顧客向け、あるいは自社のシステムをAWS環境で構築したいと考えているシステム開発部門の方へ。Amazon社が公式認定している、運用支援パートナー企業によるAWS環境構築サービスの提供内容や選び方、比較のポイントなどを紹介します。
AWS環境構築サービスとは、AWS(Amazon Web Services)を利用したクラウド構築・開発や導入支援、運用サポートなどをアウトソーシングできるサービスです。AWSアカウントの開設やネットワークの設定といった基本的な設定作業だけではなく、動作環境の移行(マイグレーション)や構築後の運用代行、内製化支援などの幅広いサポートが特徴です。
AWSはコストの低さやセキュリティの充実度、高い可用性など多くのメリットがありますが、環境構築には専門のスキルが必要です。しかし、代行サービスを活用すれば、自社にノウハウがなくても完成度の高いシステムを組み上げられます。自社の業務負担の低減をはじめ、ローンチまでの時間短縮、人件費などの削減も見込めます。
AWS環境構築サービスには、主に次のような業務を依頼できます。
導入支援 | ネットワーク、データベース、ストレージなどの導入に加えて、 AWS上での新たなシステム開発をサポート。適切な設計と構築により、自社のニーズに合わせた環境の最適化がかないます |
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移行支援 | オンプレミスシステムや物理サーバーなど、既存の環境からAWSに移行する際に、設計・移行・検証を実施。多くの場合、自社に合わせた移行計画も策定します |
運用サポート | システムローンチ後に、本稼働した環境の監視・運用をはじめ、保守・トラブルシューティングなどを代行。24時間365日のサポートや、AWSのシステムアップデートへの最適化など、支援内容は多岐にわたります |
請求代行 | 直接契約だと、ドル建て・クレジットカード決済が基本ですが、請求代行サービスを利用すれば日本円・請求書払いが可能に。また、代行手数料無料や、AWS利用料割引などの特典が受けられる場合も |
内製化支援 | AWSのトレーニングプログラムを活用し、内製化を促進。中には、受講者のレベルに合わせた学習支援をしてくれるサービスも。自社エンジニアの開発スキルの向上、それによる運用コストの削減などが見込めます |
コンサルティング | 小規模・大規模問わず、導入や移行に必要な課題の洗い出しや調査、要望の整理などを実施。PoC(Proof of Concept/概念実証)支援を行うことも |
数あるAWS環境構築サービスの中から、導入サービスを選ぶ際の基準のひとつとなる、パートナー認証について解説します。AWSパートナー認証は、Amazon社が正式に認めている運用支援企業に付与される資格で、実績や技術に基づき、次のような3つのランクに分けられています。
パートナーの種類 | 概要 |
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AWS プレミアティアサービスパートナー | 最も経験豊富なパートナー。インフラの設計から最適化まで、包括的な支援を行います。高い技術と専門知識を持ち、大規模案件の実績も豊富 |
AWS アドバンストティアサービスパートナー | AWSを活用したソリューションやサービス構築の実績を持つパートナー。技術サポートやコンサルティングサービスを提供する環境が整備されており、ベストプラクティスに基づいた支援ができます |
AWS セレクトティアサービスパートナー | 基本的なAWSサービスの導入・運用ができるパートナー。中小規模の実績が多く、導入支援など特定の支援に特化しています |
パートナー認証を確認することで、そのサービスの実績や技術力を把握できるため、比較検討時の基準として有用です。パートナー認証をもとに、自社が求める技術を持ったサービスを絞り込んだら、以下の4つのポイントをチェックしながら、比較検討を進めてください。
AWS環境構築サービスの比較検討を進める際、確認しておきたいポイントは次の4つです。
導入支援や移行支援といった基本的な業務に加えて、アプリケーションの開発や保守運用、脆弱性診断などもサポートしてほしい場合は、対応範囲をよく確認しておきましょう。
