社会福祉法人会計基準の対応に課題を抱えている施設経営者や経理担当の方へ。業務効率化を実現する会計ソフトのメリットやタイプ、具体的なサービスについて紹介します。
社会福祉法人向け会計システムとは、一般企業とは異なる会計要件や内部統制を求められる社会福祉法人に役立つ機能を豊富に搭載したシステムのことを指します。
社会福祉法人は社会福祉事業を目的とした非営利法人ということで、営利を目的とした一般企業の企業会計と比較すると「利益の計算」よりも事業の継続性や安定性などの情報を提供する「事業活動の成果、資金収支の計算」が重視されます。そのため、以下のように一般的な企業会計と異なる対応が求められます。
特有の会計制度への対応 | 社会福祉法人の会計は、事業区分・拠点区分・サービス区分の3つの階層に区分して、それぞれ計算書類を作成しなければならない。 |
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新たな会計基準への対応 | 社会福祉法人は2019年に改正された社会福祉法の会計基準に適合する必要がある。会計担当者には高度な専門知識が求められる。 |
情報公開への対応 | 社会福祉法人は運営の透明性を確保するため、財務諸表などの情報をWAM NETに公開しなければならない。 |
こういった対応は通常の会計システムでは難しく、また専門性を要することから、一般企業の経理と比べると難易度が上がります。課題を解決し、業務効率化を図るには、社会福祉法人特有の課題に特化した専用システムの活用が有効です。
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社会福祉法人向けの会計システムの具体的な導入メリットは「経理業務の効率化」「内部統制の強化」「経営状態の把握」の3点が挙げられます。以下、一つずつ詳細に説明していきます。
電子開示システムへの入力は、手入力が前提とされていますが、資金収支明細書、事業活動明細書、貸借対照表についてはシステムで作成したデータを取り込むことができるため、入力の手間を軽減できます。
社会福祉法人特有の勘定科目について、細かな設定を行うことが可能です。また、一度の仕訳入力で「資金収支計算書」「事業活動計算書」「貸借対照表」への仕訳を自動生成できるので、入力の手間を省けます。新しい会計基準に準拠した財務諸表の作成についても、会計区分、事業区分を自由に設定可能。事業間・拠点間・サービス間といった内部取引での仕訳に対応しています。
銀行や信販会社など複数の金融機関から、インターネットを利用して取引データを自動受信できます。さらに、仕訳ルールの学習機能が備わっているシステムであれば、取引データをもとに、仕訳の計上ができるようになります。他にも、伺書からインターネットバンキングによる支払いまで自動化できるシステムもあります。
会計システムのデータを顧問先と連携させることで、会計士が監査で会社に来るときだけでなく、リアルタイムでチェックができ、情報共有もスムーズです。疑問点を速やかに解消できるようになるので、早め早めの対応が取れるようになります。クラウド上にデータが集約されているため、施設が多くてもすべての情報を随時確認してもらえるので安心です。
電子承認のプロセスを階層ごとに登録できるシステムがほとんどなので、社内で伺書を回覧するかたちで行っていた承認方法に比べ、効率よく承認プロセスを進められます。間接業務の削減になると同時に、内部統制の強化にもつながるといえるでしょう。
病院内保育施設などの受託事業で契約金や利用料などの収入が急激に下がったときも、予算管理で収支の変化が数字で追えるようになるため、気づきを得たり、対応を検討したりしやすいという点で役立ちます。また、自法人の実績について、予算だけでなく、システムが保有する独自の経営指標に基づいた同業者データと比較して、経営状態を把握できるサービスもあります。
会計システムでは、各種社会福祉法人に特化した経営指標による分析ができて、グラフ等を使ったビジュアル化も簡単です。理事会用の資料を作成するときなどは、このツールが役立つでしょう。
社会福祉法人向けの会計システムは、効率化したい業務の対応範囲によって、主に以下の4タイプに分けられます。
