試薬の情報をシステムに集約して日々の使用管理や在庫管理を効率化したい、法令に則って安全に試薬を使う環境を整えたい企業の薬品管理者へ。試薬管理システムを利用するメリットや機能、価格とあわせておすすめのシステムを紹介します。
試薬管理システムとは、企業の研究所や検査機関で使われる試薬・化学物質の使用状況、在庫などを一元管理できるシステムです。「薬品管理システム」や「化学物質管理システム」とも呼ばれています。
クラウド型のシステムが主流で、スマホ・タブレットから試薬管理ができるタイプもあるため、PCの設置が難しい環境でも利用できます。
試薬管理システムを利用するメリットを4点紹介します。
試薬の基本情報や利用状況の記録作業をシステム化することで、アナログ管理で発生しがちな転記もれ、ミスを軽減。システムに入力した試薬のデータは自由に検索できるので、探している試薬の場所や在庫状況をすぐに呼び出せます。また、試薬の持ち出し・返却もバーコードで管理でき、電子天秤と連動すれば日々の使用量が自動で反映されます。
試薬を誤った方法で使ってしまうと、従業員に健康被害が及ぶほか、環境汚染が引き起こされるリスクもあります。システムを利用すれば、各試薬が及ぼす危険性がわかるデータを簡単に紐付け可能。従業員が試薬の性質を理解し、安全に使用管理する体制が整います。
各法令で使用条件や使用上限が設定されている試薬を適切に管理する機能があるため、コンプライアンスを徹底できます。たとえば、特定の試薬が法令基準値を上回って使われそうな場合はアラートするよう設定して、リスクを回避。ほかにも、試薬の使用履歴を「人」「場所」「使用時間」など様々な条件から検索すれば、法令に従った使い方ができているかをチェックできます。
試薬の在庫状況をリアルタイムで把握可能なため、過剰な発注を抑えられるのもメリットです。具体的には、各試薬が残りわずかになったら通知が行くよう設定でき、適切なタイミングでの発注が実現。無駄な購入を抑制し、コスト削減につなげられます。
試薬管理システムの基本機能の説明とあわせて、各カテゴリで特徴的な機能を持つシステムを紹介します。
試薬の登録 | 市販の試薬をはじめ、調合品、サンプル品などの様々な薬品情報と、使用期限、保管場所などをあわせて登録 |
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バーコード発行 | 登録した試薬情報を反映したバーコード・QRコードを発行し、容器に貼付。試薬の持ち出し・返却時に読み取ることで、使用日時や使用者、使用量を自動記録 |
試薬の合成・分注 | 試薬の合成・分注の経緯や保管容器、保管場所、元の薬品情報などを記録 |
保管場所の移動管理 | 保管場所を移動した場合に記録。移動理由や経緯はシステムで遡れる |
試薬情報検索 | 試薬情報を名称、CAS番号(化学物質の識別番号)、保管場所などで検索。各部署・研究室ごとに使用している薬品をソートもできる |
なかには、システム画面の表示言語を切り替えられるタイプも。たとえば「ChemWatcher」は、言語を日本語から英語に切り替えられるので、外国人従業員も利用しやすいです。
「ESH Clouds Chemicals」は、試薬に貼付するラベルの言語を英語、中国語、ベトナム語、タイ語、インドネシア語でも出力できます。日本以外の拠点に研究所を持っている企業におすすめです。
リアルタイムでの 在庫管理 |
試薬の在庫状況を一覧で管理。あらかじめ設定した基準を下回った場合はアラートし、在庫を切らさない体制を整備 |
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開封済み試薬の 優先使用 |
開封した試薬から優先使用できるよう、未開封・開封済みの試薬を色分けして表示 |
試薬の廃棄管理 | 試薬の廃棄日が近くなったらアラートし、期限が過ぎたものを使わないよう制御 |
棚卸機能 | システムで出力し、試薬に貼付したバーコードをスキャンしながら、システム上の在庫数と実在庫数をカウント |
