近年、タレントマネジメントが大手企業だけでなく中堅・中小企業にも広がっているのをご存知ですか? 今回は「聞いたことはあるけど、よく知らない」という方向けに、「タレントマネジメントとは」にはじまり、必要性、導入効果、更に中小企業における導入のポイントや注意点までわかりやすくご紹介していきます。
かつては大手企業中心に実施されていたタレントマネジメントですが、近年では、従業員数が300名にも満たない中小企業でも導入が相次いでいます。
タレントマネジメントとは、企業が従業員の能力やスキルを最大限に活かして、組織全体のパフォーマンスを向上させる人材管理手法のことです。
という点で、従来型の人事管理とは一線を隠します。
背景には、近年、中小企業で顕著になっている「人材不足」や「離職率の高さ」などの課題が挙げられます。多くの企業がその解決に向けてこれまで採用に力を入れてきましたが、残念ながら上手くいっているとは言い難い状況です。
そこで考えられたのが、「いい人材を採ること」ではなく、「今いる人材を活かす(いい人材を育てる)」こと。そのための手法としてのタレントマネジメントです。
そもそも、中小企業のように限られた人材で事業を成長させるためには、従業員一人ひとりのスキルや適性を把握し、その都度最適な配置・育成を行うことが不可欠です(ある意味では大手企業以上に)。その点、タレントマネジメントを導入すれば、以下のように人材情報が簡単に見える化できるようになります。
これにより、従業員を適材適所に配置できるようになるため、リソースに無駄がなくなります。個々の従業員に合った育成計画やキャリアアップ支援も可能になり、その結果、従業員満足度や生産性の向上にもつながり…というように好循環を生み出すと期待されています。
本記事では「中小企業✕タレントマネジメント」にスポットを当てて、「現状」「メリット」「注意点」などをわかりやすく解説します。また、近年の中小企業でのタレントマネジメント導入の追い風となっている「中小企業向けタレントマネジメントシステム」も合わせて紹介していきます。
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まずは中小企業におけるタレントマネジメントの普及・導入状況についてです。アスピックでは2025年3月、中小企業(従業員数10〜299名)の人事担当者を対象に、「タレントマネジメントに関する意識調査」を実施しました。
アンケートの結果、以下のことがわかりました。
期待や関心はあるものの、なぜ中小企業ではタレントマネジメントの導入が思うように進まないのでしょうか?その背景には、「統一感のない・属人的なデータ管理」「面倒なツールのつなぎ合わせ」が主な理由として挙げられます。
タレントマネジメントを行うためには、属性、経歴、評価、スキルなど社内に存在する様々な人材情報を一元的に管理し、分析することが必要です。しかし、中小企業では個々にExcelやスプレッドシートで管理しているため、「どこに何があるかわからない」「何がリアルかわからない」状態です。また人材配置や評価、育成・採用なども「これまでの経験則で判断する」「勘に頼る」など、属人的な傾向が強いのも課題です。
個別にExcelファイルで管理していたとしても、Vルックアップなどでつなぎ合わせたり、別途BIツールなどに読み込ませて可視化することで、タレントマネジメントを実施することは可能です。ただし、属人的な管理であることに変わりはありません。また、可視化できる範囲が限られていたり、「拡張が難しい」「専門知識がないと利用できない」など使い勝手に課題が残ります。
こういった課題を解消するために開発されたのが、様々な従業員情報をノーコードで一元管理でき、分析できるタレントマネジメントシステムです。企業はタレントマネジメントシステムを導入することで、データ管理の仕方やツールの使い分け・つなぎこみなどに悩まされることなく、タレントマネジメントを実施できるようになります。
中小企業向けタレントマネジメントシステムとは、数あるタレントマネジメントシステムの中でも、特に中小企業での利用に向いたプランや機能、仕様を持ったシステムのことです。
かつてのタレントマネジメントシステムは、従業員数が何千、何万人もいる大手企業での利用が前提だったため、「高度なデータ分析を搭載」「「基幹業務システムと一体化」「料金が高額」などが一般的でした。その分、中小企業が利用するには「複雑で使いづらい」「導入しづらい」「スモールスタートに不向き」といった課題が挙げられていました。
その点、中小企業向けタレントマネジメントシステムは
といった特徴があります。直感的に操作できるシンプルなUIが多く、専門知識がなくてもスムーズに使えるのもポイントです。
続いては、気になる費用感です。タレントマネジメントシステムは、営業やマーケティングツールなど売上に直結するものと異なり、導入効果が具体的な数値に表しにくいため、シビアにコストを見られがちです。
