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メタバースプラットフォーム比較15選!リスクやセキュリティ対策も紹介

メタバースプラットフォーム比較15選!リスクやセキュリティ対策も紹介

最終更新日:2025-12-25

メタバース空間を利用したEC販売やプロモーション、イベントの開催など、メタバースのビジネス利用を考えている企業の方へ。メタバースプラットフォームのメリットや活用事例、おすすめのプラットフォームを紹介します。

目次

メタバースプラットフォームとは

メタバースプラットフォームとは、仮想空間上にユーザー同士が交流したり、物品・デジタルアイテムを販売したり、イベントを開催したり、そんなワールド(空間)を作り出すことのできるプラットフォームです。

広義でいうと、ユーザー数6.5億人以上のバトルロイヤルゲーム「フォートナイト」や「Minecraft(マイクラ」などもその一つ。ゲームという枠組みを超えて、多彩な用途で利用されています。コロナ禍の2020年、フォートナイト上で歌手の米津玄師氏がバーチャルライブを開催したのは記憶に新しいところです(2023年にも再び実施)。

エンタメからビジネス利用へ

一時期ほどの熱狂的な盛り上がりはなくなりましたが、メタバースに対する期待は依然として大きいものがあります。予測では、世界のメタバース市場は2024年に744億ドルだったのが、2030年に5,078億ドルまで拡大し、日本市場も2028年度には1兆8,700億円近くまで拡大すると考えられています(総務省発表令和7年版の情報通信白書)。

ただ、その内訳は以前と趣を変えつつあり、これまでは前述したゲームやイベントなどのエンタメを中心に盛り上がっていましたが、近年では、法人向け(展示会、研修、小売等)市場を中心に、ビジネスシーンでの利用が見受けられるようになっています。

たとえば、オムロン株式会社は、メタバースプラットフォーム「cluster」上に「OMRON Virtual Booth」を開設し、バーチャル展示ブースを展開しました。ブースの中ではオムロンの長期ビジョンや主要事業が動画で紹介されていたり、卓球ロボット「フォルフェウス」とのラリー体験ができたりと、様々なコンテンツが用意されています。

また、大日本印刷は、自治体向け「メタバース役所」で離婚相談に対応するAIアバターの実証実験を実施。専門知識を持つAI相談員が仮想空間で住民の悩みに応じ、対面相談に比べ心理的負担を軽減できるかを検証しています。行政サービスの新たな相談窓口として、メタバース活用の可能性を示す事例と言えるでしょう。

主なメタバースプラットフォーム

日本で主に利用されているメタバースプラットフォームとしては、以下のようなサービスが挙げられます。

主なプラットフォーム ユーザー数 特徴
cluster 約3,500万人 日本企業が運営。渋谷区公認の「バーチャル渋谷」で有名
VRChat 数百万人 アメリカの企業が運営。大規模なメタバースイベント「バーチャルマーケット」を定期開催
ZEPETO 約4億人 韓国企業が運営。SNSとの連携機能が充実しており、Z世代などの若年層ユーザーが多い
REALITY 約2,000万人 スマホで手軽に利用でき、アバター作成、ライブ配信、ゲームを楽しめる
Roomiq 約300万人 URL共有だけで参加できるブラウザ型メタバース。自治体、教育機関でも導入実績あり

本記事では、メタバースプラットフォームについて、企業が利用することのメリットや実際の活用事例などを、具体的なプラットフォームを交えながらわかりやすく紹介します。

 

メタバースプラットフォームのメリット

企業がメタバースプラットフォームを利用するにあたって、享受できるメリットは以下の通りです。

新たな顧客層を開拓できる

メタバースは現実世界と異なり、いつでもどこからでも好きなワールドにアクセスできます。そのため、今まで実店舗やリアルイベントに足を運んだことのないユーザーとも、接点を持ちやすいという利点があります。また、メタバース内に広告を配置することも可能。従来のWeb広告やSEO対策、SNS運用だけではリーチできなかった新たな顧客層にアプローチできる可能性が広がります。

没入感の高い顧客体験を提供できる

メタバースはオンライン上であっても、没入感の高い顧客体験を提供できます。ショッピングシーンを例にとると、メタバースなら3Dで再現した商品を展示でき、ユーザーにも実店舗で品物を手に取る時と近い感覚で買い物を楽しんでもらえます。アバターに扮した店員から商品について説明を受けたり、家族や友人と同じ空間で会話しながらショッピングが楽しめたりするのも、ECサイトでは得られない醍醐味です。

