最終更新日:2024-09-26
自社のWebサイトやWebアプリケーションに、ソーシャルログイン機能の導入を検討している開発部門の方へ。ソーシャルログインサービスの概要、選び方、比較のポイント、主要サービスを紹介します。
ソーシャルログインサービスとは、WebサイトやWebアプリケーションにソーシャルログイン機能を組み込むためのサービスです。ここでは、ソーシャルログインの概要と仕組み、実装方法について紹介します。
ソーシャルログインとは、GoogleやLINEをはじめとしたSNSや外部サービスのアカウントを利用して、別のWebサイトやWebアプリケーションにログインする認証方法です。
ソーシャルログインに利用される代表的な外部サービス
そのWebサービスのソーシャルログインに対応している外部サービスのアカウントを持っていれば、アカウントの新規作成は不要。従来のように氏名やメールアドレスを登録しなくても、ワンクリックで簡単にログインできます。
更に、ソーシャルログインの導入により、セキュリティ面の向上も期待できます。ユーザーがサービスごとに異なるパスワードを設定・管理する必要がなくなり、パスワード漏えいリスクが低減するためです。更に、多要素認証を併用することで、安全性が一層高まります。
ソーシャルログインを実装するには、主に以下の2つの方法があります。
各認証サービス・ソーシャルメディアが提供するAPIを利用して、個別のWebサービス用にソーシャルログイン機能を開発する方法です。たとえば、Googleアカウントのソーシャルログインを実装する場合、以下のような流れになります。
ただし、個別に開発する場合、技術者のリソースや実装までの初期費用、メンテナンスコストが必要です。更に、複数の外部サービスに対応する場合、各仕様の更新情報を追いかけないといけないため、管理の手間が増えるというデメリットがあります。
ソーシャルログインサービスを利用すると、個別開発よりも導入・設定が簡単になります。サービスの利用料金は発生しますが、バージョン管理やセキュリティ対策はサービス提供者が実施するため、保守の手間を軽減できます。特に、複数の外部サービスへの対応が簡単になり、技術的負担や管理にかかる手間の削減に有効です。
ソーシャルログインサービスを導入すると、どのような機能を利用できるのでしょうか。ここでは、主な機能とその他の機能に分けて解説します。
複数の外部サービスに対応した ソーシャルログインの実装 |
LINEやGoogle、Apple、Yahoo! JAPANなど、複数の外部サービスアカウントからのソーシャルログインを実現する機能。対応している外部サービスが多いほど、ユーザーの利便性が向上します |
---|---|
セキュリティ機能 | 外部サービスが提供している二段階認証や多要素認証が応用されるので、WebサービスごとにID/パスワードを設定するよりも、セキュリティが強固になります |
詳細なユーザープロフィールへの アクセス |
外部サービスに登録されているユーザー情報を取得できる機能。LINEやYahoo! JAPANのように、詳細な情報を取得できる外部サービスと連携すれば、マーケティング施策への貢献も期待できます |
ソーシャルログインサービスによっては、次のような利便性の高い機能も提供されています。
LINE友だちへの追加 | ユーザーがLINEアカウントでソーシャルログインをする際に、自社のLINEアカウントの友だち追加も同時にできる機能。LINEを使ったマーケティング施策に役立ちます |
---|---|
フォーム入力アシスト | SNS情報を利用して会員登録時のフォーム入力を簡略化する機能。ユーザーの利便性が向上し、登録率向上が見込めます |
ソーシャルログインサービスを選ぶ際は、導入目的やサービスの規模、セキュリティ要件、開発リソースなどに応じて最適なサービスを選びましょう。ここでは、ソーシャルログインサービスを3タイプに分けて、選び方のポイントを解説します。
ソーシャルログインの実現に加え、新規会員の獲得やメッセージ配信の強化など、マーケティング施策の強化に取り組みたい場合におすすめのタイプ。顧客情報の取得やリード獲得など、マーケティング関連の機能が充実しているのが特徴です。
たとえば、「Login Plus」や「ソーシャルPLUS」はフォームアシスト機能で入力作業を簡略化。ユーザー登録完了率の向上が期待できます。加えて、LINEログインにはID連携機能や友だち追加機能が備わっており、企業アカウントの友だち数を効率的に増やせるため、商品・サービスの認知拡大やプロモーション、集客につなげることが可能です。
