営業効率を高めたいと考えている方や、ABMツールの導入に興味のある方へ。ABMツールの主な機能や活用場面、比較のポイントなどをご紹介します。
ABMツールとは、情報収集や顧客の選定、営業の効果検証などをサポートしてくれるツール。成功率の高い営業をするためには、顧客について分析し、適切なアプローチをする際に役立ちます。
ABMとは、Account Based Marketing(アカウント・ベースド・マーケティング)の略称。データ分析によって抽出した、成約の見込みが高い企業に営業をかける手法です。ターゲット企業を絞り込んだうえで、ニーズに合わせた営業内容を考えられるため、商談化率や売上の向上が見込めます。
しかし、ABMを実践するためには、マーケティング部門と営業部門の連携や、ターゲットとなる企業のニーズ分析、これまでの取引の可視化など様々な作業が必要に。これらの負担を軽くするために、ABMツールが使われています。
実際に以下のような場面で、ABMツールが活用されています。
展示会で入手した名刺といったリード情報をABMツールに取り込み、「従業員数」と「業界」といったデータを自動で取得。企業情報のリサーチや、優先順位の高い企業のリストアップなどにかかっていた時間が短縮されるため、従来よりも素早く営業をかけられるように。
加えて、入力ミスの防止、情報の正確性の向上といった効果も見込めます。
過去の商談データや現場からの情報、顧客の課題や業績などを組み合わせて、自社製品の強みが届きやすいターゲット企業を抽出。そのため、インサイドセールス部門はより確度の高いアプローチができるように。
また、顧客との相性などを数値化することで、提案内容のブラッシュアップや、営業戦略の明確化にも役立てられます。
部署・部門ごとにバラバラに管理されていたデータを名寄せするなどして、活用しやすい形に整える際にも、ABMツールが役立ちます。顧客データをアップロードするだけで、企業情報や法人番号といった属性が自動で付与できるツールも。
情報登録にかかる時間や手間が短縮されるのに加えて、高品質なデータをもとにターゲット企業を選定できるといったメリットが見込めます。
ABMツールに搭載されている主な機能をご紹介します。
企業固有情報や外部評価、資本系列、本社・事業所関係など、企業に関する様々な情報を網羅したデータベースを保有。これらのデータベースをもとに、顧客データやリードデータの高精度なクレンジングや名寄せが可能に。データ登録作業の効率化や、データベースの鮮度担保、営業リストの精度向上など、様々なメリットが見込めます。
データベースから取得した内容をもとに、企業名と関連情報を紐付ける機能です。企業の所在地や代表電話番号といった一般的な情報のほか、法人番号や従業員数、売上高など様々な属性の情報を付与できるツールも。
自社で蓄積した企業リストをツールにアップロードする機能。これまでの取引の傾向、過去に失敗した商談の内容などを分析することで、顧客ニーズの把握や、商談の改善などが可能に。
商談の成約確度が高い企業を選定してリスト化する機能です。ニーズの高さを数値化し、そのスコアが高い順に営業リストを作成できるツールも。属性情報と組み合わせることで、優先度の高いターゲット企業を選定しやすくなります。
名刺をスキャンしてデータ化する機能です。社員一人ひとりが持っている名刺情報を社内で共有できるため、顧客情報の蓄積・共有がスムーズになります。中には、名刺の表記揺れを自動で修正する機や、企業内のキーパーソンを把握できる機能を搭載したツールも。
API経由でSFAやMAといった外部ツールと連携する機能。ABMツールで作成したリストをもとにセグメントメールを配信するなど、マーケティング施策への活用も可能です。
ABMツールは大きく4タイプに分けられ、それぞれ強みを持つ機能が異なります。タイプ別の特徴や選び方について解説します。
ABMツール内のデータベースなどをもとに、精度の高い営業リストの作成や、営業に有用な属性情報の付与などを自動で行うタイプ。「商談の成約確度を高めたい」「情報収集の業務負担を軽減したい」といった課題解決に有効です。
たとえば「FORCAS」は、顧客分析機能や企業リスト作成機能が充実しています。成約確度が高い顧客の傾向を自動で分析し、同じ特徴を持つ企業の一覧を自動で出力。売上高や従業員数といった企業属性情報も自動で付与されるので、下調べにかかる手間を削減できます。
また、「Sales Marker」は、自社製品やサービスに対してニーズが高まっているターゲット企業を絞り込める機能を搭載。「シグナルスコア」と呼ばれるニーズの高さを示す数値をもとに、優先度の高い企業を選定し、スコアの高い企業を順に並べた営業リストを自動で作成します。