ユーザーデータの収集・分析がしやすい

一部のメタバースプラットフォームには、ユーザーの行動履歴を詳細にキャッチアップできる機能があります。具体的には、「ユーザーがワールドに訪れた導線・行動パターン」「一日の訪問者数・商談数」「商品購入に至った年齢層」などの情報を収集・分析可能。それを活かせば、より精度の高いマーケティング施策を行えます。

リモートワーク環境向上につながる

メタバースプラットフォームをバーチャルオフィスとして利用すれば、自社の従業員により快適なリモートワーク環境を提供できます。メタバースオフィスなら従来のチャットコミュニケーションメインのリモートワークに比べて、ほかのメンバーと顔を合わせて双方向のコミュニケーションが取りやすくなります。会議や打ち合わせ以外の時間でもちょっとした雑談がしやすくなり、社内コミュニケーションの活性化が期待できます。

物理的コスト・手間を抑えられる

メタバース上でバーチャルオフィスや店舗・施設を運営すれば、実世界のようなスペースコスト(賃料)を削減できます。引っ越しやレイアウト変更の手間もかかりません。展示会やイベントを開催すれば、リアルイベントで発生するブース施工料などのコストや設営の手間も減らせます。一度メタバースで設計したデータは保存されるため、何度でも再活用できるのもメリットです。

 

メタバース導入のリスクとセキュリティ

メタバースは今後も大きな市場規模が見込まれていますが、その一方で従来のインターネットサービスにはなかったリスクも内在しています。

メタバースの導入を検討されている方向けに、ビジネス的な側面から特に留意すべき「導入・利用に伴うリスク」を4つの主要な項目に絞って解説します。

1.法的課題と知的財産権侵害のリスク

通常であれば、コンテンツは意匠権・商標権、著作権などによって保護されるのが一般的です。しかし、メタバースで生成されたコンテンツに関しては現状「どの法律が適用されるか」が不明瞭です。この法的な不確実性は企業がビジネス活動を行う上でリスクとなりえます。

たとえば、ユーザーが作成したアバターやデジタルアイテムが、実在するキャラクターやブランドに酷似していた場合、意図せず知的財産権を侵害する可能性があります。また、企業が主催するメタバースイベント内で第三者の権利侵害が発生した場合、運営側として責任を問われるリスクも考えられます。

2.高度なデータとプライバシー侵害のリスク

メタバースでは、従来のWebサービス以上に多様かつ高精度なデータが取得されます。アカウント情報や行動履歴に加え、視線の動き、音声、ジェスチャー、位置情報など、個人の行動や嗜好を詳細に推測できるデータが扱われる点が特徴です。これらのデータが不適切に管理・利用された場合、重大なプライバシー侵害につながる恐れがあります。

特に企業利用においては、日本国内の個人情報保護法はもちろん、GDPR(EU一般データ保護規則)など国を問わず各種規制への対応が不可欠です。データの取得範囲や利用目的を明確にし、ユーザーへの十分な説明と同意取得を行わなければ、企業の信頼低下や法的リスクを招く可能性があります。

3.金融犯罪とサイバー攻撃のリスク

メタバースでは、デジタルアイテムやNFT、仮想通貨などを用いた経済活動が行われることも多く、これに伴い金融犯罪やサイバー攻撃のリスクも高まります。なりすましによる不正取引、フィッシング詐欺、アカウント乗っ取り、ウォレットの不正アクセスなどは、実際に報告されている代表的なリスクです。

企業がメタバース上で商品販売や有料イベントを実施する場合、決済やアカウント管理の安全性を十分に確保しなければなりません。セキュリティ対策が不十分な場合、金銭的被害だけでなく、ブランド価値の毀損にもつながります。

4.ユーザー間のトラブルと運営事業者としての責任

メタバースはユーザー同士がリアルタイムで交流できる反面、ハラスメント、誹謗中傷、不適切行為といったトラブルが発生する可能性もあります。アバターを介したコミュニケーションは匿名性が高く、現実空間よりも問題行動が起こりやすい側面があります。

企業や自治体がメタバース空間を運営・提供する立場となる場合、こうしたトラブルへの対応体制も重要です。利用規約やガイドラインの整備、通報・モデレーション機能の実装、トラブル発生時の対応フローを明確にしておかなければ、運営責任を問われるリスクがあります。

 

メタバースプラットフォームのビジネス活用事例

続いては、メタバースプラットフォームが実際にどのようにビジネス利用されているのかについてです。以下、それぞれの項目で、具体的な事例を交えながら紹介していきます。

バーチャル店舗での商品販売

アパレルブランドの「BEAMS」は、「VRChat」内で定期的に行われている大規模メタバースイベント「バーチャルマーケット」に2020〜2024年に計7回仮想店舗を出店しています。空間内では、アバターに着せるためのオリジナルデジタルファッションやアクセサリーを販売。アバター専用の試着フロアもあり、ユーザーは鏡の横に表示される調整パネルを操作して、衣装のサイズや見え方を調整できます。

