最終更新日:2024-08-26
「海外からの卸売や製造販売に取り組んでいる」「子供が海外留学している」などの事情で海外送金しなければならないものの、色々と面倒を感じている方へ。専用の海外送金サービスの特徴や利用するメリット、選び方などを、おすすめのサービスを交えて紹介します。
海外送金サービスとは、海外の企業や個人などに送金するサービスです。
海外へ送金を行う場合は、銀行間のネットワークとなる「SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)」を利用するのが一般的。しかし、海外送金を行う場合は、A銀行からB銀行へ、B銀行からC銀行へと複数の銀行を経由することもあるため、手数料が高くなり、更に送金してから着金するまでに時間がかかるといった難点があります。
その点、海外送金サービスを利用すると、独自の送金システムを活用することで、すばやく送金を行うことができ、更に手数料も銀行よりも抑えられます。為替レートもリアルタイムに反映されるため、為替変動のリスクを抑えられるメリットもあります。また、送金操作はオンラインでできることがほとんどで、進捗状況もリアルタイムで確認できる透明性の高さも大きなメリットといえるでしょう。
手数料を抑えながら、すばやく海外への送金が行える海外送金サービスですが、「どういった場面で役立つのか」「どうやって利用すればいいのか」気になった方もいらっしゃるでしょう。
まずは個人と法人、それぞれの利用シーンについて簡単に紹介します。
個人利用の場合は、海外で暮らす家族や親族への仕送りや留学費用といった用途で利用されるケースがほとんど。前述したように銀行と比べて手数料、為替レートの面で優位性があるため、海外旅行時の急を要する場合に対応する際にも活用されることもあります。
法人の場合は、海外サプライヤーへの支払いをはじめとした海外拠点への出資・資金移動や、従業員への給与支払いなどにも活用されます。複数の企業が参加する国際的なプロジェクトへの投資など、送金先が複数の国や地域、そして通貨にわたる場合にも対応できます。
海外送金サービスは、国際間で通貨を交換するといった性質上、厳密な本人確認が必須です。ここでは、初回利用時と継続利用時における海外送金サービスの利用手順ついて解説します。
海外送金サービスを初めて利用する場合、各サービスのアカウント作成に加えて本人確認といったプロセスが必要です。こうした登録作業は初回利用時のみ必要となり、以降はログインを済ませることで手軽に利用可能です。
継続利用の場合は、新規登録や本人確認といったプロセスを省くことができるため、より少ない手順で送金することが可能です。利用シーンごとにサービスを使い分ける場合は、あらかじめそれぞれのサービスのアカウント登録を済ませておきましょう。
複数の銀行を経由して海外送金を行う場合、「着金までに多くの日数を要する」「手数料が高くなる」「銀行によっては対応していない」など、不便さを感じることは少なくありません。海外送金に特化したサービスを利用すれば、様々なメリットがあります。
銀行と比べ、海外送金サービスの手数料は低く設定されていることがほとんど。送金額が大きいほど、その恩恵を受けることができるでしょう。
銀行間決済の場合、送金から着金まで多くの日数を要するため、急激な為替変動によって着金時には送金時の金額より価値が目減りするリスクもあります。海外送金サービスは為替レートの変動をリアルタイムで反映しているため、送金時と変わらないレートでの取引が可能です。
複数の金融機関ごとに手続きが必要になる煩わしさがないため、送金もスピーディー。サービスによっては送金してすぐに入金されることもあります。
海外送金サービスは、より多くの国々・通貨に対応しているのもポイント。発展途上国や新興国、紛争地帯などの場合、銀行を介した送金ができない場合もありますが、そういった国々でも海外送金サービスなら対応している場合も少なくありません。
手数料が抑えられ、すばやく送金できる海外送金サービスですが、いくつか注意しなければならない点もあります。ここでは、海外送金サービスを利用するうえで知っておきたい注意点について説明します。
大きな金額が扱える銀行を介した海外送金に対し、海外送金サービスは一度に送金できる金額は少なめ。たとえば、Wiseの場合は、一度に送金できるのは100万円に限られます。
個人的な用途や比較的安価な商品の買い付けなどを行うには不自由を感じることはありませんが、海外不動産を購入するといったような大きな金額を扱う送金には不向きといえるでしょう。
銀行を介した海外送金は、本人確認済みの口座であればスムーズに行えます。
