診療報酬の入金サイクルと設備投資費や人件費の支払いが噛み合わず、資金繰りに課題を抱えている医療機関の方へ。診療報酬ファクタリングの仕組みやメリットとデメリット、タイプ別の選び方、手数料、そしておすすめのサービスを紹介します。
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*本記事はアスピック編集部の基準に従って作成されていますが、サービス提供会社から送客手数料を受領することがあります。
診療報酬ファクタリングとは、医療機関が診療報酬債権をファクタリング会社に譲渡し、資金を調達する方法です。通常、診療報酬の公費負担分が国民健康保険団体連合会(国保連)・社会保険診療報酬支払基金(社保)から支払われるのは、診療月末から約2カ月後ですが、診療報酬ファクタリングを利用すれば、1週間程度で資金化することも可能になります。
一般的なファクタリングと診療報酬ファクタリングでは、売掛先の信用力に大きな差があります。
もし売掛先が倒産すると、ファクタリング会社は売掛金を回収できなくなるリスクがあります。貸し倒れによる損失が生じかねないため、売掛先は厳しく審査され、ファクタリング会社に支払う手数料もリスクの度合いに応じて高く設定する傾向があります。
診療報酬ファクタリングは、売掛先が国保連や社保であるため、貸し倒れのリスクは事実上ありません。その結果、審査が通りやすく、手数料も一般的なファクタリングより低く設定されています。
また、次のような違いもあります。
一般的なファクタリング会社の場合、既に発生している売掛債権額を買取可能額の上限とする場合が多いです。一方、診療報酬ファクタリングの場合、将来発生するであろう債権(将来債権)を対象としている場合も少なくありません。たとえば、将来債権を含めて最大3カ月分の資金調達が可能なケースもあります。
診療報酬ファクタリングでは、診療報酬を請求した時点では、満額の支払いが確定していないため、入金が2回に分けて行われるのが一般的です。多くの場合、1回目は全体の約8割から手数料を除いた金額が振り込まれ、国保連・社保からの支払いが確定した時点で差額があれば、2回目に残額が入金されます。
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診療報酬ファクタリングは、基本的に3社間ファクタリングの形で実施されます。医療機関とファクタリング会社、国保連・社保の3社で契約をするのが特徴です。「介護報酬ファクタリング」「調剤報酬ファクタリング」なども同様の仕組みで行われます。
なお、中には国保連・社保と契約しない2社間ファクタリングに対応している会社もあります。2社間ファクタリングのメリットは、入金までのスピードが早くなること。なぜなら、ファクタリング会社からの国保連・社保への通知や認可が不要になるためです。
ファクタリング会社から資金を調達した後も、国保連・社保から診療報酬を受け取る業務は、医療機関が行います。受け取った診療報酬を、医療機関がファクタリング会社に支払うフローが一般的です。ただし、2社間ファクタリングは、3社間ファクタリングよりも手数料が高くなる傾向があります。
3社間診療報酬ファクタリングの流れを整理すると以下のような形になります。
利用するファクタリング会社によって異なりますが、一般的には以下の書類が必要とされています。できるだけスピーディーな資金化を実現するためには、あらかじめ必要書類を用意しておくとスムーズです。書類は、事業内容や財務状況の確認などに使われます。
書類名 | 書類の説明 |
---|---|
代表者の本人確認書類 | 運転免許証、健康保険証、医師免許証、薬剤師免許証など |
通帳のコピー | 預金残高や口座情報の確認 |
報酬請求書 | 直近数カ月~1年分 |
履歴事項全部証明書 | 法人の証明 |
財務資料 | 決算書や確定申告書、勘定科目内訳など |
印鑑証明書 | 法人として登録されている印鑑 |
事業所指定通知書 | 医療や介護事業者としての証明 |
上記以外に、以下の書類が必要になることも。入手まで時間を要する書類もあるので、利用したいファクタリング会社に必要書類を聞いておくことがおすすめです。
診療報酬ファクタリングは、資金繰りに悩む医療機関にとって財務状況を改善するために有効な手段です。しかし、依存の度合いが大きくなると、かえって資金繰りが悪化するというデメリットにもつながりかねません。
ここでは、ファクタリング利用におけるメリットと注意点をそれぞれ解説します。
診療報酬ファクタリングの一番のメリットは、素早い資金調達が可能であること。キャッシュフローが悪化しているときや設備投資をするタイミングなど、様々な場面で活用できます。ファクタリングをうまく活用できれば、資金不足を解消して、安定した経営基盤を築けます。
また、国保連・社保は倒産リスクが非常に低いため、一般的な金融機関の融資より審査に通りやすいのも魅力。未払いリスクの低さから、手数料も安く設定されています。また、保証人や担保は原則不要です。
診療報酬ファクタリングは利用時の手数料により、受け取る診療報酬が減少するため、過度に依存しないよう、必要なタイミングに応じてサービスを利用する必要があります。安易に利用を続けると、長期的な視点で見た場合に、資金繰りが悪化することも考えられます。
