最終更新日:2024-08-16
自社で扱う商品情報を共通のシステムに集約したい、商品情報をECサイトなどの販売チャネルに効率的に配信する導線を作りたい企業の担当者へ。商品情報管理(PIM)システムの機能や利用するメリットとあわせて、おすすめのシステムを紹介します。
商品情報管理(PIM)システムとは、社内に点在している商品関連情報を集約し、一元管理できるシステムです。PIMとは「Product Information Management」の略です。
商品情報管理(PIM)システムを利用すれば、社内や各部門に散らばりがちな商品情報を、カテゴリを整理しながら収集できます。テキストの情報だけでなく、商品画像や設計図、カタログなどの資料も紐付けて管理可能。システムによっては、商品情報をECサイトや自社HPに自動配信したり、DTP(印刷物の制作・デザインソフト)に落とし込んだりと、様々なチャネルと連携できます。
商品情報管理(PIM)システムは、大量の商品・部品を扱うメーカーや、食品医薬品・衣服など多様なカテゴリの商品をそろえる小売・卸売業界、そのほか、販売チャネルを複数持っている企業での利用に最適です。近年は、様々な建物の設計や売買に関わる不動産・建築業界でも導入がすすんでいます。
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PIMシステムを利用することで、導入企業が得られるメリットを紹介します。
Excelや、様々なシステムでストックしている商品データを吸い上げて一元管理。従業員全員が共通のシステムにログインして情報を確認できるため、商品管理部門担当者や、他部門のデータ入力担当者に詳細を問い合わせる手間が省けます。
たとえば、営業担当者が顧客との商談中に商品の詳細を聞かれたら、システムのデータを検索しながらその場で答えられます。顧客とのやり取りがより円滑になり、ビジネスチャンスを逃しません。
また、商品管理担当者だけでなく、現場の営業・販売担当者でもシステムから手軽に情報を入力・更新できるため、常にアップデートされた情報を社内で共有する体制が整うのも利点です。
PIMシステムは、蓄積するデータの品質向上にも役立ちます。
たとえば「HANABI Data」は、商品情報登録の際に入力必須項目を設定できます。重要な項目の登録漏れが防げるうえ、入力担当者ごとに情報の粒度がばらつくことがありません。
「Pro-V」の場合、複数のシステムで収集した情報から、必要な情報だけを自動で選別、統合する「ゴールデンレコード」機能を搭載。目視で複数のデータをチェックする手間が省け、情報の正確性を担保できます。
商品データの更新履歴はリアルタイムで追跡可能。具体的には「誰が・いつ・どの部分を」更新したかがわかります。過去のバージョンを参考に情報をアップデートしたり、情報を更新した担当者に詳細を問い合わせたりするアクションがスムーズになります。その結果、誤った内容や古い内容のまま情報を展開してしまうリスクを軽減できるようになります。
たとえば「Contentserv PIMソリューション」は、画面内で過去のバージョンと現在のバージョンを比較して、過去のバージョンを復元することもできます。
商品情報を各外部チャネルの形式や取引先に合わせて展開できるので、自社でイチからデータを加工する手間が省けます。一例として「PlaPi」は、各取引先に商品データを共有する際、登録情報を項目ごとに表示・非表示にできます。
種類によっても異なりますが、PIMシステムには、主に以下の機能が搭載されています。
商品情報の管理 | 商品名、商品コード、価格、発売日などの情報を一元管理。テキストだけでなく、商品画像、動画、設計図、取扱説明書、カタログデータなどの関連デジタルアセットも紐付けられる |
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売上、販売状況などの管理 | Excelやほかのシステムから吸い上げた商品の売上、販売実績、在庫状況などを管理 |
カテゴリ管理 | 商品をカテゴリや型式ごとに分類管理 例:家具であれば「椅子」「机」「ブランド名」などのカテゴリ、精密機械であればそれを構成する部品、付属品、後継品の型式など |
商品情報更新履歴管理 | 商品データの更新履歴を管理。システムによっては、過去のバージョンを遡り復元も可能 |
データ品質管理 | データの正確性を担保するため、不足・重複・矛盾情報を自動検出し、通知 |
複数フォーマットでのデータインポート | Excel、CSV、TSVなど様々なフォーマットからデータをインポート |
データインポートのためのAPI連携 | ERP、販売管理システムや、DAM(商品に関連する画像や動画などの素材を管理するシステム)、その他社内の既存のシステムとAPI連携し、データをインポート |
