自治体内での文書管理の電子化や決裁プロセスの効率化により、業務全体の生産性向上を図りたい方へ。自治体向け文書管理システムの主な機能やタイプ別の選び方、導入時の注意点とともに、おすすめの自治体向け文書管理システムを紹介します。
自治体向け文書管理システムとは、行政文書のライフサイクル全体(収受、起案、決裁、施行、保存、廃棄または移管)を適正に管理し、行政事務の効率化や住民サービスの向上を支援するシステムです。
自治体向け文書管理システムは、汎用的な文書管理システムとは異なり、行政機関特有の業務プロセスや法規制に対応した仕組みや機能を備えています。主な特徴には次のようなものが挙げられます。
公文書管理法、情報公開法、個人情報保護法などの関連法令に則り、適切な文書管理の運用を支援。「行政文書の管理に関するガイドライン」に準拠するシステムも多くあります。
起案した文書を関係者が確認し、決裁を経て施行に至るという、行政文書ならではの業務フローに対応。文書の自動回覧や承認履歴の記録、決裁の可視化により、紙文書の回覧による遅延を防ぎ、業務効率化を支援します。
財務会計システム、人事給与システム、情報公開システムなど、文書管理以外の行政システムとシームレスにデータ連携し、業務を一元化することで、情報の整合性を維持しながら円滑な運用を実現します。
上記のような機能が不要な場合は、汎用的な文書管理システムがおすすめです。詳細は「文書管理システムの比較16選。選び方を図解でわかりやすく」をご覧ください。
自治体向け文書管理システムは、行政文書のライフサイクル全体を効率的に管理するための様々な機能を備えています。システムごとに多少異なりますが、主な機能は以下の通りです。
機能 | 説明 |
---|---|
文書ライフサイクル管理 | 文書の発生から廃棄または移管までの一連の流れをシステムで管理。文書の種類や状態に応じた適切な処理を実施 |
文書の一元管理 | 庁内で作成される文書や帳票、申請書などを一元的に管理し、組織内での情報共有を促進 |
文書の分類・整理 | フォルダや階層構造を活用し、文書を適切に分類・整理して保管。最大5階層の分類に対応するシステムも |
文書の自動廃棄・移管 | あらかじめ指定した保管期限を過ぎたファイルを廃棄・移管する |
文書管理簿の作成・更新 | 「行政文書ファイル管理簿」を簡単な操作で作成・更新可能 |
機能 | 説明 |
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起案から決裁までのプロセスの電子化 | 文書の起案、回議、決裁、承認など、一連の決裁プロセスをシステム上で完結する |
多様な決裁方式 | 電子決裁だけでなく、紙文書による押印決裁にも対応。代理決裁、同時並列決裁、差し戻し、引き上げなどの機能を備える |
決裁ルートの設定 | 組織や役職に応じた柔軟な決裁ルートを設定できる |
決裁状況の可視化 | 決裁の進捗状況を一覧で確認可能。決裁待ち件数を表示できるシステムも |
機能 | 説明 |
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全文検索 | 文書の本文や添付文書の内容を含めて検索できる。システムによっては文書の修正履歴も管理可能 |
属性検索 | 文書名、作成日、作成者などの属性情報を指定して検索できる |
絞り込み検索 | 複数の条件を組み合わせ、検索結果を効率的に絞り込める |
過去文書の検索 | キーワードや担当者名などを指定し、過去の文書を検索できる |
機能 | 説明 |
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認証、職員情報管理 | 職員の身元確認とデータ管理を行い、安全かつ効率的な業務運営をサポート |
所属情報の管理 | 職員の所属情報を管理し、人事異動などにも柔軟に対応 |
