最終更新日:2024-07-29
自社HP経由の顧客対応の効率化や、コンバージョン率向上のため、チャットボットの導入を検討している方へ。無料で使えるチャットボットのタイプや選び方、比較のポイントとともにおすすめのサービスを紹介します。
チャットボットとは、主にテキストを通じて人間と会話のようなやり取りができるコンピュータープログラムのこと。自社HPにチャットボットを設置することで、アクセスしている顧客(ユーザー)からの問い合わせに対して、製品情報やFAQへの回答などを素早く提供できるようになります。
チャットボットはルールベース型とAI型の2種類に分かれます。
「ルールベース型」では、想定される質問と回答、会話の流れをあらかじめ設定することで、資料の提供やカスタマーサポートへの取次ぎといった定型的な業務に対応できます。一方、「AI型」では、顧客対応に必要な情報をAIに学習させることで、人間らしい自然な会話や、より柔軟な対応が可能です。
チャットボットを利用することで以下のようなメリットが得られます。
業務の効率化 | 簡単な問い合わせへの回答や資料の送付といった定型業務の負担が軽減されるため、コア業務への集中や、重要な顧客対応の質を高めるといったことが可能に |
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顧客獲得、 コンバージョン率の向上 |
24時間365日、即時対応によってWebサイトからの離脱を防止。顧客満足度の向上が期待できるとともに、見込み顧客の獲得へつなげます |
コスト削減 | 問い合わせ・カスタマーサポート対応に必要な人材、設備にかかるコストを削減できます |
効率的な 顧客情報の収集 |
チャットボットを利用した顧客の情報を収集・保存するほか、CRMといった外部ツールと連携して顧客情報の登録を自動化できます |
チャットボットの主な機能は以下のとおりです。
自動応答 | 顧客の問い合わせに自動で返答する昨日。多くの場合、ノーコード/ローコードで、対応ルールを設定できます。「AI型」の場合は、自社サイトのデータなどをAIの学習用に用意することで、回答の精度向上や自社の運用に合った柔軟な対応が可能に |
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カスタマーサポートへの転送 | チャットボットでは対応が難しい問い合わせを、カスタマーサポートに取り次ぐ機能。問い合わせ内容を転送するものや、内容に応じた適切な担当者への割当て(サポートチケットの発行)を行うものも |
顧客情報の収集・分析 | チャットボットを利用したユーザーの基本情報や問い合わせ内容を保存。また、問い合わせ数や内容、顧客満足度の統計を収集・可視化して分析に役立てられるツールも |
外部ツールとの連携 | 外部ツールと連携する機能。CRM連携で顧客情報の登録を効率化したり、チャットツール・グループウェアとの連携により素早く顧客対応を切り替えたりできます |
業務支援 | スケジュールのリマインドや打ち合わせの日時設定といったタスクを自動処理するボットなど、社内向けの業務効率化ツールとして利用できるものも |
チャットボットを無料で使うには、制限や条件があります。3つのタイプに分けて、それぞれの特徴や条件について解説します。
機能制限がなく、利用期間の制限もなく無料で使い続けられるチャットボットは多くありませんが、「HubSpot」が提供するAIチャットボット作成ツールは、無料で基本機能を使えます。また、環境構築や実装に手間がかかるものの、LLM(大規模言語モデル)アプリ開発プラットフォームを利用すれば、高度なAIチャットボットが無料で作成可能。ただし、LLMの利用にあたってAPI料金がかかる場合があります。
「コンバージョン数」や「会話数」、「ログの保存期間」といった機能の利用範囲や回数が限られるタイプ。条件を超えない範囲であれば、無料で使い続けられます。
一定期間、無料トライアルができるチャットボット。多くの場合は14~30日間程度、試用できます。本記事では試用期間後に有料プランへの移行が必要となるサービスは対象外として、無料で使い続けられるサービスのみを取り上げます。
サービス名 | できること | 無料で使える条件 |
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IZANAI |
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Hubspot |
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Lyro AI Chatbot |
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AI Engine |
