最終更新日:2023-03-26
マーケティングリサーチを効率的に行うため、ネットリサーチサービスの導入を検討している方へ。ネットリサーチサービスの機能やタイプ、選び方、比較のポイントをわかりやすく解説します。また、おすすめのサービスも紹介します。
ネットリサーチサービスとは、インターネット上でマーケティング戦略・施策の策定に必要な情報(消費者のニーズなど)を調査・収集できるサービスの総称です。
ネットリサーチは、マーケティングリサーチ(≒市場調査)手法の1つ。一般的には、Webに登録している会員に対して、Webアンケートなどで回答を収集・集計する流れで行います。
ネットリサーチは、主に以下の目的や場面で実施されます。
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ネットリサーチサービスを利用すると、主に以下のことを実施できます。
画面の指示に従って入力していくだけで、簡単にアンケート調査表を作成できます。「サーベロイド」や「Fastask」のように回答内容に応じて質問を分岐させられるサービスもあります。
アンケート回答用のURLを発行し、メール送信や、Webサイト、SNSにリンクを張るなどしてアンケートを配信できます。なかには、「QRコード」の発行に対応したものもあり、スマホで読み込むだけでアンケートに回答できます。
ネットリサーチの対象となるアンケートやインタビューの回答者を職業や年齢、居住地、性別、子どもの有無、世帯年収などの属性をもとに、絞り込んでセグメント配信できます。
もしくは、パネルを利用する場合もあります。パネルとは、各社のネットリサーチサービスに登録しているモニターの集合体を意味します。たとえば「マクロミル」では、「自動車パネル」や「ペットパネル」などが用意されており、調査目的に合致するモニターに絞ってデータを収集できます。
アンケートによる本調査を実施する前に、事前調査を行うことで、対象者を抽出することが可能です。たとえば「ECサイトで健康食品を定期的に購入する40〜50代」を本調査の対象としたい場合に、ECサイトの利用度合いや健康食品への関心度合いなどに関係する設問をいくつか用意することで、対象者を絞り込みます。
スクリーニング調査を実施することで、ネットリサーチにかかる労力・コストの削減や、調査結果の精度向上などのメリットを期待できます。
オンライン上で回答データを集計し、その内容をもとに分析することができます。基本的な集計方法は主に以下の2種類になります(オプションでより複雑な集計・分析を依頼できる場合あり)。
一般的にネットリサーチサービスには、自動でデータを集計し、その結果をグラフなどによってわかりやすく表現してくれる機能が付いています。もしくは、集計自体を専門スタッフに委託するサービスも。集計・分析にかかる労力を削減したい場合の選択肢になります。
ネットリサーチサービスは、大きく「セルフ型」、「調査依頼型」、「特定層のモニターに強みを持つタイプ」、「定性調査に強みを持つタイプ」の4種類に分けられます。各タイプについて解説します。
ネットリサーチにおける全作業を自社で行うタイプです。リサーチ会社が提供する、Webアンケートツールとモニターを使って、アンケートの作成や配信、集計、分析などの作業は自社で行います。
すべての作業を自社で行う必要があるものの、比較的費用を安く抑えられる点がメリットです。そのため、ネットリサーチに慣れており、短期間で効率的に進めたい場合に向いています。
ただ、セルフ型でもメールや電話などによるサポートが用意されているサービスを利用すれば、ネットリサーチの経験がない場合でも、問題なく進めていけるでしょう。たとえば、「Fastask」では、調査票のロジックをチェックしてもらうことで、アンケートのクオリティーを担保できます。
アンケート設定からモニターの選定、配信、結果の集計までを調査会社に依頼するタイプです。
ネットリサーチに不慣れな場合、セルフ型のサービスを利用すると、アンケート表の設計や質問対象者の選定を上手く行うことができず、信頼できるデータを集計できないことも。その点、調査依頼型のサービスであれば、リサーチの専門家に作業を担ってもらえるため、実施の手間を削減できることはもちろん、リサーチの精度も高められます。
ネットリサーチサービスの中には、ある特定層のモニターに強みを持つものもあります。アンケートで聞きたい対象(自社サービスのターゲットなど)が特定の層に特化している場合は、その属性のモニターに強いサービスを利用することがおすすめです。