アクセス権設定 | 部署や役職に応じた文書のアクセス権限を詳細に設定し、情報の安全性を確保 |
自治体向け文書管理システムは、対応範囲に応じて主に以下の2つのタイプに分類されます。
文書管理だけでなく、住民や企業への情報公開までワンストップで対応したい自治体に適したシステムです。情報公開請求への対応や、住民向けの電子申請・電子決裁と連携できるものもあります。
たとえば、「e-⾃治体 ⽂書管理システム」は、オプションで情報公開システムや開示請求管理システムを利用でき、住民サービスの向上に貢献します。
情報公開システムでは、文書管理システムと連携し、住民や企業が自治体のHPから文書を検索・公開請求できる仕組みを提供。公開性の高い情報は、職員の対応を介さず即時に閲覧できるようになります。
また、開示請求管理システムを活用することで、住民からの電話・メール・FAX・窓口での開示請求を一元管理し、その後の開示・非開示決定書の作成までを文書管理システム上で処理可能。各担当課の回答進捗を可視化し、適切に管理することで、回答の遅延や滞留を防止し、スムーズな情報開示を実現します。
公文書の作成・決裁・保存・廃棄などの管理に特化し、高いセキュリティで大量の文書を適切に運用したい自治体向けのシステムです。まずは電子決裁と文書管理の導入を優先し、将来的に業務の電子化を段階的に進めたい場合に適しています。
たとえば、「PROCENTER」は、米国の国立標準技術研究所(NIST)が定めた「NIST SP800-171」基準に対応し、多要素認証、操作ログ保存、柔軟なアクセス権設定などの高度なセキュリティ機能を搭載。外部との情報共有時にも誤送信リスクや万が一の情報流出リスクを極力抑えられます。
「ADWORLD 文書管理システム」は、部署や役職ごとに個別の参照権限を設定可能。必要な情報のみを利用できる環境を構築し、情報漏えいや不正使用を防止します。また、原本保証機能を備え、公文書の紛失や改ざんのリスクを大幅に低減。画面上で文書履歴やファイル履歴を確認できるため、不正処理の抑止にもつながります。
「TCiTY」は、図面など電子化できない紙文書の保管場所についての情報もシステム内で一元管理することで、スムーズなアクセスを実現。職員の身元確認とデータ管理をセキュアに行い、効率的な業務運営をサポートします。
導入の際には、単なるシステム更新にとどまらず、電子化の範囲や業務プロセスの見直し、庁内職員への周知と定着化など、電子決裁が実際に使われるようにするための取り組みが欠かせません。以下に導入時に求められるポイントや注意すべき点をまとめました。
公文書の保存期間や法的要件を踏まえ、事前に電子化すべき文書と紙媒体で保持する文書を整理することが重要です。紙文書の取り扱い方針を固めて、一貫した運用ルールの策定が必要です。
紙の業務フローをデジタル化するだけではなく、決裁ルートの見直しや承認権限の整理を行い「より効率的な業務フローを構築する」 という視点でプロセスを最適化することが重要です。たとえば、職員がシステムを使いやすいように、文書分類を減らすなどシンプルな運用ルールを策定するといった工夫が考えられます。
研修・試行運用(PoC)を実施し、職員が実際にシステムを使いながらフィードバックを行える環境を整え、実運用に向けて調整を行うのが効果的です。たとえば、庁内ポータルサイトでの周知やアニメーションを用いた教材などを活用した研修によって職員の理解を得たことで、電子決裁の定着率向上につながった事例もあります。
システム導入時に文書管理システムの提供だけでなく、上記のような取り組みの支援に対応しているサービスもあるので、必要に応じて検討するといいでしょう。
(出所:e-⾃治体 ⽂書管理システム公式Webサイト)
都道府県を中心にトップシェアレベルの導入実績を持つ、行政文書管理に特化したパッケージ製品。
公文書管理法に準拠し、行政文書の作成から廃棄までのライフサイクル全体を管理。電子化推進とともに文書の改ざん防止を徹底することで、行政文書の適正な管理を実現する。