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WPBot |
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Dify |
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Coze |
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Azure AI Bot Service |
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Dialogflow |
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LINE公式アカウント |
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チャットボットは以下の5タイプに分けられます。それぞれの特徴や選び方について解説します。
複雑な会話の対応や長期のログ保存などを必要としない場合や、本格的な導入前の検証のために使ってみたい場合におすすめのタイプ。月間のCV数や利用される会話数に上限がある場合でも、会話フローの設計は自由に行えるサービスもあります。
たとえば「IZANAI」は、月間のCV数50まで、作成ボットは一つまでなら無料で利用できます。会話テンプレートを利用した簡単なボット作成をはじめ、対応後の顧客を回答内容別などで管理できるユーザーリスト機能なども利用可能です。
また、HubSpotの「AIチャットボット作成ツール」は、顧客とのコミュニケーションはもちろん、顧客情報の収集から商談の日時設定といった機能まで、無料で利用可能。ユーザーの入力に応じた条件分岐など、より高度な機能は、HubSpotが提供する他の有料ツールの付帯機能として提供されています。
自社サイトをWordPressで構築している場合は、WordPressのプラグインとして提供されているチャットボットを利用できます。このタイプのメリットは、SEOツールなどほかのプラグインと連携しやすい、WordPressの管理画面上でまとめて管理できるといった点です。
たとえば「AI Engine」は、チャットボットとしての機能に加え、生成AIツールとしての機能も搭載。WordPressエディター上で、テキストや画像の自動生成を行えます。また、SEO対策プラグイン「SEO Engine」やSNS運用支援プラグイン「Social Engine」といった豊富なプラグインとの連携も可能です。
また「WPBot」は、顧客が質問内容を選べるドラッグアンドドロップフォームや、あらかじめ設定したFAQの表示が可能。簡易的なトラブルシューティングとして活用できます。
作成に手間をかけてでも、回答精度の良いチャットボットを無料で用意したい場合におすすめのタイプ。
OpenAIの「ChatGPT」で知られるGPTのようなLLM(大規模言語モデル)を利用することで、人間と会話するような自然かつ柔軟なやり取りを実現できます。「Dify」や「Coze」のように、ノーコードかつ無料でアプリ開発がサービスを利用すれば、チャットボットの内製が可能に。ただし、動作させるにはAPI連携が必要なため、一般的にはAPI利用料金がかかります。
なお、オープンソースのLLMアプリ開発プラットフォーム「Dify」では、複数のLLMの中から利用するモデルを選べます。また、「Gemini」のように一定条件下で無料で使えるLLMであれば、API利用のコストがかからないボットの作成が可能です。また、Difyのクラウド版には機能制限がありますが、オープンソースを活用したオンプレミス版であれば制限なく全機能を無料で使えます。
「Azure」や「Google Cloud」といったクラウドプラットフォームの中には、チャットボットを無料で作成できるサービスも。ただし、サーバー費用をはじめとする利用料金が発生するため、利用しているクラウドプラットフォームがあることが前提となります。
たとえば「Dialogflow」は、Googleのディープラーニング技術が用いられた高度なAIチャットボットを、ドラッグ&ドロップの簡単操作で構築・導入可能。LINEやSlackなど、様々なツールとの連携にも対応しています。
「Azure AI Bot Service」なら、ローコードプラットフォーム「Power Virtual Agents」を使うことで、ノーコードまたはローコードで簡単なボットの開発が可能。C#、Java、JavaScript、Pythonといった様々なプログラミング言語を使用して、より高機能なボットを開発することもできます。