「LABEIS-RS」の場合、試薬の使用期限日を細かく管理できるのが特徴。たとえば、未開封の試薬の利用期限と、開封してからの有効期限をそれぞれ登録できます。また、試薬の在庫情報から期限超過の試薬をソートすることもでき、廃棄もれを防ぎます。
「IASO®R7」は、試薬の棚卸に関する「数量不一致リスト」「未棚卸リスト」をワンクリックで出力可能。リストを参照すれば、カウントもれや重複を避けながら正確な棚卸ができるようになります。
使用量の記録 | 電子天秤と連動し、使用前後の試薬の重量を計測。その差分から使用量を自動で記録する |
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使用履歴の検索 | 使用者や使用日時、試薬名などで使用履歴を検索 |
試薬の日々の使用記録をより効率的に管理できるシステムも。「IASO®R7」の場合、PCだけでなく、スマホやタブレット内蔵カメラで試薬のバーコードを読み取り、使用記録ができます(オプション)。たとえば、薬品庫からの持出登録はPCで行い、返却登録は実験室内でスマホを利用するといったフレキシブルな使い方ができます。
「SimpReag」も、別途専用のスマホアプリをダウンロードすれば、リーダー不要でバーコードを読み取れます。
各法令に則り、保管する試薬を適切に管理します。主に以下の機能が搭載されており、一つひとつの試薬を規定に従いながら利用できるようサポートします。
あわせて、システムが対応する法令の一例を紹介します。
法令 | 概要 | 備考 |
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労働安全衛生法(安衛法) | 労働者の労働災害や健康被害を防止し、安全を確保するための法律 | 化学物質の危険性と有害性、作業において注意すべき事項、安全確保措置などを記載した文書(SDS)の作成・交付が義務付けられている |
毒物及び劇物取締法 (毒劇法) |
化学物質のうち、急性毒性による健康被害が発生するおそれの高い毒劇物の使用を規制する法律 | SDSの作成・交付のほか、対象物は毒劇物専用の施錠できる貯蔵庫での保管が義務付けられている |
化学物質排出把握管理促進法(化管法) | 化学物質の自主的な管理を促進し、環境保全を目的とした法律 | SDSの作成・交付や、PRTR(特定の化学物質の排出、移動量を届け出る制度)に則った管理が義務付けられている |
消防法 | 火災の予防を目的に、消防上必要な規制を定めた法律 | 消防法で定義された危険物は、決められた貯蔵量や取扱場所の遵守が求められる |
化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法) | 化学物質による健康被害や環境汚染の防止を目的とした法律 | 新しい化学物質を製造・輸入する場合は事前に届出し、利用審査を受けなければならない。また、それらを利用した場合は報告義務がある |
そのほか「薬品管理システム CRIS」「ChemWatcher」は、オプションで高圧ガス保安法にも対応。高圧ガスの貯蔵や移動を規制に則って管理する体制が整います。
更に「ChemWatcher」は、2021年に改正された特定化学物質障害予防規則(特化則※)に対応。具体的には、特化則に該当する物質を使った作業を記録管理できる機能を搭載しています。
※がんや急性中毒など、労働者に健康障害を引き起こす可能性の高い特定化学物質の適切な管理を求める規則
法令で指定された化学物質には、SDSの作成・交付が義務付けられています。SDSとは、化学物質の危険性・有害性とあわせて取扱、保管方法などを示した文書のこと。なお、SDSの作成・交付を義務付けている法令は「安衛法」「毒劇法」「化管法」の3つです。
SDSの入力や更新管理を効率化できるシステムもあります。たとえば「ESH Clouds Chemicals」は、データベースに3,000種類以上の化学物質情報がストックされており、イチからリサーチしなくても簡単にSDSが作れます。
