最終更新日:2023-11-27
特許、商標などの知的財産管理業務を効率化するために、関連書類や特許事務所とのやり取りの一元化をしたい、自社の知財情報をもとに新たな戦略を立てていきたい知財部門の担当者へ。知財管理システムの機能や選び方と、おすすめのシステムを紹介します。
知財管理システムとは、知的財産の権利化や保護において発生する社内業務の効率化や、情報の一元化をはかれるシステムです。企業の知財担当者を起点に、自社に所属する発明者や、権利化手続きを代行する特許事務所とも連携しやすい仕様になっています。
知財管理とは、自社の知的財産の権利化や、権利の維持管理など、知財を有効的に活用するために発生する業務全般を指します。なお、知的財産の種類には、主に特許庁が所管している産業財産権である「特許権」、「商標権」、「意匠権」、「実用新案権」が挙げられます。
企業の知財担当者は、知財の権利化を進めるために特許事務所と連携しながら以下の工程を踏みます。
上記の各工程で、書類の提出期日管理や特許庁との対応など様々な業務が発生。案件によっては、対応が更に煩雑になります。
また、特許権を維持するためには毎年「特許年金」を支払う必要があり、基本的にはこの管理も知財担当者が行います。しかし特許年金は、特許の取得経過年数によって納付金額が変動するので計算が複雑です。
このような業務をExcelなどのアナログで管理していると、期日管理や納付管理におけるミスが起こりがちです。また、自社で取り扱う知財案件が増えると、アナログでは管理が難しくなります。
知財管理システムを利用すれば、導入企業は以下のメリットを享受できます。
なお、知財の出願手続きを行うと、特許庁が管理しているプラットフォームに情報が公開されます。技術ノウハウを表に出さず、秘匿化したい場合は「先使用権制度」を利用するのも一つの方法です。
先使用権制度とは、ほかの会社が特許を出願するより前に、同様の事業を準備していた事業者に、事業の継続を認める権利です。先使用権を立証するには、事業の準備過程を記した資料の作成日時・作成者を明記した形で保管し、その資料が他社の特許出願日より前に存在していたことを示す必要があります。
先使用権の立証において有効なのが、タイムスタンプです。タイムスタンプが押されていれば、刻印日時の前に文書が存在していたこと(存在証明)と、刻印日時以降、文書が改ざんされていないこと(非改ざん証明)が立証できます。
なお、タイムスタンプ機能が付いた文書管理システムについては、「文書管理システムの比較15選。5タイプ・選び方を図解で紹介」で紹介しているので参照してみてください。
知財管理システムは、知財の出願から権利取得までの工程管理、特許年金の支払管理、契約管理など、知財担当者が担う業務を手助けする機能が備わっています。
この章では、知財管理システムに搭載された一般的な機能を紹介します。なお、機能の詳細はシステムによって異なるため、本記事後半のシステム紹介とあわせて確認してみてください。
自社が保有する知財のポートフォリオを作成・管理できます。ポートフォリオでは、自社の特許を使った製品の売上や、ライセンスから得られた収益などを一覧表示。競合他社が保有する特許の内容や技術の展開具合を比較した「パテントマップ」とあわせて管理しておくと、自社の技術力を客観的にとらえることができます。また、ポートフォリオにより有効活用されていない権利も可視化でき、権利維持・放棄の判断がしやすくなります。
知財の出願状況や、査定の可否割合、知財を使った製品の売上額など様々な情報を分析。権利維持の判断や今後の知財戦略を立てるうえでの資料として役立ちます。
出願にあたり作成した資料や特許庁からの書類、ライセンス契約などの契約書を、案件と紐付けて一元管理できます。知財担当者間でドキュメントの共同編集ができるシステムや、作成した契約書をオンラインで他社に送付できるシステムもあります。
ライセンスイン(他社が持つ知財権に対価を払い、自社に導入すること)、ライセンスアウト(自社で取得した知財権を他社に売却、使用を許諾すること)の契約管理もサポート。契約書の作成や、契約に関わった当事者との連絡、ライセンス契約期限などの重要な日程の管理も行えます。
