ローコードによる業務アプリ開発に興味がある方や、できる限り負担を抑えてアプリ開発を行いたい開発部門の方へ。ローコード開発ツールの概要や、ツールを使ってできること(機能)、ツールのタイプ、比較のポイントとともに、おすすめのツールを紹介します。
ローコード開発ツールとは、最小限の「コード」を用いてアプリ開発を行うツールです。コード(code)とは、プログラミング言語を用いて記述した文字列のことで、ソースコードとも呼ばれます。
エンジニアがソースコードを記述するプロコード(あるいはフルコード、スクラッチ開発)に対し、昨今のアプリ開発の現場では最低限のコードを用いるローコード(low-code)という手法が急速に広まっています。そこで注目されているのが、専門知識がなくても、短期間で高品質のアプリ開発を可能にするローコード開発ツールです。
なお、今回の記事では、業務アプリを開発に対応したローコード開発ツールについて解説します。
一切のコーディングを必要としないノーコードツール(ノーコード開発ツール)については、「ノーコードツール比較16選!4タイプ別に料金相場や選び方を紹介」をご覧ください。
ローコード開発ツールを用いたアプリ開発は、主に以下の手順で行います。
1)データテーブルの設計 | データベースの中に、どのデータをどう持つか設計する |
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2)画面設計 | 利用画面や入出力項目など、ユーザーインターフェイスを設計する |
3)ロジック設計 | どんな計算や処理でどんな結果を表示させるかを設計する |
4)デプロイ | 業務アプリを利用可能な状態にする |
ツールの中には、テンプレート利用によるアプリ作成の省力化や、データをもとに画面を自動作成できるものも。AIでアプリを自動作成する機能については、後述の「ローコード開発ツールの比較のポイント」で解説します。
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ツールによって差はありますが、ローコード開発ツールは主に以下のような機能を搭載しています。
ローコード開発機能 | ドラッグ&ドロップをはじめ、簡単な操作でアプリを構築 |
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ワークフロー | 柔軟な承認ルート設定で、企業や環境に即したフォームを構築しながらペーパーレスを促進。Excelなど、既存のデータを取り込んで利用できるツールも |
テンプレートの提供 | 幅広い業務テンプレートを利用することで、効率的かつ短時間でのアプリ開発をサポート |
他システムとの連携 | API連携や外部システムを用いた環境構築により、理想のアプリ開発を後押しする |
ローコード開発ツールは大きく3つのタイプに分けられます。
Web上で使える業務アプリの開発に対応したタイプ。月額課金制が主流ですが、ユーザー単位のライセンス形態をとった「Microsoft Power Apps」のようなツールであれば、低コストでの開発が期待できます。
アプリ開発はもちろん、完成したアプリの運用まで対応したプラットフォームとして活用できるタイプ。たとえば、セールスフォースのデータを使った業務アプリを開発したい場合には、同社が提供する「Einstein 1 Platform」上で開発すると効率化が進みます。そのほかにも、「サーバーを用意する手間や費用を抑えられる」「管理が容易」「既存のマーケティングツールと連携できる」といったメリットも。
同様に、ワークフローシステムやIT部門の運用管理などに利用されている「ServiceNow」であれば、「App Engine Studio」のテンプレートやウィザードを用いた、アプリ開発・ワークフロー化が可能。アプリ間のプロセスを自動化・改善を行う「Flow Designer」や「分析」機能を活用すれば、継続的な業務改善につながります。
できるだけ費用を抑えたい場合には、オープンソースのツールを使うのがおすすめです。手持ちの環境にインストールするだけで利用できる「Pleasanter(プリザンター)」や、オープンソース版でもJavaベースの開発プラットフォームとして十分に活用できる「iPLAss」などが、このタイプに該当。どちらも拡張性が高く、操作が簡単で、手軽なアプリ開発を後押ししてくれます。
自社に合ったローコード開発ツールを選ぶ際は、以下の5つのポイントに従って比較します。
まずチェックすべきはコーディングに利用できる開発言語です。ローコード開発ツールを使うことで記述にかかる負担は軽減されますが、ユーザーが使いやすい言語に対応したツールを選ぶべきです。
たとえば「WebPerformer」はJavaやJavascriptに、「Retool」はJavaScriptに、それぞれ対応しています。
ExcelやGoogleスプレッドシートなどに蓄積されたデータを活用して業務アプリを開発したい場合は、連携に強みを持つツールを選んでください。
たとえば「Microsoft Power Apps」は、Excelとの連携に対応。既存のExcelファイルを選ぶだけで、そのままアプリ画面の作成が可能。更に、アプリ経由で入力されたデータはExcelファイルに蓄積されます。
