最終更新日:2024-08-26
会計の待ち時間の長さや対応工数の多さを改善するため、医療費の後払いサービスの活用を検討している、病院・クリニックの経営者や経理・事務部門の方へ。医療費後払いサービスのタイプや選び方、比較のポイントとともにおすすめのサービスを紹介します。
医療費後払いサービスとは、クレジットカードや口座振替、コンビニ支払いなどを利用して患者が支払う医療費を後払いにできるサービスです。病院やクリニックだけでなく、訪問診療、オンライン診療といった場面で幅広く導入が進んでいます。
医療費後払いサービスを利用すれば、患者は病院やクリニックでの診察後、会計をせずにそのまま帰宅できるように。医療機関側も、会計業務の負担が軽減されるだけでなく、院内感染のリスク抑制や、待ち時間短縮に伴う患者の満足度の向上も見込めます。本人以外でも後払いができるサービスなら、家族の医療費をまとめて支払うといった運用も可能です。
訪問診療などの在宅サービスでも、集金の手間や管理負担を削減し、スムーズな医療サービス提供に貢献。また、オンライン診療ではクレジットカードでの決済が一般的でしたが、コンビニ支払いや口座振替、アプリ決済など複数の決済方法を持つ医療費後払いサービスを利用すれば、クレジットカードがない患者も利用しやすくなります。
医療費後払いサービスを利用する場合、主に以下のようなフローとなります。
医療機関側の業務は、オフピーク時に後払い分の会計計算を行うだけ。集金や決済通知、領収書の発行といった業務は医療費後払いサービスに任せられます。
本記事で紹介する医療費後払いサービスでは、以下のような機能を利用できます。
決済 | クレジットカードやコンビニ支払いによる後払いを可能にする機能。多くのサービスで、複数の決済方法が提供されている(例:クレジットカード/コンビニ支払い/口座振替/電話料金合算サービスなど) |
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利用者の登録・管理 | 利用者の氏名や住所などの個人情報を管理する機能。医療機関または患者自身が登録を行う。登録後、与信に数日かかるものから即日利用可能なものまで、サービスによって利用開始時期が異なる |
請求・督促 | 振込用紙の発行・郵送や、未払いの患者に対する督促を実施。患者へのリマインドが不要になるため、人員や手間を大幅に削減できる。中には、未払い保証を提供するサービスも |
領収書・明細書の発行 | 決済に伴い、郵送または電子で領収書や明細書を送付するサービス。患者向けのアプリ・サイトがあるサービスは、患者が任意のタイミングで発行できる |
医療会計システムとの連携 | 医療会計システムと連携し、日々の会計業務や請求金額の消し込みを自動化する機能。手作業による処理がなくなるため、工数削減とミス防止に役立つ |
医療費後払いサービスは、以下の2タイプに分けられます。自院に合う徴収方法を備えたものを選びましょう。
サービスの提供元が、患者に代わり立替払いを行うタイプ。クレジットカードの引き落としに失敗した場合なども、医療機関には期日通りに料金が振り込まれるため、未収金リスクを回避できます。ただし、直接徴収型よりも利用料金が少し高くなりやすく可能性が。
たとえば「CADA払い」では、医療機関は患者の支払いと関係なく満額分を受け取れます。一方、患者は状況に合った支払い方法を選択可能。隔月払いや分割払いで、無理のない支払いができます。
また、「DSK後払い」のように、与信限度額が超過していて「債権保証あり後払い」が利用できない患者向けに、別の決済サービスを提供しているサービスも。「PAYSLE決済サービス」や「ペーパーレス決済サービス」とった先払い式の決済方法が用意されているため、様々な患者に対応できます。
患者の後払いの利用合計額を、あるタイミングで算定して決済を行うタイプ。引き落としに失敗するといった場合に未回収のリスクはあるものの、手数料がかからない分コストを抑えられます。