知財出願後の審査請求手続期日、特許庁から手続補正が通知された際の中間手続対応期日、査定完了後の特許料納付期日など、各法定期日を自動で設定。期日前にはリマインド通知が届く仕様になっています。一部のシステムでは、海外の知財法やルールに則った期日の自動設定にも対応。
各知財担当者が抱えるタスクをシステム内に落とし込み、リマインダーを設定。作業の抜けもれを防ぎます。
特許年金の次回の納付期日や金額を自動計算します。外部の請求書システムと連携することで、請求書発行まで完結できるタイプも。そのほか、特許年金管理専用のプラットフォームを別売で用意しているシステムや、特許年金の支払い、期日管理の代行サービスを提供している会社もあります。
出願費用、中間費用、特許年金費用など、案件ごとにかかった費用や支払い状況を管理。あらかじめ設定しておいた予算と実際の支払い状況を照らし合わせて予実管理できるシステムもあります。
自社で保有している知的財産データベースを簡単に検索。社内だけでなく、グループ企業も含めて横断的に情報検索可能な仕様にでき、重複した研究投資の排除に役立ちます。
特許庁が提供する情報プラットフォームと連携し、案件に関する最新情報を確実に吸い上げ。自社の登録情報と見比べて適宜修正することで、正しいデータを保存しておけます。
社内外の関係者をつなぐワークフローやチャットのような機能をシステム内に構築できます。連絡手段を一元化することで、社内外での情報共有がスムーズになり、業務の生産性が高まります。
知財管理システムは、以下4つのタイプに分けられます。事業の規模や効率化していきたい業務、活用したい機能に応じて選ぶと良いでしょう。
知財ポートフォリオの管理や、自社で保有している知財の分析機能が豊富なタイプ。国内外で多数の知財を保有管理している企業や、客観的なデータに基づいて、知財における事業戦略を立てていきたい企業におすすめです。
「ANAQUA」は、知財ポートフォリオの管理機能が充実。たとえば画面上では、特許を使用した製品の売上から得られた収益と、特許の維持にかかったコストの比較分析ができます。ほかにも月次、四半期ごとの予実管理や発明者に支払う報奨金も管理でき、自社の知財事業を支えるプラットフォームとして活用できます。
「DIAMS iQ」は、保有している知財案件の財務的な影響を監視できる「コストトラッキング」機能を搭載。知財戦略を立てるうえで重宝します。
「IPfolio」は、システム内蔵のAIにより各知財の「強さ」をスコア化。権利の維持を検討する際の指標にできます。また、同社では特許分析・調査代行サービスも提供。一例として、自社製品が他社の特許を侵害するリスクの調査や、特定の技術テーマに関する他社動向や最新トレンドの分析などを任せられます。
企業の知財部と発明者、特許事務所、外部パートナーとのやり取りや書類の授受が円滑になるワークフローを標準搭載しているタイプ。メールや複数のツールにまたがっていたやり取りを一元化したいと考えている企業におすすめ。また、案件の期日管理などの基本機能も一通りそろっています。
「root ip」は、出願期限や出願番号など案件のデータ情報を差し込んだワークフローを作成可能。やり取りしている案件の詳細を知りたい時に、都度検索しなくて済むのが便利なポイントです。
「Equinox Corporate」は、「Outlook」や「Gmail」と連携することで、システム内でEメールの送受信ができる機能を搭載。まだワークフロー化できていない、あるいはワークフローでつなげるのが難しい関係者とのやり取りを集約するのに役立ちます。
オプションや拡張機能が充実しているタイプ。知財データは日々情報が蓄積・更新される側面があり、一度システムを導入したらほかへの移行が難しいものでもあります。
このタイプは、いざ知財業務が拡大した時に柔軟に機能拡張ができるので、「始めは最低限の機能でスタートして、必要であれば機能を追加したい」と考えている企業におすすめ。なお、このタイプにワークフロー機能は付いていませんが、オプションで取り扱っているシステムもあります。