事業所が1〜10未満の中小規模の法人に適したタイプです。一般的な会計システムでの入力、社会福祉法人決算レポートシステムでの出力で構成されているため、日々の入力作業の効率化を図れます。税理士と連携できるサービスが多いので、事業規模を拡大する際にもデータを移行することなく、引き続き利用できます。
たとえば「社会福祉法人 with freee」は使いやすいUIが特徴で、経理専任の職員がいなくても短時間で経理業務を進めることができます。「MSJ財務大将」は、社会福祉法人に特化した決算書と管理会計システムを組み合わせたパッケージで導入できます。仕訳入力した段階で勘定科目に応じた資金繰り科目が設定され、リアルタイムで資金繰りの計算や集計を行うことが可能です。
「JDL IBEXクラウド組曲Major 社会福祉法人会計」は、「借方」「貸方」「損益/収支」欄に科目を入力することで、資金収支計算書・事業活動計算書・貸借対照表のそれぞれに転記可能。また、使用頻度の高い摘要を登録しておけば、テンキーのみで仕訳入力が行え、スピーディに処理することができます。
社会福祉法人会計に特化したパッケージで、複数施設の運営を前提とした大規模向けの会計システムです。特に収益30億円または負債60億円を超える社会福祉法人は、会計監査人の設置が義務となるため、税理士と連携して使えると利便性が高まり、内部統制の強化にもつながります。
たとえば「FX4クラウド社会福祉法人会計用」は、固定資産管理システムとのデータ連携で、財産目録を簡単に作成できるので二重入力が不要。また、2016年に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」で求められている「社会福祉充実計画」を策定するための「社会福祉充実残額計算機能」を搭載しています。社会福祉充実計画は税理士などからの意見聴取が法律により必要になるので、会計データを税理士と共有できるようにしておけば、スムーズに策定を進めることができます。
「PCAサブスク社会福祉法人会計」は、管理グループを設定し、グループごとに財務諸表を集計することができるので、事業をまたいだ財務状況の把握が可能です。社会福祉事業者向けの業務システム「ほのぼのNEXT」と連携していて、「利用者負担請求」「介護給付費請求」のデータを仕訳データとして受け入れることができます。
拠点数が10以上ある中・大規模事業所向けの「福祉大臣NXクラウド」 は「給与大臣」や「人事大臣」などの他の大臣NXクラウドシリーズと連携でき、人事労務まで網羅することができます。福祉大臣NXクラウドは小規模向けもあるので、スモールスタートで導入できるというメリットもあります。
事業所の会計・経理業務を軸として、給与計算、預かり金管理、栄養計算などのバックオフィス業務といった施設支援についても効率化できるタイプです。
「SWING」は、老人福祉施設、障がい者支援施設、保育所、社会福祉協議会などの施設に特化した福祉総合システムです。財務会計を中心に経営分析、給与計算、預り金管理、栄養計算等のシステムを提供しています。異動・取得資格情報等のより詳細な人事情報を一元管理できる「職務履歴管理オプション」も搭載されています。
「SiS会計システム」は、会計システムの他に介護保険、給与・謝礼、資産管理、貸与管理、の各システムと連動が可能な総合システムです。介護老人福祉施設、居宅・通所・訪問などの介護支援事業所、地域包括支援センターで多く運用されています。
ケアの記録など、現場業務の効率化をサポートするためのシステムの基幹業務機能として、会計システムを備えているタイプです。
たとえば「ほのぼのNEXT」は介護事業者向け、障がい福祉事業者向けに作られた、ケアの記録などの業務効率改善のためのシステムです。「ほのぼの」シリーズ財務会計システムでは、PCAと連携し、同シリーズの介護保険対応・障がい者自立支援法対応システムを利用している場合に、利用料・介護報酬等の情報を取り込み、仕訳伝票を自動作成できます。
「福祉見聞録シリーズ」は、業務支援、ケアプラン、介護保険や各サービス・施設の請求などの機能を搭載した総合システムで、会計は基幹業務システムに含まれています。多くの機能をひとつのシステムに集約して使いたい場合に適しています。
こちらでは、経理担当者などが日々行う入力業務の効率化を図れるサービスを3つ紹介しています。