また、あまり頻繁に診療報酬ファクタリングを利用していると、融資を受けている金融機関に財務状況の悪化を疑われる可能性も。状況によっては、追加融資を受けにくくなる恐れもあります。
診療報酬ファクタリングは対応する債権に応じていくつかのタイプに分けられます。
医療や介護分野の財務問題に精通した担当者が、専門的な視点から支援してくれるタイプです。業界特有の事情を踏まえたアドバイスを求める場合に適しています。
医療・介護分野に対応するタイプは、更に以下の2種類に分類されます。
診療報酬や介護報酬、調剤報酬に加え、自立支援給付費債権のファクタリングにも対応しているタイプ。自立支援給付費ファクタリングとは、障害福祉サービスを提供している事業者が自治体または国保連に請求する自立支援給付費債権を、ファクタリング会社が買い取って資金化するサービスです。仕組みは診療報酬ファクタリングと同様です。
たとえば、「GCM」では自立支援給付費をはじめとする障害者総合支援法関連の給付費に対応。本来は申請から入金までに一定の期間を要するこれらの給付費がスピーディーに支払われます。
また、「リコーリース」では一部地域で自立支援給付費債権に対応しています。特定の介護ソフトの導入指定がないため、使い慣れた既存のソフトを、そのまま継続できるのも便利です。
診療報酬や介護報酬、調剤報酬に対応できるタイプ。医療分野だけでなく、介護分野にも事業を展開している場合におすすめです。
たとえば「カイポケ」では診療報酬、介護報酬、調剤報酬のすべてで長期契約の縛りがなく、解約金も不要です。「レセプトくん」は、即日対応で最大で5,000万円の資金を調達可能。また、相談次第で上限以上の金額でも対応してもらえる可能性があります。
診療報酬と調剤報酬に特化したタイプ。仕組みは診療報酬と調剤報酬ともに同じです。新規事業として薬局事業を始めたい場合にも向いています。
たとえば「三菱UFJファクター」では、24時間365日いつでも照会が可能。三菱UFJ銀行に口座がなくても利用でき、中途解約もできる手軽さもポイントです。買取手数料は一律0.8%とシンプルでわかりやすい設定となっています。
診療報酬に限らず、幅広い種類のファクタリングに対応しているタイプ。2社間ファクタリングに対応していたり財務関連のコンサルティングを提供していたりと、多種多様なファクタリング実績を持っています。
「ビートレーディング」は、診療報酬においても2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの両方に対応。必要に応じて利用しやすいほうを選択できます。
「ベストファクター」では、利用者に対して財務コンサルティングを提供。ファクタリングを通じて、成長のための投資機会や節税対策に関するアドバイスを受けられます。審査スピードも速く、スピーディーな資金化を実現できます。
診療報酬ファクタリングの手数料は0.8〜2%程度に設定しているサービスが多いです。ただし、会社によって手数料に幅を持たせているケースもあるため、よく確認しておきましょう。
サービス名 | 手数料 | 入金スピード | その他の特徴 |
---|---|---|---|
GCM | 要問い合わせ | 必要書類到着から約1週間 |
|
リコーリース | 要問い合わせ ただし前払いで手数料を一部控除 |
保険請求日(10日)から最短10日 |
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カイポケ | 請求額の80%に対して0.8% 初回手数料5,000円 月額2,000円 |
請求から最短5営業日後に請求額の80% 残りの20%は2カ月後(第5営業日) |
|
レセプトくん | 2~14.9% | 最短数時間後 |
|
アクリーティブ | 月額手数料0.25%~ 別途事務手数料がかかる可能性あり |
書類の提出から最短1~2週間 |
|
エヌエスパートナーズ | 1カ月1回あたり譲渡額の0.2~0.8%(医療機関向けの場合) | 導入月は契約締結後 次月以降は個別決定 |
|
三菱HCキャピタル | 買い取り金額に前払比率(80%)をかけた金額に対して月額0.2%~ | 請求から最短5営業日 |
|
三菱UFJファクター | 1回あたり0.8% | 買い取り申し込みから4営業日 |
|
ベストファクター | 2~20% | 最短当日 |
|
ビートレーディング | 2%~ | 最短2時間 |
|
(出所:GCM公式Webサイト)
スピーディーな資金化が強みの診療報酬ファクタリング。必要書類到着から実行期間は約1週間で完了し、資金繰りの課題を迅速に解決できる。
診療報酬のほかに「介護給付費」「自立支援給付費」のファクタリングにも対応。自立支援給付費ファクタリングサービスでは「地域生活支援事業給付費」や「障害児給付費」など、取り扱いの債権の種類が多い。
来店での手続きが不要なため、気軽に利用しやすいのも魅力。
(出所:リコーリース公式Webサイト)
コストパフォーマンスに優れている診療報酬ファクタリング。料金体系の特徴は、初期費用や、契約の更新料がかからないこと。サービスの導入初月なら、別途審査を通ると2カ月分の資金化も可能で、入金までは最短で10日。