また、出店期間中は実店舗に勤務するBEAMSのスタッフが交代でバーチャル接客を行い、アバターの試着をサポート。過去には、バーチャル接客を受けた顧客がスタッフと仲良くなり、実店舗に足を運んでくれたことも。メタバース内での取り組みが仮想空間の枠を超えてリアルな世界にも影響を及ぼしている、いい実例です。

2024年5月には「Tokyo Mood by BEAMS」も公開。BEAMSがこれまでの出展ノウハウを活かして制作した初の常設ワールドで、バーチャルマーケットの枠を超え、継続的にブランドの世界観を体験できる場として注目を集めています。

採用面談・セミナーなど小規模イベントの実施

開発会社の「株式会社ビヨンド」は、2024年の新卒エンジニア採用に「メタバース面接」を導入。学生は、VRヘッドセットとメタバースに接続できるPC環境を用意すれば、場所を問わず同社の面接を受けられます。同社は「名前・年齢・学歴」などの基本情報の提供を求めず、情報をあえて伏せたまま面接することで、学生の本来の考え方やエンジニアとしての素質を見るためを狙いとしています。

プロモーション活動

大丸松坂屋百貨店は、2025年12月に開催された「XR Kaigi 2025」に、メタバース体験ブースを出展しました。会場では「VRChat」を活用し、オリジナルの3D衣装や地域文化をテーマにした体験型コーナーを展開。来場者が仮想空間の中で楽しみながら参加できる内容となっていました。

これまでのメタバース活用で培ってきたノウハウを活かし、ブランドや伝統技術の魅力を発信するプロモーションにも取り組んでおり、企業や自治体向けの相談コーナーも設けられました。単なる展示にとどまらず、来場者との関係性を深める新しいデジタルマーケティングの形として注目されています。

バーチャルオフィスとしての利用

本社・支社、リアル出社・リモートワーク、フルタイム・非常勤など、それまでは勤務体系がバラバラで「勤務状況がつかめない」と悩んでいたとある企業が、メタバースオフィスプラットフォーム「ovice」を導入。全員がメタバースオフィスにアクセスすることで、勤務状況を一目で確認できるように。また、離れた場所にいる従業員同士が気軽に会話するようになるなど、コミュニケーションの活性化が図れました。

規模の大きいイベントの実施

とあるメーカーでは、自社商品を展示するイベントを主催するため、メタバースプラットフォーム「ZIKU」を導入。20種類ものコンテンツを制作して開催したメタバースイベントは社内外に大好評でした。更にコンテンツをストックできるというプラットフォームの特性を活かし、イベント終了後も展示を常設化。自社の取り組みを継続的・対外的にアピールするためのコンテンツとして利用しています。

 

メタバースプラットフォームのタイプと選び方

メタバースプラットフォームはいくつか存在しますが、ユーザーに提供できる体験や対応可能なデバイスは異なります。メタバースのビジネス利用に興味は持っていたとしても、どのプラットフォームを選べばいいかわからないという方向けに、メタバースプラットフォームを5つにタイプ分けして紹介します。

  • 多様な用途×本格的に利用できるタイプ
  • 多様な用途×手軽に利用できるタイプ
  • EC利用に強みのあるタイプ
  • オフィス・アカデミーでの利用に強みのあるタイプ
  • 大規模オンラインイベントに強みのあるタイプ

それぞれのタイプについて、詳しい仕様やおすすめの利用場面を紹介します。自社で利用するとしたら、どのタイプが当てはまりそうか考えてみましょう。

多様な用途×本格的に利用できるタイプ

イベント、ECなど、どの用途にも活用可能で、かつVRヘッドセットを接続できて没入感の高い顧客体験を提供できるタイプです。

たとえば、「VRChat」は同プラットフォームだけでなく、ほかのプラットフォームからもイベント会場にアクセスできる導線を整えられます。より多くの集客を見込みたい場合におすすめです。一方、VR・ARを活用した高い表現力を持つ「STYLY」は、ブランドの世界観を重視した空間演出に強みがあります。展示会やプロモーションイベント、デジタルアート展示など幅広い用途で活用されており、没入感の高い体験を提供できる点が特徴です。

