最終更新日:2024-10-22
ユーザーに快適な利用環境を提供するためCDNサービスの導入を検討している方へ。CDNサービスの機能や選び方、比較する際のポイントについて、おすすめのCDNサービスと併せて紹介します。
CDNサービスとは「Content Delivery Network(コンテンツ配信ネットワーク)」を提供するサービスを指します。CDNとは画像や動画といった容量の大きいコンテンツを、インターネット上で安定的かつ迅速に配信するために構築されたネットワークのことです。
従来は、サイト上で大容量のデジタルコンテンツを公開したり、ユーザーアクセスが集中した際に、サーバーダウンや表示時間がかかるといった現象が度々みられました。しかし、CDNサービスを利用すれば、スピーディーなコンテンツ配信を実現できます。
CDNサービスを導入することで、主に以下のようなメリットが得られます。
Webサイトの表示速度向上 | 画像や動画が最適化されることで、ネットワークにかかる負荷が軽減。Webページのロード時間を短縮できる |
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自動で最適化される | ユーザーが使用しているデバイスに応じて、コンテンツを自動的に最適化。表示速度が速くなるだけでなく、ユーザーにとって閲覧しやすい画像や動画の提供が可能に |
オリジンサーバーにおける アクセス負荷の軽減 |
CDNサービスを導入すると、オリジンサーバーに代わって世界中に張り巡らされているキャッシュサーバーが応答を行う |
セキュリティ対策 | CDNサービスでは多数のキャッシュサーバーを所有することになるため、DoS攻撃・DDoS攻撃による負荷の分散が可能。オリジンサーバーのみでの運用に比べ、大幅なサイバーセキュリティの向上が見込める |
通常の場合、ユーザーがWebサイトにアクセスした際に送信されるリクエストに対して、オリジンサーバーから返信する形でユーザー向けにデジタルコンテンツが表示されます。しかし、多くのユーザーから同時に複数のリクエストがあったり、複数のユーザーから一斉に大量のリクエストがあったりすると、ネットワークが混雑し、エラーや遅延が生じます。
しかしCDNサービスを利用すると、「キャッシュサーバー」と呼ばれる代理サーバーが、オリジンサーバーの代わりにコンテンツを配信します。キャッシュサーバーには、あらかじめオリジンサーバーから複製(キャッシュ)したコンテンツが保存されていて、オリジンサーバーの代わりにキャッシュサーバーが応答するという仕組みです。
また、CDNサービスを導入すると、世界各地にキャッシュサーバーを所有することになるため、ユーザーから最も物理的に近いキャッシュサーバーが応答することで、コンテンツの表示・配信を高速化できるようになります。
CDNサービスを導入することで、以下のような機能が利用できます。
CDNサービスは、Webサイトの形態や規模などによって、以下の4つのタイプに分類されます。
「Amazon CloudFront」や「Azure」、「Google Cloud CDN」といったクラウドサービスに付随して、CDNサービスを提供するタイプ。
CDNを利用するためにこれらのサービスを導入するのではなく、WebサーバーとしてAWSやAzureなどを利用する場合に、CDNをセットで導入するケースがほとんどです。1つの管理画面で一括管理ができるため、運用しやすいというメリットが見込めます。
また、以下に示すように従量課金制で導入できるのも特徴です。
サービス名 | 料金体系 | 詳細 |
---|---|---|
Amazon CloudFront | 従量課金制 | 必要なサービスにのみ、サービスを使用する期間だけ支払う |
Azure Content Delivery Network | 従量課金制 | 毎月所定の量まで無料、無料分を超えて使用した分のみ支払う |
Google Cloud CDN | 従量課金制 | 帯域幅とHTTP/HTTPSリクエストに対し料金が発生する |
さくら ウェブアクセラレーター | 従量課金制 | リクエスト課金なし。アウトバウンドトラフィックのみ5円/1GiBを課金 ※500GiB分の無償利用枠あり |
広く利用されており、大規模サイトにも対応可能なのはもちろん、小規模サイトでも導入できるよう低価格設定にしているタイプです。
