最終更新日:2024-06-27
勤怠管理や検温をサーマルカメラで効率化したい、感染症対策にも役立てたいという管理部門の方へ。勤怠管理との連動のほか、機能向上するサーマルカメラの効果的な使い方や選び方、タイプ別のおすすめサービスなどをご紹介します。
サーマルカメラとは、対象物の熱を感知するカメラのことです。離れた場所から対象物の温度を測定し、温度が高い部分は赤く、低い部分は青く表示することができます。「顔認証タイプ」「ハンディタイプ」「ドームタイプ」「バレットタイプ」など多彩な製品が提供されています。
コロナ禍を経て、従業員を出社させる場合に、感染症対策の一環として従業員の検温・記録を行い、体調不良の従業員の出社を制限するといった取り組みを継続して行っている企業も少なくありません。しかし、従業員と管理者双方にとって、日々の検温と記録は負担が大きいのも事実。サーマルカメラを活用すれば、わざわざ体温計などを利用する必要がなく、手軽に体温を可視化し、記録することができます。
本記事ではサーマルカメラの中でも、特に企業での有用性が高い顔認証タイプのサーマルカメラについて、メリットや活用方法、具体的なサービスを紹介します。
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サーマルカメラをオフィスで活用するメリットとして、主に3つ挙げることができます。
1つ目は、先に触れたように感染症対策を強化できることです。体温計での検温は、従業員同士の接触の機会も多く、機器の使い回しによる感染リスクも高まります。それに一度使った体温計を都度消毒するなど手間も多いため、運用・管理のためのリソースも必要になります。
サーマルカメラを導入すれば、非対面かつスピーディーな検温が可能になります。体温計による検温と比べると、オフィスの出入口に長蛇の列ができるということも少なくなるため3密の回避にも有効です。
また、多くの製品では、体温が事前に設定した数値を超えていた場合は、従業員に対してアラート表示したり、入室を制限したりすることが可能。更に、マスクをしていない場合にアラートを表示して、着用を促すこともできます。オフィス内へウイルスを持ち込ませないことで、クラスターの発生も防ぎます。
2つ目のメリットは、検温と同時に従業員の勤怠管理や体調管理も行えることです。
サーマルカメラには、AIによる顔認証機能を搭載するものがあります。あらかじめ従業員の顔データを登録しておけば、照合時にどの従業員がいつどこで体温測定を行ったのかログ情報を確認することが可能。体温測定の結果と勤怠情報を紐付けて、管理を自動化・効率化できます。
サーマルカメラと勤怠管理システムを連携させれば、勤怠管理システムの管理者画面から、毎日の体温や勤怠状況をリアルタイムで確認することが可能。万が一体調不良者が発生した際も、その従業員の就労状況を把握して、速やかに社内に共有・周知することができます。
また、サーマルカメラで記録したデータはクラウドで一元管理されるため、複数の拠点を一括で管理したり、在宅勤務の担当者がリモートで管理したりすることもできるようになります。
サーマルカメラは通常、オフィスの出入口に設置します。そのため、従業員はもちろん、社外から来訪した関係者に対しても「感染症対策を確実に行っている」という安心感を与え、イメージアップにも貢献するでしょう。
顔認証タイプのサーマルカメラによる勤怠管理の方法は、大きく分けて2つあります。
1つは、AIによる顔認証機能を搭載したサーマルカメラを勤怠管理システムと連携させる方法。もう1つは、勤怠モードを搭載した顔認証機能付きのサーマルカメラによって、自動で検温・記録をする方法です。以下に、導入時の具体的なフローを紹介します。
まずは勤怠管理システムと連携ができるサーマルカメラを選定しましょう。たとえば、アイリスオーヤマの「AIサーマルカメラ」は、外部の勤怠管理ソフトと顔認証端末から出力された CSV データによる自動連携が可能です。「OBC」や「AMANO」「ジョブカン」などとの連携実績があります。勤怠管理システムによっては、利用できるサーマルカメラが決まっている場合があるので注意が必要です。
顔認証を行う場合は、あらかじめ従業員の顔データをサーマルカメラに登録しておく必要があります。登録者数には上限があるので、事前に確認しておきましょう。たとえば、ISBの「顔認証 AI 搭載サーマルカメラ」は6,000人まで、アイリスオーヤマの「AIサーマルカメラ」は50,000人までの登録が可能です。