多様な用途×手軽に利用できるタイプ

どんな用途にも活用できますが、VRヘッドセットの接続には対応していないタイプ。その分、PCやタブレット、スマホなどで手軽に利用できます。

たとえば、「ZEPETO」はプラットフォーム内で作成した写真やムービーを、InstagramやX(Twitter)などのSNSと連携して、気軽にシェアできる機能を搭載。自社のブランドやサービスの認知拡大に役立てられます。また、「Vket Cloud」は生成AI「ChatGPT」と連携しており、テキストチャットで会話するAIアバターの配置が可能。プロンプトを設定すれば、メタバース空間内での無人接客・無人案内を実現します。

EC利用に強みのあるタイプ

メタバース上にショップを開設し、有人アバターを介して接客が行えるタイプ。ユーザーが「商品を購入したい」となった場合でも、スムーズにECサイトに遷移する仕組みが整っています。ECサイトよりも空間への没入感が高く、きめ細かな接客対応が行えるのがポイントです。

たとえば、「ハコスコ」はECプラットフォーム「Shopify」と連携可能。ECサイトに遷移せずに商品の購入手続きが完結するため、ユーザーの離脱防止や商品の在庫把握に役立ちます。また、スタッフによる音声・ビデオチャットによる接客ができるのはもちろん、スタッフ不在の際はチャットボットによる無人接客に切り替え可能。時間帯を問わず接客が行える体制を整えられます。

オフィス・アカデミーでの利用に強みのあるタイプ

オフィスや学校・塾での利用に適したタイプ。ビデオ会議ツールと同じように、資料やWebサイトの画面を共有できる機能が搭載されています。ビデオ会議ツールにはない没入感を演出する機能があるのも魅力です。たとえば、「Horizon Workrooms」は、メタバース空間に自身のPC画面をミラーリング表示できる「リモートデスクトップ」機能を搭載。画面を切り替えなくても作業ができるため、自身がメタバース空間の中に入り込んだ感覚を味わえます。

そのほか、「ovice」はすぐ近くにいる人にだけ声を届けられるウィスパー機能を搭載。リモートワーク下でも、気軽に雑談を交わせる環境を整えられます。「Virbela」は、学習塾や教育機関向けに、生徒がクラウド上でメモを取りながら授業を受けられる仕組みがあります。プラットフォーム上で宿題の提出ができる機能も搭載しているため、現実の塾や学校と変わらない体制での運営が可能です。

大規模オンラインイベントに強みのあるタイプ

数千〜数万人規模の大規模なオンラインイベント開催におすすめのタイプ。いずれもPCやスマホで気軽にアクセスできます。たとえば、「XR CLOUD」には、イベント中に登壇者から参加者へマイクを受け渡せる機能があります。参加者から登壇者へ向けられた質問や意⾒をスムーズに拾えるので、オンラインウェビナーと比べて双方向のコミュニケーションが取りやすいのがポイントです。

そのほか、「REALITY」は1カ月間にわたって開催したイベントで、累計来場数約650万人を動員した実績があります。また、企業の要望に合わせて空間の開発だけでなく広告展示も依頼可能。たとえば、大規模なイベントに合わせて広告を配置し、多くのユーザーにアプローチするといった従来のマス広告のようなプロモーション施策も実行できます。

 

メタバースプラットフォームの比較ポイント

自社に合ったメタバースプラットフォームのタイプが何となくつかめたら、今度は個別に比較検討していく番です。ポイントとしては以下のようなものが挙げられます。

ユーザー層がマッチしているか

メタバースプラットフォームの種類によって、利用ユーザーの目的や年齢層が異なります。したがって、自社商品やサービスに見合ったターゲットが属しているプラットフォームかを見極める必要があります。

たとえば、「ZEPETO」の国内ユーザー層は小中高校生が約8割を占めるため、Z世代である若年層ユーザーをターゲットにしたビジネスと高い親和性が見込めます。一方、「ZIKU」は商談展示会や説明会の開催に特化しています。アバターを介してブース担当者が来場者に話しかけられる機能や、商談の状況をその場でメモできる機能などがあり、リアル会場で展示会を開く感覚で利用できます。

利用環境が適切か

メタバースプラットフォームの利用にあたり、VRヘッドセットへの接続が必須なのか、あるいはPCブラウザやスマホアプリでも操作できるのか、選択可能なのかはチェックしておくべきでしょう。

たとえば、オフィス利用向けの「Horizon Workrooms」は、「Meta Quest」シリーズのVRヘッドセットを接続しないと、アバターを利用することができません。メタバースの醍醐味を味わいたい場合は、従業員全員にヘッドセットを用意する必要があります。「cluster」はVRヘッドセット接続前提のコンテンツを展開したい場合、ユーザーには「VR Ready」の認証を受けているPCを用意してもらう必要があります。