また、2023年に安衛法が改正された関係で、SDSに記載した情報は定期的に確認し、更新しなければならなくなりました。同システムであれば、SDSの更新期限前に通知が行くよう設定でき、更新もれを防げます。
安衛法によって義務付けられているリスクアセスメント(化学物質や薬品の危険性・有害性から労働者に及ぶ危険の程度を見積もり、リスクの低減策を検討すること)を効率的に実施できます。
たとえば「ケミカルデザイン」は、システム内でマトリクス法(危険の発生可能性を縦軸、重篤度を横軸で表にまとめリスクを見積もる方法)や、作業環境と作業時間からリスクを見積もる方法などを用いてリスクアセスメントが実行できます(オプション)。評価結果はシステム内で共有されるので、従業員同士で低減策の検討がしやすいです。
「STORAGE CS」は、リスクアセスメントの手法の一つである「コントロール・バンディング」(化学物質を取り扱う作業における「有害性」「揮発性・飛散性」「取扱量」からリスクレベルを推定して対策を考える方法)をサポートする機能を搭載。システムの指示に従えば、高度な知識がなくても対応できます。
試薬管理システムは管理の対応範囲によって、主に次の3つのタイプに分けられます。
試薬情報の登録をはじめ、使用量の記録や在庫管理などの基本的な機能が一通りそろったタイプ。操作性がシンプルなシステムが多く、効率的に試薬管理ができます。
「RAKTIS」は、既存の試薬だけでなく、試薬を使った検体や中間体も元の試薬と紐付けながら管理できます。また、試薬はテキストだけでなく構造式でも検索可能。使いたい試薬の情報を直感的に呼び出せます。
「LABEIS-RS」は、試薬を管理者の承認を得てから使用する設定にできます。たとえば危険性の高い毒劇物や、法令で使用量が定められている試薬を使う際は承認制にすることで、誤使用や不正な利用を未然に防げます。
基本的な機能に加えて、リスクアセスメントをサポートする高度な機能が充実したタイプ。
「ESH Clouds Chemicals」は、前章「試薬管理システムの機能(6)」で紹介したリスクアセスメント手法以外にも対応。具体的には、厚生労働省が考案したあらゆる業種に適応する手法「CREATE-SIMPLE」の利用や、許容ばく露濃度(薬品を人体に取り込める許容量)を測定する機能があります。
試薬の管理におけるセキュリティ強化機能が付いたシステムも。たとえば「ケミカルデザイン」は、試薬を収納するボックスの鍵の持ち出し・返却管理ができます。また、ユーザーごとに鍵の利用権限を設定できるので、「危険性の高い試薬が保管された庫内の施開錠は管理者に任せる」といった運用が可能です。
試薬の在庫管理に加え、購買管理機能も搭載されたタイプ。
「リプルア」の場合、試薬購入の際一度に三社に相見積もりを依頼できる機能や、相見積もりの必要がない製品をワンクリックで発注可能な機能を搭載。在庫も同システムで把握できるので、発注までのプロセスがよりスムーズになります。
試薬管理システムの価格設定は、クラウド型か、専用システムを構築するタイプかで異なります。この章では、各システムの価格設定をまとめました。
たとえば「LABEIS-RS」は、月額30,000円で利用可能。
「STORAGE CS」は、月額90,000円です。また、システムに接続するバーコードリーダーやラベルプリンター、電子天秤なども同社経由で購入できます。
「IASO®R7」は、契約ライセンス数により価格が変動します。1ライセンスの場合74,000円、10ライセンス18万4,000円。研究拠点をいくつも持っている企業は、複数のライセンスで契約した方がリーズナブルに利用できます。
なかには、無料で使えるシステムも。「リプルア」は、購買システムのみの利用なら無料(5ユーザーまで)。試薬の在庫管理を行いたい場合も月額10,000円〜と比較的リーズナブルに利用できます。別途、環境設定や操作説明などを含んだ導入初期費用が10万円かかります。