サーマルカメラの温度測定精度には、周囲の環境や使用位置、測定位置、設置位置などが大きく影響します。周囲の環境が整備されていないと、誤検知により余計な手間が増えてしまう可能性もあります。各提供会社が設定する動作環境温度や測定距離などを事前に確認し、機器仕様に合わせた設置を行いましょう。
勤怠管理も行えるサーマルカメラには、主に2つのタイプがあります。
1つ目が、勤怠管理システムが提供するサーマルカメラを利用するタイプです。この場合、勤怠管理システムが主体となるため、感染症対策や体調管理だけでなく、出退勤の管理、更に残業時間算出や有給休暇の自動付与といった労務管理の範囲まで対応できることができます。ただし、標準機能で対応するサービスはほとんどなく、専用端末やオプションプランを利用する必要があるので注意が必要です。
たとえば、「KING OF TIME」の場合、勤怠管理システムとは別に、AI温度検知ソリューション 「SenseThunder」の専用端末を購入する必要があります。「ガルフCMS 勤怠管理」や「ちゃっかり勤太くん」などは、同社が別途開発提供する専用端末を連携することでサーマルカメラを利用することができるようになります。
2つ目が、サーマルカメラ本体の機能として勤怠管理を行えるタイプです。
ISBの「顔認証 AI 搭載サーマルカメラ」は、本体の設定項目として出退勤モードの変更が可能です。アイリスオーヤマの「AIサーマルカメラ」には、管理に適した6種類の出退勤モードを搭載。時間を自動で記録できる自動モード、顔認証後に手動で記録する手動モードなど、カスタマイズが可能です。手動モードでは、顔認証後に出勤・退勤、休憩開始・終了などのアイコンをタッチパネルから選択することで、勤怠情報を登録できます。
シンプルな設定で導入後すぐに運用できることがメリットと言えます。
では、サーマルカメラによる検温と勤怠管理を同時に行う場合、どのような端末を選べば良いのでしょうか。選び方のポイントを整理します。
勤怠管理システムと連携といっても、サーマルカメラの記録をCSVファイルに変換してから勤怠管理システムに取り込む、といった方法を採用しているものも多くあります。
しかし、出勤・退勤だけでなく、休憩時間や一時的な外出なども管理したい場合には、CSVファイルで勤怠管理システムに取り込むのは非効率ともいえます。そうした場合には、出勤・退勤・休憩の開始や終了などと同時に、検温結果やマスクの着用状況をリアルタイムに記録できる勤怠管理システムを選ぶと良いでしょう。
勤怠の打刻については、入退室の記録から管理する方法もあります。
扉の鍵を電気的に管理して解錠のためのID認証端末を設置する入退室システムや電子錠(扉)は、部外者の入室や特定の部屋への出入りの記録を厳密に管理するためのものです。これをサーマルカメラと連携させれば、発熱者やマスクを着用していない従業員に対して扉を開けないといった対応が可能になり、入室を自動的に防止することができます。
「KING OF TIME」や「ISBの顔認証 AI 搭載サーマルカメラ」のように、入退室管理システムや電子錠(扉)と連携できるものもあります。
サーマルカメラの中には、出勤や退勤時に端末にタッチしなければならないものもあります。端末への接触は感染リスクにつながることもあり、利便性も考慮すると、顔認証だけで勤怠管理ができるカメラのほうが良いといえるでしょう。
アイリスオーヤマの「AIサーマルカメラ」などは、顔認証だけで記録ができるため、出勤・退勤時に端末に触れる必要がありません。一方、「ちゃっかり勤太くん」などは、従業員がタッチパネルを操作して出勤・退勤を記録する必要があります。ただし、従業員がサーマルカメラ付き端末の前を通るたびに記録されてしまうと、内容過多になったり、勤怠情報に誤差が生じたりなど、かえって利便性が下がってしまうことも考えられます。
設置場所も考慮に入れ、接触・非接触どちらが自社に適しているかを検討するのが良いといえます。
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(出所:KING OF TIME公式Webサイト)
汎用性に長けた勤怠管理システム。PC・スマホ以外にも、ICカードや指紋・顔での生体認証、入退室連携など多彩な打刻方法と多様な機能を備える。業種・業界を問わず、小規模企業からエンタープライズ企業まで導入実績58,000社以上。