また、VR機器の他にも、各プラットフォームによって推奨される利用環境が異なるため注意が必要です。どれくらいの通信速度があれば快適に利用できるか、事前に確認しておきましょう。たとえば、展示会特化の「ZIKU」や、オフィス・アカデミー利用向けの「Virbela」の推奨する通信速度は10Mbps以上。また、「Virbela」はVPN接続が推奨されていない点にも留意する必要があります。

デザイン性・クオリティーが商品やサービスに合っているか

メタバースプラットフォームを上手く活用すれば、自社商品・サービスの魅力を多くのユーザーへ届けることができます。ただし、プラットフォームによって空間の創り方や再現性が異なるため、自社に合ったタイプを選ぶのが重要です。

たとえば、EC利用にも対応できる「Vket Cloud」の場合、ブラウザ完結型で3D空間を構築でき、商品展示やブランドの世界観を反映した空間演出が可能です。「Shopify」と連携すれば商品情報を表示できるため、メタバース空間を起点とした購買導線を設計しやすく、デザイン性と実用性を両立した活用が行えます。

よりオリジナリティを追求したメタバース空間を作りたい場合は、自社の要望に応じて空間を作成してくれるプラットフォームを選ぶと良いでしょう。たとえば、「cluster」で企業が商用利用する際は、同社に空間の制作依頼をする必要がありますが、同社には年間200社以上のメタバース空間の制作実績があるため、自社がイメージするメタバース空間を再現してもらいやすいでしょう。

 

主なメタバースプラットフォーム(多様な用途×本格的に利用できるタイプ)

イベント、EC利用、展示会など様々な用途で利用でき、VR機器の接続にも対応しているメタバースプラットフォームを紹介します。

cluster(クラスター株式会社)

cluster公式Webサイト

(出所:cluster公式Webサイト)

スマホやPC、VR機器など様々な環境からアクセス可能なメタバースプラットフォーム。累計来場者数3,500万人以上を動員しており、集客プラットフォームとしては最適。企業が商用利用するには同社に空間の制作依頼をする必要があるため、初期コストはかかるが、制作後の月額費用や管理費はかからない仕組みになっている。年間200社以上のメタバース空間の制作実績があるため、確かなノウハウのもとメタバースをビジネス利用できる。
特筆すべき点は、ユーザーが不快感のある配信やアバターを報告できる仕組みが備えられていること。同社が適切なペナルティを課して対処するため、ユーザーがトラブルに遭うリスクを軽減できる。
制作実績は幅広く、会社セミナーや採用説明会、音楽ライブ、観光地の再現など様々。代表的な事例に、渋谷区公認で街並みを再現した「バーチャル渋谷」がある。

  • 料金:要問い合わせ(参考価格:100万円〜)

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VRChat(株式会社Gugenka)

VRChat公式Webサイト

(出所:VRChat公式Webサイト)

ユーザー数数百万人のアメリカ発メタバースプラットフォーム。VRChat自体は商用利用に関する規定を明確に定めておらず、商用利用したい場合は、VRChatの商用代行を行っている日本の企業「株式会社Gugenka」に相談や空間制作を依頼するのがベター。依頼すると、チケット制の有料イベントの開催、外部リンクへ誘導するための導線確保やプラットフォーム内へのデジタル広告設置などを実現できる。
代表的な制作事例に、サンリオと提携し、キャラクターが出演する音楽フェス「SANRIO Virtual Festival」を開催した実績が。同イベントはVRChatだけでなく、動画配信サービス「SPWN」からもアクセス可能。単一プラットフォームでイベントを開催するよりも多くの集客が見込める画期的な施策が取られている。

  • 料金:要問い合わせ

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STYLY(株式会社STYLY)

STYLY公式Webサイト

(出所:STYLY公式Webサイト)

クリエイティブに強みを持つメタバースプラットフォーム。ユーザーはVRやARなどの作品を制作して、公開型のギャラリー「STYLY GALLERY」に自由に公開可能。外部サイトへ遷移するリンクを設置できるため、店舗の集客増加・ブランド認知向上の導線設計も行える。過去にはQRコードを読み込むだけでデバイス越しにサンゴやクラゲなどの海中生物を浮かび上がらせる「渋谷空想水族館」のキャンペーンを行い、「渋谷キャスト」の集客を実施している。
無料でも商用利用が可能だが、作品には必ずSTYLYのロゴを入れる規約が定められている。ロゴを外したい場合や、作品をギャラリーに公開せず、特定のユーザー同士でクローズドに公開したい場合は、法人向けの「Pro」プランか「Pro Unlimited」プランを契約する必要あり。Pro Unlimitedプランの場合、別途料金で技術サポートやコンサルティングを受けられる。