たとえば「Sma-pa CHECKOUT」の場合、アプリにクレジットカードを登録することで決済を自動化。患者情報やクレジットカードの有効性を事前に確認するので、未回収リスクを最低限に抑制できます。スマホがない患者向けの決済手段として、コンビニ払いにも対応。
医療費後払いサービスを比較する際は次のようなポイントに着目し、自院の業務形態や患者のニーズに適したものを選びましょう。
決済手段が多いほど、患者の利便性は向上します。多くの患者に後払いを利用してもらいたい場合は、決済手段が豊富なサービスがおすすめです。
たとえば「医療費あと払い」は、口座振替や各種電話料金、通信料金との合算ができるため、クレジットカードを持たない患者が多い病院・クリニックに適しています。また、「届いてから払い」のように、クレジットカードやPayPay、LINEPay、ゆうちょPay、FamiPay、コンビニ支払いなど、様々な決済手段を用意しているサービスも。
ただし、後払いサービスと窓口での支払いを併用する場合は、決済手段がクレジットカードのみでも影響は少ないでしょう。
ほとんどの医療費後払いサービスは、Web画面やスマホアプリからの支払い設定に対応しています。一方で、スマホやPCの操作に慣れていない患者が多い病院では、院内設置端末から登録できるサービスがおすすめです。
たとえば「Sma-pa CHECKOUT」には専用端末「Sma-pa TERMINAL」があり、導入すると端末上での利用登録のほか、保険証確認や再来受付なども自動化できます。
手数料の有無や料金体系は、サービスによって異なります。たとえば「医療費あと払い」で口座振替を利用する場合、1回あたり100円の利用料と、月額80円の口座振替手数料がかかります。
一方、「届いてから払い」の決済手数料は、利用額の4.8%が上限。そのほかの決済方法に応じて、請求書発送費用やコンビニ手数料、クレジットカード手数料などがかかります。
このように、利用額にかかわらず手数料が定額のサービスと、利用額に応じて変動するサービスがあるため、自院の平均利用料と照らし合わせて、お得なサービスを選ぶようにしましょう。
主な医療費後払いサービスのうち、立替払い型のものを紹介します。
(出所:医療費あと払い公式Webサイト)
通院時の支払いを後払いにすることで、医療費のキャッシュレス化を促進するサービス。事前に口座情報などの登録をしておけば、患者は診察後すぐに帰宅できるようになるため、満足度向上が見込める。また、医療機関の未収リスク低減にも寄与する。本人以外の支払いにも対応しており、家族の分をまとめて支払うことも可能。また、オンライン診療や電話診療、在宅サービスなど、レジのない現場でも導入しやすい。
口座振替のほかに、各キャリアの携帯料金とまとめて決済する方法を用意。クレジットカードを持たない患者でも使いやすくなっている。また、Webだけでなく電話からも、利用料金に関する問い合わせができるなど、手厚いフォローも魅力。
(出所:DSK後払い公式Webサイト)
コンビニ収納のパイオニアが手掛ける、債権保証型後払いサービス。同社が代金を立替払いするため、未回収のリスクなく利用できる。患者の支払い方法は、全国のコンビニやゆうちょ銀行・郵便局での支払い、払込票のバーコードを利用した各種アプリ決済など幅広い。
与信限度額が超過しているといった理由で後払いを利用できない患者向けに、先払い式の決済手段も提供。アプリにバーコードを表示して支払いを案内する「PAYSLE決済サービス」や、コンビニ支払いのURLをメール送信する「ペーパーレス決済サービス」などに対応している。加えて、決済手数料を抑えられる「債権保証なし後払い」も提供。
(出所:届いてから払い公式Webサイト)
キャッシュレスに対応している後払いサービス。自宅に請求はがきが届いたら支払うというシンプルな仕組みなので、幅広い世代の患者にとってわかりやすく、スムーズなオペレーションを実現する。
