最終更新日:2024-04-19
医事会計、レセプト業務の作業負荷が高く、新たに医事会計システムの導入を検討している、または既存の医事会計システムのリプレイスを検討している方へ。医事会計システムの使い方や選び方、比較のポイントとともに、タイプ別でおすすめシステム紹介します。
医事会計システムとは、主に窓口の会計業務や、診療報酬を保険者に請求するレセプト業務について、自動化・電子化を実現するシステムのことです。レセプト作成にかかわることから「レセコン(レセプトコンピューター)」と呼ばれることがあります。一方で、レセプト業務に特化したレセコンと区別して、医事会計システムと呼ぶ場合も。
電子カルテとの連携により、診療内容の会計への即時反映や、診療報酬点数の複雑な計算を自動化が可能に。会計にかかわる業務を効率化します。
主に、以下のようなメリットがあります。
レセプトのオンライン請求が原則義務化されたことから、医事会計システムの普及が進んでいます。中でも高いシェアを誇る医事会計システムが、日本医師会が提供する日医標準レセプトソフト「ORCA」。電子カルテとの連携に対応しており、大部分の機能を無償で利用できる「ORCA」ですが、ベンダーによってサポートの質にバラつきがあるといったデメリットも。
一方、メーカー製の医事会計システムはORCAにない機能を備えているほか、充実したサポートが期待できます。
本記事ではORCA以外の医事会計システムを紹介します。
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医事会計システムの主な機能は以下の通りです。
レセプト業務 | 診療内容から診療報酬を自動で算定。労災レセプト、歯科レセプト、DPC(包括評価制度)に対応する包括請求など、種々のレセプトに対応した算定方法を適用します。 |
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レセプトチェック | レセプトの内容が正しいか自動でチェックする機能。「病名と算定された診療行為との整合性があるか」「算定もれがないか」「算定月や回数が正しいか」といった項目について、不整合時にアラートを表示してミスを防止します。 また、会計のたびに自動チェックをするため、一定期間分をまとめて点検する際の作業負荷に役立ちます。 |
窓口業務 | 外来会計における精算額の自動算定をはじめ、患者や保険証の登録、診療明細書の発行などに対応します。 |
制度改定に合わせたアップデート | 診療報酬の改定に合わせて、レセプトの算定方法や、計算用のマスタデータを自動でアップデート。過去のマスタデータを保持するため、改定前のレセプトは改定前の算定方法を適用できます。 |
関連機器との連携 | 電子カルテをはじめ、自動精算機や会計表示機などと連携。受付~診療~会計まで一連の業務を効率化します。 |
帳票出力 | カルテやレセプトをはじめ、患者リストや点数統計などにかかわるデータを帳票作成。CSV形式のファイルなど、印刷出力可能な形式に整えます。 |
医事会計システムごとに対応規模や強みによる違いがあります。比較検討時に留意したいポイントは以下の5つです。
病床数の多い大規模病院では、大量の会計処理やレセプト作成を安定的に行える必要があります。加えて、各診療部門へのオーダー機能や周辺機器やシステムへの連携機能を備えていると、より広範囲の業務を効率化できます。
一方、中小規模の病院であれば、現場に必要な機能に絞った低コストのシステムや、シンプルな操作項目や使いやすいUIなどを備えたシステムのほうが適している場合も。まずは自院の規模に対応したシステムを選ぶようにしましょう。
「HOPE SX-T」は無床から300床まで対応。診療所向け電子カルテシステム「HOPE LifeMark-SX」への拡張も可能で、将来的に電子カルテの導入も見据えたスモールスタートにも向いています。
また、「HAPPY RAPPORT」は小規模から大規模病院まで対応可能。レセプトの自動算定や算定チェックといった医事会計の機能に加え、各部門へオーダー(検査や処方指示)を送れる簡易のオーダー機能も備えています。また、複数の施設や診療所を持つ場合に、共通の患者IDをもとにシステムを運用することも可能です。
電子カルテの導入も検討している小規模な病院では、電子カルテ一体型のシステムも選択肢となります。電子カルテで入力した診療内容を医事会計システムに即時反映するなど、2つを連携することで業務が大幅に効率化できるためです。
