パスワード生成ツールとは、セキュリティ強度の高いパスワードを自動で生成してくれるツールのことです。本記事では、パスワード生成ツールの機能やタイプ・選び方・比較ポイントをおすすめのツールを交えながら紹介します。
パスワード生成ツールとは、クラウドサービスなどを利用する際に必要なパスワードを自動生成するソフトウェアやオンラインサービスです。
オンラインストレージなど、企業で利用する外部サービス・サイトに不可欠なID・パスワード。従来は企業の情シスや管理部門の担当者、もしくは従業員個人が考えて、Excelやスプレッドシートなどで管理するのが一般的ですが、その場合、以下のような課題が挙げられています。
近年ではクラウドサービスやSaaSが主流となったことに加えて、ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)などのサイバー攻撃の脅威も増しています。企業では業務効率化だけでなく、セキュリティの面からもパスワード生成・管理の強化が求められています。
その点、パスワード生成ツールなら、複雑でランダムなパスワードを自動生成可能。いちいち自分で考える手間が省ける上に、安全性も担保できます。利用するサービスごとに自動保存・入力できる機能を備えたものなら、手動でメモしてファイルに保存する必要もありません。
Google Chromeなどインターネットブラウザから利用するタイプや、パスワード生成に特化したオンラインサービスの多くは無料で利用できます。会員登録の必要がないものが大半なので、手軽に利用できるのがメリットです。
一方で、上記のような無料サービスにはパスワードの共有や情報漏えいのモニタリング機能がない場合がほとんど。個人の利用であれば問題ありませんが、企業で「従業員のログイン情報を安全に管理・共有したい」という場合は、有料ツールの利用を検討するとよいでしょう。
パスワード生成ツールを利用するメリットは、以下のとおりです。
人が考えるパスワードは人名や日付などの予測されやすい文字列になり、同じパスワードの使い回しが生じがちです。
パスワード生成ツールは、ランダムで複雑な文字の組み合わせを生成するため、人間が考えるよりも安全性の高いパスワードが作成できます。真似ようにも想像がつきませんし、パスワードを推測してログインを突破するブルートフォース攻撃や辞書攻撃への対策にもなります。サービスごとに異なるパスワードを生成すれば、万が一1つが流出した場合でも、ほかのログイン情報への被害拡大を防ぐこともできます。
近年ではセキュリティを高めるため、「推測されにくい複雑なパスワードの生成」を推奨するサービスベンダーも増えてきました。せっかく考えてパスワードを作ったのに「アルファベットと数字、記号を組み合わせてください」「16文字以上にしてください」など厳しい条件に阻まれて、頭を抱える場面も少なくありません。
パスワード生成ツールの自動生成機能を使えば、ワンクリックで即時、かつ安全にパスワードを生成可能。ツールによって条件への対応度合いは異なりますが、カスタマイズに優れたものを利用すればパスワード生成に頭を悩ませる心配はなくなります。
ツールによっては、パスワード生成だけでなく、作成したパスワードをストレージなどに自動保存し、ログイン画面で自動入力する機能を備えたものも。担当者は大量のID・パスワードをExcelなど別のファイルに記録したり、覚えたりする煩雑な作業がなくなりますし、入力ミスなども防ぐことができます。
また、パスワードを安全に共有・管理に対応したものを利用すれば、複数の従業員で1つのアカウントを共同で利用するのも効率的に行えます。
パスワード生成ツールの主な機能には、以下のようなものが挙げられます。
主な機能 | できること |
---|---|
ランダムパスワードの生成 | 英数字・記号などの文字種や文字数を指定し、ワンクリックで長くて複雑なパスワードを生成できる |
パスワードの保存・管理 | パスワードマネージャーやクラウドに暗号化されたパスワードを安全に保存・管理。1つのマスターパスワードを覚えておくだけでOK |
パスワードの自動入力 | Webサービスやアプリへのアクセス時、パスワードマネージャーなどが管理するパスワードを自動で入力してくれる |
要件のカスタマイズ | 文字種や文字数など、Webサービスやアプリごとのパスワード要件に合わせて、自動生成の設定をカスタマイズできる |
複数のブラウザ・デバイス間で同期 | 一回保存したパスワードをほかのブラウザやデバイスと同期することで使用可能に。ほかのユーザーとパスワード情報を同期する機能を持つツールも |
パスフレーズの生成 | 複数の単語をランダムにつなげた長い文字列を生成。ユーザーにとってパスワードよりも覚えやすいのが利点 |
パスワードの共有 | ほかのユーザーと安全にパスワードを共有・管理できる。複数ユーザーが共同でアカウントを管理するのに便利 |
パスワードの強度診断 | 自分が利用したいパスワードを入力すると、解読にかかる時間などパスワードの脆弱性を瞬時に測定できる |
パスワードの漏えいチェック | ダークウェブにパスワードなどの認証情報が漏えいしていないかを確認できる。より強力なパスワードに変更するなどの安全対策に役立てる |
多要素認証の管理 | パスワードと多要素認証(ワンタイムパスワードや生体認証などほかの認証要素)を一緒に管理することで、ログイン時に自動入力してくれるツールも |