  • 料金:月額5万円(Proプランの場合)

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主なメタバースプラットフォーム(多様な用途×手軽に利用できるタイプ)

スマホやPCで手軽にアクセスでき、イベント、EC利用、展示会など様々な用途で活用できるメタバースプラットフォームを紹介します。

ZEPETO(ソフトバンク株式会社)

ZEPETO公式Webサイト

(出所:ZEPETO公式Webサイト)

企業のニーズに応じて、仮想店舗やイベント・ゲーム用のスペースを構築可能な韓国発のメタバースプラットフォーム。空間作りは、日本の運営会社であるソフトバンクに依頼する仕組み。有人アバターやチャットボットを設置でき、接客やイベント案内が行える体制が整っている。オリジナルアイテムの制作やプロモーションもあわせて手がけているため、本格的にメタバースビジネスに参入したい企業にも適している。
国内ユーザーのうち小中高校生が約8割を占めるため、若年層ユーザーをターゲットにしたビジネスを展開する場合におすすめ。プラットフォーム内で撮影した写真やムービーを、InstagramやX(Twitter)などのSNSと連携してシェアできる機能を搭載しているため、自社のブランドやサービスの認知拡大に役立てられる。

  • 料金:要問い合わせ(参考価格:400万円)

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Vket Cloud(株式会社HIKKY)

Vket Cloud公式Webサイト

(出所:Vket Cloud公式Webサイト)

アプリなし、URLのクリックだけでメタバースワールドを制作できるブラウザ完結型プラットフォーム。法人向けプランを契約すれば、レイアウト・背景・3Dモデルのテンプレートがそろっており、簡単に空間を作れる。また、生成AI「ChatGPT」との連携により、テキストチャットで会話するAIアバターを配置可能。プロンプトを設定すれば、無人接客・無人案内を実現できる。ほかにも、商談や接客のために訪問者がワールドに来る時間を予約できる機能や、EC利用向けにShopifyと商品情報を連携できる機能など、様々なビジネスの展開に役立つ機能が搭載されている。
単発で大人数を集客したい場合に適したパッケージプラン「VKET SPACE」も提供しており、社内イベントやファンミーティングなどの用途で活用できる。

  • 料金:要問い合わせ

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Roomiq(株式会社リプロネクスト)

Roomiq公式Webサイト

(出所:Roomiq公式Webサイト)

VR機器不要・Webブラウザ完結で利用できる、法人向けメタバースプラットフォーム。イベント、展示会、説明会、社内施策など多様な用途に対応可能で、かつURLを共有するだけで誰でも簡単に空間へ参加できるなど利用ハードルが低い点が強み。初めてメタバースを利用する来場者でも迷わず使える設計となっており、集客イベントとの相性が良い。自治体や教育機関でも利用されており、日本全国38都道府県で利用実績がある。
空間内では資料共有や動画再生、チャット、音声通話が可能なほか、入室制限や権限管理などの管理機能も充実。社外向けイベントやビジネス用途でも安心して運用できる点が評価されている。

  • 料金:要問い合わせ

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主なメタバースプラットフォーム(EC利用に強みのあるタイプ)

EC利用に適しているメタバースプラットフォームを紹介します。

ハコスコ(株式会社ハコスコ)

ハコスコ公式Webサイト

(出所:ハコスコ公式Webサイト)

スマホやPCから気軽にアクセスできるEC利用向けメタバースプラットフォーム。会場のレイアウトや家具、アバターをテンプレートから選んで空間に配置するだけで、仮想店舗を簡単につくれる。音声・ビデオチャットによる有人接客はもちろん、チャットボットによる無人接客も可能。ユーザーがアクセスする時間帯を問わず商品を販売できる。外部リンクによりECサイトに誘導する機能はもちろん、Shopifyと連携してECサイトに遷移せずとも商品の購入が完結する機能も搭載。
利用実績は仮想店舗がメイン。画期的な事例として、銀行がメタバース上に新たな支店を作った実績があり、将来的にはメタバース内で銀行サービスが受けられる体制も整えている。商用利用の場合でも、月額1万円でリーズナブルに利用できるのも嬉しい。

  • 料金:月額1万円(ビジネスプランの場合)

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αU(アルファユー)Place(KDDI株式会社)

αU(アルファユー)Place公式Webサイト

(出所:αU(アルファユー)Place公式Webサイト)