しかし、海外送金サービスを利用するには登録時に本人確認が必須で、サービスによって本人確認の方法が異なります。免許証だけでなくマイナンバーカードの登録も必要だったり、更には住民票などの書類も必要になったりするケースもあります。一般的なWebサービスにおけるアカウント登録の作業と比較すると、やや手続きが煩雑であることは否めません。
海外送金には様々な手数料が必要となります。主な料金としては以下のようなものが挙げられます。
送金手数料 | 銀行や海外送金サービスに支払う基本的な手数料。送金額や送金先、そしてサービスによって異なる。 |
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為替手数料 | 円をドルに、ドルを円にと、送金時の通貨を両替するときに発生する手数料。銀行やサービスによって手数料は異なる。 |
海外中継銀行手数料 | 送金元と送金先の銀行を中継する銀行に支払う手数料。基本的に銀行を介した送金に必要となる。 |
円為替取扱手数料 | 円建てで送金する際に発生する手数料。送金額に合わせて設定されるケースがほとんど。 |
受取銀行手数料 | 受取りをする銀行に支払う手数料。受取人が負担する場合と、送金人が支払う2つのケースが存在する。 |
たとえば、日本からアメリカに30,000円を送金する場合を想定して、各サービスの手数料の違いを確認しましょう(2024年8月時点)。
Wiseでは、送金手数料のみが送金額から差し引かれるのに対し、Goレミット、楽天銀行では、送金手数料以外にも各種手数料が課せられます。加えて、同じサービスでも、入金方法の選択次第(サービスが指定する口座振込の種類、デビットカードによる支払いなど。「入金方法」で後述)によって手数料には差が生じるため注意が必要です。
海外送金サービスの手数料は概ね銀行間決済よりも安く済むとはいえ、サービスごとに様々な手数料が設定されています。送金前には各サービスが公開している送金手数料の案内ページや送金額シミュレーションなどを確認して、手数料がいくらになるか試算しておいた方が賢明です。
海外送金サービスは、その特徴・強みとなる部分によっていくつか種類が分けられます。
(1)ビジネス向け
(2)プライベート向け/海外製品
(3)プライベート向け/日本製品
以下、それぞれのタイプについて「どういう特徴があるのか」「具体的にどういった場合におすすめか」を紹介していきます。
仕入れ等で海外のサプライヤーに商品代金を支払う、海外の生産拠点や取引先に生産・営業・マーケティングといった諸々の活動費や人件費を投下するなど、ビジネスでは海外の送金先へ、頻繫に、かつ複数拠点へ送金する必要がある場面は多々あります。
このような場合は、手数料も安価でスピード対応してくれるサービスを選ぶことが重要です。また、拠点や取引先の国や地域が増えた際にも柔軟に対応できるよう、サービスが多くの国や地域・通貨に対応していることも条件の1つといえるでしょう。
たとえば、「Convera」なら200の国と地域・140以上もの通貨に対応。現地銀行の口座ネットワーク、決済レールも充実しているため、指定期日までに全額入金できる安心した取引を実現。支払いの追跡や受益者のデータ管理ツールも充実しており、問題発生時も迅速な解決が図れます。
海外旅行で急を要する資金のために送金したり、留学中の子どもに学費や生活費を仕送りしたりするなど、個人単位の送金に対応したい場合は、送金の手軽さ・使い勝手を優先したサービスを活用するのがおすすめ。スマホアプリだけで送金が完結できたり、銀行口座を持っていなくても使えたりするなどの機能があると便利です。
たとえば、「Curfex」ならスマホアプリ上で送金や確認を行うことが可能。銀行や郵便局の窓口のように店舗での待ち時間もなく手元で操作できるため、急な送金などにはうってつけです。
なお、プライベート向けの海外送金サービスには、日本国内で運営されているものと海外運営のものがそれぞれ存在しています。手数料や対応通貨なども重要ですが、神経を尖らせることも少なくない送金では、母語による操作やサポートがあるかどうかも重要な選定ポイント。たとえば、日本に永住している人は日本製のサービス、日本国内に一時滞在・駐在している外国籍の人は海外製のサービスを利用すると良いでしょう。
自分や企業のニーズに合った海外送金サービスのタイプが何となくつかめたら、続いては個々のサービスを具体的に比較検討していきましょう。その際は、以下のようなポイントで検討していくとスムーズです。