営業活動に役立つ属性情報を追加することに長けたタイプ。自社で保有している企業リストに情報を追加したり、獲得したリードを深掘りしたりするときに役立ちます。社内に蓄積された情報を更に活用し、商談化率や受注率を高めたい場合におすすめです。
たとえば「FINDFOLIO」は、法人番号や業種、従業員数といった基本的な情報に加えて、売上高や部署名のデータなどを属性情報として付与。荷電時の話題として活用できるほか、ターゲット企業の絞り込みに役立てられます。
自社が顧客とどのような接点を築いてきたのかを可視化する、分析機能に強みを持つタイプ。これから営業をかけるターゲット企業に対して、効果的なアプローチの糸口をつかみたい組織におすすめです。
たとえば「Sansan Labs」に搭載された「ABMダッシュボード」機能では、ターゲット企業と自社社員との名刺交換状況を可視化。自社の社員がターゲット企業のどの部門・役職と接点を持っているのか、ひと目で把握できるように。これまで築いてきた関係や、社内に眠っている人脈を活用しやすくなる機能です。
ABMを行ううえで管理業務を効率化したい場合には、営業リスト作成以外の業務負担を軽減できる、こちらのタイプがおすすめです。
たとえば「Sales Hub」や「Marketing Hub」に搭載されている「ABMソフトウェア」。設定した条件に合うターゲット企業のリストアップだけでなく、営業担当者の割り当てまで自動化できます。また、ターゲット企業に対する営業の進捗状況を社員全員で共有できるので、現状のすり合わせがスムーズに。
ABMツールを選ぶときに留意したい3つのポイントについて解説します。
自動で追加できる属性情報はABMツールごとに異なるため、どの情報を商談やインサイドセールスなどに活用したいのか明確にしておく必要があります。
たとえば「uSonar」は企業概要や人事異動情報、「Sales Marker」は企業が検索しているキーワードを取得可能。また「LeadPool」では、求人情報やプレスリリース、SNS上での人物のつながりなどがわかります。
営業リストを自動作成したい場合は、ABMツールがどのような情報をもとにリストを作っているのかを把握しておく必要があります。根拠にする情報や、優先度を判断する条件はABMツールごとに異なるからです。
たとえば「FORCAS」は、150万社以上の情報が登録されたデータベースを参照。企業を絞り込むときに役立つ「特徴」や、優先順位の見極めるときに使える「重要度」などを分析します。また、「uSonar」は国内拠点99.7%、約820万件を網羅した企業データベースLBCを搭載。「LeadPool」も500万社以上の企業情報と、350万人以上の人物情報を保有しています。
ターゲット企業全体に対して営業をかけるだけでなく、特定の部署や事業所、人物にアプローチする場面も、ABMでは多く見られます。ABMツールがどのくらい詳細な情報をカバーしているのか、確認しておきましょう。
たとえば「uSonar」の法人企業データベース「LBC」なら、本社の情報だけでなく、資本系列や工場の所在地、各事業所との関係の把握も容易に。また「Sales Marker」は、業界最大級のキーマンデータベースを独自で構成。約200万件のデータの中から決済者を見つけ、ダイレクトに営業をかけられます。
(出所:FORCAS公式Webサイト)
受注しやすい顧客を可視化し、効率的に売上を最大化する営業DXソリューション。受注確度の高い顧客をリストアップし、ABMの効果を高められる。ExcelやSalesforceで作成した取引先企業リストをアップロードするだけで、自動的に顧客分析が完了。リスト内の表記揺れは「名寄せ機能」で自動的に修正される。
分析結果をもとに、成約の可能性が高い「注力企業リスト」を作成。更に、IR情報などの属性データをもとに、300種類以上の「シナリオ」から適切なものを自動で付与する機能も特徴的だ。同じシナリオを持つ企業だけを表示すれば、膨大な営業リストの中から効率的にターゲット企業を絞り込める。
(出所:uSonar公式Webサイト)
自社保有データと国内最大級の法人企業データを組み合わせることで、ニーズの高い企業を見つけられる顧客データ統合ソリューション。
特徴のひとつが、820万件の法人企業情報が集約されたデータベース「LBC」。事業所、工場、官公庁、学校法人、医療法人などを幅広く網羅しており、グループ企業や事業所単位の情報、売上高など、細かな属性情報を付与した営業リストが自動で作成される。表記揺れを統一する「名寄せ」にも対応しているため、情報登録にかかる時間を削減できる。