「MASYS」は、「国内特許」「外国特許」「国内意匠」「国内商標」「外国商標」といった計5種類の買い切り型システムを、自社の事業形態に応じて導入できます。複数組み合わせての導入もできますし、自社の業務が拡大した際にほかのシステムを追加導入することも可能です。そのほか、特許の出願にかかった費用や特許事務所に支払う費用を管理できるオプションや、競合の特許出願状況を監視しやすい別売システムなども用意しています。
「CyberPatent Topam」も同様に、サブシステムが豊富。一例を挙げると、「CyberPatent Desk」は、世界約100カ国の知財情報を収録。内蔵されているAIが、探している内容に近い文献を優先的に表示してくれます。ワークフローも、別システム「CyberPatent Topam /WP」によって導入できる体制になっています。
「IP Drive」の場合、グループ企業や関連部署にまたがって情報管理・期日管理しやすい「PatentManager」シリーズを用意しており、機能を拡張したい場合は簡単に乗り換えできます。
案件の期日管理機能やリマインド機能といった最低限の機能が搭載されていて、比較的安価に利用できるタイプ。まずは知財管理システムを試してみたいといった企業に最適です。
国内外の特許案件の期日管理に特化した「パットミニスタ」は、一つの期日につき、最大3回リマインドが届くよう設定可能です。また、担当者がデータを入力後、上長が承認処理を行ってデータを確定させるといった「ダブルチェック」体制を構築できるので、誤ったまま入力データを保存するリスクを抑えられます。
知財管理システムの導入にあたって、比較検討すべきポイントを紹介します。
知財担当者は、発明者や外部パートナーなど様々な人とのやり取りや情報共有をスムーズに行うことが求められます。これらがクリアできるような柔軟なカスタマイズ性や機能があるシステムなのかは、チェックすべきポイントです。
たとえば「知財管理サービス IPeakMS®」は、知財部内でワークフローの構築・見直しが簡単に行えるのが特徴です。人事異動があった際も、直感的な操作でワークフロールートを修正可能。また、社内の他部署や特許事務所などの外部パートナーをつなぐフローも柔軟に設計できます。
「CyberPatent Topam」は、社内の部署や職責に応じて、案件情報の公開範囲をコントロールできる機能を搭載。知財担当者以外の発明者など、ほかのメンバーにも情報を展開しやすい仕様になっています。
「iPRAD RYOMA」の場合、知財担当者以外の発明者でも、新規の案件を簡単に登録できる仕組みが。たとえば、一定のキーワードを入れると続きの入力例を表示する「入力アシスト機能」が付いているので、知財の専門知識がなくても案件登録しやすいのがポイントです。
特許年金の支払い期限は、保有年数や特許の条件によっても変動するため管理が複雑です。わずかなミスが、特許権の喪失につながるため慎重に管理をする必要があります。どのシステムも、期日管理の設定やアラート機能などを搭載していますが、より手厚いサービスを備えているシステムもあるので、参考にしてみてください。
たとえば「DIAMS iQ」は、特許、意匠、商標、実用新案に関する年金納付を代行するサービスを提供。権利の更新期日と支払いにかかる概算費用の一覧を送付してくれて、企業側はどの権利を更新するか選ぶだけで、必要な分の年金納付を代行してくれます。
「PALNET/MC6」は、国内外の特許年金の支払いや期日管理の代行サービスを提供している「NGB株式会社」と事業提携。年金の支払い件数が膨大でも、同システムに集約されたデータを渡せばNGB側が処理してくれるので、知財担当者は別の業務に時間を割くことができます。
また、「ANAQUA」は特許年金の支払いサポートのほかに、ポートフォリオや予算を見ながらどの特許権を維持、あるいは放棄すべきかをアドバイスしてくれます。商標の更新管理サポートにも対応しており、失効により事業やブランドに影響が及ぶリスクを防ぎます。
