最終更新日:2024-10-18
顧客や社内へのアンケート調査の予定があるが、まずはできるだけ予算をかけずに実施したいと考えている企業の方へ。アンケートツールでできることや、ツールを無料で使える条件の紹介、選ぶ際の比較ポイントなどとともに、おすすめのサービスについて解説します。
アンケートツールとは、Web上でアンケートフォームを作成し、回答データを収集できるシステムのことです。顧客に対する自社サービス・商品の満足度調査、社内の意見調査など、様々な用途で使われています。データを収集するだけでなく、その後の分析・活用をサポートする機能を搭載したツールもあり、統計データを用いた施策を行いたい場合に有用です。
従来の紙のアンケートと比較して、アンケートツールの利用には次のようなメリットがあります。
アンケートツールの主な機能は、以下のとおりです。多くのアンケートツールは専門的な知識を必要とせず、簡単な操作でアンケートフォームを作成でき、URLや二次元バーコードで対象者に広く配布できます。
本記事では、無料で使えるアンケートツールを対象に紹介します。無料で使用する場合、一部機能に制限を設けているサービスもあるので、利用目的に合わせて検討しましょう。
なお、より豊富な機能を制限なく使いたい場合は、「Webアンケートシステム比較14選。5つの目的別の選び方」をご参照ください。
無料のアンケートツールが求められるのは、「アンケート施策に予算をかけたくない」「まずは試験的に導入したい」といったシチュエーションが想定されます。無料プランを用意しているアンケートツールは多数ありますが、中には利用条件に制限を設けているものも。いくつかの利用条件を下記にまとめましたので、参考にしてみてください。
すべての機能を制限なく利用できるタイプ。ただし、豊富な機能を完全に無料で使えるツールは限られており、多くの場合「Google Forms」が選択肢となります。
「Google Forms」は、質問形式のカスタムから、回答のリアルタイム集計まで無料で使用可能。ドキュメントを作成するように、手軽にアンケートフォームを作成できるのが魅力です。また、Google Sheetsで集計データを開いて、詳細な分析まで行えます。
1つのアンケートに設置できる質問数や、集められる回答数に制限があるタイプ。たとえば、アンケート1つにつき質問数10問まで、回答数100件まで、といった制限が設けられています。アンケート実施のイメージを掴むために利用してみるのもおすすめです。
「Questant」では、アンケート1件あたり質問数10問まで、回答数100件まで、回答のダウンロード不可といった制限があります。一方で、目的に応じた数多くのテンプレートを用意。アンケートフォームや質問方式を選んだり、条件分岐を設定したりといった簡単操作でアンケートを作成できるなど、利便性に優れています。
質問数や回答数には制限がないものの、有料版と比べて、使える機能が制限されているタイプです。基本的な機能は備えているので、高度な機能を必要としないシンプルな調査などに有用です。
たとえば「CustomForm」は、作成できるアンケートフォームや集められる回答の数に制限はありません。しかし、メールの送信数やアカウントメンバー数、アップロード可能な写真のサイズなどが有料版よりも制限されています。また、広告の表示があることも留意点です。
Word、Excel、Teamsなどの利用のために、多くの企業が契約しているサブスクリプションサービスMicrosoft 365。一般法人向けプランを契約していれば、アンケートツール「Microsoft Forms」の全機能を追加料金なしで利用できます。
「Microsoft Forms」は、アンケートフォームの作成、回答データのグラフ化ができるほか、ほかのMicrosoftアプリケーションとの連携性にも優れているのが特徴。Excelで回答データを開いて分析を行う、Teamsのチャンネルにフォームを組み込むといった使い方もできます。
無料で使える条件を踏まえたうえで、アンケートツールを選ぶ際には以下の3つのポイントに着目して、比較・検討を進めましょう。
より深く回答者のニーズを把握したい場合は、アンケートの質問方法をカスタマイズできるツールが効果的です。選択式や記述式といった質問形式を選べるのはもちろん、選択肢によって以降の設問を変更するといった条件分岐を付加できるようなツールが適しています。
たとえば「Questant」は、条件分岐のほかに、回答内容によって質問を自動的にスキップする、選択肢をランダムに表示するといった設定も可能です。
Webアンケートは、アンケートフォームのURLをメールやWebサイトなどで知らせ、Webブラウザ上で回答してもらう形式が一般的です。ただしそれ以外にも、目的やシチュエーションに合わせて実施方法を選べるツールがあります。
たとえば「Zoho Survey」は、Webサイトにポップアップアンケートを表示させ、訪問者にリアルタイムの回答を促す機能を搭載。また、「Asklayer」では、ECサイト構築ツールの「Shopify」と連携し、購入者に対して「購入後アンケート」 をオンサイトで表示したり、EメールやSMSで送信したりできます。
