様々な監視ツールを駆使しているが、運用が大変なので統合監視による効率化を検討したい方へ、統合監視ツールの活用メリット、切り替えタイミングや候補となるツールについてご紹介します。
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統合監視ツールとは、複数のネットワーク機器やサーバーなどをまとめて、一元的に監視するためのツールです。
運用するネットワークやシステムの規模が小さいうちは、ネットワーク監視はこのツール、サーバー監視ではこのツールなどのように、監視ツールを使い分けても運用に大きな問題はありません。
しかし、運用する規模が50台以上であるとか、複数のクラウドサービスや仮想環境上のサーバーを使い分けている状況にもなると、複数ツールの画面を切り替えながら確認したり、監視ツールごとに異なるアラートメールを都度判別したりすることが、運用担当者にとって大きな負担になります。
そのため、運用規模が大きい場合や、複数の環境が混在している場合などでは、監視業務を効率的に行うために、統合的に管理できる仕組みが有用であり、そのための手段が統合監視ツールの利用です。
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統合監視ツールを活用することによるメリットとしては、次の3点が挙げられます。
通常はネットワーク機器やサーバー、アプリケーションの種類ごとに監視項目を設定する必要があり、機器の導入時に一つ一つ設定していくのは大きな負担になります。テンプレートを有する統合監視ツールであれば、ネットワーク機器やサーバーごとに最適な設定項目を、テンプレートを用いて自動的に設定しますので、設定作業が大幅に軽減されます。
また、監視用のソフトウェアを対象機器にインストールする必要があるエージェント型の場合は、機器ごとにインストール作業や、バージョンアップの更新作業を行う必要があり大きな負担になります。その際、エージェントレス型の統合監視ツールであれば、それらの作業が不要になります。
統合監視ツールを導入すると、一つの画面で機器やサービスの利用状況やステータスなどを確認できるようになるため、ツールを切り替えて確認する場合に比べて監視が楽になります。
もちろん、運用担当者にとっては、複数の監視ツールの操作を覚える必要がなくなり、ツール操作に習熟しやすくなるため、日々の監視操作がスムーズになります。
さらに、最近では統合監視ツールによる自動化も進んでいます。大規模なシステムを運用している場合、緊急でない通知も含めて1日に100件以上通知されることも珍しくありません。その際、運用担当者が1件ずつ、運用マニュアルを参考にしながら緊急度を確認するようだと時間を要します。統合監視ツールで自動的にアラートの内容を確認して、緊急対応が必要なものだけを運用担当者に伝えることができれば、アラート確認作業が軽減されます。
従来は、緊急時のアラートはメール通知が中心であり、パトライトなどを活用している一部を除くと、メールをみないと障害発生に気づかないケースがありました。最近の統合監視ツールでは、メールだけでなく、Slack、自動音声による電話連絡、SMS配信など伝達手段が複数用意されていますので、これまでよりも早く把握できるようになります。
統合監視ツールは、これまで監視用サーバーを用意して、統合監視用のソフトウェアをインストールする方式が多くありました。最近では、「Datadog」、「Site24x7」や「Systems Answer G3 on SAMS」のように、クラウドサービスを利用して監視するSaaSタイプのツールも増えています。
監視対象は公開サーバーが中心で、小規模の監視であれば、導入のしやすさからクラウド型の統合監視ツールは選択肢になります。クラウド型統合監視ツールによっては、VPN経由での監視にも対応していますので、VPN経由で社内ネットワークの機器やサービスを監視することもできます。
サーバーやネットワークを運用しているほとんどの方は、無料ツール含めて、何らかの監視ツールを利用されていることがほとんどなので、監視ツールを複数併用していても、監視業務自体は支障なく行えているはずです。
ただし、統合監視ツールを活用することのメリットはわかったけれど、(特に有料ツールの場合)コストをかけてまで統合監視に踏み切るべきかわからない、というケースもあります。そこで、どのようなタイミングで統合監視ツールの利用に移行すべきか、いくつかのタイミングをご紹介します。
サーバーやネットワークの将来の利用状況がある程度予測できないと、念のために多めの処理能力を確保しておこう、という心理になり、サーバーやネットワークを必要以上に追加してしまう可能性があります。統合監視ツールの全体の分析機能により、将来の利用状況を計算できるようになると、その計算に沿って適正な追加ができるようになります。