多くの医事会計システムは電子カルテ連携に対応していますが、一体型であれば、システム間の相性を検討する必要がないほか、「統一されたインターフェースで修正作業を行える」「トラブル発生時の問い合わせ窓口が同じ」といったメリットがあります。
たとえば「TOSMEC Aventy Ⅳ」は、どの端末からでもカルテ入力から会計、レセプト業務まで操作可能。加えて、受診歴や病名、1カ月分の診療内容といったカルテの患者情報を確認しながら会計ができます。
「Medicom-HRf Hybrid Cloud」では、過去のカルテを参照できるカルテナビ機能や、ワンタッチで必要な項目を埋められるショートカット機能など、スピーディーな入力を可能にする電子カルテ機能を搭載。会計業務を行う際には、電子カルテを表示しながらレセプト情報の入力・修正ができます。
医事会計システムのメインとなるのが自動算定機能です。複雑な医事会計を自動でミスなく計算できるよう、算定項目の多さや柔軟さに注目しましょう。
たとえば「TOSMEC Aventy Ⅳ」は、難病の診断には難病外来指導管理料を誘導表示するなど、登録された病名から算定可能な指導料を画面で通知。保険点数の解釈にかかる手間を省きます。
また「HOSPI EASY」は、入院料や投薬料、手術料など豊富な自動算定項目を提供。入院料であれば入院料加算や老人特定入院料にかかわる包括、手術料であれば複数の併施手術や労災手術における部位別点数の算定など、各項目について細かな計算分けができます。
レセプト内容に不備があり、保険者から返戻(差し戻し)が多いと、行政の監査や指導の対象になる可能性があります。システムに搭載されたチェック機能を活用して、高精度かつ効率的なレセプトチェックを行いましょう。
たとえば「HOPE SX-T」は、レセプト院内審査システム「レセプト博士NEO」を組み込んでおり、会計や病名の更新時にレセプトチェックを自動で実行。適応病名チェックや回数、包括・背反チェックをはじめ、病名に対しての禁忌医薬品や併用禁忌医薬品がないか禁忌チェックなどもできます。
「TOSMEC Aventy Ⅳ」では、計算ミスを防ぐための警告表示機能を豊富に搭載。同時には算定できない品目や、月1回しか算定できない品目の回数超えなど、修正が必要な項目を検知します。
会計業務を効率化しても窓口業務に手作業が多いと、会計処理のオーダーが溜まって混雑につながるおそれが。自動精算機や会計表示機といった周辺機器との連携に対応していれば、窓口業務を含めた効率化が期待できます。
たとえば「ATMOS 医事会計システム」は、自動精算機や再来受付機などと連携するためのオプション機能を用意。会計表示システムとの連携にも対応しているので、ワンクリックで会計入力待ちの患者を呼び出して、窓口に案内することができます。
「ML-A Plus」はマルチベンダー対応で、異なるメーカーのシステムと連携可能。診察券発行機やDPC支援システム、病歴システムなど、様々なシステムと接続できます。
(出所:HOPE SX-T公式Webサイト)
累計50,000以上の導入実績を持つ医療事務システム。窓口業務からレセプト業務、患者管理業務、月次業務といった機能で医療事務の最適化と患者導線の変革をサポートする。これまでは電子カルテで対応していた適応病名チェックを用いた病名登録が、会計業務から利用できるのが特徴だ。薬剤情報をもとに表示された候補病名の中から、該当するものを選択するだけで病名登録が完了する。
また、コンシェルジュアプリからの予約や、受付機によるチェックイン、オンライン決済による会計で三密回避を実現。効率的かつ安全な患者動線を確保する。
オプションとして、服薬情報発行や薬品管理などができる「薬剤部門システム」や、再来受付や自動再来、前回処方出力などに対応する「受付/事務部門システム」を提供。
(出所:HOSPI EASY公式Webサイト)
40年以上にわたる提供ノウハウで、システム運用から病院経営までをトータルサポートする医事会計システム。柔軟なシステム構築と、医事会計の初心者からベテランまで使いやすいレイアウトに強みを持つ。
入院料や各種管理料、投薬料など、幅広い項目を自動で算定。各地域の医療助成制度に対応した算定方法も適用できる。加えて、併算不可な検査を入力した場合や院内処方と院外処方が混在している複数手術の入力時など、注意が必要なデータ入力時にはアラートを表示して算定ミスを防止。