(出所:社会福祉法人 with freee公式Webサイト)
クラウド会計ソフト「freee会計」とAPIで連携した社会福祉法人向けシステム。会計freeeを使用して日々の会計データを入力できる。入力後に福祉freeeにログインすると、勘定科目・取引先・部門・仕訳日記帳などのデータをAPI連携で取得することで、社会福祉法人に対応した会計伝票、総勘定元帳や事業活動計算書などの各種レポートを出力できる。
決算書数値を「財務諸表等入力シート」へ書き込むことも可能。「メールサポート」や「電話サポート」があるので経理専任の担当者でなくても使用でき、複数事業にも対応していることもメリット。
(出所:MSJ財務大将公式Webサイト)
財務大将の業種向け財務システムのうちの、社会福祉法人に特化した決算書と会計管理がパッケージになった会計システム。一度の仕訳入力で「資金収支計算書」「事業活動計算書」「貸借対照表」への仕訳を自動生成し、入力の二度手間を解消。「銀行」「取引先」「社員」などの補助勘定科目を設定できるので、仕訳取引が区分でき、科目の内訳残高管理や債権債務管理を日常的に行える。勘定科目の性格に応じた資金繰り科目が設定できるので、資金繰りの計算や集計をリアルタイムに行えるので、経営面での指標を得られやすいことも特長。
財務や経営情報サービスの専門企業として40年以上の実績のもとシステム研修会やスキルアップセミナー、e-Learningの提供など、スキルアッププログラムを多数取り揃えている点も心強い。
(出所:JDL IBEXクラウド組曲Major 社会福祉法人会計公式Webサイト)
「JDL IBEXクラウド組曲Majo財務」で利用できるオプションシステム。会計データ入力をキーステーションに、入力・チェック・帳表作成までシームレスにシステムが展開。最新の財務状況を反映した試算表・元帳・仕訳一覧が表示でき、スムーズな処理を行える。
仕訳入力はテンキーのみで行えて、1つの仕訳から「資金収支計算書」「事業活動計算書」「貸借対照表」の3つに転記可能。振替伝票形式の入力に対応、複数のPCから同時に入力可能など、スピーディーな仕訳入力を実現できる機能の搭載が大きな特長。
こちらでは、複数事業を展開する社会福祉法人の会計処理に便利なシステムを3つ紹介しています。
(出所:FX4クラウド社会福祉法人会計用公式Webサイト)
電子帳簿ソフト法的要件認証の第1号認証を取得しているFX4クラウドの社会福祉法人会計用システム。クラウド型システムにより、複数の拠点・施設から入力や確認が可能。社会福祉法人会計基準が定める区分経理に完全準拠し、予算と自社実績の比較や「TKC社会福祉法人経営指標(S-BAST)」に収録されている同業者データの値とも比較ができる。
クラウドデータはTKCデータセンターで管理され、同社の正社員が「システム監視」と「セキュリティー」を24時間365日実施。10年分の仕訳と、2年分の伺書データを保管し、いつでも参照できる巨大なデータストレージも特長。
(出所:PCAサブスク社会福祉法人会計公式Webサイト)
国産会計ソフトウェアの老舗PCAが提供するサブスクリプションサービスの社会福祉法人特化版。平成28年改正の社会福祉法に標準対応。クラウドでありながら、柔軟な連携対応とカスタマイズ性の高さが特徴で、承認機能、伺書のレイアウト、5階層の科目登録など、自社の使い勝手に合わせた使い方が可能。外部連携についてもWAM NETの「社会福祉法人の財務諸表など電子開示システム」、PCAFinTechサービスによる口座・クレジットカード取引、APIによる他製品といった各種の連携ができ、入力や管理が集約できる。
(出所:福祉大臣NX公式Webサイト)
特別養護老人ホーム、社会福祉協議会、保育園、授産施設、就労支援事業、老人保健施設など、各種の社会福祉法人で幅広く使われている福祉会計システム。伝票記帳や仕訳入力などの基本機能はもちろん、補正管理を含めた予算管理や共通費の配賦処理、社会福祉充実残額に基づいた社会福祉充実計画の作成などにも対応しているため、経営管理にも役立つ。WAM NETにも対応。
また、ソフトウェアは自動アップデートで、自社の従業員が負担になることなく最新バージョンでの運用ができる。会計事務所向けのライセンスがあれば、リモートでの内部監査にも対応し、月次の巡回訪問も不要。