ソーシャルログインを効率的に実現するための高度な機能を備えたタイプです。多要素認証やセキュリティ強化、カスタマイズ可能な認証フローの設定などが充実しており、自社サービスに適したログイン機能を開発できます。セキュリティと操作性を両立した認証機能を手軽に実装したい場合におすすめです。
たとえば「Auth0」や「Firebase Authentication」には、コーディングなしで設定が完了するテンプレート機能があり、導入の手間を大幅に削減できます。更に、ポリシー変更だけで、パスワードの強度指定やセッション管理ができるという利点も。また、APIやSDKを利用すれば、既存のアプリやサービスに簡単に統合でき、カスタム認証やシングルサインオン(SSO)機能など、ニーズに応じた認証方式を追加できます。
AWSやAzure、Google Cloud Platform(GCP)といったクラウド基盤ではそれぞれ、認証やユーザー管理などが行えるサービスを提供。たとえば、GCPの「Firebase Authentication」や「Identity Platform」、AWSの「Amazon Cognito」、Azureの「Azure App Service」や「Microsoft Entra ID(旧称:Azure Active Directory)」などがあります。
これらのサービスは、各クラウド環境と深く統合されているため、認証機能の構築やユーザー管理、セキュリティ管理などがスムーズになるほか、コスト削減や運用負荷の軽減が期待できます。
Webサイトやアプリの開発・運用においてAWSを利用している場合は、「Amazon Cognito」を活用するとソーシャルログイン機能を簡単に構築できるほか、アクセス制御やユーザーデータ管理の一元化が可能に。加えて、蓄積されたユーザー情報を保護する高度なセキュリティ機能として、「監査専用モード」が用意されています。
また、GCPの「Firebase Authentication」や「Identity Platform」、Azureの「Azure App Service」や「Microsoft Entra ID」を利用する際も、同じクラウド内で認証機能を最適化できるため、開発・運用の効率化が見込めます。
自社のニーズに応じたソーシャルログインサービスを選択する際に、比較すべきポイントを解説します。
どの認証サービス/SNSでも、API連携ができればソーシャルログイン機能を開発できます。しかし、開発リソースを節約するには、簡単に実装できる仕組みを備えたサービスを選ぶのがおすすめです。また、簡易実装に対応している認証サービス/SNSはソーシャルログインサービスによって異なるため、できるだけ多くの認証サービス/SNSに対応しているものを選びましょう。
たとえば「Auth0」は、GoogleやMicrosoft、Apple、Amazon、Facebook、LinkedIn、GitHub、Salesforce、Boxなど、30種類以上のソーシャルプロバイダーに幅広く対応しています。
また「ソーシャルPLUS」は、shopifyやecbeing、ebisumart、SI Web Shopping、GMOクラウドEC、UN/SY といった多様なECサイト構築サービスとの連携に対応。オンラインショッピングやECサイトを運営する場合に適しています。
ソーシャルログインサービスの多くは従量課金制を採用しています。月間アクティブユーザー数 (MAU)によって料金が大きく変動するため、自社サービスの想定ユーザー数によるランニングコストの確認が不可欠です。
たとえば、「Amazon Cognito」や「Firebase Authentication」では50,000MAUまでは無料で、それを超えると段階的に料金が発生します。両サービスとも、20万MAUになると月額で920 USドルかかるように、サービスの成長やユーザー数の増加に比例してコストも増えるため、成長予測に基づいた費用計画を立てておきましょう。
一方、多くのソーシャルログインサービスでは一定のMAUまでは無料枠を提供しているため、ユーザー数が少ない小規模なWebサービスであれば、料金を気にせずソーシャルログイン機能を導入できます。
ユーザーの利用率を上げるためには、ログイン画面の使いやすさが重要なポイントに。必要な項目をわかりやすく表示し、不要な項目は非表示にできるなど、UIのカスタマイズの自由度を確認しておきましょう。