たとえば「Cloudflare」は、世界中に数百万ものクライアントを持ち、世界最大規模の企業で導入されているサービスですが、まずはフリープランから使いはじめられます。そのほか、基本プランは月額4,000円程度、ビジネス向けプランであっても月々35,000円程度で利用できます。
ほかにも、以下のようなサービスがあります。
サービス名 | 料金体系 | 詳細 |
---|---|---|
Cloudflare | 月額制 |
|
Fastly CDN | 従量課金制 月額制 |
|
KeyCDN | 従量課金制 |
|
中〜大規模サイト向けに提供されているタイプ。料金や手軽さよりも、性能の高さにこだわっており、導入時から、営業や技術担当者と相談しながらシステムを構築できます。
たとえば技術面において「Akamai CDN」は、拡張性とスピードを活用した負荷分散ソリューション「Global Traffic Management」や、実際の状況を想定した最大規模のグローバル負荷テストを実施することでローンチ前にリスクを軽減できる「CloudTest」に対応。配信性能や安定性を向上させる機能が充実していることがわかります。
対象ユーザーが日本国内に限られる場合や、セキュリティ強化のために海外サーバーにデータを置きたくない場合は、国内利用に特化したタイプもおすすめです。
たとえば「J-Stream CDNext」は、国内データセンターに自社設備としての配信環境を構築。国内ISP・IDCに配信用サーバーを分散配置したネットワークにより、最短経路で安定配信を実現しています。
CDNサービスを比較検討する際に留意したい、3つのポイントについて解説します。
ユーザーリクエストへの応答時間を短縮するためにも、エッジサーバー(PoP)はエンドユーザーに近接して配置するのがいいとされています。CDNサービスによって、エッジサーバーを配置している国や地域、数などが異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
たとえば「CloudFront」は、50カ国以上・100以上の都市に600以上のPOPを有しています。そのためユーザーが世界中どこにいても、最も近いエッジサーバーから、高速なコンテンツ配信を受けられます。
また、「CDNetwork」は70以上の国と地域に、2,800以上のPoPを所有。世界6大陸における可住地の99%以上に、Webサイトおよびアプリケーションをミリ秒単位で配信しています。
一口に「CDNサービス」と言っても、サービスによってそれぞれ異なる特徴を持っています。まずは自社での導入目的や用途を明確にし、それに適したサービスを選択することが重要です。
たとえば、「Akamai CDN」は、様々なプロダクトを用意しており、それらの中から企業の用途に合わせた配信サービスを組み合わせることができます。具体的には、動画配信に強みを持つ「Adaptive Media Delivery」や、大容量ファイルのダウンロードに強みを持つ「Download Delivery」、APIのパフォーマンスに強みを持つ「API Acceleration」、画像・動画の最適化に強みを持つ「Image & Video Manager」といったプロダクトがあります。
また「Google Cloud CDN」には、「Cloud CDN」と「Media CDN」の2種類があります。「Cloud CDN」は世界中に存在するGoogleのインフラ上で静的なファイルを高速配信するために最適化されており、一方の「Media CDN」は動画のストリーミングや大容量ファイルのダウンロードなど、高スループットのワークロード用に最適化されています。それぞれ同様の機能をサポートするシステムですが、用途によって使い分けが可能です。
セキュリティ強化の手段としてCDNサービスを活用したい場合は、各サービスに備わっているセキュリティ機能を詳しくチェックしておきましょう。
たとえば「Cloudflare CDN」では、175拠点以上のデータセンターとグローバルエニーキャストネットワークでDDoS攻撃トラフィックを吸収、エッジでボリュームメトリック攻撃を検出・遮断といったDDos攻撃対策を用意。加えて、自動でボット判定を行う「スーパーボットファイトモード」によるボット対策も可能です。
また「Amazon CloudFront」のオリジンアクセスコントロール(OAC)機能は、オブジェクトストレージサービス「Amazon S3」へのアクセス制限や、データの暗号化といった方法でセキュリティを強化できます。