「ChemWatcher」は、一つの拠点で利用する場合は専用のサーバー代が118万円。複数拠点で利用する場合は、サーバー代にプラスして追加ライセンス料が25万円/5ライセンスかかります。
「ESH Clouds Chemicals」の場合、サーバー環境の構築や導入・活用サポートを含んだ初期費用と年間費用をあわせて、140万円〜利用できます。
価格は公開されていませんが、「SimpReag」は企業の規模や環境に応じて「スタンドアロン」「ネットワーク」「クラウド」いずれかの形態での導入を選べます。まずはスタンドアロンでスモールスタートし、その後クラウドに移行するといった運用も可能です。
試薬情報の登録、日々の使用量の記録などの基本機能がそろったシステムを紹介します。
(出所:STORAGE CS公式Webサイト)
試薬の使用・在庫状況、法令管理などの機能が一通りそろったシステム。試薬ごとに発行されたバーコードをスキャンすることで「誰が・いつ・どれだけ」試薬を使ったかを記録。保管場所を移動した際や、薬品を合成・分注した際もフォームに経緯を記録できる。
また、フォームには備考欄が設けられており、従業員への共有事項を自由に書き込めるのも使いやすい。毒劇法、消防法、安衛法など各種法令に対応した帳票も出力可能。たとえば、毒劇法対象物の受入量、使用量、在庫量を一覧表示する機能や、消防法に基づき特定の試薬が指定数量を守って管理できているかを計算し、規定を超える場合は警告を出す機能などがそろっている。更に、リスクアセスメントの手法の一つである「コントロール・バンディング」をサポートする機能も搭載。システムの指示に従えば、高度な知識がなくても正しい手順で対応できる。
(出所:IASO®R7公式Webサイト)
累計利用者数が100万人を超えるシェアを誇る試薬管理システム。「薬品情報登録」「データ集計」「メンテナンス」と3つのカテゴリの機能を搭載しているのが特徴。試薬情報の登録においては、同社がストックする50,000件以上の製品データを引っ張れるため、イチから情報を打ち込む手間がかからない。登録情報を反映したバーコードを試薬に貼付すれば、日々の利用管理がコードの読み取りだけで完結。オプションで、スマホやタブレットでも試薬の使用・返却管理ができる。
データ集計においては、各法令や使用目的ごとに試薬の使用量を計算可能。また、棚卸をする際は「数量不一致リスト」「未棚卸リスト」を出力できるので、カウントもれや重複を避けた棚卸が実現する。 メンテナンスに関しては、試薬情報の新規登録、削除、非表示などをマスターデータで一括操作できる機能を搭載。
(出所:薬品管理システム CRIS公式Webサイト)
見やすいUIで構成された試薬管理システム。トップ画面のメニューボタンをクリックすればすぐに試薬の入出庫画面に移れるので、PC操作に慣れていなくても使いやすい。入庫画面では、試薬名や保管場所、リスクアセスメント対象物質か、などを登録できる。出庫画面では、試薬の使用量を管理。システムに直接入力する方法と、電子天秤と連動して使用前後の重量を計測し、自動で使用量を割り出す方法がある。
自社でストックしている試薬の在庫は、製品名や使用履歴から検索可能。また、各種法令に該当する試薬の入出庫や使用状況を示した管理簿も簡単に出力できる。
オプションで、リスクアセスメントを実施していない化学物質を使う際はアラートする機能も付けられて、より安全に薬品管理できる体制が整う。
(出所:LABEIS-RS公式Webサイト)
試薬の登録、使用管理、廃棄管理を包括してサポートするシステム。試薬情報は、シンプルなフォームに製品番号や毒劇物、危険物などの分類を直感的に打ち込める。SDSはURLでも登録可能で、薬品製造業者から提供されたHP上の情報をそのまま紐付けできる。試薬に貼付する管理用のラベルはシステム内で発行。ラベルサイズは大中小3種類出力可能で、容器の大きさに合わせて選べる。日々の試薬の使用量は電子天秤と連動して簡単に管理できるうえ、試薬は管理者の承認を得てから使用する設定にも。たとえば、毒劇物など危険性の高い試薬の使用を承認制にすれば、誤使用のリスクを抑えられる。