たとえばLINEユーザーに特化した調査を行える「LINEリサーチ」や、Ponta会員の属性データをベースに、行動・購買履歴でスクリーニングできる「Pontaリサーチ」などがこちらに該当。そのほか、中高生や大学生などの若年層調査に特化した「TesTee」のようなサービスもあります。
なお、サービスの利用形態としては「LINEリサーチ」は、セルフ型、調査依頼型の両方に対応しており、「Pontaリサーチ」と「TesTee」は集計結果やレポートを納品してもらう調査依頼型となっています。
数値化しにくい、消費者のインサイトを探りたい場合には、定性調査に強みのあるサービスがおすすめです。
たとえば、「Sprint」は、Web上でマッチングした消費者に対して、チャット形式でのインタビューが可能。30分間、リアルタイムでインタビューを行うことで、消費者のリアルな意見や潜在ニーズを引き出せます。
GMOリサーチ&AI株式会社が提供する「ネットリサーチ」では、ビデオ形式での1on1~複数で行うオンラインインタビューが可能。インタビュー設計や当日の司会などを専任スタッフがサポートするため、初めてインタビューを行う場合でも安心です。
自社にとって最適なネットリサーチサービスを選ぶ際には、以下3つのポイントで比較することが重要です。各ポイントを詳しく解説します。
選択式や記述式などの基本的なアンケート設計に加えて、どのような調査に対応しているか確認しましょう。たとえば「CMを見てもらった上で回答を得たい」、「膨大にある選択肢から回答を選んで欲しい」といったニーズがある場合、それを実現できる機能を備えたサービスが必要です。
「QuickMill」では、回答者によって表示画像を変える「画像出し分け」や、5つのコンセプトの中から3つを均等に抽出して表示させる「複雑ランダマイズ制御」といった、ニーズに合わせた様々な調査方法に対応できるオプション機能を用意。更に、複雑で高度な表現が必要な調査を、要望に合わせてオーダーメイドで提供するプランもあります。
調査会社やサービスによって、調査対象となるモニターは変わってきます。そのため、調査の目的に合致する対象者がいるかどうかを確認した上で、ネットリサーチサービスを選ぶことが重要です。
前述のパネルを利用することで、調査目的にあったモニターに絞ることも効果的です。たとえば、約220万人の大規模自社パネルを保有する「楽天インサイト」では、生活者の意識や行動、職業や職種などの
属性に基づいた「目的別パネル」を用意。ニッチな内容の調査にも対応できるようになっています。
なお、パネル調査についての詳細は「アンケートパネル調査サービスの比較14選。進め方や違いは?」をご確認ください。
一般的なネットリサーチサービスには、条件を設定して調査対象となるモニターを絞り込みする機能があります。豊富にある属性情報(年齢や職業など)から絞り込めるものもあれば、数種類の限定的な条件でしか絞り込めないものまで様々であり、目的に応じてどのくらいまで絞り込むかを考えることが重要です。
また、「事前調査の工数やコストをカットして、すぐに本調査を行いたい」、「属性の中から、更に条件を絞り込んで調査をしたい」という場合には、スクリーニングに強みのあるサービスがおすすめです。
「サーベロイド」なら、これまでスクリーニングを必要としていた属性を事前にデータベース化した「拡張属性」で絞り込んだ対象者にアンケートを実施できます。
ここからは、おすすめのネットリサーチサービスを厳選してご紹介します。まずは、セルフ型のサービスです。
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(出所:サーベロイド公式Webサイト)
アンケート業務の全プロセス(画面作成、配信、集計)をWeb上で完結できるサービス。複数設問や自由記述などの設問設定、画像及び動画の挿入などを直感的な画面操作で行えるため、初めてネットリサーチを行う場合でも本格的なアンケートを作成できる。
また、全国400万人以上のモニターの中から、職種などをもとに調査対象を絞り込むことが可能。不正回答者へのアンケート配信停止などの方法でパネルの品質管理も徹底されているため、質の高い調査を行える。
クロス集計表の作成やレポート出力などにも対応しているため、マーケティング業務を専門とする方にもおすすめ。
(出所:Knowns Biz公式Webサイト)
自社以外にも競合他社や業界、生活者などの様々なデータを好きなだけ調べられるユニークなマーケティングデータ分析サービス。累計10億件以上の消費者データを利用できることが特徴で、事前の情報収集は不要。独自フレームワークを取り入れた「7 Journey」などの高度な分析機能を搭載し、キーワード検索するだけで簡単に分析できる。