クラウドサービスの関連サービスとして提供されているCDNサービスを紹介します。
(出所:Amazon CloudFront公式Webサイト)
低レイテンシーの高速転送によりデータ、ビデオ、アプリケーション、APIをビューワーに安全に配信する、グローバルなCDNサービス。世界中に分散した600以上のPoPを経由してデータ配信を行うことで、レイテンシーを抑えた快適なレスポンスを提供する。
トラフィックの暗号化やアクセス制御によりセキュリティを向上させる「AWS Shield Standard」を利用すれば、追加料金なしでDDos対策も可能だ。独自SSL証明書を作成できるAWS Certificate Manager機能や、コンテンツへのアクセスを制限できるオリジンアクセス機能と合わせることで、より高いセキュリティ対策が可能に。
(出所:Azure Content Delivery Network公式Webサイト)
ユーザーにWebコンテンツを高速かつ効率的に配信する、世界規模のCDNサービス。ユーザーの要求を分散させ、コンテンツをエッジサーバーから配信することで、高帯域幅コンテンツのパフォーマンスを向上させる。トラフィックの変動に対応するプラットフォームで、ダウンタイムなしの迅速なスケーリングが可能。世界規模のイベントなどで負荷が増量した場合も、追加のインフラストラクチャコストや容量を心配せず対応できる。
また、自社ドメインのHTTPSを有効化することで、追加コストや証明書の管理負荷を生じさせることなく、情報セキュリティの最適化を実現。DDos攻撃などの脅威リスクを軽減し、安心・安全な運用をサポートする。
(出所:Google Cloud CDN公式Webサイト)
Googleのグローバルエッジネットワークを使用して、Webサイトとアプリケーションを高速化するCDNサービス。50カ国以上・100以上の都市にある600以上のPOPを利用することで、ユーザーの近くからコンテンツを配信できる。グローバル外部アプリケーションロードバランサと組み合わせて使用する必要があるが、チェック1つで簡単に追加できるうえ、SSLについても追加費用なしで使えるのが特徴だ。
また、オンプレミス・クラウドを問わず常に高パフォーマンスな分散型インフラストラクチャを介して、コンテンツを配信。手間やコストをかけずにレイテンシの短縮やコスト削減、サーバーの負担軽減を実現したいが、信頼性も重視したいと考える企業におすすめだ。
(出所:さくら ウェブアクセラレーター公式Webサイト)
突発的なアクセス増加への対応や日々の負荷軽減まで、幅広く気軽に利用できるCDNサービス。初期費用・固定費・リクエスト課金なし、規模を問わずアウトバウンドトラフィック5円/GBのみの課金で利用できる、圧倒的なコストパフォーマンスが特徴だ。
ネットワーク帯域は東京40Gbps、大阪20Gbpsの2拠点設置で、さくらインターネットの広域バックボーンに接続。現状、低速な共用回線でコンテンツを配信している場合、大幅な高速化が期待できる。また、クラウドアカウントでクレジットカード登録と電話番号認証を行えば、すぐに設定開始が可能。突然のアクセス増に急いで対応しなければいけない場合でも、チャンスを逃すことがない。
低価格で導入できるCDNサービスを紹介します。
(出所:Cloudflare CDN公式Webサイト)
全世界320カ所に広がるネットワークでグローバルなコンテンツ配信をサポートするCDNサービス。ユーザーにCDNとDDoSの保護およびWAFを提供する。デバイス、ブラウザ、帯域幅のニーズに合わせて静的、動的にコンテンツを最適化する。
ドメイン管理をしている管理画面にCludflareから発行されるレコード情報を登録するだけで、既存のモバイルWebを改修することなくサービスの利用が可能。海外企業のサービスでありながら日本国内で導入支援サービスを受けられることに加え、世界270以上の都市にあるデータセンターで収集されたシグネチャーが自動更新されることから、IT専任担当者が不在でも安全に運用できる。
(出所:Fastly CDN公式Webサイト)
簡単なスケールアップやビルトインセキュリティ、プログラマブルなコントロールや可視化まで、最先端の機能を提供するCDNサービス。大容量POPを使用して、イベントドリブン型動的コンテンツを含む幅広いコンテンツをキャッシュ。パフォーマンスとスケーラビリティ、ユーザーエクスペリエンスを向上させる。