大手通信会社・KDDIが手掛けるEC利用に特化したメタバースプラットフォーム。店内空間を専用のスマホアプリでスキャンして、メタバース上で再現。「ネットだけでは商品のイメージがわかない」「店員に相談したい」といった顧客や、ブランドの雰囲気や世界観にこだわりをもっている店舗にはおすすめ。
メタバース内では画面内のアイコンをタップすると商品の詳細情報が表示され、遷移先のECサイトで購入可能。まるでリアル店舗に足を運んでいるかのような買い物体験を提供できる。更に、実店舗の店員からチャットやビデオ通話によって接客を受けられる機能も搭載しており、双方向でのコミュニケーションが取れる体制が整っている。
導入事例は、銀座に構える「無印良品」の旗艦店を再現した店舗をはじめ、老舗食料問屋が世界中のユーザー獲得のためメタバース店舗をオープンした事例も。

  • 料金:要問い合わせ

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主なメタバースプラットフォーム(オフィス・アカデミーでの利用に強みのあるタイプ)

バーチャルオフィスや教育機関での利用に適したメタバースプラットフォームを紹介します。

Horizon Workrooms(Meta Platforms, Inc.)

Horizon Workrooms公式Webサイト

(出所:Horizon Workrooms公式Webサイト)

「Meta Quest」シリーズのVRヘッドセットと連携することで、没入感の高いメタバースオフィス空間に浸れるプラットフォーム。ヘッドセットを持っていなくても、「Zoom」と接続することでビデオ会議に参加できる仕組み。表情に加えてジェスチャーが豊かなアバターを使えて、ノンバーバルなコミュニケーションが取りやすいのがポイント。また、オプションのホワイトボード機能では「Meta Quest」付属のコントローラーを使えば、ペンを走らせる感覚で画面上のボードへ自由に書き込みができる。ホワイトボードに書き込んだ内容はクラウド上にストックされ、必要な時にすぐ引き出せるため企業の会議効率化にも役立つ。
その他、メタバース空間に自身のPC画面をミラーリング表示する「リモートデスクトップ」機能もあり、画面を切り替えなくても作業が行える。

  • 料金:無料、初期費用なし ※有料オプションあり

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ovice(oVice株式会社)

oVice公式Webサイト

(出所:ovice公式Webサイト)

世界で約4,000社の導入実績を誇るバーチャルオフィス用プラットフォーム。顔写真の載ったアバターをダブルクリックして相手に近づくと会話ができる。鍵付きの会議室も用意されており、機密性の高い内容を安心して交わせる。すぐ近くにいる人にだけ声を届けられるウィスパー機能を利用すれば、従業員同士気軽に雑談しやすいのも特徴。また、誰がどの部屋、フロアにいるかを検索できる機能も便利。更に、検索すれば個人の出社状況とステータスが「対応可」「作業中」などで表示されるため、話しかけて良いかの判断がスムーズに行える。会議中の会話をリアルタイムで文字起こしする機能もあり、スムーズな内容把握や議事録の作成に役立つ。
その他、ダッシュボードで各従業員のバーチャルオフィス滞在時間、発話回数を分析可能。データをメタバースオフィスの利用促進、コミュニケーション促進のために有効活用できる。

  • 料金:月額16万5,000円〜(従業員数100名以上の企業向けのビジネスプランの場合)

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Virbela(株式会社ガイアリンク)

Virbela公式Webサイト

(出所:Virbela公式Webサイト)

バーチャルオフィスやバーチャルスクールの構築に特化したメタバースプラットフォーム。プランに応じてフロアサイズを選べ、バーチャルオフィスであれば最小10人から最大200人まで収容可能。フロアには社員交流イベントなどに活用できる大部屋や、打ち合わせに使える小部屋などが用意されており、現実のオフィスと同じような感覚で利用できる。オプションで、ビデオ会議ツールのように資料やWebサイトを共有できる機能も付けられる。また、学習塾や学校などの教育機関での利用に適した機能も豊富。たとえば、生徒がクラウド上でメモを取れる機能や、プラットフォーム内で宿題を提出できる機能が用意されている。
空間の型が決まっているサブスクプランと、自社オリジナルの空間作成を依頼可能な個別対応プランを用意。なお、セキュリティ保護の観点からアバター同士の会話やチャット履歴は一切保存されない。

  • 料金:月額20万円(100人収容可能なバーチャルオフィスの場合)

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主なメタバースプラットフォーム(大規模オンラインイベントに強みのあるタイプ)

最後に、数千、数万人規模のユーザーを動員するのにおすすめのメタバースプラットフォームを紹介します。

ZIKU(株式会社ジクウ)