パスワード生成ツールは、強み・特徴とするところによって、大きく3つのタイプに分けられます。
以下、それぞれのタイプの特徴と、具体的にどういった場合におすすめなのか紹介していきます。自社で利用するとしたらどれになるか考えてみましょう。
Google ChromeやMicrosoft EdgeなどのWebブラウザに搭載されているパスワードの生成・管理機能を利用するタイプです。
Webサービスのアカウントを作成する際、ランダムで強力なパスワードを提案してくれます。ブラウザ内のパスワードマネージャーに保存できるので、一つのブラウザで複数のサービスを頻繁に利用する場合に有効です。同じブラウザにログインした状態ならほかのデバイスとの同期も可能。ただし、共有可能なアカウント数に上限があるため、大規模のチームでの管理にはあまり向いていません。
たとえば、Chromeのパスワード生成機能はパスワードを設定すると自動生成・保存が可能(拒否することも)。この時、グループを作成すれば個人利用だけでなく、複数人で共有することもできますが、共有できる人数が最大6人に限られるので注意が必要です。
ランダムなパスワードの生成に特化したオンラインツールです。パスワードの長さや英数字・記号などの文字種を、特定の要件に合わせて細かく設定できる「カスタマイズ性」と、一度にパスワードを「大量生産」できるのが特徴です。
多くは会員登録・費用なしで利用可能。パスワードを定期的に更新したい場合や、特定条件に合わせてパスワードをすぐ生成したい場合に向いています。ただし、自動保存や自動入力の機能がない場合が多いので、管理場所を別に用意する必要があります。
たとえば、「Passwords Generator」は、どの英数字や記号を含ませるかなど細かく文字構成を指定できるほか、文字数とパスワードの生成数に上限がありません。一度に複雑なパスワードを大量生成したい場合に有用です。
パスワードの生成・自動入力だけでなく、暗号化してツール内に保存・管理し、ブラウザやデバイス間の同期機能によりログイン情報を一括管理できるタイプです。パスワードの強度を診断できるほか、ダークウェブモニタリング機能による情報漏えいの検知や、多要素認証でログイン情報へのアクセスを管理するなど、セキュリティの高い運用管理に役立ちます。
企業でログイン情報を共有する場合や、PC・モバイルなど複数のデバイスやブラウザで同じアカウントから安全かつ簡単にアクセスしたい場合におすすめです。ただし、利用コストが発生することが多いため、ローカルや単一デバイス・ブラウザでの管理で済む場合には適していません。
たとえば、「1Password」は、二段階認証でで不正アクセスを防御。管理者は各ユーザーのアクセス権限を簡単に編集できるため、システム管理課で一元管理を行う場合などに適しています。
自社に合ったタイプがつかめたら、今度は以下のようなポイントに沿って具体的なツールを比較検討するとスムーズです。
パスワードの強度は、長さだけでなく文字列の複雑さに比例します。そのため、「どの程度パスワードを複雑に設定できるか」は重要ポイントの一つです。
たとえば、「Bitwarden」なら文字種を選び、5文字から最大128文字のパスワードを生成可能。更に、複雑かつユーザーが覚えやすい単語の組み合わせであるパスフレーズも、最大20語をつなげて生成できます。
パスワード生成ツールの中には、セキュリティ対策の一環として多要素認証を取り入れているツールもあります。多要素認証はセキュリティが高まる一方、新たな認証ツールを導入する必要があるため、「ログインの手間が増える」のが一般的ですが、生体認証や認証アプリを用いたワンタイムパスワードなら、その手間を省くことも可能です。
たとえば、「LastPass」はログイン方法を認証アプリでのプッシュ通知か生体認証、ハードウェアキーのいずれかに設定すれば、マスターパスワードの入力が不要に。頻繁に利用するアプリやWebサービスがある場合も安全かつ簡単にログインできます。
チームや部署で安全に利用したい場合には、以下のような機能があるとよいでしょう。
たとえば、「Dashlane」は複数名で共同利用するログイン情報を必要なユーザー間で共有でき、パスワードを変更した際も自動的に共有されるため、個々での更新作業が不要に。また共有相手に応じてパスワードの編集権限を設定できるため、安心して送受信できます。
(出所:ラッコツールズ パスワードジェネレーター公式Webサイト)
文字数と文字種(英数字、記号)を指定し、一度に100個のランダムなパスワードを自動生成できるオンラインツール。文字数は8文字から最大50文字の間で指定でき、「O」と「0」のように似ている文字を含まないという指定も可能。複数アカウントを作成する際や、更新時のパスワードを一括で決めたいといった場面で便利だ。なお、生成したパスワードを一括コピーする機能はあるものの保存機能はなく、パスワードの強度を確認することもできない。
(出所:LUFTTOOLS パスワード生成公式Webサイト)
手軽に利用できる、完全無料のパスワード生成サービス。「カスタマイズ」「強力」「最強」を選んで、文字数(2文字~40文字)と文字種、頭文字などを指定するだけで、ランダムなパスワードを自動生成。一回で1000個までパスワードの自動生成でき、生成したパスワードはテキストデータで一括ダウンロード可能。「一括でパスワードを生成したい」場合にはおすすめ。パスワードの強度診断の機能も持たない。
