経営指標分析や予実管理をExcelで管理・運用しているが、更なる効率化に向けてクラウド経営管理システムの導入を検討している方へ。機能や種類とともに、ERP型も含むおすすめのクラウド経営管理システムを紹介します。
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経営管理システムとは、財務・人事・販売などの情報を収集・集約し、経営分析を効率化するためのシステムです。収集したデータをもとに予実管理や分析を行い、経営状況や経営課題を可視化。ボトルネックの抽出や着地予想が可能になり、迅速な課題解決を支援します。
従来の経営管理では、各部門が作成した予実をはじめとした情報を収集・整備し、突合やレポート作成を行う必要がありました。しかし、このプロセスは膨大な手間がかかるうえ、書類の差し戻しが発生しやすく、バージョン管理の煩雑さも課題でした。
経営管理システムの導入により、情報収集から分析、レポート作成までを自動化することで、大幅な業務効率化につながります。企業はリアルタイムで経営状況を把握できるようになり、迅速な意思決定が可能に。また、適切なリソース投入も容易になり、プロジェクトごとの能率を最適化できる点も特長です。
経営管理とは、企業が「ヒト・モノ・カネ」といった社内リソースを最適に配分し、事業の目的を効率的に達成するための調整・総括を行うことです。
具体的には、人事管理・労務管理・生産管理・販売管理・財務管理などに細分化され、組織全体や部門ごとに実施されます。また、社内リソースの調整やモニタリングの観点から、内部統制の強化や組織再編なども経営管理の一部といえます。
経営管理を行うには、社内の膨大な情報を適宜組み合わせて可視化・分析し、調整や改善のための施策立案・実行につなげる能力が求められます。
クラウド経営管理システムは、インターネット経由でクラウド上のシステムを利用するため、自社でサーバーを構築する必要がなく、コストを抑えられます。また、保守やメンテナンスもベンダー側が行うため、運用しやすいのがメリットです。
従来は、カスタマイズ性やセキュリティ対策の面でオンプレミス型が優れているとされていましたが、近年ではクラウド型の柔軟性やセキュリティ機能が向上し、経営管理システムでもクラウド型の導入が広がっています
経営管理システムは、管理対象や用途によっていくつかのタイプに分けられます。
記事後半には、タイプ別におすすめのサービスも紹介していますので、「今すぐツール選定に移りたい」という方はそちらをご覧ください。
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経営管理システムの主な機能の例は、以下の通りです。
| 予算策定 | 表計算ソフトと連動し、精度の高い予算案づくりをサポート |
|---|---|
| データ収集 | 各部門の予算編成、見込みデータ、事業計画、会計ソフトから取り込む実績データを収集・反映 |
| 見込み更新 | 収集データをもとに、リアルタイムで予実見込みを更新。着地予想の精度を上げるとともに迅速な経営判断を支援 |
| 予実突合・管理 | 予算データ・実績データを取り込んで予実突合を行い、その結果をとりまとめる |
| データ分析 | 予実の差異を分析してギャップ原因を特定。部門、取引先、商品など、様々な集計軸から業績を分析 |
| レポート作成 | 部門別担当者向け、子会社向け、経営会議向けなど様々な用途に応じて、表やグラフを効果的に用いたレポートを作成 |
| 経営分析 | 収益性や費用対効果を可視化し、経営状態を分析 |
上記のほかに、連結会計やより詳細な分析・予測、生産管理、販売管理、労務管理といった機能を搭載した経営管理システムもあります。これらについては、次章で説明します。
経営管理システムは、大きく4種類に分けられます。それぞれの特徴について解説します。
予算作成やデータ収集の自動化、進捗管理、予実の差異分析、業績予想、レポート作成などに対応するタイプ。これまで各部門から提出されたExcelデータを手動で集計していた場合、このタイプの経営管理システムを導入することで、一気に効率化が図れるでしょう。
たとえば、「Loglass 経営管理」は、昨年対比のデータ抽出や、収益性・費用対効果の詳細な分析機能を備えています。同じく「Workday Adaptive Planning」も、予実対比や部門比較、KPIの可視化に対応し、意思決定をサポートします。
連結処理（資本連結、内部取引消去、貸倒引当金調整、未実現利益消去など）、ドリルダウン分析、固定帳票作成、レポーティングなどに対応するタイプ。グループ会社を複数持ち、管理会計の効率化に加えて、連結会計の業務負担を軽減したい企業に適しています。