検索 | キーワード、登録情報の全文、カテゴリ、商品コード、価格帯、販売時期、商品画像の有無など様々な条件で商品データを検索 |
外部メディアへの出力 | ECサイトや自社HPなど、それぞれの連携先に必要な項目や画像サイズを設定し、情報を自動配信 |
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DTPへの出力 | DTPや編集ソフトと連携して、商品名や品番、画像などを出力。商品カタログや営業資料に最新情報を落とし込める |
取引先へのデータ展開 | 各取引先が欲しい情報や指定するフォーマットに合わせ、データを自動加工して展開。取引先ごとに開示情報の条件を変えることもできる |
ワークフロー設計 | 商品情報の登録〜配信までのプロセスをチェック、承認するためのワークフローを設計。担当者の入力内容、配信予定内容を管理者が確認する体制が整い、登録情報の漏れや誤配信のリスクを軽減 |
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アクセス・閲覧権限設定 | ユーザーアカウントごとに各商品情報のアクセス権限・閲覧権限を設定し、セキュリティを確保 |
PIMシステムには、AIを活用した製品もあります。具体的には次の機能が挙げられます。
商品情報の校正・生成 | 誤字・脱字・表記ゆれの訂正のほか、キャッチコピーや商品概要の生成も |
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メタタグ生成 | AIがテキストや画像、動画を読み取り、メタタグ(Webサイトの内容を検索エンジンに伝えるタグ)を生成 |
検索タグ付与 | AIがテキストや画像を判断し、関連キーワードを抽出した検索タグを自動付与 |
類似画像検索 | AIが特定の画像と似た要素のある画像を抽出 |
PIMシステムは、収集した商品データを外部チャネルへ効率的に配信できるタイプと、データの収集管理に特化したタイプがあります。後者においては、あらゆるデータを収集・管理可能なタイプと、取引先に共有するデータの加工に強みを持つタイプがあります。
収集した商品データを様々なチャネルに配信するプロセスも効率化したい場合におすすめのタイプ。
「CIERTO PIM」の場合、一定の条件を満たした商品だけをECサイトなどの外部チャネルへ自動配信可能。一例として、「新商品データは、本部の最終チェックが完了したもののみ配信」などの条件を設けられるため、誤ったデータを展開してしまうリスクを防げます。
「Pro-V」は、DTPとの連携機能が充実。たとえば、システム上に集約した売上実績を見ながら、売れ筋商品をパンフレットの中心にレイアウトする作業がシームレスに行えます。
そのほか、「Contentserv PIMソリューション」には機械翻訳ツールが備わっており、商品情報を英語、ドイツ語など複数の言語に自動翻訳できます。自社商品を海外に展開し、情報発信している企業に役立ちます。
あらゆる商品データの収集・管理に特化しており、全社共通のデータベースとして利用したい場合におすすめのタイプ。
「PIM-ROBO」は、同一シリーズの複数の型式の仕様を比較するための「型式別仕様比較表」を出力可能。HPやパンフレットなどに正確な情報を簡単に配置できます。
「PlaPi」は、様々な商品データのストックに対応するシステムでありながら、月額10,000円(ライトプラン)からリーズナブルに使えるのがポイント。小規模な企業や、まずはスモールスタートして後から機能を拡張したいと考えている企業にも適しています。
収集した商品データを、取引先の要望やフォーマットに合わせて自動展開したい企業におすすめのタイプ。
「HANABI Data」は、商品情報を各取引先のフォーマットに変換するための事前設定をAIがサポートします。具体的には、AIが様々なデータの中から取引先に開示すべき情報の候補をサジェスト。導入企業は、イチから情報を厳選する手間が省けます。
PIMシステムの導入を検討するにあたって、比較検討すべきポイントを紹介します。
どのシステムも様々な業種・業態の商品情報管理に対応していますが、中には特定の事業を営む企業に適したシステムもあります。
たとえば「Contentserv PIMソリューション」は、「Shopify」「Amazon」のほか、越境EC(国境を超えて取引できるECプラットフォーム)と呼ばれる「Magento」や「eBay」など様々なチャネルと連携、データ配信できます。複数のECサイトを運営している企業におすすめです。
「PIM-ROBO」は、JEITA(社団法人電子情報技術産業協会)が定めたECLAS辞書(電子部品の分類体系や各部品の特性を標準化して定義した辞書)の規定に則って、商品・電子部品情報を登録する仕組みになっており、電子部品を多く取り扱う企業に適しています。システムの指示に従いながら正確に情報を入力できるうえ、データのドラッグ&ドロップやコピーも直感的に行えるため、入力作業の効率化がはかれます。