更に、セキュリティとパフォーマンスを最重視して構築されたプラットフォームは、DDos対策やNext-Gen WAF、TLSサービスへの対応にも優れている。開発、セキュリティ、運用チームが、最先端のアプリケーションを高速かつ安全に作成・構築・実行できる環境を提供する。
(出所:KeyCDN公式Webサイト)
世界中に25カ所以上に戦略的にPoPを配置した、シンプルで迅速かつ信頼性の高いCDNサービス。HTTP/2サポート、無料SSL、インスタント・パージ、RESTful API、リアルタイム分析、2要素認証といった豊富な機能を持ちながら、エリアによって0.04/GB~というコストパフォーマンスの高さが特徴。6大陸10万を超える地域でネットワークを展開している。
耐障害性の高いインフラストラクチャと組み合わせることで、信頼性の高い運用を実現。HTTPおよびHTTPSのリクエスト料金やTLS証明書の作成費用が不要なうえ、更に追加料金なしで24時間365日専門技術チームのサポートが受けられるのも嬉しい。
中〜大規模サイトに最適なCDNサービスを紹介します。
(出所:Akamai CDN公式Webサイト)
アメリカにおけるCDN事業の先駆者として知られるCDNサービス。ユーザーになるべく近い場所でコンテンツを配信することにより、高速かつ信頼性の高いオンライン体験を実現する。分散配置されたキャッシュサーバーをネットワークで接続し、トラフィックの状況に応じて最適なサーバーを選択してコンテンツを配信している。
また、DDoS攻撃防止やWAF、エッジセキュリティソリューションによるセキュリティ面にも定評あり。加えて、ファイルサイズの最適化やモニタリング機能、表示速度・通信負荷テスト機能などを搭載しており、使い勝手の良さも魅力だ。
(出所:CDNetworks Web Performance公式Webサイト)
企業のWebサイトとアプリケーションにおけるパフォーマンスと、信頼性の強化を目的としてゼロから構築された包括的CDNサポート。高度なCDNインフラストラクチャと最先端のテクノロジーを活用し、Webサイト全体を高速化するためにワンストップサービスを提供する。世界各地に所有するPoPは2,800以上、70を超える国と地域の、270を超える都市で40,000以上のWebとアプリケーションを高速化してきた実績を持つ。シンプルで直感的に操作できるコンソールを備えた専用オンボーディングサービスを活用すれば、企業はネットワークや関連インフラストラクチャを気にすることなく、コアビジネスに集中できる環境の出来上がりだ。
国内利用に特化したCDNサービスを紹介します。
(出所:J-Stream CDNext公式Webサイト)
国内のデータセンターに自社設備としての配信環境を構築し、国内トップクラスの配信環境を導入できるCDNサービス。転送量1GBあたり5円という低価格でありながら、国内ISP・IDCに配信用サーバーを分散配置したネットワークから、最短経路で安定配信を行う。
各種アプリケーションやゲームといった大容量コンテンツの配信・更新をはじめ、アクセスが集中しがちなシーンでも、影響を最低限に抑え、高速化が可能。管理コンソールの日本語対応、24時間365日対応のトラフィック・サーバー・アプリケーションの運用監視など、日本企業ならではのサポートが充実しているのが嬉しい。また、CDNext管理コンソールからは、ユーザー自身で各種配信制御の設定ができる。
CDNサービスとは、大容量のコンテンツを安定的かつ迅速に配信するために構築されたネットワークを提供するサービスのことです。CDNサービスを利用することでネットワークにかかる負荷が軽減され、サーバーダウンや表示遅延といったトラブルを解消できます。ロード時間が短縮されるうえ、それぞれに最適化された画像や動画が自動表示されることで、ユーザー満足度の大幅な向上が見込めます。
CDNサービスを導入すると、以下のようなメリットが得られます。
また、CDNサービスを導入する際は、以下のポイントに注意して比較検討するのがおすすめです。
大容量の動画コンテンツ配信に強みを持つもの、セキュリティ強化に効果があるものなど、サービスごとに異なる特徴があるため、用途に合ったCDNサービスを選ぶことが大切です。ぜひ本記事を参考に、CDNサービスの導入を検討してみてください。
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