急にテレワークと言われても、何を準備したらよいか分からないとお困りの、カスタマーサポート業務に携わる方へ、小規模のカスタマーサポートにとってのテレワークの必要性、導入時の課題、そして問い合わせ管理システムに代表されるようなテレワークに必要なツールについてご紹介します。
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新型コロナの影響で、カスタマーサポートにおいても在宅勤務で対応するテレワークの導入が急速に進みました。しかし、個人情報の取り扱いや情報共有の方法など、テレワークに移行するには様々な課題があるため、導入に至っていないという企業も多いのが現状です。
テレワークは多様な働き方を可能にする手段の1つであることは確かです。人手不足を解消する可能性や、在宅勤務を通じたワークライフバランスの改善も期待されます。柔軟な働き方の促進を目的としたテレワーク導入によるメリットは大きいと言えるでしょう。
そのため、いきなりテレワークに完全移行とはいかなくとも、一部だけでもカスタマーサポートにおいてテレワークを導入する意義は大きいです。この記事では、コロナが収束した後も前向きに検討していく価値があると言える、カスタマーサポートのテレワークについてご紹介します。
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まずは、カスタマーサポートにテレワークを導入する際の課題を確認しておきましょう。なお、前提として、ここでは10人程度までのカスタマーサポートを想定しています。というのも、数十人規模のコールセンターとなると、より高度なインフラの必要性や、情報の取り扱いなど、別の課題も出てきてしまうからです。
まずイメージしやすい課題として、オフィスで同僚と顔を合わせて共有していた内容を、テレワーク環境ではどう共有したらよいのか、といった点が挙げられるでしょう。問い合わせがあっても、誰が何に対応しているのかわからなくなってしまいます。そうなると、対応漏れや、重複対応などが発生してしまいそうです。
今まで「今届いたメールは私がやりますね」と会話していた内容を、いちいちSlackなどのチャットツールで共有するとなると、やりとりの数がとても多くなってしまいそうですし、見落としによる重複対応もあり得そうで心配です。
カスタマーサポートのメンバー内で誰がどれだけ大変かがわからなくなる、といった点も気になります。負荷に応じて、大変そうな具合を見て案件配分、といったやり方がやりづらくなるため、特に管理職やチームリーダーなどに影響がありそうです。
対面でないため、ちょっとした相談がしにくくなることが懸念されます。Slackなどの社内チャットや電話などで連絡するにせよ、今までのように隣の人に確認する、ベテランに聞きに行く、といったことが気軽に行えなくなる点は心配です。
顧客からの問い合わせはどのように受けたらよいのでしょうか。メール、チャット、SNSはどうにかなりそうですが、入電をどのように受けたらよいのか悩むケースも多いでしょう。当番制で出社するといった方法はなるべく避けたいですし、ただの転送でいいのかどうかや、分担して複数人で受けられる手段の検討が必要にもなります。適切な通信手段の確保が必須といえます。
慣れた環境でないと応対のスピードや正確性が落ちてしまう可能性があります。具体的に言うと、問い合わせ対応マニュアル、よくある質問集、回答テンプレートを会社にいるときのように紙ファイルで管理していないと、さっと探して回答する、ということが行いづらくなるからです。
また、顧客の情報(オフィスではCRM導入している場合も)を参照できない場合も効率が下がってしまいます。なぜなら、電話がかかってきた際は、誰がかけてきたのか、その人は過去にやりとりのある人なのか、などを把握する仕組みがないと、その都度イチから確認しなければならず、時間がかかってしまうからです。また、情報を共有できないと、Aさんが対応した顧客からの連絡をBさんが受けたときにも話が通じなくなってしまい、顧客にとっても印象がよくありません。顧客情報を管理・共有できる何らかの仕組みが必要なのは明らかです。
前項で、カスタマーサポートがテレワークを始めるにあたっての数々の課題があることがわかりました。そしてそれらの課題を解決するにあたり、最低限は、「問い合わせの管理方法の整備」と、「通信手段の確保」の2つのポイントによって、乗り切れそうなことがわかります。では、その2つのポイントを実現するにあたっての方法を、具体的なツールに落とし込んで確認しておきましょう。
まず、顧客からの問い合わせ情報を管理・共有するための仕組みとしては、問い合わせ管理システムが挙げられます。メール共有システムと呼ばれることもありますが、実際はメールだけでなくほかの手段で来た問い合わせも記録できます。問い合わせ管理システムがあれば、電話、メール、チャット、SNSなど様々な経路からの問い合わせがあっても、一元的に管理できます。