留学・出張など利用目的が定まっている場合は、特定の国や地域に限定したサービスでも基本的に不便を感じることはありません。ただし、突然の地政学的リスクの高まりなどにより、移動や避難を迫られたり、特定の国や地域に頼った資材の購入が難しくなって海外サプライヤーの拡充に迫られる場合もあるかもしれません。そのような場合、海外送金サービスも対応国・対応言語が多いことに越したことはありません。
たとえば、「PayForex」なら200以上の国や地域への送金に対応しており、更に40種類以上の通貨も取り扱い可能。24時間365日の送金依頼が行えるほか、受取方法も豊富。Webサイトも14カ国語に対応しています。また、日本語や英語はもちろん、タイ語やベンガル語、タガログ語など、10カ国語のサポートダイヤルデスクが設置されているため、万が一のトラブル発生時も安心して問題解決に向けたサポートが受けられます。
どの海外送金サービスも、当然ですが、送金する前には送金の元手となる資金を入金する必要があります。入金方法はサービスにより様々で、主に以下があります。
対応する銀行口座を持っていない人はコンビニでの支払い、インターネットバンキングが使えない人は指定口座への振り込みをするなど、状況に合った入金方法を備えているサービスを利用しましょう。
たとえば、「Wise」なら、銀行振り込みやデビットカードをはじめ、クレジットカードなど基本的な入金方法に加え、Webサイトやアプリによる電子ウォレットの支払いにも対応。サービス独自のマルチカレンシー口座からの入金にも対応するなど、幅広い方法から選択できます。
送金された通貨の受け取り方法は、サービスによって異なりますが、主に以下のようなものがあります。
サービスによって対応の有無は異なりますが、送金先の国に振り込む銀行口座がない場合は、現金受取や宅配受取などによる現金支払いに対応しているものを選ぶ必要があります。
たとえば、「ブラステルレミット」なら銀行口座への振り込みはもちろん、送金先の国にある取扱店窓口での現金受け取り、モバイルウォレットへの入金、そして宅配受取といった幅広い受取方法に対応。受取人の都合に合わせて方法は自由に選べます。
海外送金サービスは、運営する企業によって取り扱える通貨が異なります。せっかく送金しても現地の通貨に対応していなければ、更なる両替が必要となり費用がかさむので、送金前に必ず確認しておきましょう。
たとえば、「PayForex」なら35種類の通貨に対応、「Wise」なら50以上の通貨をひとつの口座で管理することが可能です。とくに、「Wise」は複数の通貨をひとつのアカウントで管理できるマルチカレンシー口座を採用しているため、日本円で送金してドルで受け取る、またドルで送金してユーロで受け取るなど、送金・受取通貨を管理画面から簡単かつ柔軟に選べます。また、選択する通貨によって追加の手数料が発生しないといった特徴を持っています。
海外送金サービスの中には、海外のプリペイド携帯電話料金の支払い、電気・ガス・水道・インターネット料金など各種公共料金の支払い、そして子供の留学先である学校法人への学費支払いなど、「よくある支払い」にも対応した機能を提供するものがあります。
たとえば、「PayForex」なら世界各国の携帯電話会社の料金支払い、更に電気・水道・ガス・インターネット料金などの公共料金の支払いも日本国内から行うことが可能。また、Converaは約200の国と地域で活用できる学費支払いのネットワークを構築し、140以上の通貨から選んで学校法人へ学費を直接支払えます。支払い方法も銀行振り替えやクレジットカード、デビットカード、アプリによる支払いなどに対応しています。
(出所:Wise公式Webサイト)
複数の通貨をひとつのアカウントで管理できるマルチカレンシー口座が特徴の海外送金サービス。異なる通貨間の送金も、隠れた手数料なしで実際の為替レートを用いて行えるのが強み。また、スピーディーな送金も特徴で、送金元と送金先の銀行の営業時間内であれば、当日中に完了することも。日本から10万円をドルとしてアメリカに送金したとしても手数料は800円台と低く設定されているのも大きな魅力。
(出所:Convera公式Webサイト)
200を超える国や地域、140以上の通貨に対応した海外送金サービス。支払いのプロセスがシンプルで、送金のための操作はもちろん、送金の追跡や受益者のデータ管理に至るまで送金に関する一連の操作をアプリで完結することが可能。学校法人への直接的な支払いにも対応しており、法人同士の決済に加え、個人の学費支払いや国際的な送金にも適している。
(出所:マネーグラム公式Webサイト)
200以上の国や地域に対応し、世界400以上の銀行口座に直接送金することが可能な海外送金サービス。海外に口座を持たない場合でも、マネーグラム取扱店で現金を受け取れる。取扱店はWebサイト上の検索ツールで簡単に見つけることが可能。ケニアやタンザニア、ルーマニアのM-Pesa口座、ジンバブエのEconet口座など、一部モバイルウォレットにも対応している。