より踏み込んだ調査がしたい時は、「カジュアルリサーチ機能」を使用してオリジナルアンケートを設計・配信。300件程の回答なら1日以内ですばやく回収可能だ。Known Bizの大量データから事前に仮説を立て、検証にアンケートを活用することで調査コストを抑制する。仮説立て~仮説検証までのスピードアップ、企画やプレゼン資料の品質向上にも効果的だ。
(出所:Fastask公式Webサイト)
日本語のプロが徹底的に調査票の作法及びロジックをチェックしてくれる、セルフ型のネットリサーチサービス。設問の分岐や選択肢の書き方についてアドバイスしてくれるため、セルフ型であるものの質の高いアンケートを配信可能だ。
また、データベースが開示されているため、300万人いるモニターの稼働状況をリアルタイムで確認した上で回答を依頼できる。対象となるモニタがどれくらいの率で存在するのか、「出現率」の調査にも対応。事業会社のほか、調査会社や広告代理店など3,000社以上の導入実績を誇る。
(出所:Freeasy公式Webサイト)
AIによる調査モニターの品質管理を強みとするサービス。筑波大学と共同開発した独自のアルゴリズムにより、不適切回答の候補者が抽出・ブラックリスト化されているため、質の高いモニターへのアンケート配信が可能となっている。
また、作成したアンケートを最速10分で配信し、かつ回収を数時間から1〜2営業日で行えるスピード感も強みとしており、緊急対応のプレゼンや商談などでも活用できる。
加えて、500円の低コストから利用できる点や、希望条件に合致するモニターをグループ化することで追跡調査を行える点、ランキング順位回答などの設問形式が豊富である点もポイント。
次に、調査依頼型のネットリサーチサービスをご紹介します。
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(出所:ネットリサーチ公式Webサイト)
日本最大級のパネルネットワークを持つGMOグループ提供のネットリサーチサービス。国内モニター3,000万人以上を対象に、大規模調査からニッチターゲットに絞ったリサーチまで柔軟に対応できる。顧客側で用意した調査票をもとにアンケート作成や回答データの収集まで一連の作業を代行する「フルサービス」と、回答データの収集のみを代行する安価な「サンプルサプライ」の2種類を提供。
フルサービスのスタンダードプラン以上なら経験豊富な専任スタッフによるアンケート監修も利用でき、ネットリサーチがはじめてでも調査内容に合わせた設問の設計もスムーズだ。自動車・電化製品、化粧品、飲酒習慣など、ターゲットを絞ってアンケート配信できるため、ムダ打ちなしで有効な結果が得られるのもうれしい。
(出所:ネットリサーチ公式Webサイト)
10万円未満でもネットリサーチを委託できるサービス。最短48時間以内に調査データが納品されるため、急ぎの案件でも活用できる。
顧客ニーズに合わせて最適な調査を提案するため、初めてネットリサーチを行う人でも安心して利用可能だ。また、ライフイベントや購入したものなど、14種類のサブパネルを活用することで、大規模なモニターから効率的に対象者を選んで調査を実施できる。
無償でオリジナルの集計・分析ツールも提供しており、ツールに搭載されている「PSM分析」や「BSA分析」などの機能、Excelチャート出力機能などを活用することで、分析業務の効率化も見込める。
(出所:QuickMill公式Webサイト)
マーケティングリサーチのリーディングカンパニー「マクロミル」が提供するモニター会員向け調査サービスのスタンダードプラン。基本料金内で、画面作成や入力代行、画像挿入(10点まで)、選択肢・質問のランダマイズ、割付を20セルまで対応。
オプションサービスを豊富に用意している点も大きな特徴。「店頭での商品陳列に近い形で回答させたい」、「回答者によって表示させる画像を変えたい」などのニーズを満たす調査が可能となる。
(出所:インターネットリサーチ公式Webサイト)
約220万人の大規模自社パネルを保有するインターネットリサーチサービス。職種や特定商品・サービスの利用状況など、20種類以上のテーマを含むパネルを利用することで、的確に調査対象者からの回答を得られる。経験豊富なリサーチャーが企画提案や分析などの作業を行うため、リサーチの品質にも期待できる。
また、事前にモニターから聴取している生活意識データ(買い物や衣食住など)をアンケート結果に連携できる点も大きな特徴。意識面から調査結果を分析することで、インサイト抽出の示唆を得られたり、ターゲット解像度を上げたりすることが可能だ。
(出所:ネットリサーチ公式Webサイト)
