最終更新日:2024-05-14
アナログで行っている申請や承認業務を電子化したいと考えている方へ。クラウド型ワークフローシステムの機能や、導入することで得られる効果、目的別の選び方などを紹介します。
クラウド型ワークフローシステムとは、クラウド上で各種申請や承認業務を行うシステムのことです。定型化できる「申請承認業務の一連の流れ」であるワークフローを、申請から承認までクラウド上で完結させるシステムを「クラウド型ワークフローシステム」と呼びます。
クラウド型ワークフローシステムを導入することで、以下のようなメリットが期待できます。
クラウド型ワークフローシステムを導入すれば、いつどこにいても手持ちのモバイル端末から申請・承認・決裁ができるようになります。紙の申請書類の郵送コストが削減できるほか、メールやチャットから申請が通知される設定にしておけば、ワークフローを迅速化も可能です。
自社でサーバーや回線といった専用機器を購入する必要がないため、オンプレミス型と比べて、大幅にイニシャルコストを抑制できます。
クラウド型ワークフローシステムにはすべてのログが記録されるため、「承認や決裁を通さず不正に申請が処理される」「データが改ざんされる」といった事態を防げます。情報が見える化されることで、内部統制の強化にも有効です。
クラウド型ならネット経由で社外からも対応できるため、メンテナンスのためにシステム管理者がわざわざ出社する必要がなくなります。そのほかにも、「システムの保守管理をベンダーに任せられる」「トラブル発生時に自社での対応は不要」といったメリットが。
「クラウド型」というと、オンプレミス型に比べて拡張性には制限があるというイメージを持たれがちです。しかし、最近は拡張性に優れたシステムも増えてきています。
たとえば「kickflow」や「楽々WorkflowII Cloud」は、REST APIやWebhookを活用することで、ERPや基幹システム、SaaSといった外部システムとの連携が可能です。また「X-point Cloud」は、Salesforceやkintoneといった特定のシステムとの連携によって、大幅な業務効率化を図れます。
中には「Create!Webフロー」のように、フォーム設計専用のインストール型アプリによってクラウド型を補完する形で運用できるシステムもあります。
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クラウド型ワークフローシステムには、主に以下のような機能が搭載されています。
申請の内容を承認・決裁する機能です。ユーザーから申請があった場合、メールやアプリにて承認者・決裁者に通知が届き、決裁、却下、差し戻し、保留、委任、引き取りといった操作ができます。加えて、多数決やほかの担当者への承認依頼を別途行う機能などを搭載した製品も。承認・決裁状況はリアルタイムで確認できるため、申請状況を担当者に確認する手間も省けます。
ワークフローで使用する申請書のフォーマットを作成する機能です。多くの製品がGUIを採用し、直感的に操作できるフォーマット作成機能を搭載しています。既存の申請書を使用したい場合は、スキャンやデータで取り込める機能のあるシステムがおすすめです。
ワークフローにおける申請・承認・決裁の手順を設定する機能です。あらかじめ取り入れた組織情報やユーザー情報をもとに、各申請に応じた承認・決裁ルートを登録できます。中には、承認者を複数名設定する、特定の申請者の場合は承認ステップをスキップするといった細かい設定が可能な製品も。担当者が頻繁に変わる場合は、人事システムと連携させて柔軟な対応ができる製品がおすすめです。
総務や勤怠、経費など目的別の申請書テンプレートを使って、申請書を作成する機能。そのほか、Excelを利用できたり、添付ファイルを追加できたりと、自由度が高いのが特徴です。また、申請内容の変更や削除、すでに申請済みのデータを使って再度申請する流用申請、承認遅延時の催促通知といった機能を搭載した製品も。
過去の申請書データの検索や閲覧する機能。担当者や案件名、申請時期など条件を絞って検索できるため、大幅な検索効率アップが見込めるうえ、原本やファイルの物理的保管場所も不要となります。
見積もりシステムや販売管理システム、会計システムといった外部システムと連携させる機能。加えて、ほとんどの製品がPDF出力やCSV出力、Excel入力などにも対応しています。特定の業務に特化した製品や、SFAやCRMなどとの連携に対応した製品もあるため、既存システムとの連携の可否をチェックしておきましょう。
監査ログ記録や権限設定、ユーザー管理など、運用管理業務をサポートする機能。人事データベースと連携させて、人事異動などに合わせて自動で承認者を変更したり、不要なフローやフォーマットを自動分析できたりする製品も。
クラウド型ワークフローシステムの選び方を、6つの目的別に解説します。