窓口業務では、保険、病名、最終来院日、算定歴など必要な情報を同一画面で確認しながら会計が可能。患者からの未収金や預かり金の登録もできるので、イレギュラーな精算にも便利だ。
(出所:PLUSUs-医事公式Webサイト)
診療支援から医療事務、部門支援までソリューションを提供する「PlusUs」シリーズの医事会計システム。レセプト業務に加えて、患者登録や外来会計などの窓口業務、入退院処理や入院会計などの入院業務を基本機能として搭載。また、システム規模や運用に合わせて、同シリーズの電子カルテ・オーダリングシステムと連携でき、段階的な機能の拡張にも向いている。
会計入力中のレセプトプレビュー表示に加えて、同一画面でカルテ情報を見ながら会計操作や算定に必要な情報を検索できる。会計時、入力と同時にレセプトデータを修正・編集することで、点検時の修正を削減する。
診療行為マスタ、医薬品マスタなど厚労省マスタに完全準拠した標準マスタを自動算定用に提供。DPC病院におけるDPCコード管理、自動算定、包括算定にも対応する。
(出所:MACS V.4公式Webサイト)
レセプト業務の効率化と返戻・査定対策のため、院内監査の徹底を提案する医事会計システム。医療機関ごとにカスタマイズ可能な随時監査チェック機能が充実している。たとえば、配合禁忌や相互作用などの有無、各薬品の数量・回数、病名と薬剤・行為の組み合わせなどを、日別・月別で自動チェック。注意が必要な場合、「警告(入力可)」・「禁止(入力不可)」といった監査ランクに応じたメッセージを表示する。一部のチェック項目では、文言内容を医療機関側で任意にカスタマイズできる。
同一世帯で既に患者登録がある場合に、保険情報などの情報をコピーできるなど、頻度の多い入力作業にかかる時間を短縮するための機能が充実している。
(出所:ML-A Plus公式Webサイト)
病院経営の総合サポートを目指す医療関連パッケージ「Medical Leader」の医事会計システム。医事会計業務の効率化を促進する。マルチベンダー対応のため、電子カルテをはじめとした多様な部門システムと連携して、段階的に機能拡張できるのが特徴だ。
業務効率化に役立つ機能として、よく使う機能をマイメニューとして登録できる「マイメニュー機能」を搭載。「外来診療計算」や「受付状況照会」など、オペレーターごとに最大26個まで機能を登録でき、該当する業務メニューを探す手間を大幅に軽減する。
また、各種マスタを世代別に管理できるので、該当日付から適切なマスタを自動的に判別し、過去の診療データの確認・修正や診療計算が行える。診療データの登録件数には制限がないので、診療報酬の改定をまたいだ過去のレセプトについても正確に診療計算を行える。
(出所:ATMOS 医事会計システム公式Webサイト)
素早く確実な医事業務を実現することで、業務負荷を軽減する医事会計システム。オーダー・看護・各部門からの実施データをもとに、即時に会計処理を行える。診療内容の部分一致検索やワンクリックでできるDo入力(過去カルテからの繰り返し入力)など、業務スピード向上に役立つ機能がそろう。
診療内容などの算定項目についても、コードや文字を入力することで部分一致検索ができるため、素早く目的の項目を会計入力に反映させられる。電子カルテと連携していれば、電子カルテ参照画面で診療内容を確認しながら確実な会計入力が行える。
また、保険証読み取りシステムや会計表示システムといった接続機器のオプションも充実。保険証読み取りシステムと連動した患者情報の登録や、会計表示システムと連動した請求業務の処理~案内などが可能に。
(出所:HOPE X-W公式Webサイト)
100床以上の大学病院向け医療事務システム。1968年から蓄積されたノウハウに基づく、優れた操作性に強みを持つ。算定区分、指導料、部屋別加算といったマスタを活用して、診療報酬を自動で算定。医科、歯科、労災、自賠・公害のレセプト業務に対応している。
レセプト作成・チェック機能に加え、点検業務を効率化する機能が充実。レセプトの内容と点検に必要な情報を1画面内に見やすく配置しており、データ修正・コメント・保留といった一連の作業をシームレスに行える。また、修正すべき部分に「付せん」をつけて、コメント入力やエラー通知に使える独自機能も便利だ。付せんの内容は紙レセプトに印字できるので、紙による点検時にも役立つ。更に、科別・病棟別・オペレーター別に、点検の進捗状況を帯グラフで可視化する機能を活用すれば、点検作業を計画的に消化できる。
(出所:HAPPY RAPPORT公式Webサイト)