決済方法は、コンビニ払い、クレジットカード、キャリア決済、スマホ決済などの中から医療機関が選択。患者の事前登録は不要で、請求書が届いたあとに決済方法を選んで支払いを行うだけ。キャッシュレス派と現金派のどちらもスムーズに利用できることから、救急・夜間の診療での導入実績を持つ。
加えて、請求業務のほとんどを代行するため、職員の業務改善効果も見込める。
(出所:CADA払い公式Webサイト)
入院費や高額医療費の支払いに特化したサービス。急病や想定外の手術、入院などの支払いを同社が満額立替し、患者は自身の経済状況に合わせて支払いを行うという仕組みだ。これにより退院精算手続きを簡略化。加えて、未収リスクが低減されるため、通常必要な入院時の預かり金や保証人制度も廃止・縮小できる。
患者側は、給料日・年金支給日に合わせた支払い日の設定や、分割払い・繰延払いへの変更など、状況に合わせて支払い方法を選択可能。保険金受領までの資金のつなぎとして利用できるなど、患者側のメリットも大きい。
(出所:後払い.com forサービス業公式Webサイト)
未払いリスク100%保証型の後払い決済サービス。患者へのコンビニ払込票の発行・発送、入金確認、代金回収、督促など、面倒な会計業務を代行する。医療機関側は請求情報を連携するだけなので、スタッフの負担を軽減できる。
支払い方法は、銀行・郵便振込・スマホ決済のほか、クレジットカードやキャリア決済を利用できるプランも用意。どの支払い方法でも、医療機関への入金サイクルは決まっているため、安定した資金繰りを実現できる。また、後払い利用に関する問い合わせ先としてカスタマーセンターが用意されており、土日祝も含めて電話かメールで対応するなど、サポート体制も充実している。
主な医療費後払いサービスのうち、直接徴収型のものを紹介します。
※料金はすべて要問い合わせ
(出所:待たずにラク~だ公式Webサイト)
50代以上の登録利用者が50%以上と、シニアでも使いやすい後払いサービス。専用アプリが不要のためスマホがなくても、即日利用開始できる。また、家族の代理登録も可能。クレジットカードは世界5大国際ブランドに対応しているため、新たに作成する必要がない。高額医療費や入院費も、手持ちのカード限度額まで利用できる。
医療機関側が行う作業は、後払い対象分の算定だけ。医事会計システムとの連携で請求金額を自動消込みできるほか、領収書・明細書をセルフ発行にできるオプションサービスも用意されており、会計業務の省力化に寄与する。
(出所:Sma-pa CHECKOUT公式Webサイト)
病院外来アプリ「Sma-pa」の機能として提供されている後払いサービス。医療費のクレジットカード引き落としや、金額通知といった業務を自動化する。領収書や明細書もアプリから確認できるようになるため、医療機関の作業は後払い分の会計計算を行うだけ。
更に、「Sma-pa」の他機能と連携することで、スムーズな受診を実現。たとえば、待合番号の表示や診察の予約もアプリ上で可能に。また、受付端末「Sma-pa TERMINAL」と連携すると、コンビニ払いを選べるようになるほか、再来受付も同時に行える。自院のオペレーションに合わせて、好きな機能を組み合わせられるのが便利だ。
医療費後払いサービスは、会計の待ち時間をなくして患者の利便性を高めるのに有用なサービスです。加えて、自院の会計業務の負担を低減、ミスの防止、院内感染のリスク回避といったメリットも見込めます。
医療費後払いサービスを選ぶ際は、次の2つのタイプから、自院のニーズに合致するものをチェックします。
そして、以下の3つのポイントに留意しながら、比較検討を進めましょう。
サービスを活用することで、業務の効率化や顧客満足度の向上が見込めるのはもちろん、立替払い型を選べば代金の未回収リスクを回避できます。また、近年高まるキャッシュレス決済のニーズに対応できる点も魅力です。本記事を参考に、ぜひ医療費後払いサービスの導入を検討してみてください。
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