知財にまつわるデータ分析機能が充実しているタイプのシステムを紹介します。
(出所:ANAQUA公式Webサイト)
グローバルにまたがる知財情報を包括的に管理できるシステム。知財ポートフォリオの管理機能が充実しており、画面内では特許使用の製品から得られた収益と、特許の維持にかかったコストの比較分析ができる。また、競合他社の動向監視も可能で、自社の特許が他社の開発を阻止できているか、あるいは他社が自社の特許を迂回して開発を行っているかを把握できる。
期日管理においては、独自のルールエンジンによって国別・案件タイプ別に、法定期日やルールの改正を踏まえて正しい締日を設定してくれる。ライセンス契約の管理もシステム内で行えるうえ、オンライン上で契約書のサインを完結できる機能も付いており、ペーパーレス化の促進に役立つ。
そのほか、ワークフロー機能や月次、四半期ごとの予実管理、自社の発明者に支払う報奨金管理ができる機能も搭載。
(出所:DIAMS iQ公式Webサイト)
ユーザーフレンドリーなUIで、社内の知財業務をあらゆる角度からサポートするシステム。知財情報の分析機能においては、特許の出願進捗状況を示した円グラフや、国ごとの出願状況などを見やすく表示。保有案件の財務的な影響を監視する「コストトラッキング」機能は、知財戦略を立てるうえで重宝する。案件管理においては、世界各国の法制度をもとに各案件の法定期日を自動計算。
また、知財部と発明者や特許事務所、外部パートナーと協業できるワークフローも設定可能。そのほか、外部のCRMや請求書作成ツールとも柔軟に連携でき、知財業務の更なる生産性向上が期待できる。
同社では、特許、意匠、商標、実用新案に関する年金納付を代行するサービスを提供。各権利の更新期日と概算費用の一覧を送付してくれて、導入企業側はどの権利を更新するか選ぶだけで、必要な分の年金納付を代行してくれる。
(出所:IPfolio公式Webサイト)
国内外の特許、実用新案、意匠、商標、発明提案、ライセンスの管理に対応するシステム。知財担当者が担う様々な業務を自動化できるのが特徴で、たとえばワークフロー機能では、一つの案件に対して発生する期限の設定や、担当者へのタスクの割り当てを自動化。
また、分析機能も充実。国別の知財出願数や、ポートフォリオ数、特許年金支払いにかかる見込み費用、発明提案の進捗状況などを一目で把握でき、企業の迅速な意思決定をサポートする。更に、AIにより各知財の「強さ」もスコア化でき、権利の維持を検討する際の指標にできる。
そのほか、同社では特許分析・調査サービスを提供。たとえば、自社製品が他社の特許を侵害するリスクの調査や、特定の技術テーマにおける他社の動向や最新トレンドの分析などを任せられる。
(出所:iPRAD RYOMA公式Webサイト)
知財データを誰もが簡単に活用できるよう設計されたシステム。国内外の特許、実用新案、意匠、商標の管理に対応。新規案件は、知財担当者以外の発明者でも簡単に登録できる仕様になっており、一部のキーワードを入れると続きの入力例を表示する「入力アシスト機能」を搭載。
また、知財の各種データ分析機能も豊富。ダッシュボードには、案件の出願・対応期限のほかに、直近一年での出願国や、どの国で知財を多く保有しているかを示した世界地図などを表示。知財の出願手続きにかかった経費の予実情報も一覧表示されるので、今後の事業戦略を立てる資料として役立つ。社内外のメンバーをつなぐワークフロー機能や、チャット感覚でコミュニケーションできる機能も搭載している。
提供形態は「クラウドサービス」のほかに「サブスクリプション」「パッケージ」タイプがある。
知財担当者と、社内の発明者や特許事務所をつなぐワークフローが標準搭載されたタイプのシステムを紹介します。
(出所:知財管理サービス IPeakMS®公式Webサイト)