地域包括ケアシステムの実現に必要な各種の機能を提供する、小〜大規模向け医事会計システム。自動算定・算定チェック・包括処理・請求計算といった基本の自動計算機能に加え、簡易オーダー機能を搭載。各科で入力された会計データを即時に薬剤部、検査科などの実施部門へと送信できる。
算定要件などがあらかじめ設定された標準点数マスタ、病名マスタに、自院独自のコードを付番できるため、現場への素早い浸透が見込める。また、管理できるマスタの世代に制限がないため、診療報酬の改定にも柔軟な対応が可能だ。
業務の各種画面に患者情報ウィンドウを配置。受診歴、受付状況、病名、DPC情報、会計データや、レセプトイメージなどを、ほかの業務画面に切り替えることなく表示できるため、受付、会計業務を効率化できる。
(出所:Medicom-HRf Hybrid Cloud公式Webサイト)
受付から診察、会計まで一元管理できる医事一体型電子カルテ。スムーズなカルテ作成機能と会計への即時反映や、170社の予約・検査・生産にかかわる周辺機器とのデータ連携によって、業務負荷を軽減する。
会計画面では医師が記載したカルテの内容を表示。カルテ内容と比較しながら会計をチェックすることで算定もれに気付きやすくなるのに加え、チェック機能も充実。算定回数、背反、包括チェックのほか、独自の「終(おわり)チェック」機能を搭載している。また、カルテの内容をもとに算定ができる可能性のある項目を提案してくれるので、メッセージに沿って入力するだけで算定もれを防げる。エラーがある場合には、エラーリスト一覧の画面から該当カルテを修正できるのも便利。
(出所:TOSMEC Aventy Ⅳ公式Webサイト)
きめ細かい自動算定や選択式コメントのガイダンス機能など、多彩な機能で複雑な会計業務をサポートする医事会計・電子カルテ一体型システム。縦覧点検や突合点検に強みを持つレセプトチェックソフト「Mighty Checker PRO」をチェック用エンジンに採用している。
患者情報ウィンドウで受診歴や病名、1カ月分の診療内容を確認しながら会計処理が可能。また、会計画面から患者の「病名」登録や過去の会計内容を修正できる。また、同時に算定できない項目や、算定回数の上限を超えた品目があった場合にはアラート通知をして、入力ミスを防止する。
日々の診療における病名と紐づくオーダーのパターンを蓄積して、特に使用頻度の高いオーダーを候補画面に表示する、オーダーアシスト機能も便利。効率的なカルテ入力を支援する。
(出所:BrainBox Cloud公式Webサイト)
「誰もが使える電子カルテ」をコンセプトに、無床診療所向けに設計された医事会計一体型電子カルテ。AIによる分析機能を搭載しており、電子カルテから得られた数値データから診察待ち時間や再来院率を予測するなど、病院経営をサポートするインサイトを提供する。
医事会計業務においては、レセプトの自動作成に加え、プレビュー画面でレセプトイメージをチェックできる。また、レセプトの病名をもとに、管理料の算定もれの可能性があるレセプトの一覧表示もできるので、レセプト一括作成後にまとめてチェックするのに便利だ。
受付時に患者の初・再診の区分や、診療時間内・外の区分などについてシステムが自動で判断し、迅速かつ正確な入力を実現。保険証の期限切れなど、修正が必要なデータについても検知して、目視による確認や入力の手間を省く。
本記事では、医事会計システムについて解説・紹介しました。
医事会計システムを利用することで、診療報酬の点数計算などを自動化でき、レセプト・会計業務を素早く正確に行えるように。電子カルテと連携、または一体型を利用することで、患者情報や診療内容などの入力データをもとに、受付から診療、請求まで一気通貫で効率化できます。
医事会計システムは規模に応じて「無床~中小規模向け」か「大規模向け」の2タイプに分けられます。これらのタイプの中から、「自動算定機能の充実度」「レセプトチェック機能の充実度」「受付機や自動精算機などとの連携有無」といったポイントを比較することで、自院に最適なシステムを選べます。
また、医事会計システムの導入においては、電子カルテの導入有無や連携可否と合わせて検討するのがおすすめです。電子カルテシステムについては「電子カルテシステム比較15選。規模別におすすめを紹介(図解)」で詳しく解説しています。
本記事を参考に、ぜひ医事会計システムを比較検討してみてください。
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