最終更新日:2024-05-30
製造業でCADや図面、BOMなどを一元管理して効率化したいと考えている方へ。企画設計から販売、廃棄までをシームレスに管理できるPLMシステムの選び方や比較のポイント、おすすめのシステムを紹介します。
PLMシステムとは、製品の企画から設計・計画・調達・製造・販売・廃棄までの一連のサイクルにおける情報を、社内で管理・共有するためのシステムです。
PLM(Product Lifecycle Management)は日本語訳で「製品ライフサイクル管理」。製造業における「QCD(Quality・Cost・Delivery)」を高めるための仕組みであり、品質向上、コスト削減や業務効率の改善、お客様の満足度向上に寄与します。
DXが進む製造業市場において、スキルの属人化や各部門の連携不足を解消し、グローバルな競争力を高める手段として導入が進んでいます。
PDM(Product Data Management)は「製品データ管理」と訳され、PLMとの違いは管理対象とする情報の範囲。PDMは、製品の開発・設計段階の情報のみを管理対象とします。
一般的には、設計業務の効率化を目的とするPDMに対して、より高範囲の管理機能を搭載し、製造業の業務全体をカバーできるようにアップデートしたものがPLMです。
システムによって多少の違いはありますが、PLMシステムには以下のような機能が搭載されています。
ポートフォリオ管理 | 企画・開発段階の情報を管理します。着手前のステータスが生産部署にも可視化されるので、適切な人員配置が可能になります |
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プロジェクト管理 | 進行中のプロジェクトや、過去のプロジェクト履歴を管理します。スケジュール管理やガントチャート共有に対応したシステムも |
案件管理 | 開発・受注案件に番号を振り、製品情報やタスクなどの情報を管理。進捗管理や過去の事例検索が容易になり、より効果的な製品企画が可能に |
図面管理 | 各種図面や図番採番、文字重畳、照査承認ワークフローなどを管理します。完成図面だけでなく、CADを含む設計資料やその他添付資料などもデータ化してまとめて管理できます |
部品表(BOM)管理 | 設計BOMや個別BOMの管理のほか、部品の品目ごとの管理、部品に関連するファイルデータの管理、異なる2つの部品表の比較などを行います |
その他の機能 | 原価管理、取引先情報管理、ワークフロー管理、データ検索など |
PLMシステムを選ぶ際には、まず自社のニーズを明確にすることが重要です。以下のような主な導入目的の中から、自社のニーズに合ったものを選びましょう。
図面やBOM管理を中心に効率化したい場合におすすめのタイプ。図面管理やBOM管理機能を強化することで、自社のPDM、ERP(統合基幹業務システム)を補完したい場合におすすめです。
こちらのタイプのPLMシステムを導入すれば、作成したCADから自動的に品目・構成情報を作成し、設計BOMや生産準備BOMの手配業務までを一気通貫で連携させることが可能に。加えて、CADデータから図面を変換してデジタル図面で業務を遂行することもできます。
本タイプには、「Visual BOM」や「PowerBOM」などが該当。たとえば「Visual BOM」は、図面とBOMに超軽量3Dデータを加えて管理でき、CADを持たない部署とのスムーズな連携を実現します。
図面やBOMに加えて、BOP(製造工程情報)などを導入したい場合におすすめのタイプです。たとえば、BOPを利用すれば、拠点間でのM-BOMや拠点別の工程情報を比較検討し、製造工程の短縮化および標準化が図れます。
また、CADやERPとの連携を自動化し、QCDの向上も期待できます。たとえば、「Obbligato」では、SOLIDWORKSからSOLIDWORKS PDM、Obbligato、SAPまでをシームレスに連携可能。受注設計品も含め、転記・再インプットによる人的ミスが起きがちなBOM生成が自動化され、3Dモデルから受注、設計、生産までの情報を連携させられます。
PLMシステムを比較する際は、次の4点に留意しながら検討を進めてください。
企画や生産に必要な設計部品表「E-BOM」や、製造部品表「M-BOM」には、ほとんどのPLMシステムが対応しています。加えて、購買/生産部門を管理したいのなら購買部品表「P-BOM」、製品納入後のメンテナンス情報を管理したいのなら保守部品表「S-BOM」などに対応している必要があります。
たとえば「PowerBOM」は「P-BOM」に対応しています。また、「OpenPDM」はS-BOM管理に対応。部品交換履歴機能と合わせて、製品納入後のメンテナンス情報を管理できます。
原価削減に取り組みたい場合は、原価シミュレーション機能を搭載したシステムがおすすめです。仕様変更が製品の原価に及ぼす影響を可視化できるため、利益体質強化が期待できます。