ZIKU公式Webサイト

(出所:ZIKU公式Webサイト)

展示会や説明会などのビジネス利用に特化したメタバースプラットフォーム。テキストチャットやボイスチャット機能が備わっているため、ブース担当者が来場者に話しかけるのも簡単に行える。商談の内容はその場でメモ可能。また、来場者の行動履歴をリアルタイムで把握できる機能もあるため、自社に興味のありそうな来場者を判別しやすいのもポイント。ブースの設計も簡単で、豊富なテンプレートからデザインや色を選択し、展示ポスターやロゴを設定するだけで構築できるため、専門知識が必要ない。
制作事例に、企業が単独で商品・サービスをPRする展示会や、複数の企業が集まる大規模な商談会などがある。その他、リアルイベントとZIKUでのメタバースイベントを並行して開催することもできる。

  • 料金:初期費用50万円+ブース構築費用45万円(大ブースの場合)+20万円(来場者1,000人あたり)

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XR CLOUD(monoAI technology株式会社)

XR CLOUD公式Webサイト

(出所:XR CLOUD公式Webサイト)

展示会やバーチャルツアー、ファンミーティングなど大勢のユーザーが接続するイベント設計に向いているメタバースプラットフォーム。独⾃の接続エンジン技術を採用しており、10数人程度の規模から数万人が同時接続する大規模なイベントの開催に対応。また、イベント中に登壇者から参加者へ自由にマイクを受け渡せる機能も搭載。参加者から登壇者に寄せられた声をスムーズに拾いやすく、オンラインウェビナーと比べて双方向のコミュニケーションが取りやすい。
過去に、アニメキャラクターなどのバーチャルアーティストとタイアップして総勢7万人を動員した音楽イベントを行った実績が。また、医療業界向けに、特定疾患を持つ患者同士が交流したり、専門家の講演を開いたりする場としても活用されており、幅広い業界で利用できる。

  • 料金:要問い合わせ

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REALITY(REALITY XR cloud株式会社)

REALITY公式Webサイト

(出所:REALITY公式Webサイト)

スマホ一台でオリジナルアバターを作成でき、ライブ配信やゲームを楽しめるメタバースプラットフォーム。同社が過去開催したメタバース合同展示会には、約650万人が訪れた実績が。更に、全世界でのダウンロード数が2,000万以上あるため、より多くのユーザーの目に留まりやすいプロモーション活動が行える。また、空間の開発だけでなく広告展示も依頼可能。たとえば、メタバース内の大型ビジョンやビルの壁面などの空間に広告を配置できる。
その他、プラットフォームでNFTの取引ができる環境構築や、メタバースをビジネス利用するうえでのコンサルティングも依頼でき、企業のニーズに柔軟に応えられる体制が整っているのもポイント。アイドルグループの展示イベントや、Z世代向けの就職活動イベントなどの制作実績あり。

  • 料金:要問い合わせ

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めちゃバース(株式会社ハシラス)

めちゃバース公式Webサイト

(出所:めちゃバース公式Webサイト)

数千人規模が同時接続できる、高収容力のイベント特化型メタバース。アプリなどのインストールの必要がなく、Webブラウザからアクセス可能。PC・スマホ・タブレットなどデバイス問わないため、イベント開催についても参加ハードルが極めて低い。スケーラビリティの高さが特徴え、数千人規模のユーザーが同時に同じバーチャル空間に参加・交流できる。オンラインイベントで失われがちな「臨場感」や「熱気」を生み出すことを目指しており 、そのためのエリアボイスチャットやリアクション機能などのコミュニケーション機能も多彩。近年ではリコージャパン等と協業し、企業ミュージアムやショールーム向けのメタバース空間制作サービスの提供にも取り組んでいる。三幸学園の全国文化祭やテレビ朝日主催の技術展示会など、多数の大規模イベントでの採用実績を持つ。

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まとめ

近年、利用が増えているメタバースプラットフォーム。「新たな顧客層を開拓できる」「没入感の高い顧客体験を提供できる」「商品やブランドの価値観を届けやすい」といった理由から、EC販売、商品のプロモーション、イベント開催など、ビジネス利用する企業が増えています。そのほか、「双方向のコミュニケーションが取りやすい」といった理由から教育機関でも利用するケースが増えています。

今回の記事では、あらゆる用途に汎用的に対応するタイプから、EC利用に特化したタイプ、バーチャルオフィス・バーチャルアカデミーの開設に適したタイプなど、全14種類のメタバースプラットフォームを紹介しています。本記事を参考に、自社に最適なプラットフォームを選んでみてください。

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