知財にまつわる案件の情報や契約などの情報をクラウド上で一元管理するシステム。自社の業務形態に合わせて、特許出願から出願審査請求、権利化、年金管理など各ステップに応じたワークフローを設定可能。人事異動があった際も、知財部門で簡単にフローを設定し直せる。システムに集約した案件に関しては、部署や担当者の職責によって情報公開範囲や編集可否を自由に設定できるので、発明者などほかの社内メンバーにも情報展開がしやすい。特許年金管理においても、自動計算された納付書を適切なフォーマットで出力できるので、業務工数削減に貢献する。
オプションも数種類あり、他社の特許出願状況の進捗を監視できる「他社管理」や、コストを計算できる「経費管理」などから必要なものを追加導入可能。また、別途同社が初期設定や導入をバックアップするサービスも利用でき、社内の導入定着化をはかれる。
(出所:PALNET/MC6公式Webサイト)
知財業務で発生する情報共有とルーティン作業の効率化を支援するシステム。知財部と発明人、特許事務所が関わるプロセスをワークフロー化でき、案件の期日や関連書類、各フローで発生する作業の一元管理を実現。また、同じデータベースでグループ企業の案件も管理可能。グループを横断した案件検索・閲覧が実現し、重複した研究投資の排除に貢献する。
また、本システムで特徴的なのは、国内外の特許年金の支払いや期日管理の代行サービスを提供する「NGB株式会社」と提携できること。年金支払い件数が膨大でも、同システムに集約されたデータを渡せばNGB側が処理してくれるため、知財担当者はほかの業務に時間を割くことができる。
そのほか、同システムは国内外40カ国の法改正を常にウォッチングしており、改正があればメール通知や修正プログラムの提供を行っているので安心して利用できる。
(出所:Equinox Corporate公式Webサイト)
シンプルなUIで、企業の知財を包括的に管理するシステム。特許、実用新案、意匠、商標の管理に対応。案件を入力すると、関連タスクが自動的に立ち上がる仕組み。また、同社独自のリーガルデータエンジンに則って、各案件の出願期日など正確な日付を管理できる。日本の特許庁や海外の官公庁が公表している知財データと、自社で保存したデータの比較検証を行う機能も搭載。官公庁のデータがアップデートされるとシステムに自動反映されるので、自社のデータとの差異を修正しやすい。そのほか、知財担当者間で文書を作成・編集できるドキュメント管理機能や、「Outlook」、「Gmail」と連携してシステム内でEメールの送受信ができる機能も情報の一元化に役立つ。
別途、特許年金の管理に特化した「PAVIS Connect」など複数のソリューションと連携できる。
(出所:root ip公式Webサイト)
実務に精通した弁理士が開発した知財管理システム。特許のほかに実用新案、意匠、商標の管理に対応。企業の知財部で利用する「企業版」と特許事務所で利用できる「事務所版」がリリースされており、本記事では企業版を紹介する。案件に関しては、ワークフロー機能を標準装備しており、社内の知財部と発明者、特許事務所に所属する手続代理人を招待可能。自社の業務体制に合わせたワークフローを作ることで進捗状況が可視化され、スムーズな情報連携が行える。また、案件に紐付いたファイルもクラウド内で一元管理できる。
更に、本ツールは世界の知財情報の審決情報や、審査経過を発信するプラットフォーム「J-PlatPat」と連携できる仕組みに。自社で入力した出願日などのデータを正式データと簡単に照合でき、入力ミスを修正しやすい。
データの暗号化や多要素認証を実装しており、セキュリティ対策も万全だ。
オプションや別売のシステムが豊富で、機能を拡張しやすい、スモールスタートに向くタイプの知財管理システムを紹介します。
(出所:MASYS公式Webサイト)
知財の発明から権利消滅に至るまでのあらゆる情報を一元管理できるシステム。システムは、買い切り型の「国内特許」「外国特許」「国内意匠」「国内商標」「外国商標」の5種類があり、自社の事業形態に応じて導入していく仕組み。「国内特許」システムに関しては、出願審査の中で起こった「手続き補正」や「拒絶査定」などのアクションをプルダウンで選ぶと、対応期日が自動でセットされる。また、案件に対して「いつ・誰が・どう対応したか」を入力できる仕様になっており、ワークフローがなくても担当者間での情報共有が行いやすい。ほかにも、特許年金の次回納付期日を自動計算する機能など、案件管理に必要な機能がそろっている。