電子決裁機能を標準搭載。差し戻し・引き上げ・引き戻しなどの回付ルールに対応し、承認ルートの変更もスムーズ。従来の紙決裁の運用を踏襲しつつ、複数承認者が同時に決裁できる「同時並列決裁」や、不在時に代理で承認できる「代理決裁」も備え、業務の効率化を促進する。
部署・業務単位でスモールスタートし、全庁導入に向けた段階的な電子化もできるなど、各団体の事情に合わせた柔軟な導入・運用ができる点も魅力。
住⺠や企業へのスムーズな情報開⽰を⽀援する「情報公開オプション」なども用意。
(出所:自治体・公的機関向け 文書決裁・文書管理システム公式Webサイト)
コニカミノルタの自治体・公的機関向け文書決裁・文書管理システム。
「収受→起案→回議→決裁→施行→保存・廃棄・移管」 の一連の決裁・管理業務を電子化し、スムーズで効率的な文書管理を実現。
行政文書の起案・決裁・連携・保存・文書公開・電子申請・公文書管理などの主要機能を備え、一元的な管理を可能にする。直感的な操作性に優れ、文書起案・修正・決裁処理と文書管理を統合。システム上で変更履歴を管理し、原本の適正管理や改ざん防止にも対応する。
クライアント端末に情報を残さない強固なセキュリティを確保し、財務会計システムなどの外部システムとの決裁連携も可能。
(出所:e-ActiveStaff文書管理公式Webサイト)
地方自治体や国公立大学、独立行政法人などで利用できる行政文書管理システム。
公文書管理法や情報公開法、個人情報保護法に準拠し、文書の作成から決裁、施行、保存・廃棄までのライフサイクルを一括管理することで、自治体DXの推進を支援。
電子決裁システムを搭載し、直感的なマウス操作で決裁・承認ルートの変更が可能。決裁待ち件数の表示機能により、処理漏れを防ぎ、迅速な承認を実現する。
また、電子メールサーバと連携し、メールをそのまま収受登録できる機能を備え、業務の負担を軽減。更に、「電子文書ハンドリング機能」(特許出願中)を搭載し、紙と同様の扱いやすさを確保しながら、データの利活用を促進する。
(出所:公開羅針盤公式Webサイト)
庁内の文書を作成から決裁、保管、保存、廃棄まで一元管理する自治体向け文書管理システム。
同社の情報公開システムと連携し、文書の適正な保管と迅速な情報公開を実現。
文書は「個人のもの」ではなく「組織のもの」として管理されるため、担当者の不在や異動時でも所在を容易に確認でき、全庁的な管理のしづらさを解消できる。
電子決裁機能を搭載し、意思決定の迅速化と紙文書ゼロ運用を推進。並列承認やテンプレートを活用した決裁ルート設定により、スムーズな意思決定を支援する。また、決裁待ち件数の表示により、処理すべき文書を視覚的に把握できるため、作業漏れや遅延を防止。
文書作成機能では、入力欄やリストのカスタマイズが可能。文例の選択や既存文書の参照機能により、入力作業の負担を軽減できる。
(出所:IPKNOWLEDGE 文書管理公式Webサイト)
行政文書の発生から廃棄・保存までのライフサイクルを一元管理し、公文書管理法に準拠した適正な運用を実現する文書管理システム。
電子決裁や電子メール、複合機との連携により、ペーパーレス化を推進し、意思決定の迅速化や保管スペースの削減を実現する。
直感的な操作性を備え、最低限の入力で起案が完了する便利な機能を搭載。蓄積された文書のキーワード検索や修正履歴管理も可能で、スムーズな情報活用を後押しする。更に、統計データを活用した業務分析機能により、システムの利用率向上や業務改善にも寄与。
同シリーズの財務情報システム・旅費管理システム、公文書館システム、情報公開システム(オプション)との連携にも対応し、庁内の業務全体を効率化。情報公開機能に活用により、住民や企業への情報提供を円滑にし、行政の透明性向上と説明責任の強化を支援する。
(出所:PROCENTER公式Webサイト)
製造業や官公庁を含む230社以上の導入実績を持つ情報共有プラットフォーム。