たとえば、クラスメソッドの「AWS総合支援」では、コンサルティングからシステム構築後の運用保守など、AWSの活用を幅広くかつ手厚くサポート。Amazon Connectを利用したコンタクトセンターの導入にも対応しています。
また、BeeXの「AWS総合支援サービス」は、データ分析基盤の構築や、アプリケーション開発まで手がけています。後者では、クラウドサービスのノウハウに基づきアジャイル開発を推進。企業の新規事業を後押しします。
AWSと直接契約した場合、ドル建て・クレジットカード決済が基本。また、請求額が大きくなると海外口座に送金しなければいけないため、請求管理は煩雑になりがちです。しかし、請求代行サービスを利用すれば、こういった負担は大きく軽減されます。更に、サービスによっては割引プランを利用できる場合も。
たとえば、「サーバーワークスマイスターズ」の請求代行サービスは、円建て請求書による支払いができるほか、「AWS利用料金確認ページ」で自社の使用量を把握できます。また、毎月のAWS利用料を5%ディスカウントするので、直接契約よりもお得です。
一方、アイディーエスの「SunnyCloud」では、定額利用のプランを選択可能。AWSは通常従量課金制のため、利用料のコントロールが難しいのが課題です。しかし、定額プランで料金を決められれば、予算オーバーの心配がありません。
多くのサービスは中規模以上のシステム構築を対象としており、小規模システムには対応していないことも。新しいプロジェクトのスモールスタートなど、小規模な構築を依頼したい場合は、小規模向けのプランを用意しているサービスがおすすめです。
たとえば、DTSの「AWS 環境構築サービス」では、初期費用30万円ほどで公式Webサイトを構築した事例があります。オートスケールを採用するなど、クラウドのメリットを活かしたシステム構成を提供。小規模ながらも満足度の高いサービスを提供します。
また、エーピーコミュニケーションズの「AWS活用支援サービス」では、クラウドリフト後すぐに運用するためのツールセットを提供したり、地方企業向けのモダナイズ化を支援したりと、低コストで導入するためのサポートが充実しています。
ビジネスをこれまで以上に発展させたい場合は、構築や開発などをアウトソーシングし続けるのではなく、いずれは内製化を目指したいところ。自社の開発スキル向上を目指すなら、内製化支援の有無やトレーニング内容にも目を向ける必要があります。
たとえば、スカイアーチネットワークスの「AWS総合支援」は、AWS活用とDX戦略コンサルティングを踏まえた実践型トレーニングを用意。企業の内製化レベルに対応した教育計画を策定し、段階的なスキルアップを促進します。
また、ARアドバンストテクノロジの「AWS/クラウド導入支援」は、要望に合わせたトレーニングコンテンツを実施してくれるのが特徴。DX対応度診断によって課題を洗い出したうえで、無駄のないスキルアップを目指します。
AWSプレミアティアサービスパートナー認証を持つAWS環境構築サービスを紹介します。
※料金はすべて要問い合わせ
(出所:AWS総合支援公式Webサイト)
幅広いカスタマイズで、最適な導入・運用を実現するAWS環境構築サービス。蓄積されたノウハウに基づいたトータルサポートに強みを持つ。
ベーシックプランである「請求代行サービス」では、セキュリティ運用、各種申請代行、24時間365日サポートなどを初期費用・月額費用無償で提供。用途に合わせて割引プランを選択でき、毎月の請求書の一本化とともに、運用コストの最適化に寄与する。
更に、「プレミアムサービス」に加入することで、最適化チェックやコスト分析が可能に。導入コンサルティングやマイグレーション、アプリケーション開発支援などもオプションとして提供。自社に合ったサービスを自由に組み合わせられる。
(出所:サーバーワークスマイスターズ公式Webサイト)
1,300社以上の多様な業種における導入実績を誇るAWS支援サービス。設計・構築以外に、開発やセキュリティ運用、内製化支援までワンストップでサポート。AWSのベストプラクティスに基づき、システムの強みを活かした環境構築を実現する。
支援メニューには金融業界に特化したサービスがあり、金融機関への導入実績を持つアドバイザーの力を借りられる。また、請求代行サービスも手厚く、AWS利用料は毎月5%をディスカウント。「AWS利用料金確認ページ」で、自社のAWS利用状況を把握できるので扱いやすい。