また、対応状況を「未対応/対応中/対応済み」といったステータスで一覧できるようになるため、対応漏れや重複対応を防ぐことができます。誰が対応したかもわかりやすく対応者の割り振りも行えます。
さらに、メール返信の場合は、テンプレート呼び出しによるメール文の作成など、効率的に対応する仕組みも活用できます。トリガという仕組みで自動返信を行うよう設定しておけば、更に効率化が加速します。
通信手段の確保、特に電話応対に関して必要なツールはCTIシステムが挙げられます。入電を複数人のカスタマーサポートスタッフに自動的に振り分けるには、ACD(着信振り分け)機能を備えたCTIシステムが必要となります。テレワークするカスタマーサポートのスマホに通話用のアプリを入れて、ACDによりスマホで受電できるようにする、といった具合です。
あるいは、クラウドPBXを導入している場合は、クラウドPBXのACD機能で実現する方法もあります。同様に、スマホにクラウドPBXのアプリを入れて受電する方法です。
一般的に、CTIシステムの方が、複雑な自動振り分けやCRMとの連携に対応しているため、細かく設定したい場合はおすすめです。応対状況・稼働状況などが管理できるので、たとえば顧客対応中でないオペレーターに分配する、待ち時間が長くなっている顧客を優先的につなぐ、2回目以降の顧客を前回と同じオペレーターにつなぐ、といった細かな設定による振り分けができ、スムーズな分配に役立ちます。また、CRMとの連携により、かけてきた相手の情報を表示することも可能です。
入電件数がそれほど多くなく、管理面で課題がないようでしたら、簡易的にクラウドPBXで実現するという方法も選択肢です。
ここまで問い合わせ管理と電話対応についてのツールをご紹介しましたが、ではそもそもの問い合わせ件数自体を減らしたい、という場合はどうしたらよいでしょうか。その場合は顧客を自己解決に導く、以下のツールが役立ちます。
FAQシステムやチャットボットを用意することで問い合わせ件数の削減が期待できます。FAQシステムとは、よくある質問のナレッジを共有するために、ナレッジを作成・蓄積して、検索できるようにしたシステムのことです。チャットボットは、テキストや音声を通じた問いかけに対し自動で返答するプログラムのことです。
問い合わせしようと思いサイトを訪れたユーザーが、サイト内に設置されたFAQやチャットボットで調べて答えを見つけ、メールや電話で問い合わせをすることをやめるため、最低限用意した方がよいでしょう。これらはいわゆる「よくある質問」により自己解決を促す方法です。たとえば「返品の方法」、「登録情報の変更方法」など、一定数寄せられ、更に読むことにより自分で解決できる内容である場合には大きな効果が期待できるでしょう。
ただし、問い合わせのうち、「よくある質問」の割合が少なく、個別回答が必要な問い合わせばかりの場合はあまり有効でないので、導入しても思ったより効果が少ない可能性があるため、注意が必要です。
これらの「よくある質問」が整備されると、カスタマーサポートスタッフが応対する際にも社内FAQとしても利用できますし、場所に制約を受けずに活用できるのでテレワークにも向いています。紙のマニュアルや問答集の代わりとなるからです。それなりの問い合わせ件数がある場合は整備を進めるべきでしょう。
FAQシステムやチャットボットについてはこちらの記事で詳しくご紹介しています。
ここまでご紹介したポイントを踏まえ、おすすめの問い合わせ管理システムをご紹介します。
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(出所:Zendesk公式Webサイト)
世界で10万社以上の導入実績を誇る、デンマーク発祥の問い合わせ管理システム。メールだけでなく、電話、チャット、SNSなど様々なチャネルから寄せられる問い合わせを、チケットという概念で一元管理。自動化できる機能に強みをもち、よくある質問に対して回答テンプレートを適用するマクロ機能や、問い合わせメールへの自動返信、担当者の割当などを自由に設定できるトリガ機能など充実している。
別部署や別の担当者へ引き継ぐ場合もチケットを渡すといった概念のため、顔を合わせる機会のないテレワークの場合も、漏れがなく、進捗状況・ステータスの把握に役立ち安心。Zendeskは、ナレッジベース(FAQシステム)やチャット・メッセージソフト、コールセンターソフトとしても活用することができるため、カスタマーサポート業務の効率化が期待できる。
(出所:メールディーラー公式Webサイト)
導入実績8,000社、様々な業界・業種で利用されている問い合わせ管理システム。その名の通りメール共有において使いやすい機能が豊富だが、チャット、LINEの対応、また電話の応対メモの記録も可能。複数名でのメール共有に役立つ機能としては、重複返信を防止する返信中の排他ロック、新着・対応中・保留中などがわかるステータス管理、過去の対応履歴の記録、社内での申し送り用のコメント添付機能、社内チャット、社内Q&Aなど。