実際に中小企業向けタレントマネジメントシステムを導入した企業にヒアリングしたところ、想定予算は「利用者1名あたり年額5,000円〜1万円」という回答がありました。つまり、100名の企業であれば、予算の上限として年間50万円〜100万円を見込んでおいた方が良い、ということです。
多くのタレントマネジメントシステムは料金を公表しておらず、「人数や機能によって異なる」としていますが、中には、月額20,000円〜利用可能な「ヒトマワリ」のように予算基準を下回るものもあります。本記事後半には上記の基準に当てはまりそうなものをピックアップしてみました。処す愛は問い合わせてみないと定かではありませんが、システムを選ぶ際の参考にしてください。
中小企業がタレントマネジメントシステムを導入することにより、具体的には以下のような効果が期待できます。
タレントマネジメントシステムを利用すれば、プロフィールや経歴、資格・スキル、性格診断や評価情報など、従業員に関する様々な情報を顔写真付きの人材データベースで一元管理できます。組織図ツリーや部署ごとに閲覧できるため、「どこに誰がいるのか」一目瞭然に。管理者だけでなく、従業員間の相互理解にもつながります。
また、様々なデータをグラフや表にすることで「ここは年齢構成がいびつ」「評価が偏っている」「有資格者がいない」など、組織の状態も可視化できます。評価や育成に有用なのはもちろん、「社歴が5年以内で評価情報が二期連続でA以上」など様々な条件で人材を検索可能。スムーズな人事異動や抜擢人事にも役立ちます。
タレントマネジメントシステムなら評価業務を効率的に行えます。従来のやり方では、従業員ごとに目標を設定して、Excelの評価シートをメールでやりとりして、その上に評価の公平さまで求められて…と負担を感じている企業も少なくないはず。タレントマネジメントシステムなら共通のプラットフォーム上でやりとりして、進捗を管理できるため手間がかかりません。中には、評価の偏りを調整したり、管理者を評価できたり、更に便利なものも。
評価以外にも、タレントマネジメントシステムは人事にありがちなアンケートやサーベイを利用できるものも多く、中には、従業員満足度調査やストレスチェックなどにも対応したものも。特にストレスチェックに関しては、メンタルヘルス対策の一環として50人に満たない小規模事業者にも実施が義務付けられたばかり。まだ対応が済んでいない場合は、タレントマネジメントシステムと一緒に検討すると良いでしょう。
タレントマネジメントシステムを導入して、上記のように人材の可視化が進めば、従業員のキャリアアップ・モチベーションアップにもつながりやすくなります。また、評価が効率よく適正に行われれば、従業員の納得度も高まります。タレントマネジメントシステム導入による直接のメリットとは言えないかもしれませんが、無策でいるよりは明らかにエンゲージメントの向上が期待できます。
なお、改善するからには現時点でのエンゲージメントスコアを確認する必要がありますが、タレントマネジメントシステムの多くはそのための満足度調査を備えているため安心です。定期的に調査することで、推移もつかめますし、その間の人事施策の有効性もつかみやすくなります。そのほか、離職率の高い部署をデータ分析して探し出して、より的確な施策を実施するという使い方も可能です。
中小企業向けのタレントマネジメントシステムにも、いくつか種類が存在します。何を基準に自社に合ったものを選んでいけばいいか、ポイントを2点ご紹介します。
タレントマネジメントシステムの導入に際しては、「コストに見合ったメリットが見込めるのか」が重要です。まずは「自社にとって必要な機能は何か」を考えて、「それをどれだけ安価に提供してもらえるか」という点で比較検討してみましょう。
たとえば、「HRBrain」や「カオナビ」はタレマネ機能に特化している分、配置シミュレーション、組織分析など、データ活用の領域でできることに深みがあるのが魅力です。一方、「SmartHR」「One人事」は他のバックオフィス業務との連携に強みがあります。「SmartHR」は労務管理と連携することで従業員情報を入社〜退社まで一貫して管理できます。「One人事」は勤怠管理や給与計算などの人事労務全般を連携可能です。
なお、現在excelで管理している評価業務のシステム化など、「人事評価業務さえ効率化できればいい」という場合は、タレントマネジメントシステムではなく、その一歩手前の人事評価システムがおすすめです。詳細は「人事評価システム比較13選」をご覧ください。
タレントマネジメントシステムを単独で導入して、他の労務管理システムやHRシステムと連携させる場合は、データの連携が重要になります。当然ですが人材情報を蓄積するなら、2つは必要ありません。1つに統合すべきです。おそらく入退社・異動など人事発令に合わせる形になるため、労務管理のデータベースを活かすことになると思いますが、その場合でも連携の有無や連携の方法はしっかり確認しておきましょう。