たとえば「mcframe PLM」は、設計したい部品をコストや納期で評価。設計仕掛段階のE-BOMをもとに、生産技術の視点を交えたレビューが可能に。また、「Windchill」も原価計算機能を備えています。
CADや生産管理システムなどからデータを取得し、自動変換できるPLMシステムであれば、より幅広いデータの利活用が可能に。
たとえば「Hi-PerBT PLM」では、AutoCAD・BricsCADから自動で図面を変換し、表題欄から属性を登録するといったことが可能です。また「OpenPDM」は、製造準備BOMを作成することで、設計情報の移行をスムーズにし、製造BOM作成の負荷を大幅に軽減できます。
多くのPLMシステムはオンプレ型です。自社の要件に合わせるためのカスタマイズが必要な場合はオンプレ型が向いていますが、標準機能で十分な場合や、スモールスタートしたい場合にはクラウド型のシステムも選択肢となります。
たとえば、「Teamcenter」や「Hi-PerBT PLM」、「Arena PLM」はクラウド型も提供しています。豊富な実績を有するサービスは標準機能が充実している場合も多いため、自社要件と照らし合わせてみてください。
主なPLMシステムのうち、図面や部品表管理を中心に効率化できるものを紹介します。
(出所:Hi-PerBT PLM公式Webサイト)
同社の図面管理システムとBOMを統合したPLMシステム。図番採番、文字重畳、一括印刷など、業務に必要な機能を標準実装。複数システムをまたいだ二重登録が不要のため、業務間のリードタイムが短縮される。ERPシステムの受注情報と連携すれば、各工程のステータスを可視化し、図面とBOMの両方を案件管理・設計変更に活用できる。
パッケージソフトをベースとしたカスタマイズができるので、企業独自の要件に沿った運用にも対応。あらゆるメーカーの周辺機器(スキャナーやプリンターなど)と連携可能なため、使い慣れた環境で導入できるのも嬉しい。
(出所:Visual BOM公式Webサイト)
製造工程の管理を通じてプロジェクトの損益を見える化し、経営管理を改善するPLMソリューション。図面とBOMに超軽量3Dデータを加えて管理する特許取得技術を活用。3D形状による類似部品の検索や、3Dビューア上での使用箇所の確認などが可能となる。加えて、CADを持たない部署と連携しやすくなるというメリットも。
また、設計完了した出図データの登録だけではなく、設計仕掛中の製品構成の作成も可能。エンジニアリングチェーンの早い段階で高精度な原価見積りができるため、コストダウンにも役立てられる。
BOMの展開時間やシステム応答時間は業界最速レベルで、ユーザーの思考や業務を妨げることがない。
(出所:PowerBOM公式Webサイト)
モノづくり企業である同社が、現場で培ったノウハウを活かして開発したPLMシステム。BOMに特化した汎用性の高さが特徴で、表計算システムやCAD/PDM、生産管理システムなど既設の周辺システムとの親和性も高い。
設計部門 (E-BOM)のほか、購買/生産部門 (P-BOM)にも対応。部門間の情報伝達がリアルタイムかつシームレスになることで、手入力の人的ミスや部署間のタイムラグを削減する。オプションを活用すれば周辺システムとの相互連携も可能で、リプレースやバージョンアップなどの影響を受けないシステム環境を構築できる。
(出所:FullWEB-PDM公式Webサイト)
整番管理やワークフロー管理といったPLM機能も備えたPDMシステム。リーズナブルな価格と豊富な機能、豊富な立ち上げ実績を生かした実務型サポートなどに強みを持つ。また、指定した時点における製品の構成情報を保存・分離し、最新構成の編集を進められるスナップショット機能もユニーク。
2次元/3次元CADとの連携、製品図面からのBOM作成、検索機能など使い勝手の良さも特徴だ。ソフトウェア開発ツールを利用すれば自社カスタマイズも可能なので、環境に合わせて柔軟に運用できる。カスタマイズ後もアップデートに対応しており、導入から10年以上の長期にわたる使用にも対応。
主なPLMシステムのうち、製造工程全体の効率化・品質向上に寄与するものを紹介します。
(出所:Obbligato公式Webサイト)
ものづくりの基準情報であるBOM/BOPを核に情報集約、社内外のあらゆる情報をシームレスにつなぐPLMソリューション。組立製造業を中心に、素材・食品・GPCなど幅広い業種の導入実績を持つ。各プロセスのBOM、関連データなどをシステム内で結合し、上流から下流まで一気通貫で管理。部品管理、ドキュメント管理、プロジェクト管理はもちろん、コンプライアンス遵守を支援する機能も豊富にそろう。
また、生産管理システムや調達システムとの自動連携により工数を削減。原図情報や技術情報の一括管理で過去の資産を検索しやすい環境を整えれば、社内のノウハウ共有にも役立てられる。ベテラン層から若手への技術承継を促進し、長期的な視点からの生産性向上と品質管理をサポートする。
(出所:mcframe PLM公式Webサイト)
