最終更新日:2024-09-18
債権管理や入金管理、入金消込といった経理業務の負担軽減や効率化のために、債権管理システムの導入を検討している担当者の方へ。債権管理システムのメリットやサービスのタイプ、比較ポイント、おすすめのサービスを紹介します。
債権管理システムとは、債権情報や入金情報などを一元管理することで債権を適切に把握し、管理効率化を支援するシステムのことです。
Excelでの管理、目視や転記、銀行データや請求データとの突き合わせなど、手作業や目視による入金消込作業は属人化しがちです。更に、手作業に頼るとミスが発生しやすくなったり、経理と営業の担当者間で債権管理が二重になってしまったりといったデメリットも。また、すでに会計システムや請求書発行システムを導入している場合も、取引ごとの情報管理や売掛金、前受金、未収入金など判別は困難です。
しかし、債権管理システムを導入すれば、取引ごとの処理に柔軟に対応したうえで入金消込を自動化でき、手作業の大半を削減できるため、経理業務全体の大幅な効率化を図れます。
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債権管理システムの具体的な導入メリットを3つ紹介します。
手作業での入金消込は負荷が大きく、特に支店や拠点ごとに消込作業を行っている場合は、人的にも時間的にも多大なリソースがかかります。また、経理と営業の担当者間でうまく情報共有がされず、請求情報と売掛金管理台帳の突き合わせ作業が課題となっているケースも少なくありません。
債権管理システムで消込作業が自動化されることで、業務負荷を軽減しながらミスを減らせるうえ、売掛金管理台帳の突き合わせも不要に。1拠点での業務集約によって人員も時間も削減できます。
営業担当者が自ら取引先の入金状況を確認できるため、経理担当者に問い合わせる手間やタイムラグが減り、債権回収を迅速に行えるように。また、拠点ごとに散らばっていた債権・債務情報を一元管理することで、不渡りや未払いといったリスクを未然に防げます。関連部署間での滞留情報の共有は、債権督促の効率化や利益確保を向上させる意識の醸成にもつながるでしょう。
一般的な会計システムでは売掛・前受・未収入金などの入金情報までは判別できず、取引単位ごとの管理やリアルタイムでの請求・回収・支払情報の可視化にも対処しきれません。
一方、債権管理システムを使用すれば、債権の滞留状況や入金結果の詳細をいつでも確認でき、与信管理を正確に行えるように。これにより、債権・入金の管理体制が強化され、回収もれなどのリスクを防げるようになり、適切な経営判断にもつながります。
債権管理システムは、次の3タイプに大別できます。
入金消込業務に特化した機能を搭載するタイプです。「入金消込の目視・手作業によるミスや属人化を防ぎたい」「会計システムでは対応しきれない消込業務を効率化したい」「取引先が多く多拠点で展開しており、消込業務が煩雑」「少人数で経理業務を回している」といった課題を抱える企業に適しています。
代表的なものは「V-ONEクラウド」で、入金消込に特化した独立型の債権管理システムのため、業務フローを大幅に変えることなく導入可能です。
請求書の作成から発行・送付という、一連の請求業務のうち、入金消込業務を自動化できるタイプのシステムです。
たとえば、クラウド見積・請求・入金管理ソフトの「MakeLeaps」は、2つの入金消込方法に対応。「①入金管理画面から口座の入金情報と書類の紐付け・入金消込をする方法」と、「②請求書一覧から請求書を選択して入金消込する方法」とがあります。加えて、機械学習機能「入金アシスト」の照合提案により、消込作業の短縮も可能です。
販売管理全体の業務プロセスの効率化を念頭に、債権管理を効率化したい場合には、ERPや販売管理システムが候補に挙げられます。ERPや販売管理システムの中には、段階的に必要なシステムを導入できるタイプもあるので、まずはスモールスタートをして、将来的に基幹業務をERPへ切り替えることも可能です。
たとえば、「販売管理システムAlly」では、「債権管理システム」「債務管理システム」「債権債務管理システム」から、自社ニーズに合ったサービスを単独で導入できます。また、クラウドERPの「ProActive」や「GrowOne 販売情報システム」は、各業務モジュール・パッケージを提供。全機能の一括利用はもちろん、必要に応じて個別の業務モジュールや機能ごとの利用が可能です。販売管理の主要機能として、債権管理システムを利用できます。
