産業廃棄物の管理を担当している産廃処理事業者や、産業廃棄物を排出する製造業などの管理部門マネージャーへ。産業廃棄物管理システムの機能やタイプ別の選び方とともに、おすすめのシステムを紹介します。
産業廃棄物管理システムとは、企業や団体が産業廃棄物の排出から処理までのプロセスを効率的に管理するためのソフトウェアやサービスのことです。法令に基づく適切な廃棄物処理や、作業の透明性向上、コスト削減、業務効率化などを主な導入目的としています。
また、産業廃棄物が適正に処理されたか確認するための管理伝票である「マニフェスト」や「電子マニフェスト」の運用に関する業務に対応しているシステムも。産業廃棄物の管理や処理に関わる周辺業務の効率化にも有効です。
産業廃棄物管理システムの主機能は、マニフェストの登録や産業廃棄物の一元管理、法令遵守のサポートなど。導入することで煩雑になりがちな業務負担を軽減し、効率的かつ適正に廃棄物の管理を行えるようになります。
一例として、代表的な機能を以下で紹介します。
機能 | 説明 |
---|---|
マニフェスト登録・管理 | 契約書や許可証などの情報を一括管理し、有効期限のアラート通知や内容の整合性チェックを自動で行う |
委託情報の一元管理 | 契約書や許可証といった委託情報をマスターデータとして管理する機能。有効期限が近づくとアラート通知するシステムも |
排出量・処理実績管理 | 廃棄物やその他排出物を集計する機能。有価物・一般廃棄物・専ら物の排出量と費用まで集計できるシステムも |
電子マニフェスト登録の自動化 | 電子マニフェストシステム「JWNET」と連携することで、電子マニフェストの登録を自動化する機能。業務負荷軽減、入力ミス削減に役立つ |
データ集計・報告書作成 | 廃棄物その他排出物に関するデータを集計・出力する機能。各種報告書の作成をサポートする機能を搭載したシステムも |
産業廃棄物管理システムは、主に4つのタイプに分けられます。それぞれの特徴と選び方について解説します。
産廃処理事業に関わる業務をまとめて管理できるタイプ。マニフェストの管理に加えて、顧客情報管理から配車、収集、運搬、売上管理といった周辺業務までカバーしています。広範囲にわたって基幹業務を効率化したい場合におすすめです。
たとえば「環境将軍R」は、顧客情報管理や契約情報管理、計量管理やマニュアル管理に加えて、受付や配車業務管理、収集運搬管理に対応。産廃処理に関わる一連の業務を幅広くカバーします。
産業廃棄物契約情報や許可証情報などを管理できる、主に排出事業者向けのタイプ。許可書や契約情報とマニフェストを紐づけて管理することで、各書類の整合性が保たれ、コンプライアンス強化にもつながります。これらの委託情報や書類・帳票の管理業務を効率化したい場合におすすめです。
たとえば「PBasis(ピーベイシス)」は、排出物に関する契約内容・発行マニフェストの管理から、排出量や再資源化率の集計に至るまで、企業の廃棄物・その他排出物に関わる情報を一元管理。排出量、再資源化量やコストの見える化を実現します。
マニフェストの登録、印刷、1次・2次マニフェストの関連付けなど、マニフェストの管理機能に強みを持つタイプ。マニフェストの作成や管理業務を効率化したい排出事業者や収集運搬業者、中間処理業者などに向けたサービスです。
たとえば「産廃大助」では、自社の契約パターンを登録しておくことで、排出事業者から受託したマニフェストのデータ登録作業が簡便に。更に、廃棄物の運搬実績や処分実績を行政報告書として自動作成でき、CSVファイルでの出力にも対応します。
顧客情報や契約情報の管理から、計量情報の管理、請求書の作成、入金管理まで対応するタイプ。販売管理業務を効率化させたい場合におすすめです。
たとえば「TRACON Cloud」は、計量器と連動して計量票発行と同時に、売上・仕入れの登録処理を行えます。加えて、廃棄物や資源物を回収するコンテナの貸出状況、回収登録、在庫管理にも対応。
前述のタイプから自社に合ったものを選んだら、次の3つの比較ポイントで具体的なサービスを絞り込んでいきましょう。
電子マニフェストだけでなく、紙のマニフェストの管理に対応しているサービスもあります。紙と電子どちらのマニフェストも扱う場合は、一括管理できるシステムを使って、管理業務の効率化を図るのがおすすめです。
たとえば「電子マニフェスト先生」では、電子マニフェストだけでなく紙マニフェストの登録・管理にも対応。紙マニフェストの入力内容は引渡日、排出量、引渡担当者など最小項目に抑えられているほか、返却期限の管理もできます。更に、情報をシステムに入力すれば、データの照会・集計、行政報告書への反映が自動で行われます。