(出所:PayForex公式Webサイト)
海外のプリペイド携帯電話へのチャージや公共料金支払いにも対応した海外送金サービス。銀行口座への送金のほか、現金受け取り、Eウォレットへの送金、宅配送金など選べる受け取り方法も豊富。10カ国語の電話サポートデスクを開設しているため、不明点や問題発生時も安心してサポートを受けられる。日本円で60万円以上の送金を行う場合、ほとんどの通貨で手数料が無料になるのも大きな特徴。
(出所:PayPal公式Webサイト)
世界で約4億人以上が活用する、海外ネット通販などに強みを持つ大手海外送金サービス。支払いに対応しているサイトが多く、海外通販でも日本円で支払いできるのも特徴。海外送金手数料が一律499円と比較的安価だが、現地通貨への為替手数料が送金額に対して加算されるほか、一度に送金できる金額も100万円までと限られているため、高額の送金には不向き。
(出所:Revolut公式Webサイト)
30以上の通貨に対応した海外送金サービス。送金先によっては1日以内に着金することもあり、即時着金に対応している国や地域もある。Revolutアカウント間の送金は無料で行うことができ、通常の送金に関しても銀行口座への送金は月1回まで無料(2回目以降は手数料220円)。送金手数料の無料回数が増える有料プランや、海外ATMでの引き出しに対応したカード発行が可能なプランも用意されている。
(出所:JME Remittance公式Webサイト)
インドやネパール、ベトナムなど、南アジア、東南アジア諸国に対応した海外送金サービス。アプリやWebサイトから簡単に送金手続きを行うことができ、送金状況をリアルタイムで追跡可能。不正防止対策が充実しており、安全な送金が可能。銀行口座への振り込みはもちろん、自宅への配達や現地のJME代理店の店頭で現金を受け取れるなど、受取に関する選択肢が多いのも特徴。
(出所:Goレミット公式Webサイト)
SBI新生銀行が提供する海外送金サービス。銀行系サービスならではの高い信頼性と口座からの直接送金ができる点が特徴。海外の銀行口座への入金に限られるため、留学や駐在など現地在住の人向けのサービス。本人確認を含む利用登録、送金手続き、送金履歴の確認など、一連の操作はすべて専用アプリで行えるため、煩わしい店頭手続きは一切不要。
(出所:Curfex公式Webサイト)
送金額に対して一律1%の送金手数料で行える海外送金サービス。まったく利幅を含まないMid-Market-Rateが適用されるため、リーズナブルな送金が可能だ。通常、1営業日で着金するスピーディーな送金も特徴。送金の依頼は、24時間いつでもアプリから行うことができ、入金は銀行振込とデビットカードから選択可能。銀行間のみの取引となるため、送金先の国や地域で口座を持つ留学生や駐在者におすすめ。
(出所:Smiles公式Webサイト)
AIを活用し、送金手続きや本人確認などの操作を効率化できる海外送金サービス。独自システムによって、送金者の負担を大きく軽減。オンラインのみで登録が完了するため、郵便や対面窓口での手続きも不要。送金ごとにポイントがもらえるポイントプログラムが設けられており、そのポイントを使えば無料で送金することも可能。
(出所:ブラステルレミット公式Webサイト)
銀行振込のほか、取扱店での受け取り、モバイルウォレットやEウォレットでの受け取り、更に現金宅配など、豊富な受け取り方法が選べる海外送金サービス。国際・国内電話に対応した繰返しチャージして使えるプリペイド式電話カードの発行にも対応しており、カード発行者には優遇レートで送金を行ってくれるサービスも展開。
日本国内から、国外に住む親族や、留学・駐在している人など、海外在住者に送金できる海外送金サービス。従来は銀行を介した送金が一般的でしたが、ネットワークが発達した今、外送金サービスを利用すれば店頭に行くことなくWebやアプリを使って手元から手軽に送金を行うことが可能です。
ただし、海外に送金する以上、為替変動によって送金額が目減りしたり、現地の銀行や通貨に対応するため手数料が高額になったりなど、余計な心配事や手間が必要になることも少なくありません。安全かつ確実な送金はもちろん、コストをできるだけ抑えながら送金するためにも「送金先の国や通貨に対応しているか」「余計な手数料を取られていないか」などを確認したうえで、自分や企業に合った海外送金サービスを活用しましょう。
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