オンプレミス版とクラウド版(PROCENTER SaaS)の2種類を提供し、利用環境やニーズに応じた柔軟な導入が可能。クラウド版は電子帳簿保存法のJIIMA認証を取得しており、法令対応をサポートする。
大容量ファイルを安全に共有でき、メール添付不要のURL通知によるデータのやり取りで業務を効率化。誤送信リスクを低減し、細かなアクセス権限設定や操作履歴・版管理の可視化によって、文書の改訂状況を正確に把握できる。
更に、電子署名ツール「DocuSign」との連携により、契約書の一元管理やペーパーレス化を実現。承認機能や版数管理機能によって、いつ・誰が承認や改版したのかを明確化し、契約業務の効率向上とセキュリティ強化に貢献する。
(出所:ADWORLD 文書管理システム公式Webサイト)
収受・起案・決裁・保存・廃棄までの一連の文書業務を一元管理し、業務効率化と適正な文書管理を実現するシステム。
紙・電子のどちらの決裁にも対応し、決裁済みの文書を蓄積・活用できるため、過去の業務資料の検索や再利用がスムーズに行える。ツリー表示や分類記号による検索機能を備え、過去の文書の検索・再利用も容易。電子決裁システムとの連携により、決裁の滞留状況を可視化や差し戻し・代理決裁など複雑なワークフローにも柔軟に対応。
処理中の文書を一覧表示し、進捗を可視化することで作業漏れを防止する。アクセス制御や操作権限の細かな設定により、安全な運用を支援する。
ニーズに応じて、文書のライフサイクル全体の管理業務(文書業務機能+保存管理業務)のほか、保存管理業務のみに特化したシステムも提供可能。
(出所:自治体向け文書管理(電子決裁)システム公式Webサイト)
Microsoft 365 の既存ライセンスを活用する、自治体向けの文書管理(電子決裁)システム。
SharePoint、Power Automate、Power Apps、Entra ID、Outlook、Teams などを組み合わせ、文書の収受から廃棄まで一連のフローに対応。他社システムを追加導入する必要がなく、コストを抑えた効率的な運用が可能に。
外出先からの起案・承認もセキュアに行え、業務の停滞を防ぎスムーズな決裁を実現する。
更に、SharePoint に文書を一元管理することで検索性が向上し、業務効率が大幅に改善。将来的には、生成 AI や庁内向けチャットボットの導入時に保存データを活用し、行政サービスのデジタル化を加速 できる。
(出所:TCiTY公式Webサイト)
自治体の文書管理を効率化し、行政の透明性向上や事務の効率化を支援するソリューション。
従来の紙文書管理の流れを再現し、スムーズなシステム移行を実現することで、導入自治体では電子決裁率85~90%以上の高い運用実績を持つ。
主な機能として、ログイン者情報の自動設定やテンプレート、既存文書の複写を活用し、作業負担を軽減する「文書作成機能」、電子化できない紙文書の保管場所の管理にも対応する「文書保存管理機能」、一括・連続決裁などの高度なワークフローの最適化に対応する「電子決裁機能」、職員の身元確認やデータ管理を強化し、異動時の文書参照・更新権限の変更にも柔軟に対応する「組織職員管理機能」を搭載。利用職員数に制限がなく、自治体の規模に応じた適切なサーバサイジングを提案できるのもメリット。
自治体向け文書管理システムとは、行政文書のライフサイクル全体を適正に管理し、行政事務の効率化や住民サービスの向上を支援するシステムのことです。
自治体向け文書管理システムは、以下に分類できます。
(1)情報公開システムもセット
(2)文書管理に特化
システムを選定する際は、自治体の業務フローや運用体制に適した機能を備えているかを見極めることが重要です。また、導入後の運用サポートや拡張性についても考慮し、長期的に活用できるシステムを選定するといいでしょう。
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