LINEでの集客や公式アカウントの運用を検討している場合に適したタイプ。たとえば「LINE公式アカウント」には、無料で利用できるチャットボットがあり、管理画面からメッセージを設定するだけで簡易的な自動返答ができるように。また、Messaging APIを利用して、ベンダーが提供する高機能のチャットボットを連携することも可能です。
(出所:IZANAI公式Webサイト)
期間の制限なく無料で使えるチャットボット。無料プランでは、作成できるボット数1つ、月間CV(コンバージョン)数50まで利用可能だ。CVとしてカウントする会話は、自社の運用に合わせて自由に設定できるため、EC・小売り、不動産、ソフトウェアなど様々な業種で活用できる。
ウェルカムメッセージ、質問項目、サンクスメッセージの3つを会話フローに設定するだけですぐに導入できる、シンプルな操作性が魅力。問い合わせ対応や商談予約、アンケートなど、汎用性の高い便利な8つの会話テンプレートが用意されているほか、自社用にカスタマイズもできる。また、対応した顧客について、ステータスや回答内容別にユーザーリストで管理することができるため、CVR向上や会話フローの改善などに役立てられる。
(出所:AIチャットボット作成ツール公式Webサイト)
世界135カ国以上で利用されるカスタマープラットフォーム「HubSpot」が無料で提供するAIチャットボット作成ツール。基本的な質問への回答のほか、カスタマーサポート担当へのチケット送信、利用者データの収集といった機能がそろう。チャットボットによる対応後は、受注確度の判定やメールキャンペーンといったタスクを自動で実行。見込み顧客の情報管理から、適切な担当者への割り当て、商談の日時設定までの一連の流れを自動化して、スムーズな顧客対応を実現する。
また、HubSpotが提供する他製品との連携に対応。同社のCRMを利用している場合は、CRMに登録されている顧客情報に基づいてメッセージをパーソナライズするなど、より高度な機能を利用できる。
(出所:Lyro AI Chatbot公式Webサイト)
NetflixやUberをはじめ、全世界で30万以上のビジネスで利用されているAIチャットボット。会話数は50までなら無料で利用できる。UIは英語のみだが、チャットボットによる会話はフランス語、ドイツ語など欧米圏の言語を中心にマルチリンガル対応。海外顧客向けのコンテンツを提供するシーンに向いている。
生成AI「Claude」をベースに構築され、柔軟かつ人間らしい受け答えと、顧客対応用のコンテンツのみを参照して回答する正確さを両立している。また、リアルタイムでチャットボットの会話を監視することができ、必要に応じて担当者が会話に割り込み、顧客の質問に直接答えを提供することも可能だ。
(出所:AI Engine公式Webサイト)
記事や画像の自動生成、チャットボット、翻訳といった機能を持つWordPressプラグイン。チャットボット機能は、自社サイト内のFAQ記事をはじめとする様々なコンテンツから学習を行うため、精度の高い返答が期待できる。OpenAIの文字起こしツール「Whisper」のAPIを利用すれば、サイトに音声認識機能を持たせ、音声によるチャットボットとの対話も可能に(ただし、API利用料金が発生)。
また、「SEO Engine」や「Social Engine」など、サイト運営に役立つほかのプラグインとも連携が可能。生成AIツールとしての機能を活かして効率的なコンテンツ投稿やSEO対策も行える。日本語の管理画面に対応。
(出所:WPBot公式Webサイト)
サイト上にAIチャットボットを実装できるWordPressプラグイン。基本機能を利用できる無料プランのほか、Hubspot CRMやZapierなどと連携できる有料プランも提供している。管理画面は英語のみだが、チャットボットの会話は日本語にも対応。「ChatGPT」や「Dialogflow」とAPI連携すれば、より自然な回答を出力することもできる。
また、WordPressのダッシュボード画面上で会話の流れをカスタマイズできるほか、FAQやよくある質問リストなど、問い合わせ対応に便利なコンテンツを会話中に表示する設定にも対応。また、プラグインの機能を追加する無料のアドオンを使えば、顧客データの収集や商談予約といった機能をチャットボットに追加できる。
(出所:Dify公式Webサイト)
オープンソースのLLMアプリ開発プラットフォーム。チャットボットをはじめ、コンテンツ生成、データ分析などに使える高性能なAIアプリケーションをGUIでローコード/ノーコード開発できる。「OpenAI」「Anthropic」「Azure OpenAI」といった複数のLLMの中から、使用するものを選べるほか、モデル間の連携を行にも対応。無料プランでは、開発できるアプリの数は10個まで、一部機能や利用できる生成メッセージ数にも制限がある。また、選択したLLMに応じたAPI利用料金がかかる。