たとえば、「BizForecast FC」は、外貨換算や英語を含む多言語、外資ベースのキャッシュ・フロー計算書作成に対応しており、グロ−バル企業の連結会計にも利用されています。
「AVANT Cruise（アバントクルーズ）」は多くの企業のノウハウをもとにパッケージ化されたシステムで、データ入力や分析帳票作成に加え、連結処理もセットアップするだけですぐに活用できます。
BI（Business Intelligence）ツールとは、業務に関わる各種データを集約・分析し、活用するためのもの。特定の用途に特化したものではなく、幅広い分析が可能な汎用型ツールであり、データの収集・統合、分析、キャッシュフローモデリング、需要予測、リスクモデリングなどに対応しています。自社の経営データを詳細に分析し、経営や業務に活かしたい企業向けです。
たとえば、「Domo」は、リモート勤務モデリングや経済ショックモデリングにも対応。また、ダッシュボード上でテキストや画像を組み合わせ、データに関する説得力のあるストーリーを作成できるほか、データサイエンスツールを活用した予測分析も可能です。
ERP（Enterprise Resources Planning）は、企業が持つヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源を有効活用するための計画（概念）を指します。その考え方を実現するためのシステムがERPシステム（基幹システム）です。
このタイプの経営管理システムは、予算策定・データ収集・データ分析・レポート作成など、経営管理システムの基本機能に加え、生産管理や販売管理、労務管理などの管理業務もカバー。企業活動に関する様々な情報を一元管理できるため、業務効率化や内部統制の強化を図りたい企業に適しています。
たとえば、「ZAC」は、案件単位で業務を行う企業向けのERPシステムで、勤怠管理や工数管理、経費管理などにも対応。そのほか、電子承認機能で申請と承認のログを自動保存し、内部統制を強力にサポートします。
予算編成や予実管理に対応したクラウド経営管理システムを紹介します。なお、料金については各社への問い合わせが必要です。
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（出所：Loglass 経営管理公式Webサイト）
社内に散在する予算・実績・見込みデータを統合・可視化し、正確な経営管理をサポートするクラウドサービス。各部署で管理されているデータをワンクリックで統合・反映できるため、見込みの集計作業を極限まで削減。加えて、予算策定・予実管理・見込み更新・管理会計のフローを効率的に仕組み化する。
統合されたデータは、リアルタイムでダッシュボードへ自動連携され、重要な業績情報は表・グラフ化で可視化。手作業で報告書作成の手間も省ける。
更に、AI分析機能を搭載しており、指定した期間・部門・科目などのデータをもとに、業績のサマリーや背景となるファクトを自動分析。表やグラフでの出力に加え、社内報告に活用できる考察コメントの自動生成にも対応している。
（出所：Sactona公式Webサイト）
既存のExcelデータの有効活用に強みを持つ経営管理ツール。Microsoftのテクノロジーに準拠して設計・開発されており、Excelとの親和性が高く、WebブラウザにExcelデータを取り込むだけで、そのまま活用できるのが特徴。画面はExcelそのものなので、利用者が違和感なく操作でき、トレーニングコストも不要。
予算編成・予算管理・見込管理といった経営意思決定に必要な情報を提供し、実行・改善のための管理会計・経営管理業務サイクルを支援。クラウドサービスとして10名～の小規模からでも利用できるが、要望によってはオンプレミスにも対応。実際に数千名の大規模でも利用実績あり。
（出所：DIGGLE公式Webサイト）
属人的なExcel業務をなくし、スマートな予実管理を実現するクラウドサービス。予算Excelと財務会計データの突合を自動化することで、業務の手間を削減し、要因分析やアクションプラン策定への注力を支援する。
プロジェクト単位で予実管理ができる「予算ID」が特徴。IDは自動発番されるため、マスター管理は不要。経営陣、事務員、現場社員が日々の業務で入力しやすい直感的なUIを採用し、予算消化状況や見込みをリアルタイムで可視化できる。精度の高い予実管理により、スピーディーな経営判断をサポートし、業績目標へ向けた適切なコスト調整にも寄与する。
（出所：Manageboard公式Webサイト）
シンプルで効率的な予実管理フローを実現する、経営管理クラウドサービス。社内の予実データをすべてシステム上に集約し、集計作業の削減はもちろん、予算管理の属人化解消や社員の数字意識向上といった効果も期待できる。
