プランに比べて使える機能やカバーする業務範囲が限られるものの、無料で利用できるシステムもあります。「本格的に導入する前にお試しで使ってみたい」「自社にあったシステムかどうか事前に確認したい」といった場合におすすめです。
以下、無料プランを提供しているサービスと、利用可能な条件・機能をまとめています。参考にしてみてください。
サービス名 | 無料で使える条件 | 無料で使える機能 |
---|---|---|
Re:lation | 登録ユーザーは3IDまで ※送信権限は1IDまで |
要問い合わせ |
Freshdesk | 最大2エージェントまで |
|
メール共有システムは、メールを中心に寄せられる問い合わせを複数人で対応する場合に適しています。
メール共有システムを導入すれば、対応漏れや重複対応を防ぐだけでなく、対応スピード・品質の向上、誤送信といったトラブルの防止など、様々なメリットが見込めるように。特に近年では、リモートワークやテレワークの業務効率化の手段としても、多くの企業で導入されています。
自社にあったメール共有システムを選ぶ際は、まず「問い合わせ管理をメールに限るのか」それとも「メールとあわせて他チャネルも一元管理したいのか」を確認しましょう。
管理したい範囲を絞り込めたら、以下のポイントに沿ってサービスを比較するとスムーズです。
自社の環境や業務フローと照らし合わせ、最適なメール共有システムを検討してみてください。
メール共有システムをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
“メール共有システム”の 一括資料ダウンロードする(無料)
また、メール共有だけでなく問い合わせを一括管理できる問い合わせ管理システムの導入のポイントなどは、こちらでガイドしていますので併せてご覧ください。
問い合わせ管理システムの選び方ガイド
メールディーラー(Mail Dealer)|インタビュー掲載
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