産業廃棄物以外の一般廃棄物などにも対応したシステムなら、管理業務を一元化できて便利です。
たとえば「PBasis」は、産業廃棄物はもちろん、有価物や一般廃棄物や専ら物含めたトータル管理に対応。更に、排出物ごとの再資源化率や、再資源化した内容まで把握できます。また、「電子マニフェスト先生」も、産業廃棄物や建設廃棄物、特別管理産業廃棄物、一般廃棄物の登録が可能です。
CO2排出量管理に取り組んでいる企業には、CO2排出量算定機能を備えたシステムがおすすめ。廃棄物の処理・運搬プロセスで発生するCO2排出量を自動で計算します。
たとえば、「エコロジネットプラス」では、廃棄物の種類ごとの集計やCO2の算定も可能。事業所や品目ごとの廃棄物レポートを作成する機能も搭載しています。また、「環境将軍R」は、環境省「グリーンバリューチェーンプラットフォーム」の排出原単位データを用いた自動算定に対応。
基幹業務に対応した、おすすめの産業廃棄物管理システムを紹介します。
※料金はすべて要問い合わせ
(出所:環境将軍R公式Webサイト)
廃棄物処理・資源リサイクル業に特化した基幹システム。産廃はもちろん、建廃や一廃、鉄・非鉄、古紙など、様々な業種に合わせた機能を標準装備。更に、営業/契約から、受付、配車、収集運搬、請求/入金まで、すべての業務をDXするための機能もそろう。また、SFAや財務ソフトといった外部サービスとの連携にも対応しているほか、要望に合わせてのカスタマイズも可能だ。
マニフェストは電子と紙の両方に対応。「2次マニフェスト紐づけ」「廃棄物帳簿自動作成」「JWNET自動連携」といった機能に加えて、オプションで紙マニフェストのデータ化アウトソーシングも請け負う。
(出所:ミスターダスト公式Webサイト)
廃棄物収集運搬業務から、中間処理業などの処分業務にまで対応した、廃棄物処理業向けの総合システム。事業系一般廃棄物や産業廃棄物の定期収集・ルート収集の管理、収集量の把握など、業界特有のニーズに対応した機能を備えているのが特徴だ。また、産業廃棄物や一時多量ゴミなどのスポット収集業務の作業指示・収集量管理、中間処理業の受付・計量業務にも対応する。
仕切書やマニフェスト印刷にも対応しているほか、数量を入力するだけで行政への報告書も自動作成できる。加えて、日々の売上処理を実行できる販売管理機能も搭載。
契約内容やマニフェストなどの管理に対応した、おすすめの産業廃棄物管理システムを紹介します。
(出所:PBasis公式Webサイト)
企業の廃棄物・その他排出物に関する業務を一元管理するクラウド型サービス。契約内容、発行マニフェストなどの管理から、静脈物流CO2排出量や再資源化率の集計に至るまで、あらゆる情報を見える化することに強みを持つ。
マニフェスト管理においては、JWNET連携をはじめ、処理進捗状況の見える化、紙マニフェストの管理といった機能を用意。委託契約情報をマスターデータとして管理し、マスターをもとにマニフェストを作成することで、整合性を担保する。また、月額定額制でメンテナンス費用が原則不要なので、ランニングコストの抑制にも有用だ
(出所:Wing公式Webサイト)
産業廃棄物管理業務の作業効率やリスクをマネジメントするための廃棄物総合管理システム。JWNET連携によって業務効率化を進めるほか、廃棄物に関する許可証の有効期限をシステムにて自動チェック。期限が切れる前にアラート通知されるため、更新もれ防止に有用だ。加えて、行政への報告書作成を自動化することで、月報やCSRレポート作成の手間を大幅に削減する。
廃棄物の排出・処理実績および各種契約書、許可証をWebクラウド上のシステムで閲覧可能。システム導入時には、現在のルールに沿うように、過去に締結した廃棄物契約書の改善提案も行う。
(出所:電子マニフェスト先生公式Webサイト)
電子マニフェストなどの登録・管理・集計作業を効率化するための、排出事業者向け産業廃棄物管理システム。JWNETとの連携によって、入力作業の効率化、ミスの防止、行政報告の自動化を実現する。たとえば、入力必須項目に色付けがされているなど、登録や処理状況を把握しやすいよう工夫されている。電子マニフェストだけでなく、紙マニフェストの登録にも対応。同システムに登録しておけば、自動で報告書に反映される。
主な機能は、「契約書 作成・管理」、「許可証管理」、「予約自動登録」、「データ集計」、「書類保管」、「おしらせ通知」、「帳票出力」など。産業廃棄物・建設廃棄物・特別管理産業廃棄物のほか、一般廃棄物にも対応する。
(出所:エコロジネットプラス公式Webサイト)