「CyberTech」の場合は、商品情報と関連情報をツリーのように階層化して登録できる仕様に。複雑な構成の商品でもデータを一つにまとめられます。
商品の種類によって、管理するデータ項目を柔軟にアレンジできるかもチェックすべきポイントです。
たとえば「PlaPi」は、管理したい項目を自由に設定可能。商品のカテゴリに合わせた項目も追加できるので、違うジャンルの商材でも一つのプラットフォームで管理できます。
「CIERTO PIM」や「HANABI Data」も同様に項目追加可能なほか、情報を分類するためのタブも設定できるので、必要なデータを見やすい状態で管理できます。
「データの移行や収集をサポートしてもらいたい」「自社に最適な運用環境を構築してほしい」場合は、導入支援サービスが充実しているシステムを選びましょう。
たとえば「Pro-V」は、導入支援が手厚いのが特徴。企業の要望や社内の既存システムとの連携を踏まえてプロトタイプを作り、本番運用前のシミュレーションを入念に行います。シミュレーションを通して費用対効果の測定もしてくれるので、導入企業は機能面、価格面ともに納得した形でシステムを利用できます。
「CIERTO PIM」も同様、PIMとITの知見を持つスタッフが、導入前のコンサルティングからシステムの構築、導入後の運用支援や保守を一貫して実施。従業員へシステムの使い方のレクチャーも行い、定着をサポートします。
「PlaPi」の場合、月額50,000円をプラスすれば「プレミアムサポートプラン」に加入できます。不明点の問い合わせをメール、電話で受け付けているほか、Web会議での打ち合わせもセッティング可能。更に、導入時のコンサルティングやデータの移行作業も別途料金で依頼できます。
商品情報の収集管理に加えて、データを外部チャネルに効率的に配信したい場合におすすめのシステムを紹介します。
(出所:CIERTO PIM公式Webサイト)
商品データを外部チャネルへ円滑に配信することで、売上アップを後押しする商品情報管理(PIM)システム。システムには、商品名や商品コード、価格などの基本情報のほか、セット商品やカラーバリエーションなどの詳細情報も細かく登録可能。テキストだけでなく、商品画像や動画、カタログデータなどの関連情報も統合管理できる。
更に、使用許諾管理が必要な写真や動画は、使用期限や利用ルールを設定して管理。たとえば使用期限切れの画像はダウンロードを制御する設定にでき、利用者の誤使用を防げる。商品情報や商品画像などは、各ECサイトや自社HPに連携。あらかじめ、各連携先に必要な情報や画像サイズなどの条件を設定しておけば、外部チャネルへスムーズに情報配信できる。
「新商品データは、本部の最終チェックが完了したもののみ配信」など、一定の条件を満たした商品だけを外部チャネルに流すことも。
(出所:Pro-V公式Webサイト)
社内に点在する商品データを効率的に収集し、外部に配信するプロセスの最適化に貢献する商品情報管理(PIM)システム。商品データはExcelやCSV、外部システムから収集でき、テキスト以外の商品画像やカタログ資料などのデータも吸い上げられる。数千万件のデータ管理に対応しているため、扱う商品が膨大な大手製造メーカーや商社、サービス業での利用に最適だ。
また、複数のチャネルで収集した情報から、必要な情報だけを自動で選別、統合できる「ゴールデンレコード」機能を搭載。目視で複数のデータをチェックする手間が省け、情報の正確性を担保できる。
商品データはECサイトや自社HP、社内ネットワークなどに柔軟に配信可能。「Adobe InDesign」などのDTPとの連携機能も充実。たとえば、システム上に集約した売上実績を見ながら、売れ筋商品をパンフレットの中心にレイアウトする作業がシームレスに完結する。
(出所:Contentserv PIMソリューション公式Webサイト)
商品情報の収集管理に加え、データをECサイトなどの外部チャネルへスムーズに配信する導線を作れるシステム。ExcelやERPなど様々なシステムに格納されている商品データを統合できるほか、商品に関連する画像や動画などのデジタルアセットもあわせて管理。各デジタルアセットには「何の商品・どの用途に使うか」の説明文も紐付けでき、利用する際の参考になる。
また、システムには機械翻訳機能が備わっており、商品情報を英語、ドイツ語などの言語に自動翻訳可能。自社商品を海外展開している企業に役立つ。商品データは「Shopify」「Amazon」などの様々なECサイトに自動配信。各チャネルに合わせて情報を流し込めるため、配信までのリードタイム短縮とデータ更新漏れを防げる。
そのほか、商品情報の登録、配信内容に不備がないかを担当者・管理者で確認するワークフロー機能を搭載。