また、試薬の未開封時、開封時の有効期限をそれぞれ登録できるのも特徴。いずれかの期限が超過すると、該当の試薬データが赤文字に変わり、廃棄処理を促すメッセージが表示される。あわせて、試薬在庫情報から期限超過の試薬だけをソートもできる。
(出所:Reagent Master Ver.2.0EX公式Webサイト)
IDタグ・バーコードで試薬の日々の使用状況をリアルタイム管理できるシステム。試薬を使用する際は、容器に貼付したIDまたはバーコードを読み取り、連動した電子天秤に乗せると「現在日時」「試薬名」「質量」がシステム内に記録される。返却時も同様にすれば、使用後の容器の重量から使用量を割り出せる。また、法令により定められた試薬の規定量も登録可能。
規定を超えた使用が見られた場合、発生日時や使用者などを記したログを出力できるので、原因を突き止めやすい。あわせて、各法令に則って試薬を管理できているか確認する機能も整備。たとえば、毒劇物に指定された薬品の保管状況や使用履歴を示した表を出力すれば、規定通りの使い方ができているかを遡れる。
オプションで、ハンディ機器を使った試薬の持ち出し・返却処理ができるので、薬品庫付近にPCを置けない場合や、PCから離れた場所に薬品庫がある場合でも対応できる。
(出所:RAKTIS公式Webサイト)
自社でストックしている試薬のデータや在庫を法令にあわせて適切に管理できるシステム。販売された試薬だけでなく、自社で合成した試薬や、試薬を使った検体・中間体も元の試薬と紐付けながら管理できる。また、試薬はテキストだけでなく構造式でも直感的に検索可能。別売のシステム「RegSys」と連携すれば、検索した試薬データに法規制情報を含めて表示もできる。検索・ソートした試薬は、法令ごとに色分けして表示されるため、取り扱いに留意すべき試薬がわかりやすい。試薬の在庫は、システムで出力したバーコードで管理する仕組み。別途システム「LapriS」を導入すれば、構造式付きのバーコードの印刷ができる。
そのほか、同社ではすでに自社で導入している購買システムとの連携もサポート。試薬の発注業務の効率化も期待できる。
(出所:SimpReag公式Webサイト)
シンプルな操作性で簡単に試薬管理が行えるシステム。同システムで出力した試薬の管理用バーコードを読み取れば、「いつ・誰が・何の薬品を」持出・返却したかが自動で記録される。電子天秤とのデータ連携も可能で、使用量を都度転記する手間がかからない。また、専用スマホアプリでも試薬のバーコードを読み取れるため、PCやバーコードリーダーを持ち込むのが難しい場所でも使いやすい。在庫管理機能も充実。設定した基準数を下回った試薬は補充するようアラートする機能や、開封済み試薬の優先利用を通知する機能などにより、過剰な発注や在庫を抑えられる。各試薬の使用量の集計もシステム内で完結。法令で定められた指定数量などの条件も加味しながら計算し、結果を表示する。
基本的な機能に加え、リスクアセスメントのサポートなど、高度な機能が充実したシステムを紹介します。
(出所:ケミカルデザイン公式Webサイト)
試薬の在庫や棚卸だけでなく、リスクアセスメントまで管理できるシステム。試薬の情報は商品名、製品番号、内容量など必要事項を登録可能。試薬を一斗缶やガロン瓶など別の容器に移し替えた場合も、内容量や小分け先を登録できる。SDSやGHS(SDSに則り危険性・有害性を表したマーク)もあわせて登録できるほか、SDS情報は、同社がストックしているデータベースから検索、参照もできる。オプションで、リスクアセスメントをサポートする複数の機能が使えるのも特徴。
一例として、マトリクス法や、作業環境レベルと作業時間からリスクを見積もる方法などが行える。評価結果はシステム内で共有されるので、低減策の検討がしやすい。そのほか、同システムはユーザーごとに各機能の使用権限やデータの閲覧権限を設定できるので、セキュリティ面も安心だ。料金プランは、定額制のクラウド版か、買い切りのパッケージ版から選べる。