更に、エリアや業種ごとの自社サービス浸透率も把握可能。受注確度の高い企業をAIが判断する、需要測定機能もある。
(出所:Sales Marker公式Webサイト)
Webのキーワード検索をもとに、受注確度が高い顧客にアプローチできるABMツール。自社製品やサービスに関連するキーワードを検索している企業にアプローチする「インテント(意図)セールス」に強みを持つ。ニーズが発生した瞬間にアプローチができるため、商談化率の向上が見込めるほか、検索されたキーワードボリュームから商談内容をブラッシュアップすることも可能だ。更に、部署名や資金調達方法、オフィスの移転状況など、最新の属性情報も自動で付与される。
ホットなリストに対して、AI営業マンが自動でアプローチをかける機能を活用すれば、営業リソースをかけずに商談を獲得することもできる。
(出所:LeadPool公式Webサイト)
セールスチームのABM活動を強力に推進する、次世代AIリードデータベース。求人情報やプレスリリース、人事情報といったターゲット企業に関する最新データをWebから取得し、AIが自動でデータベースを構築する。加えて、500万社以上の企業データと350万人以上の人物データを保有しており、制度の高いアプローチを実現する。リード情報には業種や従業員数といった属性も付与できるため、展示会出展履歴、事業分野などの情報と組み合わせて、より精度の高いリード抽出が可能に。
社内メンバーのSNS上のネットワークを可視化する機能や、SNS経由でキーパーソンに1on1でのアプローチをする機能も用意されている。
(出所:FINDFOLIO公式Webサイト)
60万件の法人公開情報や400万件の企業関連ニュースをもとに、CRMのリードに属性データをプラスするサービス。主要なMA/CRM/SFAからのデータ提供に対応しており、API形式もしくはCSVファイルでのやり取りが可能。メールアドレスや代表電話番号といった基本情報はもちろん、売上高、従業員数、部署名、法人番号など様々な属性情報を自動で追加する。
データベースは公式サイトから収集した企業データを収録しているため、問題なく営業活動に使える。2カ月ごとに目視とRPAによるチェックを実施し、情報の精度を保っている。
(出所:Sansan Labs公式Webサイト)
Sansanの最新テクノロジーを「未来の働き方を体験できる実験的な機能」として提供するサービス。名刺データの活用をベースに、マーケティングや人脈の強化に貢献する。「ABMダッシュボード3 (β)」機能では、名刺交換の状況をもとに、自社とターゲット企業との接点をヒートマップで可視化。部門や役職ごとの接点がひと目でわかる。複数の企業を並べて比較するといった使い方も可能だ。
そのほかに、名刺の交換履歴をもとに社員のタイプを判定する機能「ビジネスパーソンタイプ分析 (β)」や、特定の業界や分野についてナレッジを持った同僚を検索できる「同僚ナレッジサーチ (β)」といったユニークな機能がそろう。
(出所:HubSpot ABMソフトウェア公式Webサイト)
「Marketing Hub」もしくは「Sales Hub」に搭載されている、直感的なABMを実現するソフトウェア。。営業状況を社内で共有する機能が充実しており、マーケティング部門と営業部門の連携促進に役立てられている。
ワークフローテンプレートを使用して最適顧客プロファイルを定義し、それに合致するターゲットアカウントを抽出。AIがおすすめのターゲットアカウントを提案する機能も。各ターゲットアカウントに関する営業活動の進捗状況は、ホーム画面から一覧で閲覧可能。どのチームからもアクセスできるため、部門・チーム間の情報共有がスムーズになる。
SlackやLinkedInなどの外部ツールと連携できるので、SlackとHubSpotでコメントを共有する、といった使い方もされている。
成約確度の高い企業や部署、人物をターゲットに設定して、より精度の高い営業活動を行うのがABM。そして、ニーズの把握や企業の情報収集といったABMの基礎となる業務を最適化してくれるのが、ABMツールです。表記の統一や営業リストの作成といった手間のかかる業務も、ツールを使えば自動で行えます。
ABMツールのタイプは主に以下の4つに分けられるため、比較検討時の参考にしてみてください。
加えて、以下の3つの比較ポイントにも留意すると、より自社にあったABMツールが選びやすくなります。
インサイドセールスをはじめとした営業活動を効率化するため、ぜひABMツールの導入を検討してみてください。
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