たとえば「Auth0」では、Webダッシュボードから比較的自由度の高いカスタマイズが可能です。ログインUIからサインアップの表示を削除したり、ロゴ画像や表示する文言を変更したりといった設定が可能です。特に、日本人向けのWebサービスの場合、デフォルトの英語表記から日本語表記に変更しておくと便利。ただし、サポートされていない要素の調整はできないなど、大幅なデザイン変更には対応していないサービスが大半です。
マーケティング施策に対応したソーシャルログインサービスをご紹介します。どちらもLINE連携に強く、マーケティング施策にも対応しています。
(出所:Login Plus公式Webサイト)
最新のバージョンに対応したソーシャルログイン機能を、自社サイトやアプリケーションに導入できるSNS連携サービス。LINEやGoogleをはじめ、全6種の主要SNSに対応している。ユーザーデータはすべて暗号化して、AWSサービス基準で厳重に管理・保護されているので、セキュリティ面も安心だ。
また、LINE公式アカウントと連携した友だち追加機能を搭載。自動で友だち追加チェックがされた状態で許可画面が立ち上がるため、大幅な友だち数の増加が見込める。更に、各SNSのアカウント登録情報を自動取得して、会員登録フォームに反映する「フォームアシスト機能」による、新規CV率向上も期待できる。
(出所:ソーシャルPLUS公式Webサイト)
XやFacebook、LINE、Yahoo! JAPANなど、6種類のアカウントに対応したソーシャルログインサービス。自動友だち追加はもちろん、顧客・購買データに応じたセグメントメッセージ配信、友だち追加されてないユーザーへのメッセージ送信(オプション)など、LINE連携機能が充実しているのが特徴だ。加えて、LINEのProfile+やYahoo! IDと連携して、必要なユーザー情報を取得することもできる。ECサイト構築サービスをはじめCRMやMAなど様々なサービスとの連携にも対応する。
また、ソーシャルログインの利用状況を分析するレポート機能を使えば、効果測定も簡単に行える。
開発機能が充実し、カスタマイズ性に優れるソーシャルログインサービスをご紹介します。拡張性や安全性に注力し、要件に応じた柔軟なソーシャルログインの構築を求める場合におすすめです。
(出所:Auth0公式Webサイト)
ユーザーの登録と認証プロセスを簡素化する認証プラットフォーム。GoogleやYahoo、Amazon、Instagramなど、30以上のソーシャルプロバイダーをサポートしている。シンプルなソーシャルログインに加えて、多要素認証やエンタープライズ向けシングルサインオン(SSO)、パスワードレス認証まで幅広くカバー。開発者向けの豊富なAPIと統合機能によって、高い拡張性とカスタマイズ性を実現している。
加えて、ユーザーの行動が常軌を逸していると思われる場合にのみMFAを発動させるアダプティブ多要素認証や、ブルートフォースからの保護、侵害された認証情報の検知など、セキュリティ機能も充実。
(出所:Firebase Authentication公式Webサイト)
Googleのクラウドサービス「Firebase」の一部として、シンプルで迅速なユーザー認証を実現するプラットフォーム。メールやパスワード、電話番号のほか、GoogleやFacebook、GitHubなどからのアカウント認証をサポートしている。加えて、カスタマイズ可能なドロップイン認証ソリューションを用意。 Firebase UI Authコンポーネントには、認証のベストプラクティスが実装されているため、アプリログインや登録のコンバージョン最大化が期待できる
わずか数行のコードでセットアップできる簡便さから、開発者の負担を大幅に軽減。短期間でのソーシャルログイン実装を可能する。また、セキュリティには、世界最大規模のアカウントデータベースを管理する、Googleの専門知識が活かされている。
(出所:OneLogin公式Webサイト)
シームレスかつセキュアな認証フローを実現する、クラウドベースのCIAMプラットフォーム。AIを活用した適応型多要素認証「SmartFactor Authentication」は、より強力かつコンテキスト認識型のセキュリティを実現。リスクの高いアクティビティに対して迅速に対処するのはもちろん、リスクのしきい値を定義して認証要件を自動的に調整するため、ユーザビリティと高レベルなセキュリティを両立できる。また、既存のID管理システムからの移行もスムーズだ。
豊富なサードパーティアプリとの統合性とエンタープライズ向けのカスタマイズ機能により、複雑なIT環境や高度なコンプライアンス要件にも柔軟に対応可能。