廃棄物管理業務を効率化し、データの見える化とガバナンス強化を実現する廃棄物管理クラウドサービス。JWNETと連携した電子マニフェスト登録の自動化により、入力ミスの削減と日々の業務負担を軽減する。廃棄物の回収予定日を登録できるカレンダー機能と併用すれば、電子マニフェスト登録の半自動化も可能だ。
また、事業所ごとの廃棄物情報の見える化にも強みを持ち、廃棄物がどの会社に運ばれて、どこの会社で、どのように処分されるのか、一目で把握できる。
また、許可証や契約書、現地確認報告書の管理を一元化することで、コンプライアンス遵守をサポート。加えて、取引の実態と合わせた取引先の管理にも対応。
マニフェスト管理に特化した、おすすめの産業廃棄物管理システムを紹介します。
(出所:産廃大助公式Webサイト)
マニフェスト伝票の発行や廃棄物データ管理を効率化するシステム。マニフェスト発行から作業処理、伝票返送管理、各種帳簿や報告書の作成、契約書の期限管理、電子マニフェストの取り込みといった業務をカバーしている。
収集運搬業においては、廃棄物の運搬量を集計できるほか、自社の「契約パターン」に則って、排出事業者から受託したマニフェストを簡単にデータ登録できる。また、一次マニフェストデータをもとに、排出事業者から受託した廃棄物の運搬記録表や処分記録表の作成や、最終処分業者へ委託した廃棄物の運搬記録表と処分記録表の作成などの自動化も可能だ。中間処理業では、排出地区別に廃棄物の受入量を集計可能。一次マニフェストの振分管理や、一次二次マニフェストの紐付け管理も行える。
(出所:むつみのマニフェスト公式Webサイト)
産業廃棄物のマニフェスト管理業務の効率化と法令遵守を支援するシステム。産廃・建設系の委託契約書の作成からマニフェスト伝票の印刷・データ登録、返送(受領)の管理まで対応する。全国自治体の実績報告様式を標準装備しており、編集不要でそのまま提出が可能。更に、オプションの電子データ取込を利用すれば、紙と電子データを関連付けられる。また、伝票作成画面に実際の伝票と同じデザインを採用しており、入力の手間やミスを削減できるのも特徴。
デスクトップ版やクラウド版のほかに、排出事業者や運搬事業者、処理事業者などの複数の事業者がクラウド上にあるシステムを利用する「ASP版」の3タイプをラインナップする。
販売管理に強みを持つ、おすすめの産業廃棄物管理システムを紹介します。
※料金はすべて要問い合わせ
(出所:TRACON Cloud公式Webサイト)
低コストで導入できるクラウド型産廃販売管理システム。単価の後値付けなど、業界特有の機能を標準装備おり、メンテナンス不要でいつでもどこでも利用できる。
あらゆるメーカー・機種のトラックスケールとの連携に対応しており、計量票発行と同時に、売上・仕入れの登録処理ができる。加えて、コンテナの貸出状況や回収登録、在庫管理といった機能や、仕入と売上を同時に入力できるインターフェイスなども搭載。
また、同社の産廃マニフェスト管理システム「CBMマニフェスト」と連携すれば、販売データにマニフェスト情報を紐付けられる。更に、オプションで、JWnetと連動させると、紙マニフェストと電子マニフェストの両方の入力が可能となる。
(出所:産業廃棄物処分業者・資源リサイクル業者向け販売管理システム公式Webサイト)
産業廃棄物処理・資源リサイクル業特有の業務フローに最適化された販売管理システム。受付業務をはじめ、搬入実績や販売実績といった実績管理業務、更には契約・配車業務、債権債務管理、マニフェスト管理、行政報告機能まで、幅広い業務をカバーしている。セミオーダー型のシステムなので、自社特有の業務要件に合わせたシステムカスタマイズも可能だ。
また、クライアントライセンスフリーのため、利用者や端末台数の制限はなし。タブレットでも使えるため、柔軟な運用体制を構築できる。新しいOSやブラウザへの対応・セキュリティ対策についても、開発ツール「WebPerformer」がスムーズに対応する。
産業廃棄物管理システムは、企業や団体が産業廃棄物の排出から処理までを効率的に管理し、法令遵守や業務の透明性向上、コスト削減を実現するシステムです。マニフェスト管理や契約書情報の一元管理、電子マニフェスト登録の自動化など、多様な機能を備え、業務の効率化と負担軽減に貢献します。
産業廃棄物管理システムを選ぶ際は、まず以下の4タイプから自社のニーズに合ったものを選びましょう。
上記の4タイプの中から更に比較検討を進める際には、紙のマニフェスト管理への対応有無、一般廃棄物管理への対応有無、CO2排出量算定への対応有無といったポイントをチェックすることが重要です。本記事を参考に、自社の課題解決に最適な産業廃棄物管理システムの導入を検討してみてください。
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