最終更新日:2023-12-27
コールセンターの顧客満足度向上や業務効率化の対策を検討している方へ。自動音声案内(IVR)を可視化する、ビジュアルIVRの概要やメリット、おすすめのサービスについて解説します。
ビジュアルIVRとは、音声自動応答(IVR)の音声ガイダンスを「聞く」のではなく、Webページやアプリからメニュー画面を「見る」ことができるシステムを指します。IVRが可視化されることから、ビジュアルIVR=「見えるIVR」とも呼ばれています。
カスタマーサポートやコールセンターでは、日々大量の問い合わせに対応しなければなりません。「製品の問い合わせは1を、返品については2を押してください」というように録音音声で自動的に応答を行ってくれるIVRはありがたい存在ですが、その一方、顧客の間で「電話口での待ち時間が長い」「IVR操作に手間がかかる」といった課題が挙げられていたのも事実です。
こうした問題を解消できるツールのひとつとして注目されているのが、ビジュアルIVRです。
本記事では、ビジュアルIVRのメリットや自社に合ったツールの選び方などをご紹介していきます。
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ビジュアルIVRの導入によって得られるメリットを、企業サイドと顧客サイドからそれぞれ解説します。
ビジュアルIVRは分かりやすいグラフィックデザインを利用して、顧客をサポートコンテンツへ誘導します。顧客は欲しい情報をスムーズに取得でき、自己解決率が高まるので、オペレーターによる有人対応が減少。オペレーターのリソースを、より複雑な問い合わせだけに集中させられるようになります。
顧客の自己解決が促されれば、オペレーターが対応しきれずに話し中になってしまう「あふれ呼」や、電話はつながっているのに待ち状態が続く「待ち呼」を減らせます。また、ビジュアルIVR なら24時間体制で応対が可能なので、営業時間外にかかってきた電話を適切なチャネルに誘導して、商機に転換させることも可能に。
そのほか、コールセンターからの折り返し電話を予約できる「コールバック予約」など、顧客接点の強化に役立つ機能も豊富です。これらの機能を活用すれば、機会損失の防止が期待できるでしょう。
ビジュアルIVRを導入することで、顧客体験の改善・向上が期待できます。
従来のIVRは、音声の再生速度を遅く感じる」、「音声ガイダンスを聞き漏らして、冒頭から再生しないと操作できない」など、担当者に電話がつながるまで待たされている感覚が強いことが課題になりやすい側面がありました。
一方、ビジュアルIVRは、問題解決につながるWebページにダイレクトにアクセス可能。スマホの画面を操作するだけで、いつでも・どこからでもストレスなく自己解決できます。オペレーター対応が必要な場合も、「混雑状況表示できる」「問い合わせの順番を予約できる」といったサービスを利用すれば、タイムリーに待ち時間の目安がわかるため、顧客体験を損ないません。
また、音声案内よりも詳細な選択形式を設定できるため、顧客自身の問題点の絞り込みにも役立ちます。「何が問題なのかはっきりわからない」という状態でも適切な解決方法を速やかに提示できるため、問題解決までのスピード向上につながります。
ビジュアルIVRは3つのタイプに大別できます。それぞれのタイプについて解説します。
顧客からの着信を受けたのち、まず音声ガイダンスでビジュアルIVRを選べるように設定。顧客がビジュアルIVRを選択すると、SMSにビジュアルIVRのURLを送信するというタイプです。
顧客がURLをクリックするとビジュアルIVRの画面に遷移し、そこに表示されたメニューから希望する項目を選択していけば、自己解決が可能に。たとえば、「モバイルウェブ ビジュアルIVR」「SMS送信IVR」「Hasso」「VisualMenu」などのサービスが、このタイプに該当します。既存のIVRに組み込んで、手軽に導入できるのも魅力です。
Webサイトに掲載している「問い合わせ先」を、ビジュアルIVRの起動ボタンに置き換えるタイプです。
ボタンをクリックすると、顧客の目的に応じてFAQや会員ページ、チャットボット、ボイスボットなど適切な窓口へ誘導。それにより顧客の自己解決率を高め、オペーレーターの稼働を抑えられます。たとえば、「Visual IVR」なら、ドラッグアンドドロップで起動ボタンのリンク先ページの変更ができ、シナリオ編集も直感的かつ簡単に行えます。
スマホやタブレットにインストールされた、専用アプリを介してビジュアルIVR機能を提供するタイプです。
ダウンロードしたアプリから問い合わせのカテゴリを選択すれば、適切な問い合わせ窓口につながる仕様になっています。アプリにキャンペーンなどの情報を送信できるため、マーケティンにも活用可能。中には、ビジュアルIVRに加えて、通知や投票、アンケートなど、電話機能を組み込んだ高度なアプリケーションを構築できるソフトウェアも。