(出所:ChemWatcher公式Webサイト)
現場の声をもとに作られており、企業や研究所の規模を問わず利用できる試薬管理システム。使用薬品・入荷情報・在庫不足薬品・廃棄薬品などの一元管理が実現。SDSやGHSもあわせて登録できる。
システムの言語は日本語から英語に切り替え可能で、外国人従業員が働く企業にも適応する。また、消防法や毒劇法で定められた危険物の保管場所や分類を一覧で把握できるほか、保管上限値も設定可能。上限を超えたらアラートするためリスク防止に役立つ。
更に、2021年の特化則改正に合わせ、労働者に健康障害を引き起こす可能性の高い化学物質を使った作業を記録管理できる機能も整備。オプションで高圧ガス保安法にも対応し、高圧ガスの貯蔵や移動をルールに則って管理する体制が整う。
一つの拠点での利用に特化したプランと、同時接続ライセンスにより複数の拠点で利用できるプランがある。
(出所:ESH Clouds Chemicals公式Webサイト)
日本で制定された11種類の法規に則り、安全に試薬を管理できるシステム。具体的には、自社で所有する試薬や化学物質のSDSを効率的に作れる機能を搭載。3,000種類以上の化学物質情報がデフォルトでストックされており、その化学物質がどの法令の第何条に関わるかが表示されるので、イチからリサーチしなくても簡単にSDSが作成できる。また、SDSの更新期限が近づいたら通知する設定にもでき、更新もれを防げる。SDSの情報をもとにしたGHSラベルの作成、印刷も可能だ。リスクアセスメント機能も充実。「コントロール・バンディング」や厚生労働省が開発した「CREATE-SIMPLE」など、全4種類の手法に則ってリスク評価を進められる。
化学品工業、印刷関連業、自動車産業など幅広い業種での導入実績あり。
試薬の在庫管理だけでなく、購買管理機能も利用できるシステムを紹介します。
(出所:リプルア公式Webサイト)
試薬の在庫管理だけでなく、購買管理も充実したシステム。試薬のうち毒劇物・危険物はシステム上でタグを付けて識別する仕組みに。在庫は、システム内で発行したバーコードもしくはQRコードを読み取り管理する。コードはスマホアプリでも読み込めるほか、棚卸もアプリで効率化できる。購買機能に関しては、自社が利用する販売店がリプルアを導入していれば、見積もり依頼がシステム経由で完結。一度に三社に相見積もりを依頼でき、見積もり結果が画面に一覧表示されるためどの販売店に依頼するかを検討しやすい。相見積もりの必要がない製品は、ワンクリックで発注処理が完了する。
在庫・試薬管理機能は月額10,000円〜とリーズナブル。購買管理機能のみの利用の場合は、5ユーザーまで無料で使えるのも嬉しい。
Excelなどアナログで試薬管理をする場合、膨大な数の試薬の使用状況や在庫情報などを記録する際にもれやミスが発生しがちです。また、各試薬の法令規制情報を従業員同士で共有する体制を整えるのが難しく、誤った使い方をする従業員が出てきてしまう可能性もあります。
上記の課題を解決するのが試薬管理システムです。システムに試薬情報を入力しておけば、使用規定や保管場所などの情報を簡単に検索可能。日々の使用状況や在庫も、試薬に貼付したバーコードをスキャンしてデータを自動反映することで、ミスなく管理ができます。更に、保有する試薬を各種法令に則って使用できているかをチェック、アラートする機能もそろっており、コンプライアンスを徹底できます。
試薬管理システムには、試薬情報の登録や使用管理などの基本的な機能を搭載したタイプから、法令に伴い様々な手法でリスクアセスメントができるタイプ、購買管理機能が付いたタイプがあります。価格もシステムによって異なるので、本記事を参考に自社に最適な試薬管理システムを選んでみてください。
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