クラウド型ワークフローシステムの導入目的で最も多いのが、内部統制の強化です。具体的には「内部統制強化の一環として、申請・承認処理を徹底したい」「申請内容や金額など条件によって承認ルートを分けたい」といったニーズが挙げられます。
本記事でご紹介するクラウド型ワークフローシステムは、すべて内部統制強化に対応しています。導入効果を最大化するためには、内部統制強化に加えて、自社の課題解決に必要な機能に留意しながら、比較検討を進めてください。
申請書の種類やフォーマットが多岐にわたり、紙媒体での運用管理が負担となっている場合におすすめのタイプ。テンプレートを使って新たに申請書を作成できるのはもちろん、スキャン機能を使って自社のフォーマットをそのまま使える製品も数多くあります。また、WordやExcelからデータを取り込める製品なら、Excelで作り込んだものを移行してフォーマット化することが可能です。
たとえば「Create!Webフロー」は、フォーム設計専用ツール「フォームマネージャー」を使うことで、フォントや境界線の変更、入力規制、フォーマット指定といった細かな設定・調整ができます。また、フォームインポート機能を活用して既存のフォーマットを取り入れることで、入力フォームのレイアウトや項目が自動生成されます。
予算を抑えながら、必要な機能が網羅されているシステムを導入したい場合におすすめのタイプ。クラウド型ワークフローシステムは初期費用がかからず、月額費用も1人あたり300~500円程度が目安です。
中でも、「ジョブカンワークフロー」「承認TIME」、「ジンジャーワークフロー」などは、月額300円以下と安価ながらも様々な機能が搭載されています。
経理・会計系システムの導入を前提に、経理業務までまとめて効率化したい方におすすめのタイプ。ワークフローシステムから請求書の支払い申請を行うことで、申請内容が仕訳作成を行う請求書受領システムに自動連携されます。更に、会計ソフトに送られたデータを使って、起票・支払処理の自動化が可能に。
たとえば「バクラク」シリーズは、稟議・ワークフローを効率化する「バクラク申請」、経費処理に特化した「バクラク経費精算」、仕訳や振込を自動化する「バクラク請求書受取」など、様々なサービスを展開。それぞれを連携させることで、自社にぴったりなワークフローが構築できます。
ワークフローシステムを導入すると、従業員の入退社に伴うアカウントの追加・削除、人事異動に伴う権限設定や承認経路の変更など、これまでになかった手間が生じます。できるかぎり運用管理の負担を減らしたい場合は、Google WorkspaceやMicrosoft 365などと連携できるシステムがおすすめです。
たとえば「Gluegent Flow」はGoogle Workspace・Microsoft 365に、「rakumoワークフロー」はGoogle Workspaceにそれぞれ連携可能。
特に「Gluegent Flow」は、Google Workspaceを拡張アプリケーションとして利用できます。そのため、Gmail経由での確認・承認、ワークフローの入力データ・添付ファイルの自動保存などが可能に。
大企業ならではの複雑な要件に対応したい場合におすすめのタイプ。承認ルートの複雑化、申請内容や権限に応じて承認ルートが変わる条件分岐、頻繁に生じる人事異動への対応、独自で採用している認証方法への対応などが可能です。
たとえば「kickflow」は、複数部署への兼務や役職兼務といった「兼務・兼職への対応」、任意のタイミングで組織図を切り替える「組織図のバージョン管理」、更に外部システムと連携することで「ユーザーや組織図情報のAPI更新」といった機能が利用できます。
また「楽々WorkflowII」では、会社単位で組織・ユーザー情報がセット登録できる「グループ会社対応」、定義した役職を経路担当者として自動指定する「仮想ユーザー」、組織改正日に自動で新組織に移行できる「異動予約」といった便利機能が用意されています。
多種多様な申請書を自社で作り込みたい企業向けのクラウド型ワークフローシステムをご紹介します。
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(出所:コラボフロー公式Webサイト)
紙やExcelによる申請・決裁業務の課題をトータルに解決する、高機能クラウド型ワークフローシステム。帳票や申請書に使っているExcelファイルを取り込むだけで、セル区切りや罫線、テキスト色が反映された申請フォームが完成する。既存の帳票・申請書と見た目が変わらないので、スムーズにWebフォームへと移行できる。また、もととなるExcelファイルがない場合は、フォームパーツを組み合わせてフォームを作成する。申請フォームは、誰もが簡単に作成・修正・変更が可能だ。
「人」と「連携パーツ」を配置するだけで、直感的に承認経路の設定ができるのも魅力。様々な社内申請に対応しているため、このシステム1つで申請承認業務をまとめて効率化できる。
(出所:X-point Cloud公式Webサイト)