各クラウド環境との統合性に優れた、特定のクラウド基盤に対応しているソーシャルログインサービスを紹介します。Webアプリケーションとの連携やセキュリティ管理を重視する場合に適しています。
(出所:Amazon Cognito公式Webサイト)
AWSが提供するWeb/モバイルアプリケーション向けのユーザーIDおよびアクセス管理サービス。SAMLやOIDCといったエンタープライズIDプロバイダーや、Apple、Facebook、Google、Amazon などのソーシャル ID プロバイダーを経由したログインを可能にする。加えて、多要素認証や細かいアクセス制御機能も標準で提供する。
AWSの他サービスとの連携がしやすいため、セキュリティとコンプライアンスを維持しながら、煩雑なバックエンド処理の効率化が図れる。また、AWS WAFとのネイティブ統合による高度なボット検出や、セキュリティ侵害を受けた認証情報の保護、リスクベースのアダプティブ認証など、高度なセキュリティ機能がそろう。
(出所:Microsoft Entra 外部 ID公式Webサイト)
Microsoft Entra製品ファミリーの一部として提供されている、組織外ユーザー向けの安全で柔軟なID管理ソリューション。TeamsやSharePoint、OneDriveといったMicrosoftサービスとのスムーズな連携に強みを持つ。また、多要素認証 (MFA) や条件付きアクセスといった強力な認証機能を備えており、不正アクセスを効果的に防止する。アクセス元の場所やデバイスの状態、データの機密性にもとづいたきめ細かいアクセス制御にも対応。加えて、アクセス権限の付与や取り消しなどを一元的に行えるため、外部ユーザーの管理効率化にも有用だ。
更に、Microsoft Graph APIやMicrosoft Authentication Library (MSAL)など、開発者向けに豊富なリソースと組み込み認証機能を提供。Webアプリケーションへの迅速な実装が可能となる。
(出所:Google Cloud Identity Platform公式Webサイト)
Googleの高度なセキュリティ技術を活用した、エンタープライズ向けの顧客ID・アクセス管理プラットフォーム。高精度の脅威検出と多要素認証といった機能で、顧客データとアプリケーションを攻撃から保護。Google Cloudの強靭なグローバルインフラストラクチャを基盤としているため、高いスケーラビリティと月間稼働率99.95%のSLAを実現する。Googleアカウントのほかに、FacebookやAmazon、Appleといった外部サービスからのログインに対応。
また、マルチテナント機能を活用すれば、1つのIdentity Platformインスタンスで、顧客やビジネスユニット、部署といった複数テナントの運用が可能に。運用業務の効率化や管理コスト削減に寄与する。
ソーシャルログインサービスとは、自社のWebサイトやWebアプリケーションにソーシャルログイン機能を簡単に実装できるサービスです。外部の認証サービスやSNSなどの既存アカウントを利用してログインできるため、ユーザビリティやユーザーエクスペリエンスの向上に寄与します。
ソーシャルログインの主な機能として、複数SNSに対応したログイン、セキュリティ対策、詳細なユーザープロフィールへのアクセスなどが挙げられますが、サービスによってはLINEとの連携やフォーム入力アシストといった機能も提供しています。
また、ソーシャルログインサービスはマーケティング施策に対応したタイプや開発機能が充実したタイプ、特定のクラウド基盤に対応するタイプに分けられ、比較のポイントを押さえて自社に最適なサービスを選択することが重要です。本記事を参考に、ぜひソーシャルログインサービスの導入を検討してみてください。
<重要なお知らせ> サイトリニューアルに伴い、初回ログインにはパスワードの再設定が必要です。
アスピックご利用のメールアドレスを入力ください。
パスワード再発行手続きのメールをお送りします。
パスワード再設定依頼の自動メールを送信しました。
メール文のURLより、パスワード再登録のお手続きをお願いします。
ご入力いただいたメールアドレスに誤りがあった場合がございます。
お手数おかけしますが、再度ご入力をお試しください。
ご登録いただいているメールアドレスにダウンロードURLをお送りしています。ご確認ください。
サービスの導入検討状況を教えて下さい。
本資料に含まれる企業(社)よりご案内を差し上げる場合があります。