(出所:Passwords Generator公式Webサイト)
文字種(英数字・記号)、似ている文字を使用しないなどの条件を指定し、複雑なパスワードを自動生成してくれるツール。最大の特徴は、パスワードの文字数と生成する個数の上限がなく、個々の英数字を必ず含めるといった細かい文字構成のルールを指定できること。生成されたパスワードの強度は3段階の色や10段階の数値で確認可能。パスワードはCSVで一括ダウンロードできるので、Excelなどにファイル保存する場合にも有用。
(出所:ノートン™パスワードマネージャー公式Webサイト)
セキュリティソフトウェアとして有名なノートンが提供するクラウド型のパスワードマネージャー。パスワードを自動生成し、暗号化されたデータを一元管理・自動入力できるほか、パスワードの脆弱性の特定、自動変更・保存も可能。モバイルアプリ(iOS・Android)を併用すればデバイス間での同期ができるため、外からログインする機会が多い場合に有用。パスワードマネージャーのロック解除には、生体認証かPINコードの二要素認証が必要なためセキュリティ面でも安心だ。アカウント登録は必要だが、シンプルかつ無料で利用できるため、最低限の管理機能が必要な場合にはおすすめ。
(出所:1Password公式Webサイト)
15万社もの導入実績を持つ個人・企業向けパスワード管理ツール。グループ内で複数のオンラインアカウントを安全かつ効率的に保存・共有できるのが強みで、アカウントパスワードと秘密鍵による二段階認証により、第三者の侵入を徹底ブロック。管理者は、必要に応じてチームメンバーのアクセス可否を設定でき、オフィス外でのアクセスも制御可能。パスワード生成機能は、最大100文字の強力なパスワードだけでなく、複雑かつ覚えやすいパスフレーズ(無関係な単語の組み合わせ)の自動生成にも対応。
(出所:LastPass公式Webサイト)
英数字と記号をランダムに組み合わせた複雑なパスワード(最大50文字)を生成し、暗号化して保存・自動入力、共有できる管理ツール。自動保存されたID・パスワードなどの情報はLastPassにログインしているデバイス間で自動的に同期されるので、常に最新情報が保たれる。管理プラットフォームへのログイン方法は、認証アプリでのプッシュ通知やTouch IDなどの生体認証、ハードウェアキーのいずれかに設定できるため、マスターパスワードの入力が不要。入力間違いによるロックアウトやパスワードのリセットなど煩雑な作業を減らし、ユーザーが簡単かつ安全にログインできる。
(出所:Keeper公式Webサイト)
パスワードとパスフレーズの自動生成だけでなく、自動入力・保存、ユーザー間の安全な共有にも対応したパスワード管理ツール。暗号化されているため、共有した場合でも転送中の傍受リスクを防止。時間制限付きのアクセスの付与機能も備えているため、「自社CMSの改修などでベンダーやパートナーとログイン情報などを共有する必要がある」などの場合にも役立つ。そのほか、パスワードの使い回しやダークウェブへの脆弱性の検知などにも対応しており、情報漏えいがあればすぐに管理者に通知。24時間365日、日本語サポートがあるのも心強い。
(出所:Bitwarden公式Webサイト)
オープンソースから成るパスワード管理ツール。使用されているコードすべてが検査できる透明性の高さからNASAなど国家機密を取り扱う機関でも導入されている。外部サービスの利用について、厳しいセキュリティ標準を持っている場合にはおすすめ。パスワード生成では、最大20語までのパスフレーズも即座に生成・保存でき、強度チェック機能でパスワードが解析されるまでの時間と4段階の強度を診断。ブルートフォース攻撃などへの対策に有効だ。企業向けプランではチーム向け・大規模組織向けで規模に応じて選べる。
(出所:Dashlane公式Webサイト)
暗号化されたパスワードなどのログイン情報を、異なるデバイス・ブラウザ間で一元管理できる、クラウド型のパスワード管理ツール。ログイン情報の正常性確認機能と漏えい監視機能を強みとしている。パスワードの強度を判定し、脆弱性が見つかった場合は各ユーザーの画面に表示。各ユーザーが保有するパスワードの正常性はスコアで可視化され、管理者が組織全体の健全性を一目で確認できて便利。チーム内で共有しているログイン情報を更新した場合、自動的に共有されるため、個々での更新作業も不要。
パスワード生成ツールについて、種類やメリット、比較ポイントなどを紹介しました。
パスワード生成ツールは、複雑で強力なパスワードを自動生成することで、サイバー攻撃から重要なログイン情報を安全に守る効果があります。主なツールの種類は、以下の3つに分かれます。
パスワード自動生成だけでなく、自動保存・入力、チームや組織内での共有など、ツールによって利用できる機能やセキュリティの程度が異なります。そのほか、自社に合ったツールを選ぶ上では、組織の規模感、一元管理すべきログイン情報の範囲、社内外での共有の有無などをポイントに比較検討すると良いでしょう。
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