様々な債権管理システムを比較検討する際に押えておきたい3つのポイントを見ていきましょう。
入金消込に付随する業務の効率化も図りたい場合は、システムが対応できる業務範囲を確認しましょう。たとえば、請求書の作成・発行も一緒に効率化したい場合は、請求書発行システムに債権管理機能が付帯されているシステムがおすすめです。
債権の督促や販売管理の効率化、見積書の共有など、営業担当者も頻繁にシステムを利用することが想定される場合は、「販売管理システムAlly」のように販売管理システムに付帯したサービスが適しています。
あるいは、債権の計上や入金決済で生じる様々なケースを細かく制御することで、正確に会計処理をしたい場合には、「会計ERP OPEN21de3」のような会計システムに付帯したサービスが適しているでしょう。
将来的に債権から債務までをまとめて管理し、正確に相殺処理をしたい場合には、債務管理システムのラインナップがある会計システムの利用を優先的に検討しましょう。「奉行クラウド」や「マネーフォワード クラウド」は、同シリーズ内に、債務管理に特化したサービスを展開しています。
外部システムとの連携も重要なポイントです。銀行口座の入金データを手動でインポートすると、データの重複や残高が合わないといったトラブルが発生しがちです。また、複数のネットバンキングにログインしてデータ取得する作業も、積もり積もると大きな負荷に。検討段階で、自動的に銀行口座からの入金データを取得できるかを確認しておくと良いでしょう。
また、自社で利用中の会計システムと連携できるかも確認が必要です。主要サービスであれば、CSV連携で対応できることがほとんどですが、各社サービスの連携実績をあらかじめ確認しておくと安心です。
複数の請求データと入金手段を同時に自動消込ができるかもチェックしておきましょう。クレジットカードの期限切れや入金額の間違いなど、何らかの理由で正しく入金できなかった場合に、振り込みがイレギュラーになる可能性があるためです。
たとえば、「請求管理ロボ」は、銀行、クレジットカード、口座振替、コンビニなど多彩な決済手段に対応。入金された「名義」と「金額」が事前登録されたデータと一致しない場合は、未消込の請求情報が一覧として抽出され、手動消込ができます。名義不一致で自動消込が失敗した口座名義は学習機能によって記憶され、次回からは自動で消込が可能です。
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（出所：V-ONEクラウド公式Webサイト）
導入企業数1,500社以上の入金消込・特化型システム。AIによる自動化に強みを持ち、自社の運用に応じてカスタマイズできる「Victory-ONE/G5」や、BtoC企業向けの「Victory-ONE【決済管理】」、メーカー・卸業向けの「Victory-ONE【検収照合】」など、様々なサービスを展開している。
手間のかかる入金消込をワンクリックで瞬時に照合。請求額と入金額が一致しない場合も、請求額に合わせて対象入金を自動でレコメンドしてくれるため、明細レベルの照合においても作業効率化を実現。
複数金融機関の入金情報を自動取得・更新する「入金データ自動連携」のほか、残高年齢表」など10種以上の帳票ファイルを自動出力できる機能、回収状況や滞留状況を営業部門にチャットやメールで素早く通知できる機能など、入金消込に付随する業務効率化のための機能も充実。全社的な債権回収意識の向上にもつなげられる。
（出所：債権奉行クラウド公式Webサイト）
債権管理業務をトータルでシステム化できる債権管理システム。自動学習やデータ連携により、回収予定管理から入金消込、回収管理といった債権管理に関わる幅広い業務に対応。未入金・滞留債権が発生すると、自動的に営業担当にアラートが通知されるため、回収もれを未然に防止。債権・回収情報に追加・変更があった際もデータに即反映されるため、常に正確な回収予定管理や債権残高管理が行える。