自社に最適なビジュアルIVRを選ぶ際に確認したい、3つのポイントをご紹介します。
ビジュアルIVRの画面デザインや会話などのテキスト設計は、サービスを利用する企業が自社で行うケースがほとんどです。そのため、導入後もスムーズに運用できるよう、直感的かつ簡単な操作で設定や変更ができるか確認しておく必要があります。
例えば、「みえなび」はCMS(コンテンツマネジメントシステム)を採用。画面やテキストのデータが容易に編集でき、Webページが自動的に生成されるなど、操作性に優れています。
また、「モバイルウェブ ビジュアルIVR」は、テンプレートにとらわれない自由度の高い画面デザインができるのが強みです。「Visual IVR」は、最大50パターンまでデザインテンプレートを登録し、ページ単位でのテンプレート設定ができます。
電話自動応答、有人チャット、FAQソリューション、AI/基幹システム連携など、外部システムとの連携機能が充実していると、利便性がさらに高まります。たとえば、過去の問い合わせ対応履歴などを蓄積したCRMデータベースとの連携できれば、オペレーターが過去の履歴を参考にして最適な提案を行ったり、対応時間を短縮したりといった業務効率化を図れます。
ビジュアルIVR導入後も、運用の見直しや改善、時期に応じたテキスト内容の変更など、継続的なサービスの最適化が必要です。また、ビジュアルIVRを活用するためには、コールセンターが抱える課題を明確にし、機能を増やしすぎないことも重要に。構造や機能を複雑にしすぎると、ビジュアルIVRの利便性が損なわれる恐れがあるのです。
運用改善を検討する際に参考材料となる、分析機能や運用サポート体制が充実していると、より精度の高いチューニングが可能に。さらに、画面デザインや会話設計の方法など、運用面についてのサポート体制も整っていると安心です。
例えば、「Visual IVR」は、ビジュアルIVRへのアクセス状況、ユーザー導線を分析できる統計機能を搭載。利用状況の分析に基づいて会話設計を改善できるため、ビジュアルIVRの効果を最大限に高められます。
(出所:モバイルウェブ ビジュアルIVR公式Webサイト)
SMSでビジュアルIVRのURLを送信し、Webに誘導するサービス。大きな特徴は「コールセンターの特徴に応じて自由に画面を設計できる利便性」と「管理画面で使える充実の機能」の2点。自前の画像をアップロードしてビジュアルIVRの画面をデザインできるため、企業のブランドイメージに合わせたページ作成も可能だ。
また、新規ページの追加や導線の変更といった修正・更新作業を、管理画面から簡単に行える。さらにコールバック予約受付サイト、メールフォーム、アンケートフォームも作成可能。スマホだけでなく、PCやフィーチャーフォン(ガラケー)からもアクセスでき、それぞれのデバイスに応じて画面を最適化表示できるなど、閲覧のしやすさにもこだわっている。
(出所:SMS送信IVR公式Webサイト)
IVRサービスに特化して創業40年以上。業界最大規模の7,000回線以上の運用実績を持つ同社が手掛けるビジュアルIVR。コールセンターに入った電話を「自動音声応答」と「SMS送信」の組み合わせで、Webサイトに適切に誘導。
コールが集中した際のあふれ呼や時間外呼に対しSMSを送信してビジュアルIVRへ誘導できるほか、電話口で説明の難しい問い合わせをFAQサイトや動画サイトへ誘導して自己解決を促すことも可能。オペレーターの負担を軽減しつつ、売上拡大や顧客接点の強化を実現できる。
「修理サイトは1、注文サイトは2、操作動画を希望する場合は3をプッシュしてください」など、お客様の入力内容に応じて、URLを変更したSMSを送信することも可能。
(出所:Tele Force公式Webサイト)
IVR×SMSで電話対応を効率化する顧客対応ソリューション。24時間365日対応できるIVRとSMS送信提携機能を組み合わせることで、有人対応・SMS送信を振り分けて問い合わせ対応ができる。配信するSMSは最大670字まで内容をカスタマイズ可能。長いURLでも19文字まで自動短縮できるため、FAQページや専用フォームなど任意のWebページへ案内できる。ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの国内4大キャリアに直接接続しているため、SMSの到達率が高いのもポイントだ。オートコール発信機能も搭載しており、不在時にSMS配信も設定できるため、督促や当選通知などの重要連絡にも利用できる。
コールフローやシナリオは、管理画面で簡単に設定が可能。時間・曜日ごとのガイダンス変更など、運用に合わせて柔軟に対応できる。
(出所:Hasso公式Webサイト)