エンジニアの人材確保は多くの企業にとって簡単ではありません。その場合は、少ない人数で運用をスムーズにまわせるよう、統合監視ツールを用いて設定作業や監視作業などを効率化するのが有効です。
オンプレ環境に加えて、パブリッククラウドの利用と一口に言ってもAWS、Azure、GCPなどを併用するとそれぞれの管理が必要になります。さらに、仮想化環境やDockerなどのコンテナを利用する際には、それらの監視が必要になります。これらの場合は、環境ごとに監視ツールを用意して監視するには限界がありますので、全てを一元的に監視・管理できる統合監視ツールへの移行タイミングと言えます。
監視用サーバーにインストールして利用するソフトウェア型の統合監視ツールをご紹介します。
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(出所:パトロールクラリス公式Webサイト)
エージェントレスで自動化に強みをもつ、ソフトウェア型の統合監視ツール。ネットワークとサーバーを統合監視できる。導入実績は4,000社以上を誇り、監視対象が数十の中規模企業から、監視対象が1,000以上のデータセンターまで対応可能。監視機能は、死活監視やSNMP監視はもちろんのこと、サービス監視、リソース監視、コマンド監視、Azure・AWS監視など60機能以上と豊富。料金は、死活監視と運用管理は無料で、必要な監視機能分をライセンス購入する形式となっている。
(出所:System Answer G3公式Webサイト)
エージェントレスのソフトウェア型統合監視ツール。ネットワークとサーバーを統合監視でき、大規模監視にも対応している。監視設定は、用意された129メーカー、5,035種類の監視項目から自動的に選んで設定されるため導入負荷が少ない点も強み。
社内ネットワークから、プライベート/パブリックのクラウドまで仮想化環境を含めて一元的に管理可能。分析の自動化にも強みをもち、システムリソースの傾向から、将来のリソース不足を予測し、トラブル発生前に管理者に通知する機能は定評あり。1分の収集間隔なのでリアルタイムに把握可能。
(出所:NetKids iMark公式Webサイト)
サーバーやネットワーク機器の障害を検知・通知するWindowsベースの監視ツール。Ping監視(死活監視)やCPU使用率・空き容量などのリソース監視、トラフィック監視など、ポーリング形式で行えるネットワーク監視の基本的な機能を網羅。オプション機能「TrapView」を利用すれば、SNMPトラップの受信も可能。エージェントレス監視に加え、エージェント使用によって100種類以上の多様な監視ニーズに対応する。
4,000ライセンス以上の販売実績を誇る国産のソフトウェアで、完全日本語対応の直感的なUIと柔軟なサポート体制に強み。インストール直後から、誰でもスムーズに監視業務をスタートできる。
(出所:OpManager公式Webサイト)
エージェントレスのソフトウェア型統合監視ツール。ネットワークとサーバーを統合監視できる。監視項目の設定は、10,000以上のテンプレートから自動的に設定されるため導入時の負担が少なく安心。50台以下の小規模から1万台までの大規模監視にも対応している。閾値超過時のアラート通知も可能で、仮想化環境やAzure・AWS監視にも対応。価格は年間23.4万円(50デバイス)から。
監視用サーバーの準備が不要で導入しやすいクラウド型の統合監視ツールです。
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(出所:LogicMonitor公式Webサイト)
あらゆる環境下の、あらゆるIT資産・システムを一元的に管理できるクラウド型IT統合監視システム。パブリッククラウドやオンプレミス、混在する複雑なハイブリッド環境、仮想化環境など環境問わず、また、サーバー、ネットワーク、ストレージなどのITインフラからアプリケーション、Webサイトまで、あらゆるITシステムの可用性・パフォーマンスをフルスタックで俯瞰的に一元管理可能。監視対象から必要な監視メトリクスを自動収集し、何かあれば自動通知。監視負担を大幅に軽減できる。
料金は月額2,700円(監視対象1台あたり※最低契約数50台以上)。
(出所:Datadog公式Webサイト)
ネットワークとサーバーの統合監視ができる、クラウド型の統合監視ツール。規模によらず導入しやすい価格体系のため、小規模から大規模まで向いている。AWS、GCP、Oracle DBなどの400以上のシステム・サービスの監視項目に対応している。アラートはメールの他Slackでも通知される。ログ分析による予兆検知にも対応している。ネットワーク監視は1台につき月額5ドルから、サーバー監視は月額15ドルから利用を開始できる。
(出所:Site24x7公式Webサイト)