AIを利用したサーモグラフィカメラ(SenseThunder)と連携すれば、従業員はカメラの前に立つだけで温度検知と顔認証による勤怠打刻ができ、マスクをつけたままでも、わずか0.5秒で温度推定と個人の識別が可能。健康管理だけでなく、勤怠・入退室管理といった、日々の業務の効率化も同時に行える。
(出所:ガルフCSM 勤怠管理公式Webサイト)
複数の店舗をもつチェーンストアをはじめ、主に飲食・小売店でのスタッフ管理に利用されている勤怠管理システム。高精度なサーマルセンサーを搭載した、同社の非接触検温付きAI顔認証端末の活用により、非接触で体温測定や顔認証、マスクの着用チェック、出退勤の打刻を同時に行うことが可能。端末で取得された情報は、自動で勤怠管理システムに反映される。端末は、壁掛けや卓上、ポールタイプなどの種類があり、設置する場所にあわせて選べる。
各端末はクラウドで一括管理。設置場所が多数におよぶ場合も、どの拠点で体調不良者が発生したのか、就労状況とあわせてリアルタイムに把握できる。
(出所:ちゃっかり勤太くん公式Webサイト)
各業界の基幹システム開発に実績の多いエイ・アイ・エスが提供する勤怠管理システム。AI顔認証サーマルカメラとの連携によって、検温やマスク着用の検知、未着用の場合の音声アラート発出が可能。マスクをつけたままでも、たった0.2秒で顔認証。検温は非接触でありながら誤差は±0.5に抑えられており、安全かつ高精度に測定できる。端末で取得した情報は、日々の勤怠情報と合わせてクラウド上で確認できる。
多様な業種で導入されており、就業ルールに合わせたカスタマイズ性も高い。専門スタッフによるアフターサポート、ユーザー相談会によるユーザー同士の疑問・解消の共有にも取り組む。
(出所:MC事務時管公式Webサイト)
勤怠管理の総合メーカーであるエムズ・クリエイティブが提供する勤怠管理システム。データスコープ社のAIサーマルカメラ「FaceFC」と連携し、顔認証と非接触での検温、マスクの着用検知が可能。カメラで顔認証を行った時刻をそのまま出退勤の打刻データとして勤怠管理システムに取り込める。
1日で顔認証を複数回行った場合は、最初の顔認証時刻を出勤、最後の顔認証記録を退勤時刻として記録する。タイムレコーダーとの併用もしくは、システムの訂正機能の利用によって、外出、戻りの打刻にも対応可能。検温結果とマスク着用状況は勤務表に色に分けて表示される。
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(出所:顔認証 AI 搭載サーマルカメラ公式Webサイト)
ISBが提供するAI機能付セルフチェック用タブレット型サーマルカメラ。AI による顔認証機能で顔データベースと照合。約0.2 秒程度でスピーディーに測定する。事前にユーザーの顔を登録しておくことで、照合時に誰がいつどこで検温を行ったのか、ログ情報を確認できる。マスク着用時でも検温ができ、マスクを着用していない場合には音声でのアラートが可能。
入退室管理システム「ALLIGATE(株式会社アート)」とジョブカンなどの勤怠管理システムを連携させることで、入退室管理と勤怠管理が同時に行うことができる。
(出所:AIサーマルカメラ公式Webサイト)
40,000台以上の販売台数を誇る、アイリスオーヤマのAIサーマルカメラ。顔認証と体温測定を同時に実施。顔認証スピードは約0.2秒、顔認証精度は約99%と、スピーディーかつ正確な測定に強み。マスク着用時の認証にも対応している。顔認証で記録した個人ID、時刻、温度測定などのデータは、OBCやAMANO、ジョブカンなどの勤怠管理システムや給与計算ソフトと連携できる。
顔を立体的にとらえることで、顔写真を使った他人によるなりすましなどの不正行為を防止。事前にQRコードを発行・共有することで、来客時の入退室管理にも利用できる。
With コロナ時代の感染症対策として、これまでにはなかった業務が増えています。業種・業態にもよりますが、従業員の体温測定はその最たる例と言えるでしょう。毎日の定型業務になったからこそ、管理者と従業員双方にとって負担を軽減したいはず。業務を効率化し、生産性を向上するためにも、サーマルカメラのメリットや活用方法を自社ニーズに照らし合わせ、導入を検討してみてください。
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