チャットボットやカレンダーといった、よく使われる機能はテンプレートを利用して実装可能。更に、「機能を追加」ボタンを押すだけで、「チャットボットの回答に引用元が表示される」「テキストの音声変換」といった機能を簡単に加えられるのも便利だ。
(出所:Coze公式Webサイト)
AIチャットボット開発のワンストッププラットフォーム。豊富なプラグインが用意されており、ノーコード/ローコードで様々なチャットボットを開発できる。開発にかかる料金は無料で、APIコール数30回までなら無料の利用枠も。チャットボットの回答参照元には、指定したURLのウェブコンテンツのほか、TXT、PDF形式などのローカルデータをアップロードできる。
また、情報検索や画像理解、生産性向上など、約100種類のプラグインを提供。プラグインを利用することで、自社サイト内の最新情報やニュースを表示するなど、ユニークな機能追加ができる。また、APIの入力・出力を指定してカスタムプラグインを自作することも可能だ。
(出所:Azure AI Bot Service公式Webサイト)
クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」上でAIボットを作成するためのサービス。簡単なチャットボットからエンタープライズ向けの業務支援ボットまで、幅広い用途に対応したボットを開発できる。無料かつメッセージ数無制限で利用できるプランがあり、その他のAzureサービスと合わせて、月々の無料利用枠を超過すると課金が発生する。
ローコードプラットフォーム「Power Virtual Agents」と連携することで、ノーコードまたはローコードでのボット開発が可能に。更にC#やJava、JavaScript、PythonがサポートされたSDK(ソフトウェア開発キット)を用いて、より高機能なボットを開発できる。Microsoft Teams、Telegram、Slackなど、様々な外部サービスとの連携に対応しているのも魅力。
(出所:Dialogflow公式Webサイト)
Googleの最先端AIを活用してチャットボットを構築できる開発プラットフォーム。料金プランはCX(Advanced)エディションとES(Standard)エディションの2種類があり、ESエディションは無料トライアルに対応。また、12カ月間有効の600ドル分のクレジットが付与される。
Googleアシスタントにも採用されているディープ ラーニング技術をベースに、自然なやり取りを行える仮想エージェントを提供。文脈を外した会話のあとでも、本題にスムーズに戻ることができるなど、柔軟な会話に対応できる。また、会話フローはドラッグ&ドロップによる設計で、ローコードでの実装が可能だ。SlackやFacebookメッセンジャー、Googleアシスタントといったモバイルアプリ、チャットツールなどとも簡単に連携できる。
(出所:LINE公式アカウント公式Webサイト)
コミュニケーションアプリ「LINE」上に、集客や販促に役立つ公式アカウントを作成できるサービス。メッセージやクーポン配信、ポイントカードの発行管理などに加えて、簡易的なチャットボット機能を利用できる。月額固定費が無料の「コミュニケーションプラン」では、メッセージ200通までなら無料。
チャットボット機能では、ユーザーの「友だち追加」に対して返信する「あいさつメッセージ」や、ユーザーのメッセージに含まれる特定のキーワードに反応してメッセージを返す「AI応答メッセージ」などが設定可能。また、同社が提供するMessaging APIを利用することで、更に高度な会話パターンも作成できる。Messaging APIは、プランの上限内のメッセージ通数であれば無料で利用可能。
本記事では、無料で使えるチャットボットについて解説・紹介しました。
チャットボットを利用することで、コストを抑えながら24時間365日、即時対応が可能なカスタマーサポートを効率的に提供することができます。無料で使えるチャットボットは、機能やメッセージ数などに制限があるものがほとんどですが、「ユーザー数がそれほど多くない」「まずはテストしてみたい」といった場合には、十分に機能します。
自社サイトの環境などをふまえ、「WordPressのプラグインとして利用するタイプ」「GPT系サービスを利用するタイプ」「クラウドプラットフォームの関連サービスを利用するタイプ」「LINE向けのタイプ」の中から最適なタイプを選んで、比較検討しましょう。
チャットボットの導入により、業務の効率化や、顧客満足度・コンバージョン率の向上が期待できます。本記事を参考に、ぜひ無料で使えるチャットボットの導入を検討してみてください。
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