クラウド型の統合監視ツールで、導入実績13,000社以上。クラウド型のツールのため、監視用サーバーの用意が要らず、サインアップしてエージェントをインストールするだけで手軽に利用を開始できる点が人気。オンラインからすぐ5分で監視を開始できる。AWSやVMwareなどクラウド環境も含めた一元的な管理が可能で、監視対象が幅広い。サーバー監視(Windows、Linux、FreeBSD、VMware、Docker)、クラウド監視(AWS、Microsoft Azure、GCPなどに対応)、Webサイト監視(全世界100以上の監視ロケーションからパフォーマンスを監視)、アプリケーション監視、ネットワーク監視を一元管理できるので使いやすい。
(出所:on SAMS公式Webサイト)
同社のソフトウェア型統合監視ツール「System Answer G3」の機能をクラウド型で提供する月額課金型のサービス。「System Answer G3」の機能に加え、オプションでレポーティングサービス、コンサルティングサービス、バージョンアップ作業などを利用できる。コンサルティングサービスを利用すると、監視ツールの導入から問題点の把握や改善提案までを任せることも可能。レポーティングサービスでは、推奨の閾値を基に、直近1ヶ月以内に障害が発生する可能性がある箇所のピックアップや直近3ヶ月のCPU使用率、メモリー使用率、ストレージ使用率の各種リソース情報やレスポンス情報のランキング表示などを参照できるため、長期間にわたって対処が必要な箇所の把握に役立てることができる。
(出所: Mackerel公式Webサイト)
日本発のクラウド型統合監視ツール。監視対象サーバーにエージェントをインストールし、クラウド上の管理サーバーから監視する。運用ノウハウを用いて各種機能を分かりやすく提供するのはもちろん、監視項目や監視条件はクラウド上で詳細に設定できるので導入・運用の負担が少ない。スタンダードプランは月額制で1ホストあたりスタンダードホストが2,180円、マイクロホストは660円、1メトリック11円(※)で、監視項目数が10までの無料プランもあり。
※Mackerelの上記料金は全て税込表記。
(出所:srest公式Webサイト)
クラウドインフラ領域の複数の監視SaaSデータを一元化できる統合監視サービス。AWSやDatadog、PagerDuty、Sentryなどに対応し、アカウントを切り替えることなく、ダッシュボード上で収集した各サービスのイベントログやコストを一覧表示。特定のサービスで発生したアラート数やヘルスイベント/異常イベントの絞り込みや、日付指定やフィルタ機能を利用して過去に発生したイベントログの横断検索が行える。そのほか、詳細なレポート作成・ログのタスク管理といった機能も搭載し、日常的な監視業務の効率化できる。
設定した条件に従って異常検知時にアラート通知も可能。EメールやSlackなどのコミュニケーションツールに通知を自動送信できるため、異常ステータスの早期発見と適切な対応をサポートする。
無料で使えるオープンソース(OSS)型の中で、大規模なシステムでも使われることが特に多い2つの統合監視ツールです。
(出所:Zabbix公式Webサイト)
オープンソースの統合監視ツール。ネットワーク、サーバーやアプリケーション等を監視できる。監視対象サーバーにエージェントをインストールし、管理サーバーで集中的に管理・監視。エージェントを用いずにSNMPで監視することも可能。監視項目は、死活監視、リソースの使用率(CPU、メモリ、ディスク)、プロセス等のサービスの稼働状況やWebの動作状況等。専門書籍や日本のZabbixユーザー会等のコミュニティが充実しているので、運用に必要な情報が得られやすいツールといえる。
(出所:Pandora FMS公式Webサイト)
日本語にも対応した統合監視ツール。Web上のGUIで設定やグラフ分析等が可能。専用エージェントを用いた監視、エージェントなしでの監視のどちらにも対応している。Pandora FMSを冗長化や負荷分散して運用することもできるため、大規模システムの監視にも適している。
統合監視ツールは、マルチベンダー環境での監視業務の効率化を強力にバックアップしてくれます。もちろん、慣れ親しんだ監視ツールから移行する際は、導入作業や運用の慣れも含めて切り替えの負担は多少なりとも発生します。しかし、複数ツールの切り替えや大量のアラートメールの判別といった作業負担を大幅に軽減できるため、使いこなすほど導入効果を期待できるでしょう。
統合監視ツールの導入は、利用する監視ツールやサーバー/ネットワーク機器が3つ以上になったタイミングをおすすめします。「監督担当者が1人~少数」「監視経験が浅い」といったリソース不足の場合にも有効でしょう。運用するネットワークやシステムの規模に応じて、活用を検討してみてください。
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パトロールクラリス(PATROL CLARICE)|インタビュー掲載
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