(出所:AWS総合支援サービス公式Webサイト)
あらゆるクラウドに精通したプロ集団が、最適なクラウド環境を提案するクラウド移行サービス。企業の課題や導入目的に合わせた、多種多様なソリューションを提供している。
たとえば、クラウド構築サービスの「ぴたっとコンサル for AWS」では、企業の課題や環境を丁寧にヒアリングしたうえで最適なクラウドサービスの選定から設計・構築、運用までワンストップで対応。具体的には、クラウド導入前の「ロードマップ作成」や、運用の属人化を防ぐ「クラウド標準化策定支援サービス」などを提供する。
また、アプリケーション開発支援も強みのひとつ。アジャイル開発を取り入れた柔軟な進行により、企業と一体となって新規事業の創出を促進する。
AWSアドバンストティアサービスパートナー認証を持つAWS環境構築サービスを紹介します。
※料金はすべて要問い合わせ
(出所:AWS 環境構築サービス公式Webサイト)
金融業界や通信業界、官公庁などにソリューションを提供する企業のAWS環境構築サービス。AWSの資格以外にも、PMPやMicrosoft、Linux、Oracle、Ciscoなどのベンダー資格を持つエンジニアが、自社のニーズに合わせたシステム構成を提案。運用性と高度なセキュリティ性を両立する。
スモールスタートにも対応しており、小規模Webサイトの構築では、初期費用30万円ほどで公式Webサイトをリリースした事例も。オートスケールサービスで平時のコストを抑えつつ、一時的なアクセス数増加によるサーバーダウンを防ぐといった現場に即した構築が強み。
(出所:AWS総合支援公式Webサイト)
400以上のAWS認定資格を取得した高い技術力を活かして、手厚い支援を行うAWS導入サービス。専門スキルを有したスタッフが多数在籍している。
環境構築だけでなく運用監視や請求代行まで一気通貫で対応可能。内製化支援にも力を入れており、クラウド人材を育てたい、あるいは将来的に内製化を図りたいという企業には最適。クラウド未経験者を数カ月で戦力に育成する教育プログラムに加えて、AWS活用とDX戦略コンサルティングにつながる実践型AWSトレーニングも提供している。
(出所:SunnyCloud公式Webサイト)
システムインテグレーターとしての豊富な実績をベースに、現場に即した設計を実現するAWS設計・開発サービス。現在までのサービス提供実績は400社を超え、どのプロジェクトもAWSが提供する設計ガイドラインである「AWS Well-Architected」に基づいて実装されている。環境構築はもちろん、AWS移行、アプリケーション開発なども含めた包括的なサポートを提供。Webサイト環境構築のような小規模案件から大規模なシステム構築まで、幅広く対応できるのも特徴だ。
また、請求代行サービスの「SunnyPay」を利用すると、AWS利用料が5%割引に。円建て・請求書払いや定額支払いが可能になるなど、便利なサービスが豊富にそろう。
(出所:AWS導入支援公式Webサイト)
迅速かつスムーズなクラウド導入を実現する、AWS導入支援サービス。基本的な導入や移行などの煩雑な構築を、企業の要望に応じて代行。システム管理者の負担を軽減するとともに、スピーディーなスタートアップを可能にする。業務サーバーやコールセンターシステムのクラウド化、Webサイトの展開など、細々とした依頼にも対応している。
運用・保守においても、24時間365日体制で安定稼働をサポートしたり、有人で運用監視してくれたりと、手厚いフォローを提供。IAM(Identity and Access Management)などによる適切なシステム管理とセキュリティの強化・最適化にも対応し、脅威を防ぐ。
(出所:J-COS公式Webサイト)
日本能率協会グループが運用するAWS最適活用サービス。AWSの本格活用や内製化を目指したい顧客に向けて、コンサルティングや導入・構築・移行サービス、運用改善・エージェンシーサービスなどを提供する。