各自が別の場所にいるテレワーク環境はもちろんのこと、シフト制などで日々担当者が変わる場合でも情報共有しやすい仕組みがそろっている。テレワークにおける割り振りに活用できる、優先順位付けや振り分けが可能なラベル機能や、スムーズに返信できるテンプレート機能も。ECサイトの問い合わせメールとの連携可能な点も嬉しい。
送信内容の最終チェックボックス、送信キャンセル、承認フロー、添付ファイルの自動暗号化など、誤送信対策もあり安心。
(出所:Re:lation公式Webサイト)
メール共有だけでなく、メール、LINE、電話、チャットなど様々なチャネルで寄せられる問い合わせを一括管理できる問い合わせ管理システム。導入実績5,000社以上。様々な形での問い合わせをチケットという概念で一括管理し、未対応・保留・対応完了・対応不要の4つのステータスで表記するため、テレワーク環境においても漏れや遅れ、重複対応を防ぐことができる。
自動化にも強みを持ち、条件を設定することで、ラベルづけ、ステータス移動、担当者振り分け、フラグづけ、ゴミ箱移動、迷惑メールカテゴリへの移動などの業務を自動化できるためテレワークにおける業務効率化にも役立つ。1つのチケットに複数のラベルづけができる点も特長であり、色選択や名前づけ、階層分けも可能なため、ラベルごとの絞り込みもやりやすい。ECサイトのメールも対応している。テンプレート機能を活用したスムーズな返信も可能。承認依頼機能を利用し、各人が別の場所にいるテレワークにおいてもスムーズに承認して誤送信を防ぐことができる。
(出所:Service Cloud公式Webサイト)
電話、メール、メッセージアプリ、ビデオチャット、SNSなど、様々なチャネルからの問い合わせを単一のプラットフォームで管理できるカスタマーサービスクラウド。時系列に通信履歴が表示されるため、問い合わせが別のチームに転送された場合でも、オペレーターはスムーズなサポートを提供可能。更に、蓄積されたナレッジは簡単に検索してアクセスできるため、未経験のオペレーターのトレーニングや問い合わせの削減に貢献する。また、AI 機能を活用して顧客の属性や行動などを組み込むことで、問い合わせを最適な部署へ自動で割り振りすることも可能。カスタマーサポートの生産性向上を実現する。
(出所:yaritori公式Webサイト)
すぐにテレワークを始めたい場合に選択肢となる、メール特化型の問い合わせ管理システム。月額料金が低コスト、初期費用なし、最低契約期間がなく、現在のメールアドレスはそのままで、3つのステップのみで簡単に設定完了する点、打ち合わせから最速で当日に導入サポートまで受けられる点など、すぐにテレワーク開始できる条件がそろっている。
受信メールの対応状況を把握するステータス管理機能、返信作業者以外の返信をブロックする二重対応ロック機能、複数のメールアカウントでも一つの画面で管理する複数アカウント管理機能、よく使用する返信文をテンプレートとして保存できるテンプレート機能など、チームでのメール対応を効率化する機能を装備。すべてのメールサーバーに対応。14日間の無料トライアルもあり。
(出所:メールワイズ公式Webサイト)
メール共有を主とした問い合わせ管理システム。導入実績14,000社超。電話や訪問の履歴も記録できる。安価でわかりやすい料金設定のため、問い合わせの多くがメールの、少人数のカスタマーサポートにとって選択肢。一斉送信機能を持ち、メール配信システムとしても利用できる点も強み。
ステータス管理、文面のテンプレート化、コメント機能といった、重複対応や対応漏れを防いでスムーズに対応できる機能はそろっている。モバイルアプリもあるため、スマホでプッシュ通知を受けてさっと処理できる。上長承認もスマホアプリで迅速に行える。アドレス帳機能では、顧客情報を管理でき、CSVファイルによるデータ書き出しはもちろん、任意の宛先へメールを一斉配信することも可能。同社の提供する業務改善ツール「kintone」との連携し、CRMとしての利用もできる。
テレワークに利用したいおすすめのCTIシステムについては、この記事を参照ください。
小規模のカスタマーサポートにおいてのテレワークの必要性、導入時の課題、そして問い合わせ管理システムに代表されるような、テレワークに必要なツールについてご紹介しました。必要に応じたツールさえそろえてしまえば、難しく考えなくてもスムーズにテレワークをスタートできる可能性がありそうなことがわかりました。そのためには、メール中心なのか、電話問い合わせも多いのか、チャット等もカバーする必要があるのか、といったチャネルの選択に加え、毎日同じメンバーか、シフト制か、といった就業環境もツール選びのポイントとなってきます。まずは自社のカスタマーサポートに合ったツールとは何なのかを見極め、それからツール選びを始めていくとよいでしょう。
導入の目安となる具体的な数字や、導入のメリットと検討ポイントなどは、こちらでガイドしています。
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