また、業種別の活用ポイントにもなりますが、資格管理やスキル管理との棲み分けも重要です。小売・製造業では、ラインや売り場に応じて「有資格者が2人以上」「スキルを持っている人が5人以上」など細かく条件づけされている場合が少なくありません。既に企業で資格・スキル管理が実施されている場合は、タレントマネジメントシステムに統合させるのか、それとも別々に運用するのかを考える必要があります。
数あるタレントマネジメントシステムのうち、中小企業向けと思われるもの&中小企業での導入実績があるものをいくつか選定してあります。興味のある方は以下より資料を一括ダウンロードしてください。
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名称 | 特徴 |
---|---|
SmartHR |
|
HRBrain |
|
カオナビ |
|
ヒトマワリ |
|
One人事 |
|
中小向けに限らず、「どんなシステムがあるのか知りたい」「色々な角度からシステムを検討したい」という方は「タレントマネジメントシステム比較14選」をご覧ください。
最後に、タレントマネジメントを成功に導くためのコツについて触れておきます。タレントマネジメントシステムを導入する上では、以下の3つのポイントを心がけると良いでしょう。
タレントマネジメントシステムは「導入したら売上が上がった」など、効果が目に見えてわかるものではありません。その分、「導入してこれを解決する」という明確なゴール設定が大切です。評価業務をオンラインでやりとりできるようになるので一定のメリットはありますが、それだけではもったいありません。初めての導入で採用・育成などの人事施策に活かすのは少しハードルが高いので、まずはエンゲージメント向上や離職率の低減を目指すのが良さそうです。
たとえば、エンゲージメントであれば、まずアンケートを行って現状を把握したら、これまでの評価手法を改めてみましょう。評価者・評価制度などを抜本的に変えるだけでなく、「フィードバックを入れる」「途中で話す機会を作る」など、やり方は様々です。実施後、再度アンケートをとってエンゲージメントを測れば、ある程度効果がわかるはず。ベンダーによっては、導入時にある程度の道筋を作ってくれる場合があるので、大いに活用しましょう。
DXでは、システム導入を推進した人(導入意思決定者)と実際にシステムを触る人(実際に利用する人)が違うと、上手くいかない場合があります。中小企業向けのタレントマネジメントシステムの場合、経営者や管理職が導入を推進したとしても、実際に日々利用するのは現場の従業員であり、主に人事担当者(兼務も含む)や管理者です。
彼らにとって、タレントマネジメントシステムの導入が、入力・確認作業や1on1の機会など「負担が増すだけのイベント」になってしまわないように、経営者や管理職から現場への働きかけが大切です。たとえば、「タレントマネジメントシステムを何のために導入したのか」「これを利用することによってどのようなメリットがあるのか」をしっかり落とし込み、みんなが共通の意識を持って取り組めるようにしましょう。
中小向けのタレントマネジメントシステムは、もともとシンプルな形で提供されていることもあって、個別のサポートがとられていないものも少なくありません。FAQサイトやマニュアルは充実しているものの、無償サポートはせいぜいチャットやメールのみで、しかも回数制限がある場合も。「独力でどれぐらい使いこなせそうか」という判断は重要です。もしそういった対応に不安が残る場合は、有償のサポートも検討しておきましょう。
なお、導入時にサービスベンダーから、システム設定や「どんなデータをどこから取ってくればいいか」、その後の運用方法についてもアドバイスを受けられるので、最大限活用することをお勧めします。
生産性の向上に向けた「働き方改革」「業務の標準化」を求められる昨今、中小企業も待ったなしの状況に置かれています。そのためには個々の従業員について「誰が何をできて、何をできないのか」を明らかにするのが重要です。リソースやスキル・経験不足の状態を経営者や管理職だけでなく、職場のみんなが把握することで、短期的には主体的な業務分担や情報共有になりますし、長期的には採用・育成など組織強化につながります。
今回は、それに役立つ中小企業向けのタレントマネジメントについてご紹介しました。これまでは「人手不足」という量的な側面から語られることの多かった人的資本ですが、今後は量だけでなく、質の向上も求められます。まずは顔写真付きの従業員データベースで、人材情報の一元管理・可視化するところからでも構いません。本記事を参考にしながら、人的資本経営に向けて、一歩踏み出しましょう。
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