こちらでは、施設の運営全体の効率化を後押しできるサービスを2つ紹介しています。
(出所:SWING公式Webサイト)
社会福祉法人(高齢者施設、障害者施設、保育所、社会福祉協議会等)での利用に特化した福祉総合システム。「社会福祉法人の事務効率化」に着目し、財務会計、経営分析、給与計算の他、預かり金管理や栄養計算のシステムも搭載。
財務会計シリーズは、社会福祉施設・法人会計のパイオニアである株式会社福祉会計サービスセンターの監修のもと設計され、日々の仕訳入力の効率化も支援する。
事業規模やニーズに合わせて、スタンドアローン、クライアントサーバー、クラウドの3タイプから選べることもポイント。
(出所:SiS会計システム公式Webサイト)
社会福祉法人向けのASP型の会計システム。ネット接続端末にUSBキーを指せばどの端末からでも利用できる仕組み。データの整合性を専門チームが無償・定期的に確認するなど、運用開始後のアドバイス・サポート体制が手厚くなっている。
会計システムと連携して、介護申請などの事務処理や、預かり・栄養管理・ケアプランなど施設支援をサポートする「介護保険システム」、「給与・謝金システム」、有形・無形・繰延などの資産情報が管理できる「資産管理システム」、生活福祉資金・長期生活支援資金などの貸付業務に関わる業務を管理する「貸付管理システム」が用意されている。
こちらでは、介護や福祉の現場で働く人の業務効率化にもつながるサービスを2つ紹介しています。
(出所:ほのぼのNEXT公式Webサイト)
ケアの記録や請求業務のICT化で業務の効率をアップさせる、現場サポートシステム。音声入力、デジタルインカム、ネックスピーカー、AIケアプラン、ベッドセンサー連携など、最新の技術を使った介護現場のサポートを実現できる。
また、2021年度報酬改定により始まった、科学的介護情報システム「LIFE」に対応しており、LIFEへの提出データの出力と帳票印刷が可能。また、ほのぼのシリーズ介護保険対応、障がい者自立支援法対応システムを使用している場合は利用料や介護報酬等の情報を取り込み、仕訳伝票を作成できる。財務や給与などの集計・処理では、操作ログを集計・記録して管理を強化。セキュリティ面にも力を入れている。
(出所:福祉見聞録シリーズ公式Webサイト)
介護施設・障害者施設の業務をトータルサポートするために幅広く業務をカバー。基幹業務の中で、会計、給与、勤怠管理、預り金などの財務に関する情報が管理できる。会計機能において、たとえば仕訳入力は仕訳パターンから選べたり、資金収支と事業活動のうち、どちらか一方を入力するともう一方の仕訳が自動で登録できたりするように効率化の工夫がされている。
基幹業務の他、リハビリ、通所・訪問介護などの業務支援、各種ケアプラン、介護保険の請求管理など、現場で発生する様々な業務に対応できる内容が揃っている。
社会福祉法人は非営利の法人のため、事業の健全性・透明性が求められ、一般的な企業と比較して会計の扱いも大きく異なります。さらに2019年より社会福祉法が改正され、新しい会計基準に大幅に変更され、高い専門性が求められるようになりました。
こうしたことを踏まえると、複雑になった会計の仕訳や書類作成の助けになるとともに、社会福祉法人特有の「事業区分」「拠点区分」「サービス区分」での会計処理が簡単に行えるようになる社会福祉法人向けの会計ソフトを活用して、業務の負担を減らすことが望ましいといえます。
会計システムごとに対応範囲が異なるため、自社に最適なシステムを導入するためには、現在の業務の進め方や業務効率を考えたうえで、課題のある部分を補完してくれるサービスを選びましょう。必要な機能のみに絞って、低コストでスモールスタートしていくということも失敗しない導入方法のひとつです。
社会福祉法人向け会計システムをお探しの方は、こちらからサービス紹介資料をダウンロードいただけます。
株式会社CIJ
社会福祉法人での利用に特化し、財務会計、経営分析、給与計算などの機能を持つ福祉総合システム。実績40年以上。株式会社福祉会計サービスセンターの監修を受けている唯...
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