「Accel-Mart」であれば、Excelファイルのインポートはもちろん、クラウドを使ったデータ共有や編集、任意のワークフローに基づくファイル回覧なども容易に。運用中のExcel申請書をそのままフォーム画面として利用できるほか、またExceライクな操作ができるため、学習コストを抑えながらDXを加速させられます。
ChatGPTの登場により活発になっているのが、コーディング時の生成AIの活用。ローコード開発ツールでも、AIを使ったアプリ開発の効率化が進んでいます。
その一例が、「Microsoft Power Apps」の「AI Copilot(コパイロット)」機能や「Mendix」の「Maia(生成AIアシスタント)」機能など。開発したいアプリのイメージを会話形式で入力するだけで、AIが自動化の追加、コードの記述などを行い、アプリの一部を自動的に開発します。
ローコードでアプリが作成できるとはいえ、イチから手をつけるとそれなりの手間や時間がかかることも。その場合、求めているアプリに近いテンプレートを利用するのがおすすめです。ローコード開発ツールを使って様々なアプリを開発したい場合は、テンプレートの充実度を確認しておきましょう。
たとえば「Accel-Mart」は、そのまま業務に利用できるテンプレートを豊富に用意。打刻アプリや社内FAQといった簡単な日常業務に適したテンプレートから、在庫管理や顧客管理のような複雑な業務に対応したものまで、幅広くそろっています。
開発の仕様書や設計書の作成に力を入れたい場合は、自動作成機能を備えたツールが適しています。
設計書出力機能を持つツールの一つが「WebPerformer」。定義した情報から、ER図、画面遷移図、画面仕様書、フローチャートといった仕様ドキュメントを自動で作成。定義情報をExcel形式の設計書として出力することもできます。
ここからは3つのタイプ別に、おすすめのローコード開発ツールをご紹介します。
(出所:Mendix公式Webサイト)
設計から運用保守まで必要機能をオールインワンで提供する、高性能なローコード開発プラットフォーム。スマホ・Webアプリはもちろん、予算承認システムやオンラインショップなど幅広い開発に対応し、国際的に評価されている。
開発経験がない業務部門でも利用しやすい、ドラッグ&ドロップ操作対応のローコード&ノーコード環境が強み。マルチクラウド対応で、一度ビルドすればAWSやAzureなど様々な環境へ展開可能だ。モジュール保護機能でチーム間の柔軟な権限管理ができるほか、コネクタの活用で基盤システムや外部サービスとの連携にも対応。
1,200万件以上のロジックを学習した生成AIアシスタント「Maia」も搭載。3種のレコメンダーで問題の特定から修正を支援し、迅速なアプリ開発を実現する。
(出所:Accel-Mart公式Webサイト)
企業の成長に合わせて利用範囲を拡張できる、クラウドタイプのアプリケーションプラットフォーム。ドラッグ&ドロップをはじめとした簡単操作で、簡易なフォーム画面から複雑な業務アプリまで幅広く開発できる。複雑なデータ連携や外部システムとの連携も、クラウド環境上で実現可能だ。また、開発コストを削減するためのテンプレートが豊富に用意されている。
小規模や部門単位での利用が可能な初心者向けの「Accel-Mart Quick」と、全社規模での利用を想定し、カスタマイズ性に富んだ上級者向けの「Accel-Mart Plus」の2サービスを提供。
(出所:WebPerformer公式Webサイト)
コーディングの自動化とそれによる品質の均一化により、短期間でのアプリ開発を実現するローコード開発プラットフォーム。アプリケーション生成ボタンをクリックするだけで、PC、スマホ、タブレット端末などのスマートデバイスに最適化したWebアプリケーションを自動生成する。データベーススキーマや、Javaプログラム(JSP、Servlet、JavaBeans、JavaScript)の自動生成も可能。
データ中心のアプローチ(DOA)と、開発部門に頼らない画面ファースト開発の2種類から開発方法を選べる。操作性の高いWebアプリに、データグリッド、グラフ表示、チャットボットといった多彩な機能を盛り込んだ開発も可能だ。
(出所:TALON公式Webサイト)
5分で業務システムを構築できるローコード開発ツール。独自開発したブロックシステムとルールエンジンの技術をもとに、Web画面操作のみで簡単にアプリを開発できる。日報管理アプリのような小規模開発から、基幹システムのような大規模開発まで幅広く対応。計画を管理するガントチャートやカレンダー機能、リアルタイムでの分析機能など、充実した開発サポート機能が強みだ。
稼働している機能から常に設計書が出力できるため、機能と設計情報の一元管理が可能。複数のデータベースやSalesforceなど、約200種のクラウドデータを同時に扱えるため、IoTシステムなどの構築にも対応できる。
(出所:OutSystems公式Webサイト)
官公庁から小売業、製造業まで幅広い業種で利用され、世界的に評価されるローコードプラットフォーム。コンシューマ向けのアプリケーションやポータルサイトから、従業員向けの社内アプリ、業務用のカスタムソフトウェアまで、多様なアプリを開発できる。
複雑なアプリでも、フロントエンド、バックエンド、連携の各開発レイヤーを自動化して配信(デリバリー)やワークフローをスピーディーに調整。ライフサイクル管理機能によって、アプリケーションの開発から保守までのライフサイクル全体を継続的に管理できる点も魅力だ。機能やユーザー数に制限はあるものの、無期限で使える無料プランが用意されているので、まずは使い勝手を試してみるのも一手。