様々な商品データの収集・管理に特化したシステムを紹介します。
(出所:PlaPi公式Webサイト)
商品情報管理の属人化を防ぎ、全社的にデータを共有する体制作りに役立つシステム。管理したい項目は自由に設定できるのがポイント。商品だけでなく、部品や付属品などの関連情報や、マニュアル・事例なども合わせて紐付けできるため、取引先からの問い合わせにすぐ回答する体制が整う。
また、商品のカテゴリによって登録情報の項目を追加・変更可能。まったく違うジャンルの商品も一つのプラットフォームで管理できるので、多岐にわたる商材を扱う企業でも使いやすい。商品検索機能も性能が高く、たとえばAND/OR条件を設けた複雑な検索も可能で、欲しいデータへの素早いアクセスが実現。
そのほか、各取引先に商品データを共有する際、登録情報を項目ごとに表示・非表示にできるのも便利だ。
月額10,000円〜と比較的リーズナブルに利用できるのも嬉しい。上位プランを選べば、画像・CADなどの大容量のファイルも2TBまで保存できる。
(出所:PIM-ROBO公式Webサイト)
工業用品や電子部品など、構造や仕様が異なるデータを一元管理できるシステム。「カテゴリ」「シリーズ」「型式」の3つの階層に商品情報を登録する仕組み。一例で、カテゴリ欄には「タブレット端末」などの商品名や「電源」などの部品名、シリーズ欄には各商品・部品の仕様名や仕様値、型式欄には商品を管理する最小単位の型番を入力。情報はJEITAが定めたECLAS辞書に準拠した形で打ち込む仕様になっており、抜けもれなく登録を進められる。
ストックした情報は、ExcelだけでなくHTML形式で出力できるので、自社HPの更新が簡単。
そのほか、同一シリーズの複数の型式を選択して出力すれば、型式別仕様比較表が簡単に作れるため、HPやパンフレットに比較情報を掲載したい場合に役立つ。
(出所:CyberTech公式Webサイト)
商品だけでなく、付帯する様々な情報も管理できるシステム。商品情報と関連情報をツリー構造で登録できるのが特徴。複雑な構成の商品でもデータを一つにまとめられる。
商品カテゴリは自由に追加できるうえ、検索画面にもカテゴリが自動で追加される仕様に。たとえば、顧客に応じて品番・型番を変えて管理している企業の場合、カテゴリに顧客名を登録しておけば、検索画面で簡単に呼び出せる。登録したい商品が大量にある場合は、CSVを利用して一括登録すれば、入力時間の削減につながる。
また、画像などのコンテンツやカタログ情報、CADなども紐付けて登録可能。同社の別システムで、多言語でのマニュアル作成効率化をはかる「PMX」との連携もできる。
最後に、取引先の要望に合わせた商品データの加工・出力に強みを持つシステムを紹介します。
(出所:HANABI Data公式Webサイト)
直感的な操作で、自社の商品情報をクラウドで一元管理できるシステム。商品項目の名称や型式、必須の入力項目などは自由に設定。システム上で、一つの商品情報を複数のタブに分けて表示・管理もできる。
システム搭載のAIによって、商品情報の校正・生成ができるのもポイント。たとえば誤字脱字、表記ゆれの校正をはじめ、キャッチコピー、商品概要のたたき台を生成。更に、AIが商品情報を各取引先のフォーマットに自動変換するための設定をサポートする機能も。具体的には、AIが様々なデータの中から取引先に開示すべき情報の候補を提案。導入企業はイチからデータを厳選する手間が省け、業務効率化につながる。
商品情報はExcel、CSV、TSV形式でアップロード可能。PDFや画像、動画ファイルもあわせて保存できる。
商品情報をExcelや複数のシステムで管理している場合、データを全社共有する体制を整えるのが難しく、取引先から問い合わせを受けた時に回答に時間がかかってしまいます。また、商品管理専用のシステムでないと、細かい仕様や型式の入力漏れやミスが発生しがちに。誤った情報を取引先や外部チャネルに展開してしまう可能性もあります。
上記の課題を解決するのが、商品情報管理システム(PIM)です。従業員全員が共通のシステムにログインして情報を確認できるため、取引先の問い合わせにスムーズに回答できます。システムの操作は簡単で、商品管理担当者だけでなく、現場の営業・販売担当者でもデータを入力・更新可能。常にアップデートされた情報を社内で共有する体制が整います。
商品情報管理システム(PIM)には、多岐にわたる商品データの収集管理に特化したタイプと、収集したデータをECサイトや自社HPなどの外部チャネルへ効率的に配信できるタイプがあります。特定の事業を営む企業に強みを持ったタイプもあるので、本記事を参考に、自社に最適な商品情報管理システム(PIM)を選んでみてください。
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