丁寧なヒアリング・提案を強みとするネットリサーチサービス。顧客のミッションや状況、アクションなどを総合的に考慮した上でプランを提案。リサーチ結果を活かした施策実行までを支援するため、ネットリサーチをもとにした施策遂行の経験がない場合にもおすすめ。
世界52カ国を対象に調査可能である点も特徴の一つ。10年以上海外リサーチを実施してきた経験を踏まえ、調査エリアの選定や国ごとの特徴を押さえた調査設計の提案を行うため、海外向けのビジネスを展開したい場合にも活用できる。
(出所:インターネット・リサーチ公式Webサイト)
大規模なリサーチパネルを強みとするサービス。自社が有する123万人のパネルに加えて、提携している各社のパネル(約600万人)にアンケート配信可能で、他社サービスでは難しい対象者にもリサーチできる。複数パネルを併用することで、出現率が低いセグメントへのリーチも可能。
特許技術であるスマホ回答を意識したアンケート回答インターフェースを利用できる点も特徴。マトリクスの1行ごとを紙芝居のように表示するため、モニターにしっかり選択肢を見て回答してもらえる。
ここでは、特定層のモニターに強みを持つサービスをご紹介します。
(出所:Pontaリサーチ公式Webサイト)
Ponta会員をベースとしたネットリサーチサービス。Pontaポイントをインセンティブとしているため、熱心にアンケートに答えてくれるモニターが多いのが特徴となっている。
実際の購買データを使ってスクリーニングする機能や、アンケート結果と実利用データを組み合わせる機能などが用意されているため、高品質な調査と対象者に関する深い示唆を得られる。画像や動画を利用することで、柔軟なアンケート設計を行うことも可能。
(出所:LINEリサーチ公式Webサイト)
LINEユーザー635万人を対象としたサービス。幅広い年代をモニターとして抱えており、うち50%が10〜29歳の若年層である点が特徴。そのため、学生やZ世代への調査に長けている。
LINEのプッシュ通知でアンケートを配信するため、モニターがメッセージに気づきやすく、かつ日常の中で手軽に回答できる点が強み。素早い回収と回収率の高さを期待できる。
また、ほかのアンケートサービスに登録していないモニターが65%と高い割合である点も魅力の1つ。アンケート慣れによるバイアスを回避し、より一般消費者の実態に適合するデータを取得できる。セルフ型のライトコースと、調査依頼型のサポートコースの2つのラインナップからニーズに合わせてコースを選択できる。
(出所:TesTee公式Webサイト)
若年層へのネットリサーチを強みとするサービス。スマホアプリでのアンケート回収により圧倒的な回収速度を実現しており、1日あたり中学生では1,000件、高校生では4,000件のデータを回収できる。そのため、スピーディーに若年層向けのネットリサーチを行いたい場合におすすめ。
また、集めた調査結果をもとにしたレポート作成も行なっている。課題や解決策を視覚的にわかりやすい形でアウトプットしてくれるため、マーケティング施策の質を高められる。
最後に、定性的な調査に強みをもつサービスをご紹介します。
(出所:Sprint公式Webサイト)
オンライン上でチャットインタビューを行えるサービス。5分で対象者とのマッチングを実施し、リアルタイムで30分間のインタビューを行える。
基本属性で絞り込んだ候補者に対して、定性的な質問を1問行うことでマッチングする流れ。回答をもとにインタビュー対象者を選べるため、調査目的や自社ビジネスのターゲットに適うデータを的確に収集できる。
また、インタビュー中は画像や動画、WebサイトのURLを相手に提示できるため、柔軟なインタビューが可能となる。インタビューの内容は動画で振り返りでき、文字起こしなどの手間が発生しない点も嬉しい。
ネットリサーチサービスの概要や機能、選び方、比較のポイントを解説し、おすすめのサービスをタイプ別にご紹介しました。
ネットリサーチサービスは、市場や消費者に関する情報収集やマーケティング戦略の策定などを、短期間・大規模に行う目的で活用されることが多いです。
ネットリサーチサービスは、「セルフ型」と「調査依頼型」に大別され、更に「特定のモニターに強いか」「定性調査に強いか」などによってタイプ化されます。それぞれ利用できる機能や特徴、メリットなどが異なるため、自社の調査目的やターゲット、予算などに応じて使い分けることが重要です。
今回お伝えした内容をもとに、ネットリサーチサービスの活用をご検討いただけますと幸いです。
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