タグを使った多軸分析に強みを持ち、部門、取引先、商品、プロジェクトなど、様々な角度から計画策定や分析が可能。金額ベースの財務データだけでなく、単価や数量、回数、人員数などを組み合わせた計画立案にも対応し、リソース管理や経営の透明性を担保にも役立つ。
カスタムレポ−ト機能も充実しており、テンプレートを選択するだけで計画や予実分析、業績分析などのレポートも手軽に作成可能。
（出所：Workday Adaptive Planning公式Webサイト）
世界6,500社超の導入実績を誇るクラウド経営管理システム。プログラミング不要で実装でき、設定変更も現場できる手軽さが強み。組織改編や新規事業の追加など、ビジネスの変化にも柔軟に対応し、売上計画や事業戦略、財務諸表など、経営管理に必要な情報を一元管理。拠点や事業部門全体の予実データを迅速に把握できる。
多通貨・多言語に標準対応し、国内外問わず統合的な経営管理を実現。勘定科目単位で組織・バージョンごとに数字を積み上げられる予算フォームを搭載し、各部門の予算集計を自動化。Excelデータの取り込みや各種会計システムとの連携にも対応。
更に、ダッシュボードでセグメント別分析や差異分析を行、で予算と実績を可視化。ドリルダウン機能で詳細データを追跡し、データに基づく迅速かつ的確な意思決定を支援する。
（出所：fusion_place公式Webサイト）
現場の活動に適したデータの収集・提供を通じて、財務経理の業務効率化はもちろん、現場の自律的な経営管理を支援する経営管理システム。
リアルタイムで反映される「多次元データベース」を備え、集計処理を実行しなくても最新の集計値を即座に反映。任意の時点で多次元データベースの「版（バージョン）」を作成・保存し、過去データと現在の予測値の差異も一目で把握が可能に。
専用の入出力画面はユーザー自身が設計でき、企業の組織・階層に応じて容易にドリルダウンを実装。部署や勘定科目の追加・廃止にも自動で対応し、手動でのメンテナンス不要でレイアウトが更新される。ドリルダウン以外にも、バリデーションチェックなど、データ入力をサポートする複数の機能を搭載。
連結会計に対応したクラウド経営管理システムを紹介します。
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（出所：BizForecast FC公式Webサイト）
グループ経営管理システム「BizForecast」シリーズの連結決算・連結会計ソリューション。データ収集から、連結処理、レポーティングまでを一連の決算業務としてシームレスに統合し、連結決算の各プロセスを一括管理できる。
グローバル企業の連結経営に対応し、多言語対応やIFRS・米国基準などの複数会計基準での処理が可能。海外拠点のスタッフ向けには、海外事業担当チームがサポートを行い、グローバル経営を支援する。
情報共有やセキュリティ面でのExcelのデメリットを解消しつつ、便利な入力インターフェースや、柔軟で使いやすい分析機能を搭載。「活Excel」をコンセプトとした使い勝手の良さが評価されている。
（出所：AVANT Cruise公式Webサイト）
1,200社以上の導入実績を持つ、クラウド型グループ経営管理システム。過去の支援ノウハウを活かし、予算策定、実績集計、着地見込算出など、経営管理に必要な機能をパッケージ化。システム構築作業を大幅に削減し、スムーズな導入を実現する。
90種類の標準レポートを搭載し、セットアップ後すぐに経営管理の仕組みを立ち上げ、経営会議シーンで即活用できるのも特徴。
同グループが提供する連結会計システム「DivaSystemLCA」と連携し、財務データと非財務情報の統合管理が可能。会社間取引の内部消去や棚卸資産の未実現利益消去などの連結処理を自動化し、会社間・セグメント間の異なる連結範囲での消去処理にも対応。連結決算業務の効率化を支援し、精度の高い経営判断をサポートする。
（出所：CCH Tagetik公式Webサイト）
経理・経営企画部門が関わる多様な業務プロセスとデータを戦略に管理・強化し、データドリブン経営を実現する統合経営管理プラットフォーム。財務情報と各業務部門のデータを連動させることで、連結管理や予算管理、レポーティング・分析といったプロセスの高度化する。
連結会計機能では、データの一元化により連結会計プロセス全体を自動化。また、単一のデータセットでGAAP、IFRS、XBRLなどの多様な報告基準にも対応している。検証ルールや詳細な監査ログを備え、データガバナンスの強化と高水準の透明性を確保。多様な国際会計基準や規制に準拠しているため、海外子会社が多い企業で有用。
BIツール型のクラウド経営管理システムを紹介します。