紙の帳票イメージをそのままに、Webでの入力フォームに変換できるクラウド型ワークフローシステム。既存の申請書をそのまま電子化できるため、利用者の違和感や学習コストが少なく済む。また、1,000種類以上の申請書テンプレートをもとにノーコードで入力フォークを作成できるほか、承認ルートの作成にも対応。自動入力などの入力支援機能も完備している。
また、外部システムとの連携にも対応しており、API連携を活用すれば、書類情報送信の自動化や、外部からのワークフロー操作も可能に。更に、チャットボットやサポートサイト、Web個別相談などサポート体制が充実している点も魅力。
(出所:Create!Webフロー公式Webサイト)
紙の申請・承認・決裁フローをそのまま電子化できるクラウド型ワークフローシステム。初期投資を抑えて、意思決定のスピードアップ、申請・承認業務の効率化、紙文化からの脱却、システム管理者の運用管理の負担軽減を実現する。
申請/承認フォームは、Excelとブラウザーで簡易に設計する「Liteフォーム」か、フォーム設計専用ツールの「フォームマネージャー」で作成。Excelで作成した既存の申請/承認フォームを流用できるほか、「フォームマネージャー」を使った、細かな設定・複雑なレイアウトのフォーム作成も可能だ。
直感的に操作できるシンプルなデザインでありながら、自動監視、自動バックアップ、通信暗号化、SSOに対応しているため、初めての導入でも安心して運用できる。
経理業務も同時に効率化させたい企業向けのクラウド型ワークフローシステムをご紹介します。
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(出所:バクラク申請公式Webサイト)
稟議システムと会計システムの分断による非効率を解消し、スピーディーな申請・承認を実現するクラウド型ワークフローシステム。AI-OCRで発注書類や支払書類、領収書を読み取り、申請内容を5秒でデータ化する。手入力ゼロで支払い申請を作成でき、承認・却下はチャットアプリで処理が可能だ。
バクラク請求書受取と連携すれば、申請の重複や支払もれのリスクも解消。同時に、万が一重複や金額超過があった場合には、自動検知・アラート通知することで内部統制の強化を図る。請求書受取のほか、経費精算や請求書発行、電子帳簿保存といったサービスを展開しており、それらを連携させることで幅広い業務をカバーできるのも強み。
できるだけ費用を抑えて導入したい企業向けのクラウド型ワークフローシステムをご紹介します。
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(出所:ジョブカンワークフロー公式Webサイト)
様々な社内申請に対応したクラウド型ワークフローシステム。使いやすさを追求したUI設計が特徴で、マウス操作だけで各種申請フォーマットはもちろん、承認ルートまで作成できる。承認ルートは自動判別されるため、複雑であってもミスが起こりにくく、担当者の負担軽減に役立つ。
PCだけでなくスマホからも申請・承認作業が可能。出先や自宅からも申請・承認が行えるのに加え、スマホで撮影した書類を添付して、そのまま申請できるという手軽さが魅力だ。ワークフローのほか、勤怠管理や経費精算、給与計算、見積/請求書といったプロダクトが用意されており、連携させることで自社の課題解決が見込める。
(出所:承認TIME公式Webサイト)
稟議書や報告書をはじめとした社内文書の申請・決裁・保管業務を電子化するクラウド型ワークフローシステム。作業はWeb上で完結でき、完全ペーパーレス化を推進するほか、リモートワークや多拠点でもスムーズな意思決定を実現する。
申請・承認はスマホ・マルチOS対応、文書フォーム作成時もテキストエリアやリスト選択、表組、四則演算といった入力項目をマウス操作で組み合わせるだけ。OR承認やAND承認はもちろん、飛越承認や連続承認など、複雑なルート設定にも対応。複雑な設定は一切必要なく、最短1週間で本稼働できるため、なるべく早く導入したいという企業にもおすすめだ。
(出所:ジンジャーワークフロー公式Webサイト)
社内の申請や承認を高速化し、様々な人事労務業務の負荷を軽減するクラウド型ワークフローシステム。入社申請や異動申請、稟議申請などに対応している。PC・スマホからの操作に対応し、テレワークや出張時の申請・承認を効率化。直感的な操作画面から、誰でも簡単に申請フォームの作成・編集ができる。
申請・承認された内容は自動的に人事データベースに反映されるため、従業員情報を連携させる工数を大幅に削減。また、ジンジャーシリーズと連携させて人事データベースを統合すれば、入退社や異動などに伴う人事情報更新も、ボタン1つで完了させられる。
運用管理の負担を軽減したい企業向けのクラウド型ワークフローシステムをご紹介します。
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(出所:Gluegent Flow公式Webサイト)