機能拡充のためのオプションや、周辺システムのラインナップが豊富。たとえば「費用管理オプション」を組み込めば、各特許の出願にかかった費用や、特許事務所に支払う費用をより詳細に管理できる。
(出所:CyberPatent Topam公式Webサイト)
特許、実用新案、意匠、商標の管理に対応する企業向け知的財産管理システム。システムに案件を登録後、進捗の変化に応じて作業項目や期日を追加、更新できる仕組みになっている。また、知財担当者の職責に応じて、案件の情報公開範囲をコントロールすることも可能だ。更に本システムは、タイムスタンプ機能を標準搭載。保存したファイルには自動的にタイムスタンプが刻印され、ファイルの存在証明、非改ざん証明が完了。必要なファイルにだけタイムスタンプを押す設定にもできる。
ワークフローを構築したい場合は、別途「CyberPatent Topam /WP」の導入が必要。出願フローや中間手続きフロー、審査請求要否フローなどを自在に構築できる。更なる機能の拡充をはかれるサブシステムも豊富で、事業の状況に応じてカスタマイズしやすいのが嬉しい。
(出所:IP Drive公式Webサイト)
直感的なインターフェースで国内外の知財管理ができるシステム。各案件は「手続」、「審査請求」、「年金納付」などステータスごとに分類する仕組みになっている。ステータスの期限が近づいたら毎週メール通知されるので、手続きもれ防止に役立つ。また、システム内に登録した案件情報を見たい場合、検索窓やフィルタリングを使えばすぐに拾いやすい仕様になっている。
商標管理はオプション扱い。同じくオプションで、知財部と社内の発明者、特許事務所などと連携できる「コミュニケーション機能」を搭載可能。一つの案件に対して、社内外のメンバーでチャットやファイルの授受を完結できるようになる。そのほか、同社ではグループ企業や関連部署にまたがって情報管理しやすい「PatentManager」シリーズも用意しており、機能を拡張したい場合は乗り換えできる。
最後に、特許の期日管理に特化したタイプのシステムを紹介します。
(出所:パットミニスター公式Webサイト)
国内外の特許の期日管理に特化したシステム。具体的には、新規案件の出願審査請求期限、特許査定後の年金納付期日などを管理できる。「新規案件・審査請求待ち・審査中・中間処理・年金管理」といった進捗状況別のシートに案件が期日順に表示されるので、いつまでにどれを対処しなければならないかが一目でわかりやすい。また、各種期日が迫ってくると、メールで通知する機能も搭載。一つの期日につき、最大3回リマインドが来るよう設定可能だ。また、担当者が特許出願日などのデータを一通り入力した後、上長が承認処理を行ってデータを確定させる「ダブルチェック体制」を構築でき、誤った入力データの保存を防止する。
知財担当者は、知財の出願手続きや特許年金支払い対応などの様々な業務を抱えています。一つひとつの案件をアナログで管理していると、対応のもれやミスが発生しがちです。
知財管理システムであれば、システム内で資料や情報を集約。案件に関連する期日も国内外の法制度と照らし合わせながら自動で設定でき、リマインドをかけられる仕様になっています。また、社内の発明者や特許事務所、その他の外部パートナーとワークフローやチャットでスムーズにやり取りできるのもポイントです。
知財管理システムには、ポートフォリオの管理や様々なデータ分析ができる高機能なタイプから、ワークフローを構築できたり、事業の拡大に合わせて機能を拡張できたりするタイプ、案件の期日管理に特化したタイプと様々です。本記事を参照しながら、自社に最適な知財管理システムを選んでみてください。
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