その他、展示会やイベント、セミナー会場などでアンケートを回答してもらいたい際には、タブレットからアンケート回答ができるツールが便利。iPad向けのアンケートツール「MOMONGAアンケート」なら、専用アプリを使用することで、オフライン環境下でも回答を収集・保存できます。
質問項目が適切に設定されていても、回答が集まらなければ不十分な調査に終わってしまいます。ツールによっては、「記入ミスによる無効回答を減らす」「スムーズに入力できるようにして回答者の負荷を軽減する」「回答途中での離脱を防ぐ」など、アンケートの回収率を上げるための機能を搭載したものがあります。
たとえば、「formrun」では、郵便番号を使った住所入力補助が可能です。その他にも、EFO機能によりリアルタイムで入力ミスを指摘したり、入力途中で保存したりとサポート機能が充実。回答者の途中離脱を防いでくれます。
本記事でおすすめするアンケートツール9点の概要と、無料で使える条件をまとめました。
ツール名 | 概要 | 無料で使える条件 |
---|---|---|
Google Forms | 完全無料でアンケートフォームを作成できる | 制限なし |
formrun | クリック操作だけでアンケートフォームの作成が可能。回答者の入力補助機能も |
※ほか、一部機能に制限あり |
Zoho Survey | テンプレートを選択してアンケートフォームを作成できる。回答者の端末サイズに合わせてフォームが自動調整される |
|
Questant | 豊富なテンプレートや質問データベースを活用し、直感的にフォームを作成できる。質問の条件分岐やスキップなどのロジック設定も簡単 |
※ほか、一部機能に制限あり |
SurveyMonkey | アンケートフォーム作成時にAIの補助を受けられるほか、低品質な回答を除外する機能がある |
|
Asklayer | 市場調査や見込み客の開拓・獲得など目的別にテンプレートを用意。メール・SMS送信などのアクションと組み合わせた複雑なフローにも対応 |
|
CustomForm | 質問タイプを選択し、質問内容を記入していくシンプルな設計。スマホとPCから画像の投稿も可能 |
※ほか、一部機能に制限あり |
MOMONGAアンケート | iPadアプリを活用してアンケートを集計。オフライン環境でも回答収集が可能 |
|
Microsoft Forms | 質問形式をカスタムしてアンケートフォームを作成し、回答はグラフなどで可視化。Microsoftアプリケーションとの連携も容易 |
※ほか、一部機能に制限あり |
(出所:Google Forms公式Webサイト)
誰でも簡単にアンケートを作成し、回答をリアルタイムに集計できる完全無料のサービス。アンケートフォームの質問形式は選択式や記述式などから選べ、ドラック&ドロップで質問の並べ替えができるなど、オンラインフォームの使いやすさが魅力。WebサイトやSNSを介して、多数のユーザーとフォームを共有することもできる。
また、共同編集者を追加すると、質問作成や結果の分析といった作業をリアルタイムで行える。回答は自動集計され、リアルタイムでグラフ化されるので、データの把握も容易。アンケートの作成・回答はともに各種モバイル、タブレット、PCに対応している。
(出所:formrun公式Webサイト)
問い合わせや申し込み、注文受付など様々なフォームを、短時間で簡単に作れるフォーム作成ツール。アンケートフォームの作成にも対応している。テンプレートを選択してクリック操作をするだけでフォームが完成。フォームは、自動発行されたURLや二次元バーコードを送信する、もしくはサイトに埋め込むなどして、回答者に共有できる。
また、入力途中での保存機能や、全角半角の入力ミスをリアルタイムで指摘する機能など、回答者への入力補助機能も搭載。途中離脱や無効回答を防止する。公開期間や回答数の上限設定があり、過剰なデータを抑制できるというメリットも。
(出所:Zoho Survey公式Webサイト)
顧客のニーズをリアルタイムに把握できる、アンケート集計ツール。「顧客満足度調査」「保護者アンケート」「患者満足度調査」といった250種のテンプレートや、25種以上の質問形式を活用して、数分でアンケートを作成できる。また、カスタマイズできるデザインテーマも用意されているため、フォームのテイストをブランドやスタイルに合わせられる。また、モバイル対応が強みで、出先でもアプリを使ってアンケートの作成や収集、レポートの確認が可能に。
また、メールやWebサイトへのフォーム埋め込みのほか、Webサイトにポップアップアンケートを表示させる機能も搭載。
(出所:Questant公式Webサイト)
調査実績豊富なリサーチ会社のノウハウが活かされた、セルフアンケートツール。効率的にフォームを作成できるよう、調査の目的に応じて選べる70種類以上のテンプレートが用意されている。加えて、21の質問タイプと100以上の質問データベースを活用すれば、質問の条件分岐やスキップといったロジックも、選択するだけで簡単に設定できる。