業務で必要となる、各種申請・承認・決裁・共有といった一連の業務プロセスをWeb上で完結するクラウド型ワークフローシステム。Google WorkspaceやMicrosoft 365とアカウント連携することで、組織情報の同期や添付ファイルの自動保存などが可能に。運用・管理にかかるコストを大幅削減する。また、確認や承認依頼もGmailやOutlookメールから送信できるので、見落としが発生しにくくなる。
100種類以上のテンプレートと既存データのコピー&ペーストで、ITに不慣れな人であっても簡単に申請書が作成可能。ログインはシームレスで、申請者は紙の申請書と同じ感覚で使用でき、担当者はボタン1つで承認が完了する。
(出所:rakumo ワークフロー公式Webサイト)
稟議書の申請・承認をはじめ、社内の様々な業務フローを簡単にデジタル化できるクラウド型ワークフローシステム。Google Workspaceと連携することで、人事異動時のルート変更の自動割り当てができるほか、スプレッドシートのマスター利用、ドライブ上での添付ファイル確認など、運用・管理の負担軽減に役立つ機能が充実している。
各種申請書のマウス操作のみでノーコードで作成でき、作業者はスマホやタブレットからの申請・承認が可能だ。経費の清算・申請作業も一括して行いたい場合は、「rakumoケイヒ」との連携がおすすめ。経費の流れが見える化されることで、処理がスピーディーに。
大企業特有の要件に柔軟に対応するクラウド型ワークフローシステムをご紹介します。
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(出所:楽々WorkflowII Cloud公式Webサイト)
マウス操作でかんたん・スピーディーに、複雑な承認経路も立ち上げられる本格クラウド型ワークフローシステム。部門をまたがる複雑なワークフロー設定にも手間がかからず、きめ細やかなユーザー・組織管理にも対応しているため、部門業務をはじめ全社・グループ会社で利用できる。また、既存システム側のHTMLにWebAPIのURLを指定すれば、「楽々WorkflowII」をワークフローエンジンとして使用可能。既存システムの変更を最小限に抑えられる。
ある業務の承認フローにおいて、どのステップで時間がかかっているかといった利用状況データを可視化・分析することで、業務フローの改善にも活用できる。
(出所:kickflow公式Webサイト)
使いやすさと機能性の両立で、運用・メンテナンスの課題を解決するクラウド型ワークフローシステム。組織図のバージョン管理や人事異動の事前予約、閲覧範囲コントロールといった高度な機能を多数搭載しており、大企業ならではの高度な要求にも応えられる。また、REST APIとWebhookによってERPや基幹システムなどと連携できるほか、シングルサインオンや多様な認証方式にも柔軟に対応する。
加えて、多機能・高性能でありながら、直感的に誰もが操作できるUI・UXが特徴。マニュアルの準備や操作の習得にかかる時間を削減する。Slack、Microsoft Teams、LINE WORKS、Google Chat、Chatworkとの連携にも対応。
(出所:SmartDB公式Webサイト)
ワークフローとWebデータベース機能を備えたノーコード開発プラットフォーム。ノーコード・ローコードで誰でも簡単に業務アプリの作成ができるため、現場部門自らによる業務デジタル化の実現に寄与する。具体的には、フォームやワークフロー、Webデータベースなどの作成、外部システムとの連携などに対応。大企業で必要とされる、高度な証跡管理やデータの親子関係管理といった機能も搭載している。
ワークフロー作成機能では、複数部門による並列承認、条件分岐から別のワークフローへの連携まで、複雑な承認ルートも簡単に実現。突発的なルート変更が生じた際、紙の申請書と同じく柔軟に対応できるのも特徴だ。
アナログで行っている申請・承認作業を電子化するために欠かせないクラウド型ワークフローシステム。システムを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
クラウド型ワークフローシステムには、フォーム設計、フロー定義、申請書作成、申請書の検索・履歴表示、承認・決裁、運用管理といった機能が標準搭載されているのが一般的です。クラウド型には拡張性に劣ると思われがちですが、最近は外部システムとの連携によって拡張性を担保したシステムも増えています。ただし、連携できるシステムは製品によって異なるため、事前に確認しておいてください。
また、クラウド型ワークフローシステムを選ぶ際は、以下のような導入の目的と照らし合わせて比較するのがおすすめです。
多くの製品がトライアル期間を設けているため、まずは資料請求から始めて見るのがおすすめです。本記事を参考に、クラウド型ワークフローシステムの導入を検討してみてください。
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