決算や監査の際は、取引先に送付する債権残高確認書を自社独自のフォームに合わせて自動作成。債権残高、未入金、入金情報をもとに、取引先別の「実績推移表」や「実績対比表」も自動作成できるため、今後の与信高の見直しの判断にも有効。
また、顧問の税理士といった専門家に提供可能な「専門家ライセンス」が付属しており、債権回収や資金操りといった相談ができるのも嬉しい。
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（出所：請求管理ロボ公式Webサイト）
導入企業700社以上。月間10万件以上の請求書にも対応できる債権管理システム。請求書の作成・送付、集金、入金消込、催促までをワンシステムでカバーでき、毎月の請求業務を約80%削減する。
通常のクラウドサービス「請求管理ロボ」のほか、Salesforceやkintone向けサービス、与信審査から回収まですべて任せられる「請求まるなげロボ」といったラインナップがそろう。
独自の照合システムにより、消込業務を完全自動化。振込名義不一致により、一度手動消込を行った口座情報は、次回以降の自動消込対象として記憶することで、銀行振込による消込にも対応する。豊富な決済手段に対応した入金消込も特徴で、銀行振込消込をはじめ、クレジットカード消込、口座振替消込、コンビニ払込票消込も可能。
「MFクラウド」「PCA会計」「勘定奉行」はもちろん、他社会計ソフトとの連携実績も多数。
（出所：freee請求書公式Webサイト）
適格請求書の発行に加え、入金管理・入金消込といった債権管理や会計業務まで自動化できるツール。インボイス制度・電子帳簿保存法に完全対応。
見積書・納品書・請求書を紐付けての管理はもちろん、債権額が自動で入金レポートに反映され、入金明細とマッチングされる。記帳がそのまま債権管理に直結することにより、業務負荷が大幅に軽減。作成した仕訳データを会計システムに取り込めば、仕訳入力まで自動化できる。
また、経理アウトソースとしてBPOサービスも提供しており、法令対応や業務効率化を進める際にサポートを受けることも可能。
（出所：マネーフォワード クラウド請求書Plus公式Webサイト）
請求書発行から入金消込まで債権管理業務を一元管理できる、IPO準備・中堅〜上場企業向けのクラウド請求書発行システム。
SalesforceなどのCRMからデータを取り込み、正確な請求書を簡単に作成可能。サブスクリプション事業者特有の分割請求や分割計上といった債権処理フロー全体の管理にも対応し、分割請求書もワンクリックで発行できる手軽さが魅力。
「債権残高表」は請求書発行や消込時に自動更新され、正確な債権残高をリアルタイムに把握可能。同社の「クラウド会計Plus」と連携すれば、中堅企業向けの統合会計パッケージとして利用できる。インボイス制度・電子帳簿保存法といった法令改正や消費税増税などにも自動アップデートでスピーティーに対応する。
（出所：MakeLeaps公式Webサイト）
リコーグループの一員「メイクリープス」による、クラウド型見積・請求・入金管理サービス。
見積書、発注書、請求書など9種類の書類作成ができ、定額請求はスケジュール設定によりワンクリックで請求書を作成。「口座連携機能」や「カード決済機能」「バーチャル口座連携」「口座振替連携サービス」といった、入金消込作業の負荷軽減に寄与する機能が充実している。
また、書類データは「RICOH証憑電子保存サービス」との連携により一元管理可能（有料オプション）。kintoneや外部の販売管理ソフト、会計管理ソフトとの連携にも幅広く対応する。特徴的なのは、英文・外貨での書類作成ができる点。和文と英文の書類テンプレートが用意されているため、外国籍のメンバーの取引操作や国際的な取引の場面に適している。
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（出所：販売管理システムAlly公式Webサイト）
見積管理、契約管理、請求管理、債権・債務管理のシステム化により、「契約」に基づいた請求書発行のタイミング管理を実現する販売管理システム。「債権債務管理システム」「債権管理システム」「債務管理システム」の3種から、求める機能に応じて選択可能。
契約に基づく請求書の自動作成により、請求もれや更新契約もれ、請求の二重管理を解消。取引先に対して発行する請求明細に対して、複数の売上明細を紐づけて管理することで、適切な売上計上を実現する。