同社はソフトウェアの黎明期から現在に至るまで情報システムを提供し続けており、豊富に蓄積されたノウハウや優秀な人材が強み。AWS認定技術者を擁するインフラチームと、経験豊富なPMを中心とするアプリケーションチームが連携し、インフラ構築からアプリ開発までをワンストップで請け負う。特に「データ分析環境」「ECシステム」「モバイルアプリ」とAWSを組み合わせたソリューションを得意としており、付加価値の創出に寄与する。
(出所:AWS/クラウド導入支援公式Webサイト)
長年蓄積された豊富なナレッジにより、企業に最適なAWS活用を提案するサービス。仮想化やクラウド基盤領域をメインに、AWS黎明期から数多くの実績を持つ。過去の実績で得たノウハウは、設計ポイントを整理・抽象化し、すべてガイドライン化。基盤導入、最適化支援などそれぞれの領域に特化したチームが、強固なシステム構築をサポートする。
内製化支援サービスも用意しており、技術やナレッジを共有・レクチャーしながら進める伴走型の支援を採用。実用的なスキル獲得の実績が評価され、「内製化支援推進 AWSパートナー」に選定されている。
(出所:協働・内製化支援サービス公式Webサイト)
手厚い共同開発と伴走による内製化に特化した、AWS内製化支援サービス。120プロジェクト以上の実績を持つ。企業内部の状況を正確に把握し、課題・問題を切り分けて対応。開発ベンダーとの協働、UXデザインとシステム開発の平行体制、目的ごとの複数ライン支援といった豊富な解決手段でクライアントのニーズに応える。
また、開発標準化のポイントとして、アジャイル開発を採用。同社がチケットレベルでアサインすることで、運用担当の負荷を軽減しつつ、少しずつルールの標準化を進められる。自社単独の開発と異なり、適宜相談しながら進行できるため、市場や社内の変化に対応しやすいのもメリット。
AWSセレクトティアサービスパートナー認証を持つAWS環境構築サービスを紹介します。
※料金はすべて要問い合わせ
(出所:CloudShift公式Webサイト)
コンシューマ向けのECサイトや金融系サイト、企業の基幹システム構築などのノウハウを活かし、AWS活用をワンストップで支援するクラウドサービス。既存システムのAWS移行や導入、運用・保守から、サーバーレス開発にも対応。加えて、DevOps(CI/CD)導入支援や、AWSによるBI・DWH・データレイク構築サービスなど、特定の用途に特化した独自のサービスも備えている。
特に、BI・DWH・データレイク構築では、面倒な基幹システムとの連携もサポート。必要に応じて、スコープ調整やフェーズ分けによる段階的な開発なども提案してくれる。
(出所:AWS活用支援サービス公式Webサイト)
古いシステムからクラウドへのモダナイズ化を得意とする、AWS支援サービス。AWS運用自動化ツールの提供や、地方企業向けのAWS導入支援サービスなど、小規模案件にも対応。低コストかつ、開発スピードを高められるモダンな環境の提案ができるため、スモールスタートしたい場合に適している。
たとえば、即座にクラウド開発環境を整えたいなら、「AWSクラウドリフト支援」が有用。必要最低限ながらも、モダナイゼーションされたパッケージが手に入る。アンケートへの回答により、企業側でツールをダウンロードすることも可能だ。また、「地方企業向けAWS導入支援」は、フルリモートでの支援を提供。周囲に相談できるベンダーがいない場合も、伴走型の手厚いサポートを受けられる。
高い機能性や拡張性、コスト削減の恩恵が受けられるAWSの注目度は増しており、多くの企業や組織で導入・移行されています。国内だけでなく海外でもその傾向は強まっているため、自社のビジネスを加速させるうえで非常に有用なクラウド環境です。
AWS環境構築サービスを選ぶ際は、次の4つの比較ポイントを確認してみましよう。
そのうえで、サービスを提供している各企業のメニュー内容を確認し、自社の希望に沿った支援体制の有無を見極めることが大切です。
AWS環境を利用することで、システムのモダナイズ化や新しいプロジェクトへの取り組み、実験的なサービスへの挑戦も可能に。また、自社のシステム開発体制に不安がある場合でも、AWS環境構築サービスの支援があれば、自社エンジニアのスキル不足や人員不足を補えます。自社のビジネスをこれまで以上に発展させるために、AWS環境構築サービスの導入を検討してみてください。
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