診療報酬のほかに「調剤報酬」「訪問看護療養費」「自立支援給付費」にも対応している。ただし、自立支援給付費は地域によって利用できないケースがあるため、確認が必要。
(出所:カイポケ公式Webサイト)
最短3カ月から利用可能な診療報酬ファクタリング。途中で解約しても違約金が発生しないため、短期契約で様子を見たい場合にもおすすめ。
申し込み方法は、必要書類を用意して送付するだけと簡単。手数料は早期入金額(請求額の80%)の0.8%で設定されており、残金(請求額の 20%)にはかからない。なお、初回手数料や月額利用料は発生する。
調剤報酬や介護報酬のファクタリングも対応。
(出所:レセプトくん公式Webサイト)
オンライン完結型で利用しやすい診療報酬ファクタリング。10秒での無料査定が可能なAIチャットボットやクラウドサインの活用により、PCやスマホのみで簡単かつ安全に手続きできる。
対象は設立1年以上かつ法務局へ法人登録済みの「医療法人」「営利法人」「公益法人」に該当する組織。最大5,000万円の調達が可能なので、設備導入や運転資金など、多額の費用が必要なときにもおすすめ。
(出所:アクリーティブ公式Webサイト)
取引できる金額の制限がない診療報酬ファクタリング。100万円未満から億単位まで対応できるため、事業規模に関係なく利用しやすい。35社を超える金融機関と提携しており、ニーズに合わせたサービスを受けられる。年間の取り扱い実績は2,000億円を超える。
医療と介護分野に特化した担当者から、専門的な視点での資金繰りのアドバイスなどを受けられる。資金の工面だけでなく、財務状況についての相談をしたいときにも適している。
全国47都道府県のすべてに営業拠点が存在しており、どの地域でも利用しやすいことや、24時間オンラインで申し込み可能なことなど、使いやすさも魅力。
(出所:エヌエスパートナーズ公式Webサイト)
前身の会社から数えて、業界で20年の実績を有する診療報酬ファクタリング。資金調達力や人材力に強みを持ち、医療介護現場と財務の専門家がそれぞれ在籍している。
1カ月あたりの上限額は設定されておらず、利用者の運営状況などにより利用可能額が判断される。診療報酬債権は、1〜5カ月までの範囲で買い取り実績がある。
対応しているのは「医療機関向け」「介護事業者向け」「調剤薬局向け」「歯科医院向け」の4種類。医療機関向けとそれ以外で買い取り金額の上限が異なる。
(出所:三菱HCキャピタル公式Webサイト)
介護事業者や調剤薬局などのヘルスケア事業者を対象とした診療報酬ファクタリング。少額買取が可能であり、法人と個人事業主ともに対応している。
前払いされる割合(前払比率)は80%で、買い取り金額は保険請求額の1〜2カ月分まで。手数料率が低く設定されているため、費用を安く抑えられる点が魅力。
申し込みから契約まで原則非対面方式で実施しており、日本全国場所を問わず対応可能。
(出所:三菱UFJファクター公式Webサイト)
電話や専用Webサイトを通じて不明点を確認できるため、利用経験がない場合でも使いやすい診療報酬ファクタリング。24時間いつでもWebサイトから申し込みができる。
買い取り手数料は一律0.8%、三菱UFJ銀行以外の口座でも利用可能、と手数料の安さと利便性を兼ね備えている。
最大1,500万円の範囲内なら100%の買い取りを実施。更に、毎月の継続契約や必要な月だけの利用など、柔軟に対応している。契約は1年更新だが、中途解約もできる。
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(出所:ビートレーディング公式Webサイト)
豊富な実績を有するファクタリング。医療機関を含め様々な業界で月間1,000件、累計58,000社以上の取引実績を持つ。
審査のスピードにも強みがあり、手続きの簡素化により最短2時間で完結。できるだけ早く資金を調達したいときに適している。審査資料は2点のみであるため、事前準備も簡単。
診療報酬30万円未満から1億円超まで、事業規模にかかわらず対応している。更新料や審査料はかからない。
(出所:ベストファクター公式Webサイト)
幅広い業界と取引をしているファクタリング。年間の相談件数は10,000件以上の実績を有する。
また、無料で財務コンサルティングサービスも受けられるため、財務状況を客観的に確認したい場合にもおすすめ。
Webサイトにある簡易診断シミュレーターでは、審査が通るのかなどを約30秒で確認できる。最短1日での資金調達にも対応。
診療報酬に特化したファクタリングサービスを利用すると、診療報酬の支払いを待たずに早期に資金調達が可能です。ただし、手数料がかかるため、長期間利用し続けると資金繰りが悪化する恐れもあります。財務状況に応じて、必要な期間を検討することが大切です。
診療報酬ファクタリングは、以下の4タイプに分けられます。
・自立支援給付費債権にも対応
・医療・介護分野に特化
・診療報酬に特化
・ファクタリング全般に対応
サービスによって、対応できる業種の範囲や金額などが異なります。特に、具体的な料金は問い合わせが必要なケースも多いため、事前に確認しておきましょう。
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