(出所:Microsoft Power Apps公式Webサイト)
アプリ作成やデータの収集・解析、データ連携などができるクラウドサービス「Microsoft Power Platform」に含まれているローコード開発ツール。「Microsoft 365」「Microsoft Dynamics 365」のライセンスを所持していれば、ブラウザやスマホからアプリ開発を行える。
「AI Copilot」を駆使したアプリの自動生成や、統一されたガバナンスによる大規模なアプリの構築などが可能。Excelからのアプリ作成にも対応している。「Microsoft Azure」「Visual Studio」「GitHub」などと連携することで、よりカスタマイズ性に優れたアプリ開発を実現する。ブラウザで作成したアプリは、Power Apps アプリをインストールしたスマホで利用できる。
(出所:Retool公式Webサイト)
拡張性の高さに強みを持つ、エンジニア向けのローコードアプリケーション開発プラットフォーム。扱えるデータベース数や、外部サービスとの連携のしやすさに定評があり、RESTまたはGraphQL APIでほぼすべての外部システムと接続できる。スプレッドシートのようなUIや、ドラッグ&ドロップでWebアプリを作成できる手軽さも魅力。開発者向けに構築されているため、
5ユーザー、5GBのストレージ、月に500ワークフローの実行まで利用できる無料プランを提供。クラウドとオンプレのどちらにも対応している。
(出所:Salesforce Customer 360公式Webサイト)
高機能SFA/CRMツール「Salesforce」が提供するAI搭載型のCRM。開発プラットフォームである「Salesforce Platform」がパッケージされており、ローコード/ノーコードでのアプリ開発が可能となる。一般的なエンタープライズアプリケーション開発に求められる機能やセキュリティ対策を標準で搭載。従業員の支援、プロセスの効率化、システムの連携により、アプリの開発のスピードを68%短縮したという事例も。
JavaScriptを使ったローコード開発から、ビルダーを使ったノーコード開発まで対応。ノーコードによるアプリ構築はもちろん、ローコードでの拡張や更に複雑な要件へのプロコードによる対応といった使い方も可能だ。
(出所:ServiceNow App Engine Studio公式Webサイト)
社内業務用システムを一元管理するクラウドサービス「ServiceNow」のノーコード/ローコード開発ソリューション。直感的なガイドと多種多様なユースケースに対応するテンプレートが用意されており、「Service Now」の知識がなくてもアプリ開発ができる。生成AIからのコード提案も受けられる。
開発の承認・否認や機能の制限といった開発にまつわるガバナンスと、アプリ配布に関するガバナンスの2タイプの機能を実装し、全社レベルでの最適な開発をサポート。AI学習による日常業務の自動化、ビジネスプロセスの自動化、リアルタイム分析などによって、アプリの継続的な改善が期待できる。
(出所:Pleasanter公式Webサイト)
完全無料、無期限で利用できるノーコード・ローコード開発ツール。ガントチャート、バーンダウンチャート、カンバン、ダッシュボードといった管理画面に加えて、営業日報やタスク管理といった業務用アプリのテンプレートが多数そろう。Excelライクな使用感、マウス操作でアプリが開発できる手軽さなどから、大企業での導入例も多い。
標準機能では対応できない複雑な要件には、コードを書いて拡張することで対応できる。有償サービスとしてサポートを用意している。
(出所:iPLAss公式Webサイト)
エンタープライズクラスのシステム開発を主眼としたJavaベースのローコード開発プラットフォーム。Webブラウザ上からデータ定義、設定を行うだけでアプリを構築できる。認証やワークフロー、集計など、開発の場面で多く利用される汎用機能をカバーしており、アジャイル開発・DevOpsのプラットフォーム、Web会員の管理システム基盤、スマホアプリのBaaSなどに活用されている。
オープンソース版と有償版を提供しており、前者ではデータの定義と管理、ロジックカスタマイズ、マルチテナントといった機能を無料で利用できる。
最小限のコードを用いるローコードによるアプリ開発をサポートするローコード開発ツール。高品質のアプリを手間なく開発できるローコード開発ツールは、大きく3つのタイプに分けられます。
(1)Webアプリ開発対応型
(2)プラットフォーム対応型
(3)OSS型
ニーズや環境に合わせてタイプを絞り込んだら、以下の5つのポイントと照らし合わせて、最適なツールを絞り込みます。
難解な知識を必要とせず、テンプレートやAIなどを用いて理想のアプリを構築できるローコード開発ツール。日報や管理表といった日々の業務に必要なツールをアプリ化していくことで、社内のDXとペーパーレス化推進につながります。
本記事を参考に、ぜひローコード開発ツールの導入を検討してみてください。
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