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（出所：DOMO FOR FINANCE公式Webサイト）
営業・マーケティング・人事・ITなど、様々な部門のデータと経理・財務データを結びつけ、ビジネスの課題解決を支援する金融サービス業向けBIソフトウェア。
多くのSaaSと連携し、データを一元管理することでデータ分析を実現。「Oracle NetSuite」や「Salesforce」をはじめとする1,000以上のデータソースと接続し、業務データを統合・即時活用できるのが特徴。
データ分析機能も充実しており、150種類以上のグラフや表などのチャートを利用可能。ドラッグ＆ドロップ中心の直感的な操作で、習熟するためのコストを抑えつつ、課題に応じた分析を適宜行える。また、キャッシュフローモデリング、需要予測とリスクのモデリング、経済ショックモデリングなど、データサイエンスに基づく精度の高い予測機能を備え、財務リスクの軽減につなげられる。
（出所：Board製品サイト/日本ラッド）
業種を問わず2,000社以上の大手企業への導入実績を持つ、CPM&BIプラットフォーム。BIに加え、予算編成、計画、予測、決算、財務連結、法定報告、経営報告まで幅広くカバー。更に、人員計画や人事パフォーマンス管理、販売実績管理などにも対応する。
データ分析においては、独自の「インテリジェント・プランニング・プラットフォーム」で予実データを分析し、収益性とパフォーマンスを可視化。市場や顧客タイプ、価格、ボリュームなど様々な観点からパフォーマンスを達成する要因を特定する。また、複数のWhat-ifシナリオを活用し、主要な価値要因の変化が財務結果に及ぼす影響をシミュレーションし、迅速で効果的な意思決定を後押しする。
ERP型のクラウド経営管理システムを紹介します。
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（出所：SAP S/4HANA Cloud, Public Edition公式Webサイト）
世界でトップレベルのシェアを誇る、大企業向けのクラウドネイティブERP。業種別ベストプラクティスに基づく運用が可能で、短期間・低コストでの導入を実現する。財務管理・販売管理・人事管理・サプライチェーンマネジメントなど、幅広い業務領域をカバーし、企業の競争力の最大化に寄与する。
ヨーロッパ最大級のソフトウェア会社が提供する、ハイパフォーマンスなインメモリデータベース「SAP HANA」を採用。大量データの高速処理が可能。バックアップや災害回復、システム保守、データ保護なども充実しており、セキュリティやコンプライアンス面でも高い信頼性を備えている。
（出所：クラウドERP ZAC公式Webサイト）
案件やプロジェクト単位で業務を進行する企業に適したクラウドERP。システム、IT、クリエイティブ、イベント、士業、コンサルティングといった業務を統合し、効率化を支援。各業界の経営管理・商慣習・機能要件に特化したソリューションを提供している。
プロジェクト別の収支管理やデータ分析、売り上げ・利益予測に加え、プロジェクトの工数、工程、経費、在庫、顧客との接点情報なども管理可能。プロジェクト管理ツールとしての使い勝手にも優れている。
内部統制の強化に貢献するのも特徴の一つ。電子承認機能を活用してワークフローを自動構築し、申請と承認のプロセスをログとして自動保存。証跡管理を徹底し、IPOを目指す企業の社内統制をサポートする。
経営管理システムは、財務・人事・販売などの情報を収集・統合し、効率的な経営分析を行うシステムです。
クラウド型は、導入コストを抑えられるうえ、保守やメンテナンスをベンダーが対応するため、運用の負担が軽減されるのが特徴です。近年では、カスタマイズ性やセキュリティ対策の向上により、広く普及が進んでいます。
クラウド経営管理システムは、以下の4つのタイプに分けられます。
カバーしたい業務領域や企業規模などを踏まえて比較し、自社にあったタイプを絞り込みましょう。
特に、グループ会社を複数持つ企業や、海外子会社を有する企業には、「2.連結会計にも対応するタイプ」がおすすめです。多言語対応のシステムが多く、グローバル展開を支援します。
たとえば、「BizForecast FC」では、システムUIを日本語・英語・中国語の3カ国語で表示・切り替え可能。海外拠点のスタッフ向けに、海外事業担当の専門チームによるサポートも提供しています。
また、「CCH Tagetik」では、多通貨・多言語対応の機能を搭載し、グローバル経営を支援します。
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