原価を高精度で把握することで、品質を高め利益を生む製品企画をサポートする、ものづくりエンジニアリングプラットフォーム。組織に散在するデータを様々な角度から関連づけし、検索・表示機能で“発掘”するデータベース構築が強み。データ資産の再利用率を大幅に高め、製造ライフサイクルの最適化を実現する。
また、設計データ、生産技術、プロジェクトの管理を軸に、エンジニアリングチェーン全体を強化。統合した情報資産を活用するためのプリセットは、エンジニアの単純作業負担を軽減し、付加価値を生むための時間を創出する助けとなる。
(出所:Windchill公式Webサイト)
コンポーネント・サプライヤ管理機能を搭載した、グローバル企業向けのPLMパッケージ。システムはWebベースで、あらゆるブラウザに対応。世界中どこからでもアクセスでき、リアルタイムでの情報共有や、他システムとの柔軟な連携に強みを持つ。グローバル企業の声を反映した標準機能郡が搭載されており、活用することで短期間での導入が可能に。ROIの向上にも寄与する。
ドキュメント管理やワークフロー管理、BOMの管理はもちろん、CADデータの管理や製品バリエーション作成・管理、EBOM-MBOM連携などに対応。加えて、製造プロセス管理、スケジュールやコストの管理などもカバーしているため、包括的な生産性向上が期待できる。
(出所:Teamcenter公式Webサイト)
スタートアップ企業から大企業まで、規模を問わない汎用性に定評があるPLMシステム。システムはクラウド、オンプレ、またはSaaS配信に対応し、システムの運用・保守を同社に依頼することも可能だ。製造プロセスの戦略策定から設計開発、製造、分析、保守、コンプライアンス管理まで包括した豊富な機能で、QCD向上に貢献する。
データ活用のうえでは、現実空間の環境を仮想空間上に再現する「デジタルツイン」技術が特徴。収集したデータをもとに各プロセスをつなげて最適化し、人的ミスや事故などの課題解決に役立つ。また、高いシミュレーション機能で、変化にもすぐに対応できるビジネスモデル構築も可能にする。
(出所:OpenPDM公式Webサイト)
優れた操作性と高いパフォーマンスで使いやすさを追求した、国産のPLM/PDMソリューション。マスタ管理やBOM管理はもちろん、設計変更や作業領域の管理にも対応する、幅広い標準機能を搭載。誰でもすぐに使い始められるExcelライクな操作性も特徴だ。加えて、10万件の部品を対象とした検索表示がすぐに完了する、パフォーマンス重視のロジックもエンジニアの作業負担軽減に有効。生産性の向上に貢献する。
また、個別設計生産向けの機能が充実しているのも強み。製品構成の流用やERPとの連携による確定部品の五月雨対応といった便利な機能で、ミスを誘発しがちな個別設計生産の製造工程を是正し、市場での競争力を高められる。
(出所:Arena PLM公式Webサイト)
グローバル企業の課題解決に寄り添う、大規模管理型のクラウドPLMシステム。設計変更といった情報のリアルタイム共有をはじめ、社内のチームとグローバルサプライチェーンとの密な情報共有を実現するための機能が充実。グローバル展開する大企業を中心に支持を得ている。加えて、幅広い業種に対応しているのも特徴。自動車業界や医療機器業界、航空宇宙業界など、高度な独自要件を満たさなければいけない業種をカバーしている。
3D視覚化機能やエンジニアリング変更管理機能に加えて、コンプライアンスリスク軽減に役立つトレーニング記録の管理も搭載。
(出所:SAP Product Lifecycle Management公式Webサイト)
クラウドの活用によって、製品開発の加速や、市場投入までの時間短縮、コスト削減を実現するクラウド型PLMソリューション。リアルタイムでの情報共有により、急な仕様変更が頻発しがちな個別設計生産にも、一貫した変更管理で対応。サプライチェーンの混乱リスクを最小化する。「デジタルツイン」技術によるビジュアル化された管理システムや、ダッシュボード、チャートの情報に基づいた各セクションのチーム力強化で、グローバル市場でのプレゼンスを増大できる。
サブスクリプションのビジネスモデルに対応しているのも特徴的。「お客様の声」システムからの情報収集や部品ごとの要件リンクによるトレーサビリティの実現で、顧客への継続的な価値提供を可能にする。
PLMシステムは、製品の企画から設計開発、生産、販売、廃棄といった製品ライフサイクルを一元管理でき、各部門をシームレスに連携できます。業務の効率化や品質の向上、コスト削減に有用です。
PLMシステムを選ぶ際は、次の2つの目的をベースに、自社のニーズに合致するタイプを探します。
更に、次の4つの観点から比較・検討を進め、自社の要件に沿ったシステムを選ぶのがおすすめです。
PLMシステムを活用すれば、多様化する顧客ニーズへ迅速に対応しながら、製品を設計・開発・販売できます。また、人的ミスや事故の防止により、従業員の満足度向上も見込めます。
自社の競争力を高めるためにも、PLMシステムの導入を検討してみてください。
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