FAQページや専用窓口、折り返し電話予約など、顧客を最適なチャネルへと誘導するビジュアルIVR。外出している社員に受けた電話を自動転送したり、PCとヘッドセットがあれば外線の発着信ができたりするので、テレワーク環境での電話対応にも便利。
画面や会話設計は、ドラッグアンドドロップの簡単操作で完結し、テンプレートや構築支援サービス(有料)などの機能・サポートも充実しているので、すぐに運用スタートできる。
また、パソコンを利用して電話通話する(ブラウザフォン)機能を搭載しており、電話設備や回線契約・工事が一切不要。低コストで導入できるのも魅力だ。
(出所:VisualMenu公式Webサイト)
個人・法人の契約数6,000万超のサポート業務で培った、KDDIグループの実績やノウハウに基づき、顧客体験価値(CX)の向上に貢献するサービスを構築。音声ガイダンスから「VisualMenu」を選べば、AIチャットボットやWebFAQ、コールバック予約といったメニューに誘導され、顧客が希望するコミュニケーションが実現できる。
Webページを活用したビジュアルIVRなので、アプリのインストールは不要。企業の特色に合わせて、メニューの配置パターンや各種コンテンツを簡単にカスタマイズできる。コールバック予約や混雑状況表示など、コールセンターでの活用を想定して、さまざまな機能を標準搭載。
(出所:Visual IVR公式Webサイト)
電話、Webチャット、LINE、チャットボット、ボイスボット(電話自動応答)など複数の問い合わせチャネルを一覧で表示。顧客の目的や受電状況に応じて、最適な窓口へと誘導できるサービス。Webサイトにある問い合わせ用の電話番号をVisual IVRの起動ボタンに変更するだけで設置完了し、各種チャネルに誘導できるようになる。
直観的なシナリオ編集機能、自由度の高いページデザイン、すぐに切替・公開できるコンテンツ、アクセス状況やユーザー導線を分析できる統計機能など、ユーザビリティの高さが特徴。ユーザー行動分析画面では、閲覧した顧客がどのシナリオフローを進んだか、画面遷移状態がグラフィカルに表示されるので、ページ構成の見直し・改善に活かしやすい。
(出所:みえなび公式Webサイト)
メール、チャット、FAQなどの問い合わせチャネルをビジュアルで表現し、最適な回答チャネルに素早く誘導できるビジュアルIVRサービス。SMSでビジュアルIVRのURLを送信、URLをタップするとメニュー画面が表示される仕組みになっている。既存のチャネルやメニューとの連携も可能だ。
CMSを採用しており、画面デザインやテキストを簡単に変更できる。メーカーであれば会員情報や各種照会といった問い合わせの自己解決促進に、運送業であれば集荷や再配達の申し込みの無人対応に使えるので、顧客満足度向上や入電数削減などの効果が見込める。
(出所:Eye公式Webサイト)
通常機能とは別に、使いやすさやデザインの面でカスタマイズに強みを持つビジュアルIVR。「問い合わせにどのように対応していくか」というメニューコンテンツを、ドラッグ&ドロップで直感的に操作可能。必要に応じて簡単に追加・削除もできるため手間がかからない。また、画面のテキスト配置や色・アイコンなどの見え方に関してもCSSを編集できるため、自社にあったテイストを追求できるのも魅力。
(出所:telmeeビジュアルIVR公式Webサイト)
クラウド電話サービス「telmee」のビジュアルIVRプラン。電話を受けたら、自動でURLを表示したSMSを送信して、専用Webサイトに遷移させるだけ。コールセンターの待ち呼以外にも様々な利用のされ方をしており、契約確認手続きもその一つ。まずは、電話番号にオートコールで自動音声案内による本人確認を行い、その後、URLを記載したSMSを送付し、Webサイトへ誘導。最後に、Webページにて契約内容の確認や追加入力、最終契約確認を行って終了。SMS以外にもメール送信にも対応可能なのも心強い。
グラフィックを活用して、顧客を最適なサポートチャネルへと誘導できるビジュアルIVR。音声ではなく、目で見ながらのスマートな操作で、速やかに疑問解消や情報収集ができるため、顧客のストレス軽減や満足度向上につながるはずです。また、顧客の自己解決を促進できること、問い合わせ内容を即座に確認できることから、オペレーターによる有人対応のコスト削減も見込めます。
ただし、メニュー画面のデザインやテキスト設計が分かりにくいと、顧客の不満やオペレーターの負担増につながる恐れが。導入後も常に見直し・改善に努める、他のシステムとの連携で利便性を向上するといったアップデートが必要です。
本記事で紹介した3つのタイプや確認ポイントを参考に、自社に最適なビジュアルIVRの導入を検討してみてください。
ビジュアルIVRの詳細資料はこちらからご覧いただけます。
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