振込手数料や取引先との消費税計算方法の違いによる消費税差額の自動仕訳、過入金発生時の預り金や不足金への対応、売掛金の消込、前受金の自動仕訳といった機能を標準搭載することで、入金消込作業を自動化。煩雑な経理業務を効率化できる。
（出所：ProActive公式Webサイト）
国産初のERPとして、31年間で6,600社、300以上 の企業グループへの導入実績を持つERPパッケージ。
会計から人事給与、販売管理、経費・勤怠管理まで、基幹業務全体をカバーする4つのサービスを提供しており、モジュールごとに段階的な導入やグループ展開にも対応する。
会計の主要機能として「債権管理システム」を備え、売掛金・未収金・預り金や多通貨の外貨建債権など、取引で発生した各種債権を一元的に管理。請求依頼が登録されると、取引先情報や金額をもとに回収条件が自動で判定され、その条件に応じた請求書の発行や回収処理、入金との消込を自動で行うことで業務の効率化を実現する。
（出所：クラウドERP ZAC公式Webサイト）
案件・プロジェクト単位で進行する業種に最適化された、クラウドERPソリューション。1,000社、30万ライセンスの導入実績を持ち、ベンチャーから上場企業・大手企業まで、多数の成長企業に選ばれている。
利用したい機能やシステム化したい部分・範囲にあわせて、モジュールを自由に選択可能。「販売管理モジュール」では、請求書を案件やプロジェクト単位で発行できるほか、分割請求・前受請求などの請求方法や、要望に応じた合計請求書の作成・発行にも対応。
受注確度管理や受注予定日といった「案件・プロジェクト管理機能」に加え、「ワークフロー」「プロジェクト収支管理」などの機能により、販売業務全体を管理できるのも強み。
また、「いつ」「誰が」「どの案件で」「どのような承認を行ったか」を証跡管理できる「ログの自動保存」など、内部統制の強化に役立つ機能も充実。
(出所：GrowOne 販売情報システム 公式Webサイト)
「パッケージ商品」と「スクラッチ開発」のメリットをあわせ持つ、セミオーダー型の販売管理システム。
見積から受発注、販売、購買、在庫、債権・債務の管理まで、販売業務を一元管理可能。商社や電気機械・建材・紙製品・食品の卸売業、運送業など、様々な業種に対応するパッケージが用意されており、同業種のノウハウを取り込みながら、企業ごとの課題や目的に応じた機能を追加し、独自システムを構築できるのが強み。会計、営業支援といった外部システムとの連携にも対応。
債権管理機能では、伝票起票日から請求日・入金日・支払日が自動取得されるため、正確で迅速な回収・支払計画が可能に。FB入金情報の取込から請求書の自動消込までを行い、債権管理業務の負荷を軽減できる。
（出所：会計ERP OPEN21de3公式Webサイト）
会計システム専門ベンダーのICSパートナーズが提供する会計ERP。基本会計、債務支払管理、固定資産管理、リース資産管理など会計業務に関わる多彩なシステムの一部として、債権管理システムを利用可能。既存の販売管理システムとの高い親和性により、煩雑な入金消込業務を効率化し、債権管理を強化できる。
実践に即した機能と操作性が特徴の「請求データ取込機能」「入金データ取込機能」により、債権管理業務を半自動化。「ドリルダウン機能」「請求データ・入金データ検索機能」など、未収を放置しないための仕組みも充実。「一括自動消込機能」「個別消込機能」により、より効率的に照合率を高めることで、業務改善に寄与する。
同社の「3Dコンセプト」に基づいたシステム設計により、問題・課題への早期対処・修正を行うことでスピーディーな経営支援を実現する。
債権管理システムとは、債権情報や入金情報などを一元管理することで債権管理の効率化を支援するシステムのことです。システムの導入により、「消込作業の自動化」「債権回収の効率化」「債権・入金の管理体制の強化と経営リスクの軽減」といったメリットがあります。
債権管理システムは、以下のタイプに分類されます。
自社の課題やニーズを考慮しながら、以下のポイントも押さえたうえで自社に合った債権管理システムを検討してみてください。
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