回答結果は、「ヒト型」「キューブ型」といったグラフデザインで表示したり、注目のデータ部分のカラーを変えたりと、多彩な表現が可能だ。また、より高度な集計を求める場合は、同社が提供する簡易集計ソフト「QuickCross」を使うのがおすすめ。
(出所:SurveyMonkey公式Webサイト)
実用的なインサイトを手に入れるためのアンケート機能がそろったプラットフォーム。専門家が作成したテンプレートやAIを利用して、数分でアンケートを作成できる。また、アンケートの作成・実施・分析のあらゆる段階で、AIツール「SurveyMonkeyジーニアス」機能が利用可能。たとえば、質問を入力しはじめると最適な質問のタイプが提示され、バランスの取れた回答の選択肢が自動入力されるので、バイアスのない正確なデータを収集できる。
そのほか、アンケートやフォームに潜むエラーも発見。更に、回答結果に無礼な言葉遣い、意味不明な文などが含まれていないかを自動的に検証し、低品質な回答を除外してくれる。
(出所:Asklayer公式Webサイト)
Webアンケートによる市場調査や、見込み客の開拓・獲得、事前の顧客セグメンテーションが行えるサービス。目的に合ったテンプレートや質問タイプを選択するだけで、サイトデザインやブランドイメージに合ったフォームを簡単に作成できる。
また、サイト上で投票やクイズを表示したり、メールやSMSを送信したりといった、多彩なフォーマットを用意。これらのアクションを組み合わせることで、ユーザーが商品を購入した後にSMSでアトリビューションアンケートを送信するといった、複雑なフローにも対応可能だ。加えて、パフォーマンスを重視して設計されているため、Webサイトの表示が遅くなることもない。
(出所:CustomForm公式Webサイト)
Web上でアンケートフォームを作成し、公開用URLをサイトに設置したり、メールなどでシェアしたりして回答を集められるサービス。選択式、記述式など質問タイプを選択し、質問項目を記入していくだけというシンプル設計が特徴。無料プランでも、アンケート回答数は無制限で集められる。
また、管理メンバーを3名まで設定できるので、チームでのアンケート運用が可能だ。そのほか、回答の集計結果の公開、回答の閲覧・CSVダウンロード、回答があった際のメール通知といった、アンケート医必要な機能がそろっている。
(出所:MOMONGAアンケート公式Webサイト)
iPadアプリを活用し、リアルタイムでアンケート集計が利用できるサービス。オフライン環境でも利用できるため、展示会やイベント、営業先などでiPadを使ってアンケートを実施するシーンに適している。Webアンケートにも対応しており、URLや二次元バーコードからアンケートの収集も可能だ。
回答データはすぐに集計され、結果はCSVファイルや円グラフとして出力。また、回答日・回答内容による回答データの絞り込み検索や、人工知能による自由記入設問内容の分析といった機能も無料で使える。
加えて、撮影した名刺データをオペレーターがクロスチェックして、アンケート回答と紐づけて納品する有料オプション機能も。展示会で集めた名刺を有効活用したい場合におすすめだ。
(出所:Microsoft Forms公式Webサイト)
カスタムアンケートや投票、クイズで必要な情報を簡単に収集できるオンラインフォーム作成ツール。「Microsoft 365」を利用していれば、追加料金なしですべての機能を利用できる。
選択肢や自由記述などの質問形式をカスタムして、手軽にフォームを作成可能。回答は、グラフ機能と自動生成レポートによって、瞬時に視覚化される。生成AIの「Copilot」が組み込まれており、アンケート設計の改善や、収集データに基づいた意思決定方法の提案といったサポートを行う。加えて、ほかのMicrosoftアプリケーションとの連携もスムーズ。ExcelやPower BIと連携して、データを更に詳しく分析したり、Teamsなどでアンケートを共有したりすることも可能だ。
アンケートツールを使うと、Web上でアンケートフォームの作成から回答の収集までが完結でき、業務効率化が図れます。また、専門知識を必要とせず、簡単にフォーム作成や回答結果の収集・分析ができることや、モバイルデバイスからも手軽に回答できて回答率アップが見込めることも大きなメリットです。
無料アンケートツールの多くは、有料版に比べて、機能や使用範囲が一部制限されています。しかし、「シンプルなアンケートを実施したい」「アンケートから得られるデータの有用性を確かめたい」といった目的であれば、無料アンケートツールでも十分です。
無料で使える条件は、主に以下の3タイプに分けられます。
更に、下記3つのポイントに着目して比較検討を進めましょう。
時間とコストを最小限に抑えながら、顧客や社員のニーズを把握するためにも、本記事を参考にアンケートツールの導入を検討してみてください。
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